38 / 378
38話 ダンジョンに単独潜入でございます!
しおりを挟む私は何故か入りやすいように土が盛り上がっている、いかにも入り口だと言わんばかりの場所の奥をどんどんと進んでいく。
どうやら、地下に降りてるみたい。
道が下り坂になってる。
この洞窟内は光源がないはずなのに何故か明るい。
やっぱりここがダンジョンであってるみたいだね。少し不安だったんだ。
こういうの、ファンタジックで心がエキサイトするよね。
それにしても、道幅が中々にひろい。
だいたい、大人の男の人が両手を広げて5人並列に並んでいるぐらいの幅はある。
縦幅は大々3メートルくらいかな?
入ってまだ20秒くらいたったころ、私は魔物がいないか大探知を使ってみた。
お、いるいる。
………だけど反応的に見てもFランク1匹か。
大したお金と経験値にならないね。
私はその反応がある場所を目指し、この一本道を再び歩き始める。
ほんの少し進んだところで、魔物が居た。
キチィィィ_____!
勿論、自然界に相手が構えるのを待つとか、そんな概念は存在しない。
そのFランクであろう魔物は、私めがけて飛んできた。
その飛んできた魔物を、私はこのダンジョンに入ると同時にもとの大きさに戻らせた身体を仰け反り、回避して掴んだ。
その掴んだ何かをそのまま地面に叩きつける。
【ヒュージレディバを倒した! 経験値11を手に入れた】
そのように、文字が頭の中に浮かんでくる。
ヒュージレディバ、高さ60cmほどの、でかいてんとう虫だ。
地球と同じように、この世界のてんとう虫も羽根の模様は綺麗で丈夫だから、ヒュージレディバの羽はFランクの上にしては高く売れる。
なーるほど、だから天の道のダンジョンか。
てんとう虫は漢字で天道虫と書くから、天の道ね。
なんか強そうな名前だから、変に心を構えちゃったじゃん。
ヒュージレディバの事だったんだね。
地面に打ち付けたヒュージレディバの死体を拾って袋に入れ、再び歩き始める。
すると、今度は奥からヒュージレディバ3匹が飛んでくる反応が!
飛んできたヒュージレディバ3匹に、『魔流極波』を放ち、撃ち落とした。
『魔流極波』とは、魔流波の進化系みたいなもので、従来の魔流極波ならば撃ったら直線的に飛んでいくだけだったけど、この魔流極波はなんと敵を追尾するんだ。
いわゆるホーミング弾だね。
撃ち落としたヒュージレディバをさっさと回収し、また奥へと進む。
ダンジョンに入ってから、すでに20分は経過したかな?
すでに合計7匹のヒュージレディバを倒して回収してる。
お値段にしておおよそ18200ストン。
うはははー! ボロ儲け。
でも全然、武器を2つも買うには足りないんだけどね。
頭の中でほくそ笑んでいると、大探知にヒュージレディバとは違う反応が引っかかった。
大体、Eランクか。
私は特に姿を確認せず、魔流真砲を放ちそのEランクの魔物を撃墜した。
……ん? ちょっと生きてる。
でもほぼ瀕死みたいだし、私はその撃墜した魔物の元へと歩いて行った。
そこに居たのは、縦85cmほどの黄色いヒュージレディバ。
確か、こいつの名前はポイズナレディバだったっけ? Eランクの中の魔物だね。
何か強い衝撃を与えると、黄色い液体を噴出する。
その液体には毒が含まれてるんだよね。
案の定、そのポイズナレディバは身体のお尻にあたる部分からドロッとした黄色い液体を噴出していた。
私が毒になることはないけれど、なんかバッチいからその黄色い液体に触れないように気をつけながらとどめを刺して、袋に放り込んでおいた。
その後も特に大きな問題もなく一本道をひたすら進んでいく。
ダンジョンに入って1時間半。
ここまで倒したのはヒュージレディバ計31匹、ポイズナレディバ計5匹。
それと、ファイレディバという炎魔法を使うEランク上のレディバが2匹。
ここまでのおおよその合計金額は推定110000ストンって言ったところかな?
110000ストンあるならば、今のリンネちゃんの剣よりは、いい剣が2本買える。
それにしても……そろそろ袋が満タンなんだよねぇ……。
しょうがない、帰ろう。
来た道を戻るのは、3時間もかからない。
なぜなら私は、本来ならば30分程度で進める距離を、3時間もかけて進んでたからね。
すこし、恐る恐る進みすぎたみたい。
どっちにせよ、次この地点に来るまでに30分掛かることは確か。
転移魔法陣と、袋をもう一つ欲しいものだね。
転移魔法陣とは、自分がまた来たい場所に貼り付ければ、いつでもそこにワープできてその場から冒険を再開できる便利アイテムの事。
お値段は2枚セットで60000ストン以上もする。ものによるけど。
さらには2枚以上貼れない。
3枚目を貼ると、1枚目の効果がなくなっちゃう。
ただ、転移魔法陣は3回までなら、貼った人ならだったら剥がして再利用できるんだよね。
それに、貼った人に触れているものであれば一緒に転移できるし、貼った転移魔法陣は貼った本人以外には見えない。
因みにスペーカウの袋は、容量にもよるけど最低で10000ストンで買える。
それに、スペーカウの袋を他のスペーカウの袋に入れるとその入れたスペーカウの袋の分、入れられたスペーカウの袋の容量は増える。
私の推測だと、ウォルクおじいさんが私にくれたスペーカウの袋は40000ストンのもの。
だから私はそれと同じ40000ストン分のスペーカウの袋が欲しい。
………結局は今回、手に入れた分のお金全部を使っちゃうことになると思う。
思わず舌打ちしたくなっちゃうね。
それは明日また稼げば良いとして、売却はどうしようかな…。
魔物のお使いに応じてくれる冒険者っているかしらん?
報酬はどのくらいが良いのかなぁ…。
とりあえず、城下町に帰ってみなくちゃわからないか。
30分かけてダンジョンを出て、10分かけて城下町前へとやってくる。
その後、隠密を使って、誰にもばれずに静かに街内に進入することができた。
私は隠密を使ったまま、ギルドを目指して歩き、着いたからそのまま隠密状態で入る。
今は午前12時前後。
だけど酒やらなんやらを飲み食いしている冒険者や、依頼掲示板を覗いている冒険者も居る。
あらまぁ、まだ10歳くらいのお使い冒険者も居るじゃん。
大丈夫なのかな? こんな時間に外に出歩いて……。
それに周りの冒険者は皆、黙認してるみたいだし、受付のお姉さんも心配そうな眼差しでその子を見ているものの、注意はしようとしない。
なにか理由があるのかなぁ?
そんな他人事は私が介入したところで、どうにかできる訳じゃないんだし、ここは気になるのをグッとこらえて、私がすべきことを遂行しよう。
私は金髪の受付嬢の目の前よりすこし離れた場所に立つ。
あ、よく見てみると、昼間とは違う女の人だね。
それにしても、なかなか気づかれない。
隠密ってすごいね。
でも気づかれなきゃ依頼もできないし、さっさと念話で話かけよう。
【あの……依頼をしたいのですが……】
私が受付嬢に向かって念話を送ると、受付嬢はかなり驚いた眼差しで私を見つめてきた。
「なっ! なんでこんなところにゴーレムでいやがるっ」
「は、ゴーレムだって? いつのまに」
「うわ、本当だ」
念話をした途端に隠密が解けて、食事をしていた冒険者達に気づかれちゃったみたいで、みーんな敵意丸出しで私の周りを半径4メートルくらいの円で囲んだ。
中には既に武器を構えている冒険者も居る。
【……私は依頼をしに来ただけなのですが……なんでこんなに敵意をむき出しにされるのでしょうか? 魔物が依頼したことがあると訊いたのですが?】
そう、全体に行き渡るように強く念話をしてみたところ、私を囲んでいたおよそ12名程の冒険者は目を丸くして、驚いた様子で私の方をじって見ている。
そうだった、私ってばゴーレムどころか魔物の中でも異様に流暢に念話ができるんだったね。
驚かれるのも無理はないか。
しばらくの沈黙の後、受付嬢が念話で私に話しかけてきた。
【ご依頼……でしょう……か……?】
【あ、私は言葉がわかるので、念話をわざわざお使いにならなくても結構ですよ? MPが無駄になります】
受付嬢はさらに目を大きく見開いている。
周りの冒険者達もからも驚愕しているようだ。
「ほ、本当にわかるのですか?」
【ええ、わかりますよ】
そんな疑いの言葉に、即答してあげた。
すると、受付嬢は軽く私に頭を下げてきた。
「…お客様、申し訳ございませんでした」
【いえいえ、慣れてますから。そんなことより、依頼は私でも受けられるのですよね?】
いかにもこちらの機嫌を探っているよつな、そんな心配そうな顔をしている受付嬢を落ち着かせるために、私は手で『お構いなく』という意味のジェスチャーをする。
興奮気味だった受付嬢は、一呼吸を置き、私の問いに答えてくれた。
「はい、大丈夫です……ご依頼内容は?」
【お使いです。私は見ての通り魔物ですから、物の取引が難しいのです。ゆえに隣の『冒険の店』で買ってほしい物と、売ってほしい物がございます。売ってほしい物を売却した値の五分を報酬として払いますので、どなたか受けてくださる方はおりませんでしょうか?】
再度、ここにいる冒険者全員に伝わるように、強く念話をする。
しかし、誰からも返事が返ってこない。
おかしいな……。
「そ……その、お客様、五分とは一体……」
あ、そうか。
忘れてた、この世界で"ぶ"って数字の単位は数術専門の学者しか使わないんだった。
ロモンちゃん達とは普通に使ってたから、ついついいつもの感覚で話してしまった。
【五分とは、20分の1のことでございます】
「に…20分の1!? えっと…ええっと……」
【10分の1のさらに半分の事ですよ。"100"だったら"5"ですね】
冒険者の皆さんから、さらに『おぉ~』という声が聞こえてくる。
なんとか理解してもらえたみたいだね。
【どなたか…お願いできませんか?】
「はい…僕いきます」
手を挙げたのはなんと、先程の10歳の子供じゃないか。
私としては子供でも構わないんだけど、やっぱりなんでこんな時間に子供が出歩いてるか気になる。
【ええ、お願いします……が、何故このような時間に子供が……危なくないのですか?】
「……いや、この子にはどうしても金を稼がなきゃならん理由があるんだ。ゴーレムさんよ、そこはあまり触れてやんねぇでくれねぇか?」
今昼、私達に話しかけてきたおじさんではないか。
その人が男の子のかわりにそう答えた。
触れないほうがいいならば、触れないでおこう。
【……わかりました。そのことは不問としましょう。坊や、お願いしますね?】
「うん!」
私はその子を連れて、冒険者ギルドを出ようとした。
でも、一つ言わなきゃいけないことがあるから、私はドアの前で立ち止まり、また強く念話をしてこう喋った。
【あ、そうそう。どうか、私のことも不問でお願いします。また、ここで見聞きしたことは他者には話さないこと、仮に私を昼間に見かけても話しかけないこと。よろしいですね? お願いしますよ、皆様】
そう、威圧感たっぷりで。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~
eggy
ファンタジー
もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。
村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。
ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。
しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。
まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。
幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。
「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる