私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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220話 vs.蜥蜴の聖騎士でございます!

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「おお……これは流石にやったんじゃないかな!」


 私たちの攻撃に巻き込まれる前に、となりまで移動して来ていたリンネちゃんがそう言った。
 魔王軍幹部ですら当たったらひとたまりもない威力だし、これで生きていたら流石に驚きだけど。
 それにしても発光と煙でよく周りが見えない。


【ゾ……ねぇ、臭いだけならまだ生きてる感じがするんだゾ?】
「じゃあまだ倒しきれてないのかな?」
【様子を見て見ましょうか】


 私は探知で二匹がいたはずの場所を確認してみる。どうやら一匹は完全に生き絶え、もう一匹はまだ生きてるみたいだった。あれを食らって生きられるなんて。 
 

「……危ないっ!」
【え?】
【うわっ!】


 リンネちゃんが叫ぶ、その途端に煙が切り裂かれたように晴れ、光のヤイバが飛んで来た。幸いそれは私に向かって放たれたもので、少し身体が吹っ飛ばされた程度で済む。


【あてて……油断しました】
「大丈夫?」
【私はちっとも痛くないから、アイリスちゃんも大丈夫だよね?】
【ええ】


 よかった、ロモンちゃんには痛みは届いてなかったか。かくいう私のボディも吹っ飛ばされるほどの威力だったとはいえ、ちょっと傷がついてしまった程度。これなら自動回復ですぐに消えるでしょう。

 煙が晴れたその先に立っていたのは、リザードマンパラディン。しかもほぼ無傷だった。
 その代わりにグランリザードの死体がひどくボロボロになっており、足は全て切断され、凍らせた地面についたまま。


【足を切り取って咄嗟に身代わりにしたね、あれ】
【それしか考えられませんね】


 思えば、私も足を凍らせたのはグランリザードの方のみだった。あの刹那でとっさに自分の乗っていたグランリザードを身代わりにするという回避方法を実行できたのは、はっきり言ってしまうとすごい。
 それこそ私がさっき言った通り、とにかく私たちに勝てばこいつにとってそれが一番ってことなんでしょう。


「どうする?」
【案外やるようです。ですがこのままロモンちゃんの体に注意していれば自ずと勝てるでしょう】
「だよね! 剣士なのに遠距離攻撃ばっかりして、さらには味方まで犠牲にする奴なんてさっさとやっつけちゃわないと!」


 いつもよりリンネちゃんがやる気だ。敵が剣士だから自分と重ね合わせられる部分が多いからかもしれない。
 パラディンって確か聖騎士って意味だったはずだけど、光属性の攻撃をしてくるのと見た目以外は聖騎士らしさはこの魔物にはないわよね。


【くるね!】
「うん、いくよ!」


 リンネちゃんが頷くと同時に、ロモンちゃんが頷いた。
 それと同時にリザードマンパラディンは光の刃を連続して乱れるように放ち始める。懸命に腕を振り回し、光を飛ばしている。
 しかしそれらは、私には効果が薄く、リンネちゃんには当たらない。


「ぼくが直接斬りにいく! 二人はぼくに当てないように、でもたくさん魔法を撃ってね!」
【お姉ちゃんに当てようとしても当たらないけどね】
「えへへ、まあね!」
【オイラも遠くから魔法で援護するゾ!】


 リンネちゃんは動き始める。それとともに、私とロモンちゃんとケル君で遠距離射撃を始めた。
 敵は聖騎士を名乗っているだけあって、光魔法の耐性が高い魔物。
 普通はそんなもの覚えないから脅威にならないけれど、私たちにとってはちょっとは効果がある。だって私もケル君も一番威力があるのは光魔法だからね。
 かと言って一番得意なのは私は回復魔法、ケル君は火属性の魔法なんだけど。
 

「はぁぁぁぁ!」
「……!」


 リンネちゃんがリザードマンの元に辿りつき、振り回していた剣を止めた。そしてすぐに移動し、私たちの魔法から逃れた。
 リザードマンもリンネちゃんに警戒しつつ、グランリザードがいなくかったことで剣自体は自由に動くようになったのか、威力の高いものは回避して、威力の低いケル君の魔法は剣で叩き落としている。


「むっ、刃を飛ばしてくるだけのヤツかと思ったけど、なかなかやるね!」
「………シッ」


 リンネちゃんを視界に捉えることができたのか、リザードマンはリンネちゃんのふるった剣に自分の剣を合わせる。ちょっとした火花が飛ぶけど、私の身体で作った剣は刃こぼれなんか気にしなくていい。
 リンネちゃんは剣についてはなんにも構うことなく、グランリザードを倒す前と同等のな連撃をお見舞いし始める。同時に私たちももちろん集中砲火を続ける。


「それそれ、それそれそれそれ、てぇーい!」
「……! ……ッ……!」


 私たちの流れ弾も全てきちんと回避しつつ、リンネちゃんの攻撃はさらに加速してゆく。
 日頃の修行と経験で腕を上げてるのは、私やケル君、ロモンちゃんだけじゃないってことね。
 そろそろ一人で、私の補助魔法なしでAランクの魔物を倒せるくらいにはなるんじゃないかしら。
 
 
「ここだ、ヤァァァァ!」
「………!?」


 私の中にいるロモンちゃんが放った土属性の最上級魔法が被弾すると同時に、リンネちゃんは敵の剣を弾き飛ばすように技を仕掛けた。
 狙い通りに剣は弾かれ、私たちからリザードマンのちょうど真ん中あたりにさっくりと突き刺さった。
 ……ここまで近づいて始めてわかったけど、この剣、アーティファクトなんじゃないかしら?


「ふぅーっ、ふぅーっ、ぼくたちの勝ちだね」
「………ッッッ!」
「まだくるんだね!」


 でもリザードマンパラディンはまだ終わりじゃないとばかりに、今度は爪を立て、氷をまとってリンネちゃんに襲いかかる。
 なるほど、氷の上でも易々と動けるリザードマンの機動力にはちょっと関心してたけど、氷属性も扱える魔物なら確かに大丈夫なのも理にかなってる。
 ちなみにリンネちゃんは普段から足場が不安定な場所だったり、あるいは私にわざと氷の足場を作らせて、そこで練習してるから普通に動けるの。


「でも剣がなくなった剣士は……怖くないよ! ぼくはアイリスちゃんに体術習ってるから大丈夫だけどねっ!」


 そういうと、リンネちゃんはその拳を回避し、リザードマンの人間より出っ張った顔を気持ちよく蹴り上げた。
 それから剣をしっかりと構え直し、数秒だけ怯んだリザードマンパラディンに向かって両刃を振り下ろす。
 

「くらえ、断裂鬼斬!」


 私の身体で作ってある銀の両手剣は、リザードマンパラディンに鎧ごとバツ印を刻む。そのまま倒れこみ、動かなくなった。


【……ゾ、倒したみたいなんだゾ】


 ケル君はどうやら、魔法を放ちつつ探知で確認し続けてくれていたみたい。斬り落とされていたとはいえ、私たちよりもかなり高い精度で魔法をリザードマンの元まで届かせていたのにすごい集中力ね。


「わーい、やった! そういえば、ぼくがトドメ刺したのは高ランクの魔物だと珍しい気がするよ!」
「確かにそうかもね! お姉ちゃん」
「あ、ロモン。もう魔人融体は解除したんだね」


 ロモンちゃんはすでにケル君が生死を確認した時には離れていたわね。一段落済んだということで、私も人間の姿に戻った。


「ふぅ……あんまり苦戦しなかったのは、私たちは防御の術が完璧だからですね。あと敵の機動力を早々に落とせたのも良かったです」
「アイリスちゃんは特に光魔法に強い耐性あるし、このリザードマンたちにとっては相性悪かったのかもね、私達」
「ねーっ!」


 そう考えると光魔法が敵にとって耐性があることなんて考えなくてよかったかも。 
 さて……と。


「ではお宝チェックといきましょうか!」
「「いえーい!」
【……ちょっとまって欲しいんだゾ】


 ケル君が盛り上がろうとしてた時に、そう呟いた。
 

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