吸血鬼は夜に溺れる

空花

文字の大きさ
1 / 1

吸血鬼は夜に溺れる

しおりを挟む
   「いや、いやっ……!! お兄様、だめ! 私たちは、兄妹で……っ」

「純血種は────」

お兄様は感情のこもらない紅い瞳を細め

「血統を尊重する。だから親近者同士の交わりは禁忌ではないんだよ……」

嗤う。

私たちは、吸血鬼。人間の常識などない、獣────────





銀色の髪が夜風に掬われ、肩口を滑る。
星。
バルコニーから身を乗り出さんばかりに、それを見る。

「宵……危ないよ」

お兄様は部屋の中、安楽椅子に腰掛け私の一挙一動を見ている。

「……ペガサス……シリウス…………半獣人……」

お兄様の言葉には耳もくれず、私は図鑑片手に星をなぞる。
全て人成らざるモノ。
しかし、吸血鬼はいない。
闇を統べる忌まわしいモノが

「宵」

再びお兄様に呼ばれた。次、行かなければ立てなくなるほど血を貪られる。
私は図鑑を手摺に置き、お兄様の直ぐ側までふらふらと近寄る。

「今日は寒いね。……随分熱心に星を見ていたようだけど…………冷えてるね」

お兄様は私を抱き寄せ──────

「ひっ、っ……あ゛……!」

──────血を啜った

牙はそれほど痛くない。ただ、啜られるたび息も詰まるような圧迫感と快楽がごちゃ混ぜになって、苦しくなる。

吸血だけならまだいい。この先。

獣のようにひたすら求める行為はもっと苦しい。

「……は……ぁ、宵……足りない……ね? ほら、足開いて………………」

安楽椅子の上で足を開かされる。
バスルームで身体を清めてすぐ、下着は着けるなと言われた。
だからお兄様は直接私の秘処に触れた。
随分余裕がないらしい。それもそうだろう……
吸血行為には快感が伴う。それは性交と同様に中毒性が高い。三日も禁吸血を続ければその反動は大きい。

これほど、吸血鬼は快楽に弱い。

私はこの身体を忌まわしく思う

頭を占めるのは血、血、血。
本能に、欲望に忠実な私たちは、汚い


「……何を、考えているの……」

お兄様は欲情しきった瞳を細め、激しく腰を穿った。

「んん……! ぅ゛、あっ! はっ、あっ、あ……!!」


お兄様は赦してくれない。
私が人間的であることを、彼の元から離れることを。
籠の中。
まだ一度も外に出たことのない足は、ピンと伸び桜色に染まっている。

「あっ! あ、いや……! ひっ!! 奥、お、くっ! …………だ、さないっで……!!」


「宵は、はあっ……誰の、モノなの? 僕のっ……可愛い……っ、く……ふ、あ、出る……っ!」

「ああっ、あ……やだ……っ、やだ! やだやだや、だ……っひ!!」


拒む言葉しか言わない私の喉に、お兄様は噛みついた。じゅぐっと嫌な音がして、喉が開かれる。

「あ゛………………ぐ、」

喉からはひゅーひゅーという空気の音と、くらくらするほど濃い血の匂いが立ち込める。

「ふふ……可愛い、可愛いよ…………あー……また、イキそう………………」

そう嘯いて腰を振る。

ゆさゆさ揺れる私の身体は、お兄様のモノ。


中に出された熱いものと愛液が、お互いの内股を濡らす。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い……

「~~~~ん゛、ひ……ぁ」


「あぁ……気持ちいいんだね……? 自分から腰を振って」


お兄様の腕の中

「あ……ふぅ、ん゛…………っ!! っ!!」


獣のように快楽に溺れる
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

初体験の話

東雲
恋愛
筋金入りの年上好きな私の 誰にも言えない17歳の初体験の話。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんとの親子丼をちょっと書きたくなっただけです。

真面目な王子様と私の話

谷絵 ちぐり
恋愛
 婚約者として王子と顔合わせをした時に自分が小説の世界に転生したと気づいたエレーナ。  小説の中での自分の役どころは、婚約解消されてしまう台詞がたった一言の令嬢だった。  真面目で堅物と評される王子に小説通り婚約解消されることを信じて可もなく不可もなくな関係をエレーナは築こうとするが…。 ※Rシーンはあっさりです。 ※別サイトにも掲載しています。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...