私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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283話 熱さと懐かしさでございますか?

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 斧から形態変化させ、今度は二つの超巨大な剣にする。形状はどちらも両手剣だけどゴーレムの時は重さやそれに対しての手の痛みは感じないから持てる範囲内ならどれだけ無茶してもオーケーね。


「ふぉぉ……! なんか頭の輪っかや背中の装飾と合わせてすごく厳ついよアイリスちゃん」
「ね、ゴテゴテの盛り盛りにした感じ」


 自分の姿を改めて見てみるけれど、たしかにもうなんか色々と凄かった。これが自分の姿じゃなかったら「なんでも盛れば良いってわけじゃない」って感想を述べていそう。
 剣にしろ斧にしろ実用はできる。普通ならこんなの重さを感じなくとも振り回すことはできないかもしれなけど、なにせ私には真・手腕完全操作があるわけだから。人とは違った動きもできる。


「そういえばなんでその大きな双剣は、柄同士が鎖で繋がってるのかしら?」
【本来なら武器をひとつまでにしかできないんですよ、このアーティファクト。それを鎖で繋げて無理やりひとつと認識させることで双剣を形作らせたわけです】
「手に入れてすぐからアイリスちゃんそう言ってたよね!」
「剣が大きいから鎖もすごく太いね」


 もう十分武器のお披露目はできたと思うので、私は人間態に戻った。それに合わせて双剣も人間サイズになる。ただ、片方ずつ両手剣並のボリュームに指定していたせいでものすごく重い。というか持てない。手から落としてしまった。


「おわ、きゃっ……。や、やはり同じ形状だとサイズが良くても人間では持てないみたいですね。ゴーレムは多少身体に無理をしても良いのがいいですね」
「どれ……うー、おっも! ぼくも持ち上げるのが精一杯で振り回せそうにないや」
「え、お姉ちゃん持ち上げられるの!?」
「こ、これ片手で持ててるの……。すごいリンネ……」
「うん? うん」


 超重い両手剣を片手で持ってるようなものなんだけど……流石は日頃から鍛えてるだけあるわね。……いや、やっぱりそれだけじゃ説明が足りないわ。リンネちゃんの腕の細さ的に物理的に無理だもん。きっと剣士としての補正か何かが働いてるのね。
 ふと、お母さんが時計を見る。


「……お父さんはもう終わってるはずよね? ケルはアイリスちゃんみたいに人間態があるわけじゃないし。もう終わったって報告しても大丈夫かしら」
「おそらく問題ないでしょう」


 おじいさんは私のためにわざわざケル君を選んでいったの、紳士よ紳士。二人にも私の一番得意な謎の武器を見せるため、アーティファクトはその形状にして腰に携える。ケル君はカッコいいっていって良い反応しそうだし、おじいさんは人生経験が厚いから何か知ってるもしれない。
 私たち四人とベスさんはおじいさんの元に向かった。そこには心配そうな顔でウロウロしてる幼体化したケル君とガーナさんを抱きかかえたおじいさんが居た。おじいさんは私たちに気がついた。


「お、おお、終わったか」
「お父さん、ガーナどうしたの?」
「いや、この子がまた全身が熱いと言いだしてな。封書の中に居ても辛いというんで様子を見るために出してやったんじゃが……」
【アヅィ……アア……タスケ……】


 おじいさんはとても困っている様子。ガーナさんには火傷のあとはなんてもちろんないし、室温はどんな生き物にとっても過ごしやすい温度。ただ意味もなく、寝言……正確には寝念話で熱いと連呼しているようにしか見えない。辛そうな様子は本物なんだけど。


「またなのね」
「また? ガーナ最近何かあるの?」
「ええ、なぜか最近何もないのに熱がるのよ。ここ一週間かしら。火傷はもちろんないし、脱皮の時期でもこんなことにはならないし……」
「おそらく思い込みで熱がってるんじゃろうが、その思い込みも何が原因なのか」
【アツイ……コワイ……タスケ……テ……アツイ……】


 本気で助けを求めてるようにしか見えない。そういえばガーナさんはおじいさんに拾われたんだっけ。じゃあこれは拾われる前の記憶がフラッシュバックしてるとかじゃないのかしら。でも火傷してたなんて言ってなかったしなぁ。
 
 
【あつい、アツイ……よ! はぁ……ハァ……】
【……ゾ? ガーナって流暢に話せたかゾ?】
「この熱がってる時だけ言葉がスムーズになるんじゃよ。最近はアイリスやケルに負けじと言葉の勉強をしておったからな、そのためだとは思うが」
【アツ……あっ……ん?】


 おじいさんの腕の中でぐったりしていたガーナさんは私の方を向いた。私とガーナさんの目が合う。……いや、見てるのは私じゃなくて私の腰にある剣かしら。目線的に。


「ど、どうした?」
【それ……ソレは!】
「それってこれですか?」
「お、おい!」


 私が剣を持ち上げると、ガーナさんはおじいさんの腕の中から飛び出して私のもとにスルスルと這ってきた。そして私の足から剣の元まで登る。


【これ……! なつかしぃ……】
「は、はい?」
【……うっ】


 あ、気絶してしまった。……私のこの一番得意な剣に見覚えがあるのかしら、ガーナさんは。というか懐かしいって言ってたわね。おそらくこの剣は私が前世得意なものだったと考えるべきだから、ガーナさんはもしかして……。


「……眠ったか。アイリス、なんじゃその武器は」
「私もよくわからないのです。あのアーティファクトに私が一番得意な武器になってくれって念じて出来上がったものですから」
【ということはアイリスのいう前世のものなんだゾ? それにガーナが反応したってことは、ガーナもアイリスと同じところに居たのかもしれないゾ。だってガーナ、ジーゼフに拾われる以前の記憶がないんでしょ? 十分ありえるゾ】
「さすがケル! 私もそう思うな」
「アイリスちゃんも、料理の作り方とかその武器みたいに物の扱い方とか……体に染み付いたものしか覚えてない感じだもんね。ならそもそも昔の記憶自体ないガーナがいきなり記憶に悩ませられるようになるのも不思議じゃないよ」


 でもリンネちゃんとケル君の言う通りだと思うわ。私もまったく同じ意見。……ガーナさんも私と同じところ出身。でもお互いほとんど何も、断片的にしか覚えてないんだったら前世がどんなところか完全に思い出すのは何十年もかかりそうね。


「ガーナ、死にそうなほど熱がってるってことは前世は火に焼かれちゃったとかかな……?」
「そうかもしれんな。なんにせよアイリスのおかげで原因不明なものの正体が掴めそうじゃ。対処も多少はできるようになるじゃろ」
「それなら良かったです」
「……アイリスちゃんは前世の記憶戻したいとか思わないの?」
「いえ、今が幸せなので」
「そっか!!」


 思い出せないものは無理に思い出す必要もないでしょう。こっちにないお料理のレシピとか全部思い出せたら便利だとは思うけど。
 再びガーナさんが眠りについたことを確認したあとは封書に入ってもらい、それからケル君とおじいさんにも私のアーティファクトの効果を見せることとなった。特にかっこいいもの好きのケル君は私の巨体プラス巨大武器にテンションをものすごくあげていたわ。
 それから夕飯を一緒に食べ、私達は解散したの。二人とも次に会えそうな日を言ってくれたわ。
 そして私は夜、彼氏や友達に会いにギルドの酒場に行くことにした。……今日はきっとみんな驚いてくれる。普段顎下より少し長いくらいにしか伸ばしてなかった私の髪が腰まで届く長髪になってるんだから。服も銀髪の長髪に似合うものにしたし。
 ガーベラさんはなんて言ってくれるかな。期待してていいのかしら。ふふふ。




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