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277話 ガーベラさんと報告し合いでございます!
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まだちょっとジンジンする。
ロモンちゃんもリンネちゃんもきっちりお風呂でやり返してきた。お陰でおへその幅が一周り大きくなってしまったような感覚よ。脇腹も揉まれすぎて千切れるかと思った。
「やあアイリス。あれ、ちょっと元気ない?」
ガーベラさんが来た。私の顔を心配そうた見つめている。かっこいいわ。でもよく見たらあちこち細かい傷がついてる。昨日はそんなことなかったんだけど……まあ、おおごとではなさそうね。
「いえ、双子とお風呂ではしゃぎすぎて少々疲労が」
「なるほどね。いつも思うけど本当に仲がいいな」
「ええ、私の本当の姉妹のようなものですから」
そう言うとガーベラさんがなんだか一瞬だけ遠い目をしたような気がした。すぐにいつもと同じこやかな顔に戻ったからやっぱり勘違いだと思うけど。
「それで、ダンジョンの方はどう?」
「ふふふ、先にガーベラさんの方をお聞かせください」
「じつは今日、クリアしちゃったんだよ。周回するにあたって決めた目標まで到達しちゃってさ。だから……」
「おや、奇遇ですね!」
「ん?」
本来ならどっちか一方が好きな時にダンジョンを終わらせて、そのことをこのギルドで報告しあいもう一方も合わせて翌日に終わらせてくるというのがガーベラさんと私たちの約束だった。これは私とガーベラさんが二人の時間を作るためのわがままであり、ロモンちゃんとリンネちゃんはそれに合わせてくれた感じ。
……だったのに偶然二人同時に終わらせたのね。
「アイリスたちも今日クリアーしてきたのか」
「はい、そうなんですよ。それで、その擦り傷などはやはりボスとの戦いで?」
「うん。ボスはSランクだったみたいなんだけどなんとかこのぐらいで済んで良かったよ」
Sランクのボスに単身で挑んで擦り傷で済む……ダンジョンの魔物を倒しまくったことでさらに強くなってるみたい。Aランクに上がったばかりの状況からSランクへ進むには基本的に数年かかるって話だけど、このままだと数ヶ月で済ましてしまいそう。となると、ガーベラさんは私にプロポーズしてくるらしいから……ど、どうしようドキドキしてきた。
「顔赤いけど、今日はお酒飲んだ?」
「い、いえ。まだお水だけです。相変わらず凄まじい強さですね」
「ダンジョンでレベル上げをし続けなければもう少し苦戦してたよ。アイリスたちのボスはどうだった?」
ガーベラさんに私達の相手と、その相手をどう倒したかを全部話した。私がガーベラさんに対して驚いたように、ガーベラさんも私たちに対して驚いたような反応を見せる。
「Sランクが相手だって言うのにアイリス、戦闘での疲労の痕跡は全然見当たらないけど」
「ええ、話した通りスピードと魔法で翻弄し続けましたからね。誰もダメージを受けずに終われたのです」
「すごいなぁ……。もうケル君含めてみんなSランカーくらいの強さはあるんじゃない?」
「そうかもしれませんが、個々の強さで言ったらガーベラさんほどではないです」
「そうかなぁ」
ガーベラさんは照れ臭そうに自分の頭を掻いた。私はお世辞抜きで本当にそう思っている。たぶんロモンちゃんが最大出力の私と魔人融体してトントンかそれでも劣るくらい。
「アーティファクトは出たんでしょ? やっぱりさっき話してくれたタキシードゾンビの形を変える武器?」
「ええ、その通りでした。私が得物として使うことになりましたよ」
「だよね、いろんな武器に変化できるなんてアイリスにぴったりだもん」
リンネちゃんもそう言ってたっけ。確かにその気になったら槍でも弓でも棍棒でも一通り扱えてしまえるような気はしてる。どこから湧いてくるのかしら、この自信は。近距離戦や武器の扱いにおいて生まれてから練習してきたのは徒手格闘と剣だけだと思うんだけどな。
「とにかくアイリスなら100パーセント……いや、120パーセントはその武器の実力が引き出せるだろうね」
「ええ、なんとなく私もそう思います。えーっと、これが実物ですよ」
私は持ち運びしやすいように果物ナイフ程度の大きさにしておいた新武器をスペーカウの袋から取り出してガーベラさんに見せた。ガーベラさんはことわってからそれを手に取り、まじまじと眺め始める。
「これは俺が魔力を流しても形は変わらないんだよね?」
「ええ。私を所有者として設定しましたから。ちょっと返してください」
「はい」
「なにか武器のリクエストあります?」
「じゃあなんでもいいから防具にしてみてよ」
私はナイフを鉄甲冑の頭に変えた。しっかりとイメージ通りになってくれる。
「おお、いいね」
「多少変化に時間はかかりますが、それも私やケル君の幼体化にかかるのと同程度なのでさほど問題はないんですよ」
それから甲冑を剣に、剣を盾に、盾を弓に、弓を杖に変えてみせた。最後にナイフに戻して袋にしまう。やっぱり男の人って変形・合体が好きなのか割とガーベラさん、食い入るようにみていたような気がする。そろそろ次にガーベラさんが得たものを教えてもらおう。
「ガーベラさんもアーティファクト手に入れたのですよね? みせてください!」
「ああ……うん、いいよ。まだ鑑定してないから効果はわからないけどね」
そう言って彼が取り出したのは槍だった。白と金を基本に彩りされている厳かでとても強そうな槍。アーティファクトの槍ってだけでガーベラさんを強くするのは間違いない。
「ついにメイン武器のアーティファクトを手に入れたのですね! 今まで防具や装飾品だけでしたし……良かったですね!」
「でも、少し迷ってるんだ」
「……なにをです?」
「これ使うかどうか」
そんな使わないなんてもったいない。槍使いなのに剣が出たとかそう言うわけじゃないんだし、メインの武器にして仕舞えばいいのに。そう思っていたらガーベラさんが理由を話し始めた。
「ほら、今まで俺が使っていた槍ってアイリスの……」
「ええ、私の体の一部だったものですね」
「だからなんか変えてしまうのは申し訳なくて」
「別に構いませんよ?」
「そうかな」
「ええ、今まで大切に扱っていただいたわけですし、それに……わ」
「それに?」
「わた……いえ、なんでもありません。忘れてください」
私自身を大切にしてくれてるから、私の体を使った武器のことでは今更気にしないって言おうと思ったけど流石にまだ恥ずかしかった。
そういえばイケメンであり彼氏のガーベラさんや大切な姉妹のロモンちゃん、リンネちゃん相手だから特になにも思ってなかったけど、自分の身体が使われた武器を肌身離さず持ち歩かれて使われるって結構すごいわよね。もし私の好みじゃない人が、私の身体が使われてるとしってて使っていたら……うん、考えないでおこう。
「じゃあ申し訳ないけど、そうさせてもらうよ」
「ええ、戦力が上がることに越したことはないですもの」
さて、ダンジョンと武器のことに話したからあとは……そう、私とケル君が進化可能レベルに到達したことを報告しようかしら。
「ところでガーベラさん」
「ん?」
「実は今回のダンジョン攻略で私とケル君、次は進化できるようになりまして」
「そうなの!? おめでとう!」
「ありがとうございます。それで、明日二人で進化するのですよ」
そう、明日。もうすぐ明日進化してしまう。まあ特にステータスと魔物時の見た目以外は変わらないから構わないけれど。……人間状態の姿も増えるのかしら。
「そっかぁ……すごいなぁ」
「も、もしかしたら私の見た目も変わってるかもしれませんね。ナイフボディになってるかも……」
「別にそこはいいよ、俺が好きなのはアイリスそのものだし。とにかく進化はすごいね……何かお祝いしよう……ってアイリス? おーい、アイリス?」
しまった、しばらく意識が飛んでいた。でもあんなこと言うなんてずるい。とろけちゃうかと思った。
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遅くなりました!
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ロモンちゃんもリンネちゃんもきっちりお風呂でやり返してきた。お陰でおへその幅が一周り大きくなってしまったような感覚よ。脇腹も揉まれすぎて千切れるかと思った。
「やあアイリス。あれ、ちょっと元気ない?」
ガーベラさんが来た。私の顔を心配そうた見つめている。かっこいいわ。でもよく見たらあちこち細かい傷がついてる。昨日はそんなことなかったんだけど……まあ、おおごとではなさそうね。
「いえ、双子とお風呂ではしゃぎすぎて少々疲労が」
「なるほどね。いつも思うけど本当に仲がいいな」
「ええ、私の本当の姉妹のようなものですから」
そう言うとガーベラさんがなんだか一瞬だけ遠い目をしたような気がした。すぐにいつもと同じこやかな顔に戻ったからやっぱり勘違いだと思うけど。
「それで、ダンジョンの方はどう?」
「ふふふ、先にガーベラさんの方をお聞かせください」
「じつは今日、クリアしちゃったんだよ。周回するにあたって決めた目標まで到達しちゃってさ。だから……」
「おや、奇遇ですね!」
「ん?」
本来ならどっちか一方が好きな時にダンジョンを終わらせて、そのことをこのギルドで報告しあいもう一方も合わせて翌日に終わらせてくるというのがガーベラさんと私たちの約束だった。これは私とガーベラさんが二人の時間を作るためのわがままであり、ロモンちゃんとリンネちゃんはそれに合わせてくれた感じ。
……だったのに偶然二人同時に終わらせたのね。
「アイリスたちも今日クリアーしてきたのか」
「はい、そうなんですよ。それで、その擦り傷などはやはりボスとの戦いで?」
「うん。ボスはSランクだったみたいなんだけどなんとかこのぐらいで済んで良かったよ」
Sランクのボスに単身で挑んで擦り傷で済む……ダンジョンの魔物を倒しまくったことでさらに強くなってるみたい。Aランクに上がったばかりの状況からSランクへ進むには基本的に数年かかるって話だけど、このままだと数ヶ月で済ましてしまいそう。となると、ガーベラさんは私にプロポーズしてくるらしいから……ど、どうしようドキドキしてきた。
「顔赤いけど、今日はお酒飲んだ?」
「い、いえ。まだお水だけです。相変わらず凄まじい強さですね」
「ダンジョンでレベル上げをし続けなければもう少し苦戦してたよ。アイリスたちのボスはどうだった?」
ガーベラさんに私達の相手と、その相手をどう倒したかを全部話した。私がガーベラさんに対して驚いたように、ガーベラさんも私たちに対して驚いたような反応を見せる。
「Sランクが相手だって言うのにアイリス、戦闘での疲労の痕跡は全然見当たらないけど」
「ええ、話した通りスピードと魔法で翻弄し続けましたからね。誰もダメージを受けずに終われたのです」
「すごいなぁ……。もうケル君含めてみんなSランカーくらいの強さはあるんじゃない?」
「そうかもしれませんが、個々の強さで言ったらガーベラさんほどではないです」
「そうかなぁ」
ガーベラさんは照れ臭そうに自分の頭を掻いた。私はお世辞抜きで本当にそう思っている。たぶんロモンちゃんが最大出力の私と魔人融体してトントンかそれでも劣るくらい。
「アーティファクトは出たんでしょ? やっぱりさっき話してくれたタキシードゾンビの形を変える武器?」
「ええ、その通りでした。私が得物として使うことになりましたよ」
「だよね、いろんな武器に変化できるなんてアイリスにぴったりだもん」
リンネちゃんもそう言ってたっけ。確かにその気になったら槍でも弓でも棍棒でも一通り扱えてしまえるような気はしてる。どこから湧いてくるのかしら、この自信は。近距離戦や武器の扱いにおいて生まれてから練習してきたのは徒手格闘と剣だけだと思うんだけどな。
「とにかくアイリスなら100パーセント……いや、120パーセントはその武器の実力が引き出せるだろうね」
「ええ、なんとなく私もそう思います。えーっと、これが実物ですよ」
私は持ち運びしやすいように果物ナイフ程度の大きさにしておいた新武器をスペーカウの袋から取り出してガーベラさんに見せた。ガーベラさんはことわってからそれを手に取り、まじまじと眺め始める。
「これは俺が魔力を流しても形は変わらないんだよね?」
「ええ。私を所有者として設定しましたから。ちょっと返してください」
「はい」
「なにか武器のリクエストあります?」
「じゃあなんでもいいから防具にしてみてよ」
私はナイフを鉄甲冑の頭に変えた。しっかりとイメージ通りになってくれる。
「おお、いいね」
「多少変化に時間はかかりますが、それも私やケル君の幼体化にかかるのと同程度なのでさほど問題はないんですよ」
それから甲冑を剣に、剣を盾に、盾を弓に、弓を杖に変えてみせた。最後にナイフに戻して袋にしまう。やっぱり男の人って変形・合体が好きなのか割とガーベラさん、食い入るようにみていたような気がする。そろそろ次にガーベラさんが得たものを教えてもらおう。
「ガーベラさんもアーティファクト手に入れたのですよね? みせてください!」
「ああ……うん、いいよ。まだ鑑定してないから効果はわからないけどね」
そう言って彼が取り出したのは槍だった。白と金を基本に彩りされている厳かでとても強そうな槍。アーティファクトの槍ってだけでガーベラさんを強くするのは間違いない。
「ついにメイン武器のアーティファクトを手に入れたのですね! 今まで防具や装飾品だけでしたし……良かったですね!」
「でも、少し迷ってるんだ」
「……なにをです?」
「これ使うかどうか」
そんな使わないなんてもったいない。槍使いなのに剣が出たとかそう言うわけじゃないんだし、メインの武器にして仕舞えばいいのに。そう思っていたらガーベラさんが理由を話し始めた。
「ほら、今まで俺が使っていた槍ってアイリスの……」
「ええ、私の体の一部だったものですね」
「だからなんか変えてしまうのは申し訳なくて」
「別に構いませんよ?」
「そうかな」
「ええ、今まで大切に扱っていただいたわけですし、それに……わ」
「それに?」
「わた……いえ、なんでもありません。忘れてください」
私自身を大切にしてくれてるから、私の体を使った武器のことでは今更気にしないって言おうと思ったけど流石にまだ恥ずかしかった。
そういえばイケメンであり彼氏のガーベラさんや大切な姉妹のロモンちゃん、リンネちゃん相手だから特になにも思ってなかったけど、自分の身体が使われた武器を肌身離さず持ち歩かれて使われるって結構すごいわよね。もし私の好みじゃない人が、私の身体が使われてるとしってて使っていたら……うん、考えないでおこう。
「じゃあ申し訳ないけど、そうさせてもらうよ」
「ええ、戦力が上がることに越したことはないですもの」
さて、ダンジョンと武器のことに話したからあとは……そう、私とケル君が進化可能レベルに到達したことを報告しようかしら。
「ところでガーベラさん」
「ん?」
「実は今回のダンジョン攻略で私とケル君、次は進化できるようになりまして」
「そうなの!? おめでとう!」
「ありがとうございます。それで、明日二人で進化するのですよ」
そう、明日。もうすぐ明日進化してしまう。まあ特にステータスと魔物時の見た目以外は変わらないから構わないけれど。……人間状態の姿も増えるのかしら。
「そっかぁ……すごいなぁ」
「も、もしかしたら私の見た目も変わってるかもしれませんね。ナイフボディになってるかも……」
「別にそこはいいよ、俺が好きなのはアイリスそのものだし。とにかく進化はすごいね……何かお祝いしよう……ってアイリス? おーい、アイリス?」
しまった、しばらく意識が飛んでいた。でもあんなこと言うなんてずるい。とろけちゃうかと思った。
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