魔法系男子のゆふるわな日常(希望)

ねじまる

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プロローグ

はじまりのはじまり

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 身を丸くして少年が震えていると、

「あれ? こんなところに小さいのが」

 突然、後ろからひょいと首根っこを捕まえられた。

「ひゃああぁあぁあ!」

「わあぁあぁあ!」

 少年の悲鳴と、見知らぬ男の驚く声が重なる。

「お、おま、そんな大声出すなよ。びっくりするじゃねえか!」

 焚き火にあたっている男達とはまた違う声が背後から聞こえてきた。
 仲間が他にもいたのだ。

「たたたた、たすけ、たすけてぇ!」

 首根っこをつかむ手から逃れようと、必死に少年はもがく。
 しかし、がっちりと捕まれているので首に痛みが走る。

「いたい、いたい!」

「あ、ごめん」

 ひょいと解放されるや少年は前のめりに転げながら逃げた。逃げた先には、

「あ」

「あぁ?」

 黒髪の男と銀髪の男が。

「あわわわわ」

 少年はとんでもないところに逃げてしまったと、大きな瞳に涙を浮かべて二人を見上げた。

「人間……だと?」

 驚きのあまりに黒髪の男の綺麗な顔は面白いほど崩れている。
 銀髪の男も驚いて声も出ないらしい。間抜けに口だけが開かれていた。

「どう見ても人間だよなあ」

 のんびりとした声が背後から聞こえてくると、少年は怯えた目で振り向いた。
 首根っこをつかんできた人物だ。どんな鬼のような男かと思いきや、

「よっ、ちびっこ。夜の森でなにしてんだぁ? かくれんぼか?」

 短髪で、まるで燃えているような赤い髪の色が目に飛び込んできた。
 長身だがしっかりとした体躯。
 鼻筋がすっと通った顔立ちで目は細く、目尻はやや甘く垂れて昼寝をする猫のように見えた。
 彼は細い瞳を更に細くさせて人懐っこい笑みを浮かべてしゃがむと、少年に目線を合わせる。

「あの、あの……」

 少年は見知らぬ男達に囲まれたからか緊張に体を強張らせ、目線はあちらこちらと泳いで忙しない。

「結界に入れるのは我らの眷属のみだぞ」

 赤い髪の男を押し退け、ずいと顔を覗かせたのは厳しい表情をした黒髪の男。

「おい、よく見ると……コイツ、オヤジに似てねぇか?」

 今度は黒髪の男を押し退けて目の前に現れたのは銀髪の男だ。
 こちらもまた厳しい顔をしている。

「あの人は三十年前、間違いなくこの世界に……」

 再び黒髪の男が視界に入る。

「じゃあさ、オヤジの隠し子とか? 俺、弟がスッゲェ欲しかったんだよなあ!」

 どんと押し退けて赤い髪の男が入れ替わった。嬉しそうだ。

「まだそうと決まった訳ではないぞ」

 黒髪の男が、

「とりあえず、全員招集だ。ゲームに勝ったらオヤジか息子じゃね? 人間がオレ様達に敵うなんざ、万に一つも無いからな」

 カカカと笑う銀髪の男が……。

 視界がぐるぐると目まぐるしく変わる。
 目まぐるしく変わるようにぐるぐると少年の頭の中も混乱してくる。

 ついに緊張の糸がぷつんと切れると、

「ふぇ……えぇえぇえぇえぇえぇ!」

 大声を上げて泣きだしてしまった。

「あ、なーかした。オマエ達さあ、ちびっこ相手なんだから、もう少し優しくしろよなあ」

 そうは言いつつ、少し楽しそうに声を弾ませたのは赤い髪の男だ。

「ス、スマン。ど、どうすれば泣き止むんだ? この小さい生き物は……」

 泣きだした少年に黒髪の男が慌てふためき、情けなくオロオロするばかり。

「くそっ、コイツが勝手に泣きだしたってのに……」

 銀髪の男はばつが悪そうに頭を掻いてそっぽを向く。
 すると、赤い髪の男はニッと口角を上げた。
 どうやら自信があるらしい。

「ちびっこ、俺達と遊ぼ? ちびっこの好きなゲームで良いからさ。だから、泣きや……」

「びえぇえぇえぇえぇ!」

「ど、どーしたもんかなぁ」

 男達三人が代わる代わる少年を泣き止ませようと慌てている。
 それを、枯葉が風もないのにカサカサと笑った。



 これが少年と彼等の不思議な関係の始まりである。


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