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セレナーデ(番外編)
7 告白
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専門学校に入学した優樹は制服のスーツ姿がよく似合い、いきなり大人びた。
気が付けば直樹の身長を越している。
また周囲に同じ目的を持った生徒が多いのだろう触発され刺激され、より成熟しているように見えた。
「お父さんにますます似てきたわね。眼鏡かけたらきっとそっくりよ」
「お母さんにはどこか似てるとこあるのかな」
「そうねえ。あまり似てないわね。でもお父さんに似てる方が格好いいわよ」
緋紗が嬉しそうに言うのを聞いている直樹もまんざらでもないようだ。
少し前の優樹なら寂しさを感じるような母の発言だが今は余裕がある。
「いつまでも仲良いね」
優樹が笑いながら言うので緋紗はさっと顔を赤らめた。
直樹が「お母さんをからかうなよ」と優しくフォローする。
「そうだ。今日ペンション休みなんだけど和夫さん検査入院でいないのよ。和奏ちゃん一人だから優樹、ボディーガードで泊まってやってくれない?」
緋紗が思い出したように言う。
「そうだな。もう大人だっていっても女の子だしな」
「いいよ。行ってくるよ。軽トラ貸して」
「軽トラでいいのか」
「うん」
「おかず作るから持って行って一緒に食べて」
「ん。じゃ支度して適当に行くよ」
「お願いね。和奏ちゃんには連絡しておくから」
優樹はチャンスだと思った。
両親に気づかれないように平静を装って支度をする。
この一年間じっと和奏への告白のチャンスをうかがってきたのだ。
こっそりと用意しておいた小道具をポケットに忍ばせてバッグに着替えを詰めた。
「俺、和奏ねーちゃんが好きだ」
優樹のまっすぐな力強い告白に和奏はたじろいだ。
和奏の部屋でたわいもない会話を交わしていると突然、優樹が告白してきた。
「優樹……。いきなりなに。熱でもあるの?」
「本気だよ。今まで子供だったから気が付かなかった。俺が好きなのは、ねーちゃ……和奏だ」
「そんなこと言われてもさ。あんたを男としてみたことなんか一回もないよ……」
和奏はベッドカバーの花模様の赤い淵を目でなぞりながらため息をついて俯いた。
「何人か付き合ったけどいつも熱くはなれなかった。でも和奏のこと考えたときすごく熱くなったんだ。きっとお父さんにお母さんがいるように、俺には和奏だと思う」
黙って複雑な顔をしている和奏は目を泳がせている。
「私はあんまり恋愛に。男に熱くはなれないと思うんだ。ごめんね」
「やっぱりお父さんが好きなの?」
「え?」
ギクッとして和奏は顔を上げて優樹を見る。
「知ってたんだ。ずっと和奏はお父さんが好きなんだろうなって」
「そう……」
「それでもいいよ。お父さんはお母さんのものだから和奏のものにはならないし」
ハッキリとわかりきっていることを告げられて和奏は胸が痛んだ。
そして優樹は初めて和奏の涙を見た。
「ごめん」
一言謝って優樹はポケットから銀縁の角ばった伊達眼鏡を取り出してかけた。
「俺がお父さんの代わりになるからさ。泣かないでくれよ」
優樹は固まっている和奏の肩をつかんで口づけをする。
和奏は小刻みに震えているが抵抗しなかった。
和奏に口づけたまま優樹は身体をベッドに倒し出来るだけ優しく舌を忍ばせていく。
和奏の髪を撫でながら優樹は囁く。
「和奏。好きだ。俺のものになって」
(こんなに欲しいと思ったのは初めてだ)
優樹は自分自身がどんどん熱を帯び昂ぶっていくのを感じていた。
「優樹……」
和奏は眼鏡をかけた優樹が恋しい直樹にそっくりに見え、倒錯した想いに困惑した。
直樹に抱かれるような錯覚を起こす。
甘く優しい口づけが和奏も昂ぶらせていく。
気が付くと和奏は半裸になっていた。
しかし優樹はゆっくりと急がず優しい愛撫を身体に加える。
今まですぐ繋がろうとするせっかちな欲望にまみれた男たちと違う態度に和奏は身を委ねていた。
「嫌だったらやめるから」
こんな状況になって止められる男がいるのだろうかと和奏は驚き、子供のころからいつも和奏の気持ちと希望を優先してくれた優樹の姿を思い出した。
気が付けば直樹の身長を越している。
また周囲に同じ目的を持った生徒が多いのだろう触発され刺激され、より成熟しているように見えた。
「お父さんにますます似てきたわね。眼鏡かけたらきっとそっくりよ」
「お母さんにはどこか似てるとこあるのかな」
「そうねえ。あまり似てないわね。でもお父さんに似てる方が格好いいわよ」
緋紗が嬉しそうに言うのを聞いている直樹もまんざらでもないようだ。
少し前の優樹なら寂しさを感じるような母の発言だが今は余裕がある。
「いつまでも仲良いね」
優樹が笑いながら言うので緋紗はさっと顔を赤らめた。
直樹が「お母さんをからかうなよ」と優しくフォローする。
「そうだ。今日ペンション休みなんだけど和夫さん検査入院でいないのよ。和奏ちゃん一人だから優樹、ボディーガードで泊まってやってくれない?」
緋紗が思い出したように言う。
「そうだな。もう大人だっていっても女の子だしな」
「いいよ。行ってくるよ。軽トラ貸して」
「軽トラでいいのか」
「うん」
「おかず作るから持って行って一緒に食べて」
「ん。じゃ支度して適当に行くよ」
「お願いね。和奏ちゃんには連絡しておくから」
優樹はチャンスだと思った。
両親に気づかれないように平静を装って支度をする。
この一年間じっと和奏への告白のチャンスをうかがってきたのだ。
こっそりと用意しておいた小道具をポケットに忍ばせてバッグに着替えを詰めた。
「俺、和奏ねーちゃんが好きだ」
優樹のまっすぐな力強い告白に和奏はたじろいだ。
和奏の部屋でたわいもない会話を交わしていると突然、優樹が告白してきた。
「優樹……。いきなりなに。熱でもあるの?」
「本気だよ。今まで子供だったから気が付かなかった。俺が好きなのは、ねーちゃ……和奏だ」
「そんなこと言われてもさ。あんたを男としてみたことなんか一回もないよ……」
和奏はベッドカバーの花模様の赤い淵を目でなぞりながらため息をついて俯いた。
「何人か付き合ったけどいつも熱くはなれなかった。でも和奏のこと考えたときすごく熱くなったんだ。きっとお父さんにお母さんがいるように、俺には和奏だと思う」
黙って複雑な顔をしている和奏は目を泳がせている。
「私はあんまり恋愛に。男に熱くはなれないと思うんだ。ごめんね」
「やっぱりお父さんが好きなの?」
「え?」
ギクッとして和奏は顔を上げて優樹を見る。
「知ってたんだ。ずっと和奏はお父さんが好きなんだろうなって」
「そう……」
「それでもいいよ。お父さんはお母さんのものだから和奏のものにはならないし」
ハッキリとわかりきっていることを告げられて和奏は胸が痛んだ。
そして優樹は初めて和奏の涙を見た。
「ごめん」
一言謝って優樹はポケットから銀縁の角ばった伊達眼鏡を取り出してかけた。
「俺がお父さんの代わりになるからさ。泣かないでくれよ」
優樹は固まっている和奏の肩をつかんで口づけをする。
和奏は小刻みに震えているが抵抗しなかった。
和奏に口づけたまま優樹は身体をベッドに倒し出来るだけ優しく舌を忍ばせていく。
和奏の髪を撫でながら優樹は囁く。
「和奏。好きだ。俺のものになって」
(こんなに欲しいと思ったのは初めてだ)
優樹は自分自身がどんどん熱を帯び昂ぶっていくのを感じていた。
「優樹……」
和奏は眼鏡をかけた優樹が恋しい直樹にそっくりに見え、倒錯した想いに困惑した。
直樹に抱かれるような錯覚を起こす。
甘く優しい口づけが和奏も昂ぶらせていく。
気が付くと和奏は半裸になっていた。
しかし優樹はゆっくりと急がず優しい愛撫を身体に加える。
今まですぐ繋がろうとするせっかちな欲望にまみれた男たちと違う態度に和奏は身を委ねていた。
「嫌だったらやめるから」
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