私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

文字の大きさ
228 / 378

226話 ガーベラさんの自宅に訪問です!

しおりを挟む
「ごめん、俺の数日分の食材も買っちゃった」
「いいですよ、一緒に選ぶの楽しかったですし」


 本当に普段は一人で作って一人で食べてるのだろう。買い物の仕方などもかなり慣れている様子だった。
 もし機会があったら、逆に私がガーベラさんに料理を食べさせてもらうのもアリかもしれない。


「でも、今日の分の野菜は買わなくていいって言ったのはなんで?」
「まあ、ちょっと色々ありまして。口で説明したら長くなるんですがね」
「そっか。あ、家に着いたよ」


 ちょっと古い感じはするけど、手入れはよくされてるのがわかるレンガ製の小さな一軒家。いつも通ってるギルドから15分ほど歩いた場所にあった。
 いつもギルドの宴会に遅めに来るのって、そのくらいちょっと時間がかかるからなのかも。


「いやぁ、いい物件が偶然見つかってね。家族単位で住むには狭いけど一人暮らしには広い、そんな家だよ。借家だけどね」
「お家賃が一軒家は高そうなイメージがあるのですが」
「うーん、たしかに一つの建物から部屋を借りるよりは少しだけ高いかも。でも、本当に少しだけだしお金もちゃんとあるから大丈夫」


 もし今の宿屋から退いたらこういう一軒家を探すのがいいかもしれないわね。もうそろそろ契約期間過ぎるし。
 でも、ギルドと街の出入り口に近くていい物件ってあるかしら。


「鍵開けたよ。中に入って」
「お邪魔します」


 お、男の人の家にその持ち主と私だけで入る……! 普段の私なら考えられないような行動。
 何かされてもわかりにくい……って、やっぱりガーベラさんはそんな人じゃないから心配はいらないのに、つい考えちゃう。
 これだからロモンちゃんとリンネちゃんに男嫌いだなんて言われるのね。

 中はとっても綺麗にしており、余計なものはほとんど置いてなくとても質素。花瓶とか絵画の一枚すらない。唯一インテリアっぽく見えるのは槍・防具立てかしら。
 ただガーベラさんもお金がないわけじゃないから、これが彼の趣味だということはわかる。実際ソファやカーペットでセンス良く見せているし。
 どこもかしこも掃除が行き届いててピッカピカ。私と気の合いそうな部屋ね。

 
「すごい……綺麗な部屋ですね」
「悪く言えば何もない、ってのが正解だけど。でももしかしたらアイリス好みかもしれない」
「ええ、こういう必要最低限のもので美しく見せているのはとても好きです!」


 見れば見るほど、綺麗。家具の色彩が男の人好みってことを除いたら女の人の部屋と間違うかもしれないほど。
 リビングからチラリと見える台所も、毎日掃除しているんでしょうね。光ってる。


「ガーベラさん、綺麗好きなんですね! そういえば汚れることのない私の身体を使った武器以外、鎧などもいつもピカピカでしたね」
「幼い頃に親しくしてた人が綺麗好きでね。その人と一緒にいたら趣味がうつっちゃって」
「なるほど……」


 私好みの趣味をしているその人と、いいお話ができそう。


「こんなに綺麗な台所、使っちゃって大丈夫なんですか?」
「いいよ、どう使ってくれても」
「わかりました」
「あ、料理作ってくれる前にお茶を出そうか」
「いえ、もうお昼時ですし作っちゃいますよ」
「そっか」


 ガーベラさんはそれ以上家のことについては言わなかった。こうなると風呂場とか寝室も見てみたい気がするけれど、見られて困るものがあるかもしれないからやめておこう。
 ……18歳の男性だもの、女の人に言えないようなものがあったってしかたない。どうせ部屋が綺麗なのはわかりきってることだし。
 さて、そろそろ料理作っちゃいましょうかね。
 今回分の野菜を買わなかった理由も教えてあげましょう。


「それでですね、今日の分の野菜を買わなかったのは私にはこの植木鉢があるからなんです。一日10回しか使えませんが」
「これは?」
「植物の一部を入れたら、その植物が複製されるというアーティファクトです。成長段階までいじることができるんですよ。入れるのは種子はもちろん、葉っぱでもいいですし、この植木鉢に収まるなら一気に一度で植物を育てることも可能なんです」


 それで一回だけ大量にイチゴを作って三人で食べたことかある。収穫を仕切って1回とカウントされるから、何十個分一度にイチゴを植えて、それを10回。


「なるほど、だから買わなかったんだね」
「そしてここに、この街で手に入る限り一番高級なキャベツ、玉ねぎなどがあります。これを増やすのです。……ロールキャベツという料理は知ってますか?」
「知ってるよ。俺、好きなんだロールキャベツ。さっき言ってた趣味の人の得意料理で」
「奇遇ですね、私もなんですよ」


 本当にその人とはかなり気が合いそう。会って見たいけど、ガーベラさんの幼少期とか全然知らないし。 
 とりあえず作り始めちゃおうかな。


「調味料、使わせてもらってもよろしいですか?」
「もちろん」


 そういえば前世で、男の人は胃袋で掴むべし、という言葉があったような気がする。……だったら本気で作らないと。といってもいつも作るのと全く同じで、特別なことなんてしないけど。


「そういえば……あー、料理中に話しかけても大丈夫?」
「余裕です! 慣れてますので」
「そっか、じゃあ。そういえばあの双子も料理作れるんだったよね。どっちの方が上手いとかってある?」
「いえ、同じですね。双子ですから」
「そうか」


 あの子達は髪の長さとか、剣が好きか魔物が好きかっていう違いはあるけど、それ以外はだいたい一緒。身長も、胸の大きさも、それらの成長速度も一緒。
 今度は私から質問しようかしら。


「聞いた話では、私の身体で作った装備品とても大切にしてくれてるそうですね」
「ああ、もちろん。でもその言い方だとなんかすごい意味合いを含んでそうに聞こえるね」
「確かにそうかもしれませんね。正確にいうならば魔物形態の私の身体の一部と言うべきでしょうか」


 もちろん、大切に使ってくれてるのはとっても嬉しい。もしかして普通の魔物も、素材で自分の身体が使われてる装備品が大切にされてるのをみたら喜ぶのかしら?
 きっと一部だけよね、それ。
 

「……何か手伝うことはある?」
「今のところ大丈夫です」
「そうか。いつでも手が欲しいときは言ってよ」


 手が欲しかったらいつでも増やせるんだけどね。
 ……さて、キャベツで巻いて……と。


◆◆◆


「できました、ご賞味下さい」
「いただきます」


 ロールキャベツ。お昼ご飯にロールキャベツってチョイスは間違ってたかもしれない。少し時間かかっちゃった。
 でも出来栄えは完璧。最近作ったロールキャベツの中でも最高だと思う。
 
 ガーベラさんはナイフとフォークでロールキャベツを大きめに切り取り、口に運んだ。熱々だからあんな大きい塊口に入れたら熱いと思うんだけど、彼は大丈夫みたい。
 咀嚼し、飲み込むと動きが止まる。


「……どうですか?」
「とっても美味しいよ。お世辞とかじゃなくて、毎日作って欲しいくらいには」
「やですね、毎日ロールキャベツなんて飽きちゃいますよ」
「ははは、それもそうか」

 
 顔の表情からお世辞じゃないことがわかる。そんなに喜んでもらえるなんて、とっても嬉しい!!
 それにしても毎日ロールキャベツだなんて……ん? 毎日私にロールキャベツを作って欲しい?
 なんか別の汁物で同じような言葉を聞いたことがあるような。それもプロポーズとして。
 まさかね。まだ付き合い始めたばっかりだし。
 

#####

次の投稿は4/21です!
しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

処理中です...