私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

文字の大きさ
153 / 378

152話 私vs.破滅蟹でございます!

しおりを挟む
「……へ?」


 グラブアは私を見つめ、ポカンとした顔をしている。
 

【どうかしましたか?】


 なーんて言ってみて、わざわざ煽ってみるの。
 それでもまるで信じられないものを見るような目で……いえ、実際に信じられないものを見ているのでしょう、彼にとっては。


「どういうこと…?」
【ああ、言ってませんでしたね。私も貴方と同じ、半魔半人なんですよ】
「マジかよ。は…ははっ」


 引きつった笑いをするグラブア。
 驚かれた程度じゃなんにも仕返しにならないけれど、ちょっと気分は良くなったかな。


「え、アイリスちゃん…だよね?」
【ええ、私はアイリスですとも。強姦魔さん】
「半魔半人…か。いや、心の底から驚いたよ」


 驚きを通り越して、もう笑っている。
 自分の襲おうとした相手が同類だったとしって、これから彼はどんな反応をするのか見ものだけど…。


「訊きたいことが色々とできたんだけど、訊いてもいいかな?」
【どうぞ】


 時間稼ぎになるからね。
 なるべく答えていってあげよう。


「………ゴーレムの半魔半人だとはね。そんなものがいるなんて。初めて見たよ」
【私が世界で初めてらしいですよ。ゴーレムの半魔半人】
「へぇ、やっぱり。ゴーレムのメスが人化すると、あんな可愛くなるのか。いやぁ、知らなかったなぁ。……確かにアイリスちゃんはゴーレムの姿になっても、魔物視点で美人さんだね。良く言われないかい?」


 確かに、アイスゴーレムだとかに可愛いって言われた記憶がある。そんなの、最初から思考が人間な私にしてみればどうでもいいけど。


【確かに、何回か言われました】
「それで、胸にあったハートの痣や、頭についていた装飾品はゴーレムの時の名残だったんだね。合点がいったよ。なら、どうして俺に襲われそうになった時にゴーレムに戻らなかったんだい? ゴーレムなら犯されることもないだろうに」


 ふん、それに関してはこの強姦魔が偶然やらかしたことに原因があるんだけどね。


【路地裏で狭かったですからね。私、ゴーレムなのでこのように腕と身体が太いんです。それに、貴方に内臓が破裂する寸前まで思いっきり殴られましたから集中力が…】
「なるほど。半魔半人で化けるのも精神力いるものね。俺は偶然に、アイリスちゃんを無効化してたわけだ」


 グラブアは悔しそうな表情を浮かべるの。そう、心の底から悔しそうな顔。


「あの時にさっさと君を犯せばよかったね。…….女の子に戻る予定は?」
【今日はもう戻らないですね】
「だろうね。身長が下がったと思ってたのも、幼体化か何かか。女の子だからそんなに身長に差がなくて気がつかなかったよ」


 なにやら彼の中で色々とつじつまが合ったようで、とても納得しているみたいだ。
 私も結構、時間を稼げてる。
 もっと質問してこれば良いんだけど。


「となると……考えられるのは、あのヘルドッグを所持していた女の子、あの子が君の主人かな」
【……そうです。私はあの子の元で進化し、あの子の元で人間になりました】
「相当若いように見えたけど…やっぱり優秀だったんだね」


 まだ来ないのかな。近くに時計がないからどれだけ経っているのかがわからない。とにかく、時間を稼ぐことだけを考えなければ。


「こんなことになってなかったら、アイリスちゃんの後はあの子たちのどちらかを俺は獲物にしていたよ」
【ふざけないでください。私にとってあの二人は大切な人。そんなことはさせませんよ】
「わかってるよ。だから真っ先に逃がしたんだろ」


 ただ、質疑応答をしているだけなのにこの緊張感。
 なんだかグラブアからの殺気が強くなってるような気がする。……もしかして、私がゴーレムだから話を聞けるだけ聞いた後は殺そうと思ってるのか知らん。
 

「あー、あとそれと、アイリスちゃん、ゴーレムなのにパワーではなく魔法を使うだなんて珍しいね。いや、だから半魔半人になれたんだろうけど。……種類は何? 俺と同じ超越種だろうね」
【ええ、まあそんなところですね。この種族のゴーレム自体も新種らしいですし】
「へぇ、すごいなぁ。俺も似たようなもんだったけど」


 グランルインクラブもオンリーワンだものね。
 普通の人に話すよりは驚いていない。


「君、Bランク程度だろう」
【ええ、その通りです】
「俺さ、SSランクに近いんだよね。……アイリスちゃん瞬殺だよ?」


 例の盾剣を私に突きつけてくる。はっきりいって仕舞えばもう怖くない。だって、もしやられても痛みなんて感じないし。


【それはどうでしょか】
「どこからくるの? その自信」
【どこからでしょうね? 大切な人が居るからですかね? ゴーレムになれば痛みを感じないからでしょうか。……どっちもですかね】
「………はぁ」


 グラブアはまるでバカにするように、思いっきり溜息をついた。やれやれ、とでも言いたげに。


「君は頭がいいと思ってたんだけど。…いや、実際にお勉強はできるんだろうけどさ。……あそこまでボッコボコにしてあげたのに挑んでくるなんてね。となると、やっぱりあの子たちが大事なのかな」
【ま、早く言って仕舞えばそうですね】


 盾剣を肩に担ぎ、私の方を見てくる。
 そしてゆっくりと、言い聞かせるように口を開いたの。
 

「よし、ラストチャンスだ。俺は街には手を出さない。もちろん、君の仲間二人にも…だ。その対価として、君は今すぐ人に戻り、俺に身を委ねなよ。君は苦しむかもしれないけど、アイリスちゃんの悲願通り、被害はアイリスちゃんだけにしてあげる」
【それも、お断りします。……死ぬのなら綺麗なまま死にますよ。あと私、こう見えて純愛主義なんです】
「そっか………じゃあ死ね」


 肩に当てていた盾剣を、グラブアは思いっきり振り下ろした。街中ではやらなかった技。
 空気が歪み、重たい斬撃が空を切りながら飛んでくる。
 私の身体、人でいうみぞおちに被弾した。


「痛みを感じずに済むのはシャクだけど…さよなら、アイリスちゃん。俺はしばらく港町に帰ってから……半年後あたりかな、君の大切な人を嬲ることにするよ」


 そっか……今、私、思いっきり身体が真っ二つになったもんね。斬撃を飛ばすだけでとんでもない破壊力。
 街の中で存在に気がつかれたくなかったからこんなことしたんでしょう。
 斬る……というより、空気砲を飛ばすのに近い。
 ま、私には無意味なんだけどね。


【それは、どうもやめてください】
「なんだ、まだ喋れて……え!?」


 また、グラブアは私に驚いてくれた。
 それもそのはず。今の私には傷一つないんだから。


「確かに当たった…よね?」
【ええ、当たりました。路地裏で受けたどの攻撃よりも威力が高かったのでしょう。人間の時の私が受けていたら肉塊が散らばってましたね】
「………防御力、か。俺と同じ、それが取り柄かな?」


 まずはグラブアはそう推測したみたい。
 土埃が上がっていたせいで、私の身体が修復されるサマを見られなかったのね。


「いや、Bランク超越種程度が受けたら普通は粉々になるはずだ。やっと耐えられるのがSランクの魔物なのに。ということは素早く回避? いや、やっぱり俺は君に当たるところを見た」


 グラブアは悩みに悩んでいる。余裕そうな表情では既にないわね。ちょっと厄介だったら思われ始めてる可能性もある。


「じゃあ、接近して見たらどうだろうか」


 グラブアは私に向かってかけてきた。
 片方の手を蟹のハサミに変化させ、そのハサミを私に向かって振り下ろしてくる。
 遠距離攻撃で手応えが無かったからか、近接に入るのね。さて、私も本気だそっと!

######

次の投稿は6/25です!


 
しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

処理中です...