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第6章
第6章19幕 景品<giveaway>
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「勝手に行先が入力されるんか」
「ほんとだ!」
もこちねるがそう言うと入口上部に表示された14階という表示を見て、エルマもテンションが上がっているようでした。
そしてエレベーターが14階に到着すると、その目の前には再び電子板が置いてありました。
『最終問題』
『スキル≪パレット・チャージ≫の使用に用いる消費ステータスはどれでしょう』
『MP』
『TP』
『EN』
『SP』
「これも簡単やな。『MP』や」
そう言って電子板を触ろうとしたもこちねるを私は制します。
「待って!」
「ん? なんや?」
「≪パレット・チャージ≫だよね? あれってMP以外にTPも消費するでしょ?」
≪パレット・チャージ≫は【画家】系の【称号】が持つスキルです。
そしてその効果は、不足した絵具を補完すること。
「そう言うことか。絵具の生成にTP持っていかれるんか」
「うん。だからこの答えはMPとTPだと思う」
「同時に押してみるわ」
そう言ったもこちねるが、両手の人差し指を伸ばし、『MP』と『TP』をちょんと触ります。
『おめでとうございます。4階までお越しください』
「はぁー。10階分も下らせんのか」
もこちねるがそう言うとちょうどチーンという音を立てて、エレベーターが到着しました。
「ちょうどええ。のってくで」
そう言って乗り込んだもこちねるに続き私達も再びエレベーターへと乗りこみます。
自動で入力された4階にまで降りてきた私達の前には、社員と思しき者が立っていました。
「お疲れ様です。2番目のご到着です」
2番目……?
「うちらが一番じゃないんかい」
もこちねるがそう言うと、社員は笑みを浮かべながら答えます。
「階段をお使いになったので、早く到着なされました」
「くっやしいわ!」
私も一番乗りだと思っていたので少しショックでした。
社員に案内され、広いホールへと入りました。
「ではこちらでお待ちください」
案内されたテーブルには『チーム番号2』と書かれていました。
「2番目だからしゃーない」
未だに悔しそうにしているもこちねるを横目に見て椅子に座ろうとすると、サツキが椅子を引いてくれました。
「さぁ。座るといい」
「あ、ありがとう……月見さん」
「あぁ」
そう言って私はサツキの返事を聞きながら椅子に座ります。同様にマオとエルマにも同じことをやっていましたが、もこちねるとステイシーはどこ吹く風と自分で椅子を引いて座っていました。
しばらく待っていると、飲み物が運ばれてきます。
「全部のチームが揃うまでお寛ぎください」
そう言って社員は全員に手渡し、去っていきました。
「結構かかるのかなー?」
ステイシーの呟いた声は配られた紅茶にすぅと飲みこまれていきました。
それから20分ほど経つとほぼ座席が埋まりました。
隣や後ろの会話に耳を澄ませると、間違いの選択肢を選ぶと、問題の数が増えて行く様です。
中でも面白いものは、「プレイヤーが経営するお店で最も店舗数が多いのは何というお店でしょうか」という問題があったそうです。
私としてはこの問題の答えが気になりますね。
各都市に一つずつ持っているなんて人もいそうですね。
周りの人達から話しかけられたり、こちらから話したりしていると、最後の1チームが到着しました。
その直後、灯りが一度消え、突貫工事で作ったであろう、壇上に人のシルエットが現れます。
『親愛なる<Imperial Of Egg>プレイヤーの諸君。いや。この言い方は正しくないな。すまない、もう一度だ。親愛なる<Imperial Of Egg>プレイヤーの中から選ばれた特に優秀な方々、遠路はるばるお越しいただき誠に感謝する。私は<Imperial Of Egg>開発会社[Multi Game Corporation]の社長をやらせて頂いている最上賢治だ。ちなみにこの姿はホログラムである。私は諸君が入ってきた入口の所にいる』
そう言われ、私達は入口の方向へ顔を向けます。
しかし、そこには何もなく、なんだろう、と思いながらも再び壇上へ視線を送ると、今度は生身の人間が立っていました。
「いや。すまない。こういういたずらが好きでね。壇上のカーテンの横に私は隠れていた」
そう言って何やら手元のスイッチをいじり、白いカーテンに自分が隠れているときの様子を映しました。
会場が笑いの声で満たされます。
それを両手で制した最上賢治は続いて語り出します。
「正直なところ、<Imperial Of Egg>誕生秘話などを語りたいところではあるのだが、日が開けてしまうだろうね。とりあえずそれは電子書籍としておいたので、お土産に差し上げましょう。退屈な帰り時間に退屈な本。素晴らしく無駄な時間を過ごせること請負だ」
再び会場が湧きます。
「さて、私は漫才をやるために出てきたわけではないので、本題に入らせてもらおう」
そう最上賢治が言うと会場が静まります。
「はい、今皆さんが静かになるまで約4秒でした。早い! さて一つ目の本題はこれだ」
再び手元のスイッチを押します。
すると先ほど映像を映した白いカーテンが落ち、奥には箱の山がありました。
「こちらの景品の分配と行こうではないか」
「おー」と会場から声が上がります。
「では一番のチームから好きなものを選んでいってくれ」
そう最上賢治が言うと、社員が『チーム番号1』の元へやって来て、案内しています。
ざっと見た限り、ゲーム関係のものが多いですね。
<Imperial Of Egg>の専用端末の限定版や他の作品のグッズなど盛りだくさんでした。
数分で『チーム番号1』の人達が選び終わり、私達の番になりましたので壇上へと向かいます。
「では好きなものを選んでくれ。持ち帰れないものはご自宅に配送しよう」
そう言われて大きい物も選択肢に入りました。
私がぐるりと回り物色していると、最上賢治が話しかけてきます。
「君がプレイヤーネーム、『チェリー』君だね?」
「ええ。そうです」
突然声を掛けられたことに驚きそう返してしまいます。
「内部で何度か見たよ。『肥田アマガミ』君といたか、彼女も凄かったが、君の方が凄いと俺は率直に思うよ」
先ほどまでの会場にいる人全体に話しかける時の口調とは違い、おそらく普段の口調で話しかけてきました。
「リンプを倒したんでしょ?」
「私だけの力ではないです」
「それでもだよ。彼、結構しょげてたよ」
「お知り合いなんですか?」
「<Imperial Of Egg>の最初のテスターなんだよ。開発部門で働いているからスキルのシナジーなどに最も詳しい人間だよ」
「へぇ。そうなんですか」
返事は返しつつも何を貰うかは選び続けています。
「悩むかい?」
「はい」
「それならおすすめを教えよう」
そう言って最上賢治が一つの箱を指さします。
「でかくないですか?」
「大きいよ。だってゲーミングパソコンと机、マウス、キーボード、防音室制作パネルなどなど心地よいゲーム環境を整える為のセットだからね。一番大きいのははずれだから、ほんとはこの小さいのがいい。引換券だから欲しい時にいつでも交換できる」
「おお! それは魅力的ですね」
「だろう。用意しておいて正解だった。たぶん欲しがる人がいると思っていたんだ」
そう言ってにこりと笑う最上賢治から私は小箱を受け取り、壇を降りテーブルへと戻りました。
「智恵理、何貰ったの?」
エルマにそう聞かれすぐに返答します。
「何かの引換券だってさ」
「へー。あたしは最新の湯沸し器を貰った」
「ワタシは庭の手入れを頼める券だね」
「マオはキャットウォーク」
「僕は快眠マットレス」
もしかしてなんでも用意してあるんですか?
私はそう言う感想を抱いたまま、後続のチームが景品を選んでいくのを見ていました。
to be continued...
「ほんとだ!」
もこちねるがそう言うと入口上部に表示された14階という表示を見て、エルマもテンションが上がっているようでした。
そしてエレベーターが14階に到着すると、その目の前には再び電子板が置いてありました。
『最終問題』
『スキル≪パレット・チャージ≫の使用に用いる消費ステータスはどれでしょう』
『MP』
『TP』
『EN』
『SP』
「これも簡単やな。『MP』や」
そう言って電子板を触ろうとしたもこちねるを私は制します。
「待って!」
「ん? なんや?」
「≪パレット・チャージ≫だよね? あれってMP以外にTPも消費するでしょ?」
≪パレット・チャージ≫は【画家】系の【称号】が持つスキルです。
そしてその効果は、不足した絵具を補完すること。
「そう言うことか。絵具の生成にTP持っていかれるんか」
「うん。だからこの答えはMPとTPだと思う」
「同時に押してみるわ」
そう言ったもこちねるが、両手の人差し指を伸ばし、『MP』と『TP』をちょんと触ります。
『おめでとうございます。4階までお越しください』
「はぁー。10階分も下らせんのか」
もこちねるがそう言うとちょうどチーンという音を立てて、エレベーターが到着しました。
「ちょうどええ。のってくで」
そう言って乗り込んだもこちねるに続き私達も再びエレベーターへと乗りこみます。
自動で入力された4階にまで降りてきた私達の前には、社員と思しき者が立っていました。
「お疲れ様です。2番目のご到着です」
2番目……?
「うちらが一番じゃないんかい」
もこちねるがそう言うと、社員は笑みを浮かべながら答えます。
「階段をお使いになったので、早く到着なされました」
「くっやしいわ!」
私も一番乗りだと思っていたので少しショックでした。
社員に案内され、広いホールへと入りました。
「ではこちらでお待ちください」
案内されたテーブルには『チーム番号2』と書かれていました。
「2番目だからしゃーない」
未だに悔しそうにしているもこちねるを横目に見て椅子に座ろうとすると、サツキが椅子を引いてくれました。
「さぁ。座るといい」
「あ、ありがとう……月見さん」
「あぁ」
そう言って私はサツキの返事を聞きながら椅子に座ります。同様にマオとエルマにも同じことをやっていましたが、もこちねるとステイシーはどこ吹く風と自分で椅子を引いて座っていました。
しばらく待っていると、飲み物が運ばれてきます。
「全部のチームが揃うまでお寛ぎください」
そう言って社員は全員に手渡し、去っていきました。
「結構かかるのかなー?」
ステイシーの呟いた声は配られた紅茶にすぅと飲みこまれていきました。
それから20分ほど経つとほぼ座席が埋まりました。
隣や後ろの会話に耳を澄ませると、間違いの選択肢を選ぶと、問題の数が増えて行く様です。
中でも面白いものは、「プレイヤーが経営するお店で最も店舗数が多いのは何というお店でしょうか」という問題があったそうです。
私としてはこの問題の答えが気になりますね。
各都市に一つずつ持っているなんて人もいそうですね。
周りの人達から話しかけられたり、こちらから話したりしていると、最後の1チームが到着しました。
その直後、灯りが一度消え、突貫工事で作ったであろう、壇上に人のシルエットが現れます。
『親愛なる<Imperial Of Egg>プレイヤーの諸君。いや。この言い方は正しくないな。すまない、もう一度だ。親愛なる<Imperial Of Egg>プレイヤーの中から選ばれた特に優秀な方々、遠路はるばるお越しいただき誠に感謝する。私は<Imperial Of Egg>開発会社[Multi Game Corporation]の社長をやらせて頂いている最上賢治だ。ちなみにこの姿はホログラムである。私は諸君が入ってきた入口の所にいる』
そう言われ、私達は入口の方向へ顔を向けます。
しかし、そこには何もなく、なんだろう、と思いながらも再び壇上へ視線を送ると、今度は生身の人間が立っていました。
「いや。すまない。こういういたずらが好きでね。壇上のカーテンの横に私は隠れていた」
そう言って何やら手元のスイッチをいじり、白いカーテンに自分が隠れているときの様子を映しました。
会場が笑いの声で満たされます。
それを両手で制した最上賢治は続いて語り出します。
「正直なところ、<Imperial Of Egg>誕生秘話などを語りたいところではあるのだが、日が開けてしまうだろうね。とりあえずそれは電子書籍としておいたので、お土産に差し上げましょう。退屈な帰り時間に退屈な本。素晴らしく無駄な時間を過ごせること請負だ」
再び会場が湧きます。
「さて、私は漫才をやるために出てきたわけではないので、本題に入らせてもらおう」
そう最上賢治が言うと会場が静まります。
「はい、今皆さんが静かになるまで約4秒でした。早い! さて一つ目の本題はこれだ」
再び手元のスイッチを押します。
すると先ほど映像を映した白いカーテンが落ち、奥には箱の山がありました。
「こちらの景品の分配と行こうではないか」
「おー」と会場から声が上がります。
「では一番のチームから好きなものを選んでいってくれ」
そう最上賢治が言うと、社員が『チーム番号1』の元へやって来て、案内しています。
ざっと見た限り、ゲーム関係のものが多いですね。
<Imperial Of Egg>の専用端末の限定版や他の作品のグッズなど盛りだくさんでした。
数分で『チーム番号1』の人達が選び終わり、私達の番になりましたので壇上へと向かいます。
「では好きなものを選んでくれ。持ち帰れないものはご自宅に配送しよう」
そう言われて大きい物も選択肢に入りました。
私がぐるりと回り物色していると、最上賢治が話しかけてきます。
「君がプレイヤーネーム、『チェリー』君だね?」
「ええ。そうです」
突然声を掛けられたことに驚きそう返してしまいます。
「内部で何度か見たよ。『肥田アマガミ』君といたか、彼女も凄かったが、君の方が凄いと俺は率直に思うよ」
先ほどまでの会場にいる人全体に話しかける時の口調とは違い、おそらく普段の口調で話しかけてきました。
「リンプを倒したんでしょ?」
「私だけの力ではないです」
「それでもだよ。彼、結構しょげてたよ」
「お知り合いなんですか?」
「<Imperial Of Egg>の最初のテスターなんだよ。開発部門で働いているからスキルのシナジーなどに最も詳しい人間だよ」
「へぇ。そうなんですか」
返事は返しつつも何を貰うかは選び続けています。
「悩むかい?」
「はい」
「それならおすすめを教えよう」
そう言って最上賢治が一つの箱を指さします。
「でかくないですか?」
「大きいよ。だってゲーミングパソコンと机、マウス、キーボード、防音室制作パネルなどなど心地よいゲーム環境を整える為のセットだからね。一番大きいのははずれだから、ほんとはこの小さいのがいい。引換券だから欲しい時にいつでも交換できる」
「おお! それは魅力的ですね」
「だろう。用意しておいて正解だった。たぶん欲しがる人がいると思っていたんだ」
そう言ってにこりと笑う最上賢治から私は小箱を受け取り、壇を降りテーブルへと戻りました。
「智恵理、何貰ったの?」
エルマにそう聞かれすぐに返答します。
「何かの引換券だってさ」
「へー。あたしは最新の湯沸し器を貰った」
「ワタシは庭の手入れを頼める券だね」
「マオはキャットウォーク」
「僕は快眠マットレス」
もしかしてなんでも用意してあるんですか?
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