RGB!

知夜

文字の大きさ
上 下
2 / 4

RGB!(2)

しおりを挟む
(前回の簡単なあらすじ)
学校行事のスタンプラリーをしていたら灰無が現れた。そして冷は襲われ酷い怪我をしてしまう。さらに倒したと思っていた灰無はまだ死んでおらず、暁と冷に襲いかかろうとしていた…。




「そーいっ!!((ぐしゃぁ))あ、」
それが私たちの頭に振って来ることはなく、代わりに人の声と灰無の潰されるような音。恐る恐る目を開けると、視界には黒に赤いラインが入ったローブのようなものを着た薄い桃髪のような人と、黒に緑のラインが入った服を着た黒髪で、インナーが薄緑色の人が映っていた。
「あっぶなかったー、きみら、無事……では無さそうだな。」
「あ……え、っと、あ、あなた方は……?あっ!そ、それより、れ、冷が灰無にやられて、そいつの武器が冷に貫通しちゃって……」
私は咄嗟のことで驚いて、言葉が出なかったが、すぐにそのローブの人に冷のことを伝えた。
「冷?この子のこと?……え、この子って……ああ、いや、なんでもない。この子はすぐに病院に連れていこう。確か山のふもとすぐに病院があったから八雲。連れてってくれるかい?君は?大丈夫?」
そう言って桃髪の人がこちらを向いた。
「あ…私は大きい怪我はしていないです…」
「あ、君はあんまり怪我はしてない感じ?じゃあ、申し訳ないんだけど、ちょっとここで確認したいことがあるから待ってもらえる? その後すぐ病院連れていくから、それに…君にもいくつか聞きたいことがあるんだよね。」
桃髪の人がそういい、よろしく、と八雲と呼ばれたインナーが赤色の人に伝えると、その人は頷き、どこからか取りだした包帯と水で冷の応急処置をした後、軽々と、でもとても丁寧に冷を持ち上げた。私は咄嗟に
「冷をお願いします…!」
といった。すると八雲と呼ばれた人がチラッとこちらに視線を写しこくっと頷いた。そして病院の方へものすごいスピードで走っていった。それをみ送ったあと、桃髪の人はスマホを取りだし、パシャパシャと灰無の死体や、そのまわりを、取り出した。そして撮り終わったのかスマホ少し操作したあとしまい、こちらに顔を向けた。そして、ごめん、待ったよね。すぐに病院に行こう、といった。
「…いえ、そんな…大丈夫です。それよりもお礼を言えてませんでした、すいません…。助けてくださりありがとうございました。私、赫音暁って言います。さっきの子は青海冷。2人とも高一です。私は彩人、冷は半彩人です。」
そういうと、薄いピンクの髪をした人は、少し目を見開いたあと、すぐ表情を戻し軽く笑った。
「礼なんていいよ。俺らこれが仕事だし……。こちらも改めて自己紹介するね。僕の名前は紅野椛(こうのもみじ)三原色の紅のリーダーだよ。さっき青海くんを連れていったのが八雲葉都(やぐもようと)。翡翠のリーダー。よろしくね~。」
そういうと紅野さんは笑顔のまま座り込んでいる私に視線を合わせるためにしゃがみこむとくるっと手を回し私にパッと名刺のようなものを出てきた。ありがとうございますと言いながらそれを貰い、書いている内容を読もうと視線を下にさげたとき、
「暁ちゃん、君、三原色に入らない?」
と聞いてきた。え?と思いパッと顔を上げると私と同じく、いや私以上に驚いた顔をしている紅野さんと目が合った。
「あ…!ごめんっ…こんな言う事じゃないのに…。完全に無意識だった本当に申し訳ない…。なんでこんなこと言っちゃったんだろ…。…暁ちゃん、冷のこともあるしひとまず病院行こ。冷くんが重体すぎたからあんまり気付なかったけど、君だって灰無と戦ったんだから無傷なわけないよね。まあ、待って貰っといた僕が言うことじゃないか。ごめんね、行くよー。」
するとそういうやいなや紅野さんはひょいっと私の体を持ち上げて、横抱き…俗に言うお姫様抱っこをしてきた。
「え?!えっ、!私自分で歩けます!大丈夫です…!」
そういうと紅野さんは足を止め、私の方をじっとみたあと、
「君は確かに一応は歩けるんだろうけど、ずっと闘ってて疲れてるでしよ?それに…切り傷と、青あざ、あと腕の打撲かな?それ以外は怪我はないように見えるけど、一応、ね。ほらほら、大人しくしててねー。」
といった。なんで気づいたんだろうか。 でも確かに疲れは少し感じる。私は紅野さんの方へ完全に体を預け、大人しくすることにした。
紅野さんの体温がとても気持ちがよかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「暁ちゃーん。病院の前に着いたよー。起きた?暁ちゃん。ぐっすりだったね。」
「……?え、私寝てました?ごめんなさい!」
紅野さんのそんな声で意識が戻った。私は思った以上に疲れていたらしい。ぐっすりと紅野さんの腕の中で寝てしまっていた。急いで紅野さんの顔を見ると、彼は勝手に寝て怒るどころか笑っていた。その事に安堵した。
「あ、紅野さん。私、もう歩けます。運んでくださりありがとうございます。」
紅野さんは私の方をちらっと見て、一瞬考えるようにまた前を向いた。それでも、
「えー?ホント??僕にはまだ疲れてるように見えるけど。だからそこに居てね。」
と紅野さんはチラッとこちらの方をむきながら言った。
「でも…大丈夫ですか?ここまでずっとこの状態で…。山降りるのも大変だっただろうし、重いですよね。私…」
降りますよというはずだった。でも紅野さんが笑っているけど目がずっと心配そうにしていることに気づき、素直にそのまま運ばれることにした。紅野さんは本当にいい人だな。
「大丈夫大丈夫~。僕力持ちだし、暁ちゃん重くないよ、むしろ軽すぎて心配になる。」
そう言いながら紅野さんはスタスタと病院に入って行 った。入った瞬間チラチラと人の視線が集まる。ヒソヒソと声も聞こえる。まあ、そりゃそうだろう。(灰無の返り血で)血まみれの美形の部類に入る男と男と同じく(こちらもほとんど返り血だが)血まみれでボロボロに見える子供が入ってきたらなんだなんだと見てしまうだろう。でも紅野さんはそんなこと気にせずさっさと受付に行った。受付の若いお姉さんが
「これは何事ですか?!大丈夫ですか?」
と焦って聞いた。私はお姉さんの方に視線を移し、コクリと頷いた。紅野さんはそんな私を確認したあと、ニッコリ笑って
「大丈夫ですよ~。これ、灰無の返り血なんで。あ、僕、三原色の紅リーダーの紅野椛と言います。」
お姉さんは三原色と聞き納得したようだった。
「三原色……、そうでしたか。失礼いたしました。いつもご苦労さまです。その怪我したここまで運んでくださったのですか?ありがとうございます。あとはこちらで検査等の確認をするので、こちらで引き取りますね。」
そう言ってお姉さんは簡易担架を出してきてこちらに、と私に向かって手を差し出してきた。でも、私はその手をつかもうとしなかった。お姉さんの言っていることが分からないわけじゃない。私の今の状態を見たら誰だってそうすることも分かってる。それでも私は真っ先に冷に会って冷の状態を確認したかった。お姉さんは私が中々手を掴もうとしないことを怪訝に思ったのかどうしました?大丈夫ですか?ともう一度聞いてきた。あぁ、どうしようか。
「ちょっと待ってくださ~い。」
そんな声が聞こえた。声の方を見ると、紅野さんがニコニコと笑ってちらっと私の方を見た。
「すいません。申し訳ないんですがここにさっき運ばれてきたであろう少年のところに医者を呼んでもらってそこで簡易的でもいいので検査をしても?ちょっと冷君に用があるので~。」
「さっき運ばれた少年…青海冷くんのことですか?今は手当が終わり彼は眠っています。」
といった。その言葉を聞いて、冷が無事だということにひとまず安心した。でも、命に別状は無いのだろうか…。今は生きている、その事はとても嬉しいが、まだ今後の状態が分からないので完全に肩の力を抜くことは出来なかった。でも…この状況で私を医者に引渡し検査をするのではなく医者を冷の方に来るように言っていいのだろうか。私にとってはこれ程ありがたいことはないが。周りの人からみたら、おかしい、あんなに傷だらけに見えるのに、ちゃんとした場所できちんと検査をしようとしないなんて酷い人だって思われるかもしれないのに。私の気持ちを優先してくれているのか。私がずっと冷を心配していたから…。少し涙が出そうになった。でも、もちろん看護師さんは納得してないようで、何かを言おうとしていたけど
「じゃあ、申し訳ないけどお願いします。あ、冷くんの病室どこか教えて貰っても?」
と紅野さんの声が被さり、「…259号室です…」とだけいい、他は何も言わなかった。
紅野さんはそれを聞くと、どうも~とと言いながら冷が居る病室に向かって歩き出した。
「…ありがとうございます。でも…いいんですか?きっとあの看護師さん、紅野さんのことを酷い人だと誤解しましたよ。」
それがどうしても気になった。この人は気にならないのだろうか。私は怖い。人の目が。
「誤解~?あぁ、なるほどね。うん。別にいいよ~。事情を知らないやつの考えなんか、どーでも。暁ちゃんがちゃんと分かってくれてるならそれで。」
「そうですか…」
そういうものなのだろうか。そう考えている間に紅野さんが1つの病室の前で止まった。
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【全話まとめ】意味が分かると怖い話【解説付き】

ホラー / 連載中 24h.ポイント:93,464pt お気に入り:648

【一話完結】3分で読める背筋の凍る怖い話

ホラー / 連載中 24h.ポイント:85pt お気に入り:7

釣具屋さんのJK店長(仮)がゼロから始めたワンオペ運営

現代文学 / 連載中 24h.ポイント:746pt お気に入り:3

リナ・セレネーレの物語

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:8

美形インフレ世界で化物令嬢と恋がしたい!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:582pt お気に入り:427

言祝ぎの子 ー国立神役修詞高等学校ー

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:191pt お気に入り:73

処理中です...