私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

文字の大きさ
92 / 378

92話 お父様vs.毒蛇王 でございます!

しおりを挟む
 赤い液体と数枚の鱗が私達の元まで飛んできた。
 サナトスファビドの血液だ。
 …………何かに使えるかも知れないし、鱗は取っておこう。


【ッ!! 見え____】


 次の言葉を言う前に、サナトスファビドはまた斬られる。
 …お父さんの姿が全く見えない。普段、リンネちゃんと訓練してる最中に生き物離れした速さを見ている私達だけれど、それでもお父さんが目で追えなかった。
 透明になってるんじゃないかって言うくらい。

 正直、加担する暇もないよ。


【シャラァッ このやろ____】


 サナトスファビドが斬られまくっている最中、闇雲に魔法を唱えだした。
 主に、強力な闇土魔法や闇水魔法が飛んでくるけれど、そのほとんどをお父さんは斬り落としてるみたいだった。
 見えないからはっきりとはわからないけれど。

 難なくお父さんは回避や反撃ができてるし、私は闇氷魔法で壁を作ったりして耐え忍ぶから魔法攻撃はほぼ無意味なものになってるね。

 お父さんによって闇土魔法が跳ね返されたのが顔に当たったのか、サナトスファビドが頭から態勢を崩した。
 折れた牙が1本、こちらまで飛んでくる。

 ………これは両親を殺された、ジエダちゃんに渡そう。


【ぐうっ】


 魔法が無意味だとわかったのか、サナトスファビドは魔法を打つのを辞め、応戦するように尻尾を振り回しだした。けれども当たらない。全くかすりもしない。
 私の補助魔法がフルでかかってるとはいえ、Sランクの素早さをここまで圧倒できることに驚き。

 素の速さがめちゃくちゃ高くないとこんなに差ができないと思う。
 
 しばらくして、お父さんが与えた斬撃の数が100を超えた頃に、サナトスファビドの目が怪しく光り始めた。
 完全にキれた様子だと見て取れるね。


【チョウシに…のるなクソガァァァァァァッ!!】


 そう言ったかと思ったら、サナトスファビドの身体を中心に発せられる毒々しい紫色の輪っか状の光線のような波。
 受けたら私もやばいと、雰囲気がそう言ってる。

 私は自分の足の裏を爆発させて空を飛び、それを回避した。どうやらお父さんも空中を蹴り上げて飛んで、それをかわしたみたいだ。

 私達が回避した波は氷の壁に当たると、それを真紫色に変色させた。変色した氷の壁は、まるで、腐食した肉のように朽ちてゆく。
 仮にミスリルの身体である私でもああなるとしたら…あの技はヤバイ。回避することができてよかった。

 お父さんが大勢を立て直すために、私達の元に戻ってくる。私はとりあえずお父さんにリペアムを唱えておく。


「今のは…ヤバかったな。あの様子を見る限りじゃ、もうしばらくは撃てないだろうけど」


 お父さんの言う通り、サナトスファビドは息を切らしたようにぐったりしていた。
 即死級の技だもの、ものすごくMPを使うに違いない。


「思ったより頑丈だけど…アイリスちゃん、殺さないようにするのは少し難しいな。技を10発くらい撃ちこんだら倒せてしまいそうだ


 涼しげな顔でお父さんはそう言った。
 強すぎだろうに、この人は。
 補助魔法がなくても普通に行けたんじゃない?
 仮に敵対したとして、今の状態のお父さんに勝てる気がしない。



【お父さん、ものすごくかっこいいよ! アイリスちゃんの作戦、がんばってね!】
「そうかロモン、ふふふ、お父さん頑張っちゃうぞー!」


 娘に応援されて、嬉しそうにするお父さん。
 こんな余裕があるなんて…。将来、リンネちゃんもここまで強くなるかしら? なれるといいね。

 
【テメェラァァァァァァァァッ! オレを、オレをなめるんじゃねェェェェェェェェッ!】


 その念話により、サナトスファビドに注目する。
  
 サナトスファビドは明らかに何かをしていた。
 蛇の頭の方に裂け目ができたと思ったら、それが身体全体に広がっていく。
 ……脱皮だ、脱皮をしてるらしい。

 脱皮をし終え、皮を脱ぎ捨てたサナトスファビドには、傷がどこにも無かった。
 脱皮をすると全回復する、そういう特技だ、これ。


【はぁ…はぁ…。次はオレのバンだろ?】


 そう言うとサナトスファビドはまた、先ほどの紫色の輪っかの波みたいなのを撃ってきた。
 お父さんは空を蹴って回避する。
 私は、さっきはちょっとスレッスレだったから、今度は瞬間的に幼体化し、さらにしゃがんで回避。

 だけれども、今度は、私達が飛ぶことを想定したのか、途中で上に向かい始めた。
 その輪を見た瞬間に上に逃げたお父さんに、それが当たりそうになる。

 しかしお父さんはさらに空を蹴り、空に飛んだ。


【くそっ…】


 空中に居るお父さんに向かって、サナトスファビドはものすごい量の闇土魔法を発射しはじめるの。
 無論、お父さんは簡単にそれらを切り落としたり、回避したりし、一瞬でサナトスファビドの目の前までやってきた。


「そろそろ、終わりだな」


 そう言うとお父さんはサナトスファビドに向かって剣を振った。
 ガキン、という、刃物と刃物がぶつかったような音が響く。


「残念だったなぁ…騎士団長サマァ」


 いつの間にか…いや、多分、魔法を放っていた最中にサナトスファビドはギフトへと変化していおり、あの私を腐らせることが出来る2刀の短刀で、お父さんの剣を防いでいた。


「ここからは、オレの________」


 それを言い切る前に、お父さんはまた消える。
 今度はギフトの真後ろから出現し、背中を刺していた。


「ガハッ…!」


 サナトスファビドだったときより防御が低くなってるのか、この一撃で血反吐を吐くギフト。
 この姿ならお父さんについてけると思ったみたいだけど、今のお父さんにはやっぱり叶わないみたい。


「どうした? その程度か、魔王の幹部が」
「さっきから…調子に…ノリすきだッ!」

 
 ギフトは短刀を振り回す。無論、お父さんはそれを難なく回避し、反撃をした。
 そのカウンターは、なんと、ギフトに防がれてしまう。


「ハハッ…これでやっと攻撃が入る…! 一撃でもはいりゃあ、オレの勝ち____」


 それを言い終わる前に、お父さんは攻撃を仕掛け始める。ものすごく素早い連続の斬撃だよ。
 普通の人が見たら技にしか見えないかもだけど、何も使ってない、お父さん。


「お…ちょま…くぅ…」


 ギフトは数撃は対処できてるみたい。
 だけど、受けてる攻撃の方が多い。


「この…やろ…」


 短刀を振るうも、お父さんにかすりもしない。


「……くそ」


 魔法を放ってみるも、全て破られる。


「…」


 身体に無数の切り傷が何個も何十個も増えてゆく。
 ついに、ギフトは斬られながらも大声で叫び始めた。


「クソガァァァァァァッ! オレは魔王様に忠誠を誓う、幹部が一人、毒蛇王ギフトォォォォッ! こんなところで負けてたまるかヨォォォォォォォッ」


 そんな叫びとともに、ギフトの体のあの、黒い紋様が蛇のように唸り、身体中に増えてゆく。
 目は赤く光り、ところどころ黒紫色の魔流の気にも似た靄がかかっている。

 これはヤバイ雰囲気。
 
 そんは雰囲気を醸し出すギフトに、お父さんは攻撃を続けた。


#######

次の投稿は10/29です!
しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

処理中です...