私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

文字の大きさ
80 / 378

80話 騎士団と爆発と

しおりを挟む
「剣術騎士団、到着した……」


 グライド率いる剣術騎士団がモンゾニ村に到着した。
 村の役人や村長がそれを迎えた。ロモンの姿も見える。


「おお…騎士団長のグライド様ですか…! モンゾニ村の村長です」
「……Sランクの魔物が出たと聞きました。状況の報告をお願いします」


 この騎士団の団員の一人が、村長らにそう問う。
 彼らは自分らが知っている限りのことを、その場で全て話した。


「……そんなことが」
「はい。我々よりこの娘の方が多くを知っているかと」
「…お父さん」


 ロモンは前に出る。


「ロモン……」
「い…今、起こってることを……全部言う…言います」
「……ああ」


 ロモンはより詳しく、その魔物に会った経緯などを全てを話した。
 団員やその他大人達は黙って聞いている。

 グライドは一見、落ち着いた様子でその話を聞いていた。
 ロモンが話し終わると、彼は村長に問う。


「……村長、娘達はどこに?」
「こちらです、ついてきてください」


 騎士団達は、村の者らの案内によりサナトスファビドの呪毒に犯された娘達が寝かせられている場所に移動した。

 その場所に入るなり、十数名の10代前半から20代に満たないような娘達の身体に不気味な模様が現れ痛みに魘されている様子を見た騎士団達は唖然とする。
 彼らの一番の驚きは、良く見知っているリンネという娘が、その中に混じっていることだ。

 先程、団員達はサナトスファビドがどういう魔物かをロモンから説明されたばかりだった。


「だ…団長の娘さ…」
「おい、言うな」


 若い団員が言いかけたのを、中年の団員が小声で止める。みんな、何を言っていいかわからない。
 団長になんと声をかけたら良いかわからないのだ。

 
「村長、一番最初にこの毒に犯された娘は…幾日経ちましたか?」
「は…はい、1週間程でしょうか。見たこともない病気でしたので村の方で色々とその間に治療を試みてました。しかしどんどんと被害者は増えていって…」
「それでうちの娘が来て初めて魔物の仕業だとわかった…と」
「ええ、そうです。お二人にはこの村に魔物がよく出没するようになったのでそれを狩るようにお願いして来ていただきました。……今思うと、その魔物が、その村に降りてきていた魔物を退けていたのでしょうかね」


 村長からそんな話を聞いたグライドは、次に痛みに疲れて眠っているリンネの元まで来た。
 その毒の様子を見るために自分の娘を見ようという魂胆もあるが、やっぱり一番はリンネ自身の様子を見たいのだ。

 リンネの真横にグライドは立ち、寝ている娘の腹を軽くはだけさせ模様の広がり具合を見る。
 そして脈を測ったり、呼吸の有無、額に手を当て熱が無いかを確認した。

 そして優しく、軽く手を握ってやる。


「リンネ……。なあロモン、やっぱりリンネは……」
「うん…助からない……けど、ヤダ…やっぱりやだよ、お姉ちゃんっ…!」


 ロモンはまた、涙を流し、魘されながら眠っているリンネの手を強く握る。
 そんなロモンの頭を一度撫でてから、グライドは団員達の元へ戻った。

 団員の一人が声をかける。


「団長……………その……よろしいのですか?」
「……………仕事に私情を挟むわけにはいかない。たとえ娘であろうと…。今すべき事は、村の住民達を避難させサナトスファビドを探し出す事だ」

 
 皆はその言葉に黙る。
 被害者の親、本人がそう言っているのだから、それ以上の事を言うものはいない。


「では_________」


 グライドの指揮のもと、皆が仕事に取り掛かろうとした、その時だ。
 大きな爆発音と共に地面が軽く揺れた。


「な…なんだ!?」
「何事だ?」


 その場に居た者は、眠っている者を含まず全員、突然の爆発音と揺れに驚いた。
 たった一人、ロモンを除いて。


「お…お父さん、今の!」
「なんだロモン! 今の爆発が何かわかるのか!?」
「うん…多分、アイリスちゃんだと思う…!」
「アイリス…ちゃん…?」


 グライドは辺りをキョロキョロと見始め、そして何かに気が付いた。


「ロモン、そういえばアイリスちゃんは…」
「アイリスちゃんは……今、1匹でサナトスファビドと闘ってて…私達を逃がすために…! 今のは多分、アイリスちゃんの技か魔法だと思う」


 それを聞いていた、魔物の大会を見ていた団員達は確かに爆発魔法を使っていたと話し合う。


「じゃあ…アイリスちゃんが居る場所に今、敵がいる可能性が高い…と?」
「そ、そうだ…。ごめんなさいお父さん、先に大事な事言わなくて……」
「まあ…だかこうして気づけただけ良い。ならば早急に向かわなければ……!」


 グライドは団員達の方を振り向き、彼らに指示を出し始めた。


「いいか、皆。私は今から単独でサナトスファビドと娘の仲魔を見に行く。私ならばすぐに現場まで迎えるだろうし、サナトスファビドと遭遇したとしても逃げ切れるか、相手はできるはずだ。皆を連れて行くと被害が増える」
「「はっ!」」
「私が行っている間に国に増援を頼み、村の者を避難させる事…! 良いな」
「「はっ!」」
「では_________」


 グライドは身を翻し、物凄いスピードで外に出て、そのままアイリスが居るはずであろう場所へと向かった。


◆◆◆


「この辺りのはずだが……」


 爆発音が聞こえ、ロモン達がサナトスファビドと遭遇したというあたりまでグライドは来た。
 足を止め、探知を使いつつあたりを探る。


「……ここだな…」


 グライドの目の前には大きなクレーターが広がっており、未だに煙や砂埃が上がっている。
 爆発が起きた事は間違いなかった。


「サナトスファビドの反応は……ないな。Dランク…アイリスちゃんは…ある!」


 アイリスの反応はクレーターの真ん中からあった。
 グライドはそこに駆けつける。

 煙や塵のせいで視界は悪かったが、しっかりと見えた。
 力尽きたように横たわる、良く見知った無傷のゴーレムが。
 

◆◆◆


「ぜえ…はぁ…まじかよ…」


 Sランクの魔物のサナトスファビドであり、元魔王軍幹部、ギフトはアイリスの自爆をした場所から離れた場所で地べたに座り込んでいた。


「ゴーレムがあそこまで食いさがるとはなぁ……。まさか、魔力をわざと暴発させるなんてなぁ。オレに脱皮があって良かった。久しぶりに戦闘らしい戦闘をした気がするぜ」


 ギフトは自分の身体に傷が付いていないか確認をする。
 彼は無傷であった。


「しっかし…あのゴーレムは魔王軍に誘った方が良かったのかねぇ…。……やっぱ無理だな、ありゃ…意思が固い。つーか…やっぱりただのリトルゴーレムじゃねーんだよなぁ……。オレと同じ超越種かぁ…? まあ、そうだろうな」


 しばらくその場で息を整えてから、ギフトはサナトスファビドの姿に戻った。


『(さて、これからどうすっかな)』


 先程の場所からとりあえず、離れようとサナトスファビドは移動する。
 彼の技の1つ、『究極隠密』を展開しながら。


『(……少女の絶望がタりねーな……)』


 
#######

次の投稿は9/12です!
しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

処理中です...