私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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192話 騎士さん達と常駐でございます!

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「……と、言うわけでもう皆、知ってると思うが私の娘達がこの部隊に常駐することになった。よろしく頼む」
「「「よろしくお願いします!」」」
【よろしくなんだゾ!】


 それなりの人数の前でちょっとした自己紹介。半分以上の人が何かしら一緒にお仕事してあるから今更って感じはあったけどね。
 そんなことより驚かれたのがやっぱりケル君。
 まだスムーズに念話を話すことしか披露してないけれど、それだけでも十分みたい。

 
「な、ところでリンネとロモンにお願いがあるんだが」


 紹介が終わった後、私たちを小屋の裏に呼びだしてお父さんが手を合わせる。なんなんでしょうか。


「なぁに? なんでも言ってよ!」
「そうだよ!」
「あー、いやその、な。食料は限られているから食事の時はあまり本気を出さないで欲しいんだ」
「なんだー、そんなことか」
「わかったよ」


 大食いは食料を一気に減少させるものね。大食いで生活していけるほど食べるこの二人が本気になったら、たった数日で残りの食料がなくなってしまうでしょう。


「どうしてもお腹がすいたら、食べられる魔物を森の中で探してくるよ」
「えっ…。い、いいが、私に許可をとってからな」
「「わかってるって!」」
「助かる。……そういえばケルは?」
「あれ?」


 私達は周りをキョロキョロと見回した。
 必ず私たちにべったりとついてくるケル君が、たった一匹でどこかに行くなどあり得ないんだけどな。


【ゾー、なでなで嬉しいぞ!】


 あ、居た。
 なんだ、女性隊員が控えているところに行ってたんだ。 
 念話が聞こえて方から私たちが様子を見に行くと、5、6人の女性隊員からもてはやされてる姿が見えた。

 ちなみに今まではずっと封書の中に入れたりしてたので、ケル君を初めて見る隊員さんも多いはずよ。


「ね、ね、ドッグ君」
【オイラの名前はケルなんだゾ!】
「人の言葉がわかるの? すごーい!」
「さすがはあの団長お二人の、娘さんの仲魔よねっ」
「じゃあケル君、この干し肉食べる?」
【くれるの? ありがとうなんだゾ!】
「「かーわいいーっ!!」」


 もらった干し肉をかなりお行儀よく食べている。いつの間にか幼体化していることからも、ケル君って実は自分の可愛さに気がついてるんじゃないかしら?
 
 べ、別に羨ましかったりはしない。 
 私が好きなのはあくまで、ロモンちゃんやリンネちゃんぐらいの歳の女の子なんだから。
 ……あのうち一人の大きな胸、柔らかそうだなぁ。


「ケルはあのままでも大丈夫そうだね」
「これからまた訓練しようと思ってたけど……まあ、今日は別にいいか」
「……なあ実はパパ、今日やるべき事は終わってるんだ。剣を教えてやろうか?」
「ほんと? やったぁ!」


 リンネちゃんはジャンプして喜びを表しながら、お父さんに抱きついた。そして私たち二人に自由に過ごしてるように言うと、広い場所へと行ってしまった。
 ふむ、ということは私はロモンちゃんと二人になりますな。


「さてロモンちゃん。久しぶりに二人っきりですね。隊員さん達から話しかけられたらそうもいきませんが」
「えへへ、そうだね」
【……では、甘えさせてくださいねっ!】


◆◆◆


 むふー、満喫した。
 久しぶりに念入りに手入れしてもらったし。何も仕事してないけど、1日目ならこんなものかしらね。


【ふー、たくさんナデナデしてもらったんだゾ!】
「あ、おかえり、ケル」
【ただいまなんだゾ!】
「どうでしたか?」
【どうでした…って、何がなんだゾ? とりあえずここにいる人達の全員のニオイは覚えたんだゾ!】


 可愛がってもらいながらそんなことしてたのか。やはり賢い。別のニオイが入ってきたら即座にわかるってことね。蜘蛛人間を探すのに役立つかもしれない。


「あ、3人ともいるねぇ! ね、ね、聞いてよ! お父さんがね、前よりもさらに強くなったって! 素早さも上がってるってさ」
「良かったですね」
「あとケル、明日からまた訓練するからねーっ」
【よろしくなんだゾ! あ、中には練習に付き合ってくれるっていう団員さんも居たんだぞ、オイラ、もっと強くなるゾ!】


 実戦経験がかなりあるこの部隊の人たちに練習を付き合ってもらうのは、天才のケル君にとって大きな発展になるでしょうね。
 この騒動が終わる頃には、どれほどの強さになってるのかしら。

  
「そういえばお父さんが、ここの隊員達は自己鍛錬に励んだり、さらに高みを目指す精神の人が多いから、練習を付き合ってくれるように頼んできたりするし、逆に頼んだらまず断らないだろうってさ! なにか練習したいことがあるなら良いんじゃないかな?」
「そうですか、覚えておきますね」


 と言っても私が覚えたいことなんて今はそんなにないんだけどね。剣術をもっと練度を上げ、武術も鈍らないようにするとか? それくらいかな。
 

「それよりそろそろご飯だよ!」
「私たちは手伝わなくて良かったのですかね?」
「さあ、当番制で一気に作っちゃうらしいから…もしかしたらボク達の番の日もあるかもしれないね」


 私たち三人と一匹は、あてがわれたスペーカウ皮製の立派なテントの中から出て食堂テントへと向かう。
 テントには人がぎっしりで、私たちは女の人が固まってる場所に手招きされたの。


「よろしいのですか?」
「うんうん、女の子だからね」
「では、お邪魔しますね」


 この部隊はまるで学校のように男女が分かれる。つまり、明確に男女を分けてるわけじゃないけど、自然と分断するのね。
 かと言って男性と女性が仲悪いかといえば、やはり学校のようにそんなことはない。
 付き合っているのか、二人でくっつきあって食べている人もいるほどだし。


「それにしてもいーなー、前々から思ってたけど、三人ともすごく美人さん」
「そ、そうです…かね?」
「グライド団長とノア団長の娘でしょ? 当たり前じゃない?」
「ねー、その二人さ、普段はどんな感じなの?」


 ロモンちゃんとリンネちゃんはあの二人が家ではラブラブしてることを話した。
 いたずら合戦をしたり、かと思えば抱きつきあったり頭を撫であったり。
 普通だったら意外だとか言われるようなことばかりだけど、女隊員さん達の反応は普通だった。


「やっぱり、家でもそんな感じなんだね」
「……まさか、職場でもですか?」
「うん、今回も数日に一回しか帰れない上に、ノア団長も忙しいから会えるタイミングが合わないって、日に日に弱っていくようだったのよ」
「貴女たちが来るようになってからよ? いつもの元気でかっこいい団長に戻ったの」


 仕事先でもお母さんといちゃついてる上に、会えなくなると目に見えてしょんぼりするだなんて……全くの予想通りね。うん。


「上から三人がここに来るって聞いた時の団長の顔ったら、ね!」
「もー、すごーくにこやかで」


 それは一体どんな顔をしてたんだろ。凹んでる時のを見てみたい気もする。
 

「そういえば、三人とも気をつけてね」
「えっ?」
「ほら、美人だからさぁ…。いいよってくるアホとか居るかもしれないけど、ほら、蔑ろにしちゃっていいから」
「えぇ……そうですか?」
 

 私に言い寄ってくる人なんているのかしらね? 酒場じゃ結構居るけど、あれはお酒が入ってるが故のネタみたいなものだろうし。
 ま、来たら来たで……本気だったらやっぱり顔で決めようかしらね。
 少なくともそうね、ガーベラさんとか同等かそれ以上じゃないとダメね。
 

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