私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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124話 盾の効果でございます…!

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「楽しみだねっー!」
「ねっー!」


 ロモンちゃんとリンネちゃんが互いに手を取り合って、スキップしながら街を練り歩いている。
 飛ぶタイミングがドンピシャ。さすが双子。
 周囲から目立ってるんだけどなぁ……でも気持ちはわかるし、可愛いし、黙っておこう。

 すぐにギルドの横にある『冒険の店』に私達は到着したの。いつも通りここは商売繁盛しているようで、老若男女様々な人達が出入りしてる。
 日用品とかも結構売ってるから冒険者じゃない人もここに来るしね。
 お店の中に入って私達がこの街に来てから一番最初にお世話になってるし、それ以外でもテントウムシたくさん売ったり…とにかくいつも利用してる魔物の売買のカウンターまで直行する。
 ここのカウンターの筋骨隆々なおじさんは、とにかく目利きがすごいの。
 魔物の素材を売りに来た冒険者に対し、誰もが納得がゆく鑑定をし、誰もが納得がゆく値段を提示してくれる。
 それだけじゃなく、ダンジョンとかで見つけたお宝や武具の鑑定までしてくれるらしい。


「「おじさん! おじさん!」」


 2人が声を揃えておじさんの元へ。


「おお! お嬢ちゃん達かい! 今日もテントウムシを売りに来たのか?」
「それもそうなんですけど!」
「それだけじゃないんです!」


 うーん、リンネちゃんもロモンちゃんも少し落ち着いた方がいいと思うんだけど。まあいいや。


「おじさん、今日は少し鑑定してほしいものがあるんですよ」
「あーあ! なるほど! んじゃあ、どうせ魔物の素材も売るんだろうし、こっちに来な!」


 もう既に大物か小物かわかっている(ハードネスレディバは大物)おじさんは、私達に少しだけ手招きすると、カウンター奥の部屋へ消えていった。
 私達もそこに向かう。


「それで? 観て欲しいものって?」
「これなんです!」


 ロモンちゃんがスペーカウの袋からあの盾のアーティファクトを取り出した。
 その瞬間、おじさんはそれを凝視するとともに目を点にした。


「そ、それアーティファクトじゃないか! 一体どこで?」
「天の道のダンジョンをクリアしたら手に入ったんです!」


 ロモンちゃんが嬉しそうに報告する。
 おじさんはさらに顔をギョッとさせた。


「3人であのダンジョンをクリアして来たのか!?」
「「はいっ!」」
「はー、そらぁ流石だなぁ……。今日からヒュージレディバ系の魔物の買い取り額をまた下げようと思ってたんだが、これっきりのようだしそのままでいいな」


 私が売りまくったりしたもんだから、実はテントウムシの価値はだんだん下がってたんだよね。
 今後は元に戻るんだろうけど。


「じゃあ…その盾をよく見せてくれ」
「はい」


 ロモンちゃんは軍手のようなものを着けたおじさんに盾を手渡した。まじまじと、じっくりと盾を睨んでいる。
 魔物の取引をするときはババっと早く済ませちゃうのに、やっぱりアーティファクトは念入りに鑑定しないといけないのか知らん。
 しばらくしておじさんは口を開いた。


「まず…この盾の名はコロナの盾だ」


 コロナねぇ…あのボスの名前もプロミネンスだったし、とことん太陽にこだわるのね。


「コロナの盾…ですか!」
「ああ。見た目によらず、だいぶ火属性よりの効果を持ってるな。効果としては___________」


 おじさんが教えてくれた、このコロナの盾の効果をまとめるとこんな感じ。


●装備者の火属性耐性を大幅にアップ。

●盾を媒介に火の魔法を放てば、威力が大幅に増幅する。さらに他武器との併用可能。

●MPを一定量以上消費することでこの盾を赤く染め上げることができる。赤く染め上げた際の効果は以下の通り。
•この盾の本来の大きさより、より広範囲を守備することができる。
•守備力と耐性、さらに威力増幅の効果を高める。
•装備者が敵であると認識している者が盾そのもの、あるいは範囲守備内に触れている場合、装備者の魔力に依存して火属性魔法ダメージを与える。
•装備者はこの盾を手放さず、赤く染めている時間が切れない限り、盾を中心として宙に浮くことができる。
•消費されてるMPの数だけ効果は持続し強くなる。

●基本壊れにくく、汚れにくい。


 と、こんな感じ。
 やっぱりアーティファクトってすっごく強い。
 ロモンちゃんのアーティファクトとかみたいに単純に能力をものすごく上げて、さらに補助魔法の効果もあげる…っていうのも良いけれど、やっぱりこう、複雑な感じなのが伝説の武器って感じを醸し出してる。


「す…すごい! これやっぱり私が使っていいの? お姉ちゃん、アイリスちゃん」
「うんうん、ぼくはもうアイリスちゃんからもらったのがあるし!」
「私は…存在自体がアーティファクトみたいなものですしね」


 ロモンちゃんが目をキラキラ輝かせて喜んでるよ。
 ふふふ、良かったね。
 これで私達もかなり強くなったかなーなんて。


「おじさん、これ、ここで試してみてもいいですか?」
「ん? ああ、無茶苦茶しなきゃいいよ! その間に魔物の素材みといてやる」
「ありがとうございます!」


 私とロモンちゃんとリンネちゃんはスペーカウの袋の中からテントウムシをありったけ出した。
 今回も超大量だから、きっと高値になるでしょう。
 おじさんが鑑定を始めたから私達はその邪魔にならないように隅に移動して、さっそく、アーティファクトを試してみることにした。


「えっと、コロナの盾にMPを注入するんだよね…!」
「そうだよ!」
「よ、よぉし」


 ロモンちゃんは片手で大丈夫な盾を両手で持ち、MPを注いだ。みるみると銀色に輝き、黒い水玉模様が付いていたボディは、朱色となった。
 黒かった水玉模様達は黒曜石が磨かれた後のように、朱色の中に混じっても目立つような怪しげな光沢を出している。
 なんだか一気にかっこよくなったかな。
 なんか可愛らしかったのに。


「そして、空飛べるんだっけ?」
「そうそう!」
「や、やってみるね!」


 ロモンちゃんが手をがっしりと盾に掴まらせ、何かの姿勢を取ったその瞬間、ロモンちゃんの身体が浮き始めた。
 なんでこの盾って飛ぶんだろう…テントウムシだから?


「す、すごい!」
「でもそれはアイリスちゃんがいるしあんまり使わなさそうだね」
「だねー」


 ほんの数十cmだけ浮いていたロモンちゃんは、割と器用に地面に降り立った。


「他の機能も試してみたいけど」
「それは今じゃない方がいいね、ここ室内だし」


 すでにいっぱしの魔法使いと同等かそれ以上の魔力があるロモンちゃんが火の魔法なって放ったら大惨事になっちゃうからね。仕方ないね。


「ん、3人の嬢ちゃん、鑑定終わったよ!」
「「ありがとうございます!」」


 丁度その時、おじさんがそう言った。
 相変わらず魔物の鑑定は超スピードだね。
 私達はおじさんの元へすっ飛んで行き、お金の入った普通の袋を受け取る。ずっしりとすっごく重い。


「お金は……こんだけだ。正直、これが最後のヒュージレディバ系の魔物売買ラッシュだと思うからな、高めだぜ」


 重いが故にリンネちゃんがそれを腕に抱えて持って、中身を開いて見た。
 ……この金額は相当なもの。
 プロミネンスレディバを売ったことを考えてもかなりの値段だよ。


「また、頼むぜ!」


 親指を立て、にっこりと笑いながら、おじさんはそう言った。私達はぺこりと頭を下げ、アーティファクトの鑑定代金を支払ってから、たらふくご飯を食べに外に出た。


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