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――ロバートとジェニファーの父親が親友同士で、しかも軍人としてのきずなも強く子供同士を結婚させたいとの希望だった。
兄妹のように育ったジェニファーとは、全くその気が持てないロバートにとって、親同士の口約束などいつでも反故にできるものだと思っていた。
しかしジェニファーのほうは違うのだ。
彼女はロバートとの結婚をずっと希望し続けている。
しかも間の悪いことに彼女の父親が戦死し、母親も病気がちでジェニファーは頼るものもなく、ロバートにすがりつくしかない状態になっているのだ。
手紙一つ寄こさず帰国が遅いロバートにしびれを切らし、とうとう彼女はやってきたのだった。
「帰国した時には会わなかったの?」
「ああ。彼女のことはマッタク頭になかった」
「どんな人なの?」
「いい娘ダヨ。明るくて気さくで親切で」
「そう……」
「僕はケイカと結婚したい。少しセットクに時間がかかるかもしれないが、待っていてほしい」
「……ジェニファーさんはあなたのことを子供の頃から好きだったのよね」
「そうかもしれないが、僕はそんなふうに見たことなど一度もナイ」
珠子は少女時代から一樹を慕ってきた自分を久しぶりに思い出し、ジェニファーに重ねた。
(だめ……。彼女から奪うことはできない……)
重ねられていた手をほどき珠子は手を握りしめる。
「ロバート。私は待てないし、アメリカにも行かない」
「ケイカッ!なんでそんなコト言うんだ!」
「異国で怖い思いをしたくないし」
「僕が守ル!ジェニファーのことなど気にしないでクレ!」
「いいえ。彼女のことが問題ではないの。やっぱり無理だわ。何もかも違い過ぎる」
「アイシテルんだ。君がいないと生きていけナイ」
「ごめんなさい。あなたのこと……そこまで愛していない……」
「ガッデーム!本気じゃないだろうっ!?」
「やっとわかったの……。感謝はしています。でも……愛してない」
珠子は頬に伝う涙に自分自身の想いが溢れ出てくるのを感じた。
(半分嘘で半分ほんと……)
「アアッ!ウウウゥッ!」
ロバートは膝を抱え、うつむき嗚咽を漏らし始める。
彼を傷つけたくはなかったがジェニファーのことを無視して幸せになれるほど珠子は彼を欲してはいなかった。
彼の柔らかい巻き毛をそうっと撫で「ありがとう。幸せになってください」と口早に言い、珠子はその場を立ち去った。
ロバートは暗がりの中うずくまったまま川辺に座り続けていた。
兄妹のように育ったジェニファーとは、全くその気が持てないロバートにとって、親同士の口約束などいつでも反故にできるものだと思っていた。
しかしジェニファーのほうは違うのだ。
彼女はロバートとの結婚をずっと希望し続けている。
しかも間の悪いことに彼女の父親が戦死し、母親も病気がちでジェニファーは頼るものもなく、ロバートにすがりつくしかない状態になっているのだ。
手紙一つ寄こさず帰国が遅いロバートにしびれを切らし、とうとう彼女はやってきたのだった。
「帰国した時には会わなかったの?」
「ああ。彼女のことはマッタク頭になかった」
「どんな人なの?」
「いい娘ダヨ。明るくて気さくで親切で」
「そう……」
「僕はケイカと結婚したい。少しセットクに時間がかかるかもしれないが、待っていてほしい」
「……ジェニファーさんはあなたのことを子供の頃から好きだったのよね」
「そうかもしれないが、僕はそんなふうに見たことなど一度もナイ」
珠子は少女時代から一樹を慕ってきた自分を久しぶりに思い出し、ジェニファーに重ねた。
(だめ……。彼女から奪うことはできない……)
重ねられていた手をほどき珠子は手を握りしめる。
「ロバート。私は待てないし、アメリカにも行かない」
「ケイカッ!なんでそんなコト言うんだ!」
「異国で怖い思いをしたくないし」
「僕が守ル!ジェニファーのことなど気にしないでクレ!」
「いいえ。彼女のことが問題ではないの。やっぱり無理だわ。何もかも違い過ぎる」
「アイシテルんだ。君がいないと生きていけナイ」
「ごめんなさい。あなたのこと……そこまで愛していない……」
「ガッデーム!本気じゃないだろうっ!?」
「やっとわかったの……。感謝はしています。でも……愛してない」
珠子は頬に伝う涙に自分自身の想いが溢れ出てくるのを感じた。
(半分嘘で半分ほんと……)
「アアッ!ウウウゥッ!」
ロバートは膝を抱え、うつむき嗚咽を漏らし始める。
彼を傷つけたくはなかったがジェニファーのことを無視して幸せになれるほど珠子は彼を欲してはいなかった。
彼の柔らかい巻き毛をそうっと撫で「ありがとう。幸せになってください」と口早に言い、珠子はその場を立ち去った。
ロバートは暗がりの中うずくまったまま川辺に座り続けていた。
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