薬指の指輪

お舐め

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薬指の指輪

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ーー薬指の指輪ーー

結婚したら薬指に指輪はめるだろう?
それを何故まだ独身のみつをが知ってるんだって?
それは同窓会で、既婚の女の子がみんな指輪をはめてるのを見たからさ。
それがきっかけで「あ、あの子素敵だ!」と思ったら、すかさず左の薬指を見るようになった。
ある時、彼は経理学院の教室に座ってた。そこはやはり簿記とかの講座が多い所為で、女の人が多かった。みつをは女の人が多いとこが好きなんだよ。
あ、教室の左側の一番前の席の女の子には見覚えがある。向こうもこっちの視線が気になったのか、右後ろに少し振り返った。
「典子ちゃんだ!」
そう、典子ちゃん!中学校の時にみつをがラブレターを出した、あの子。
そうやって見つめてると、典子ちゃんは左手を前にかざして、右手で指を揃えた。
「あ、薬指に指輪がない!」
これはチャンスだとみつをは思った。
え?チャンスって結婚??
いやあ、まだまだ。まずはデートの申し込みだ。そこでアタック、、、と思っているうちに授業が始まっちゃたー。
でも授業の間、みつをは授業になんか集中してない。ひたすら典子ちゃんの斜め後ろ姿を見つめているのさ。
なあに、簿記検定なんて来年でもある。今年は捨ててもいいんだ。
そんなことに思いを巡らすうちに、授業は終わった。
「よっし、典子さんのとこ行こう」
みつをは恥ずかしくなかった。緊張もしなかった。だって気があるんだもん。
彼は声をかけた。

「あのー、すんません。典子ちゃんじゃないですか?」
典「そうですよ。あ、あなたはみつを君ね?」
み「覚えててくれたんですね。あなたにラブレター書いたでしょ?」
典「はっはっは、覚えてますよ。何かとても恥ずかしそうな(笑)」
み「あれ、三吉と一緒に出したんです。彼は正子さんに出しました。」
典「あ、マコ?どうだったの?」
み「見事にふられましたよ。(笑)」
典「でも、二人とも度胸があるじゃないの。」
み「そうです、三吉はフラれたから正子さんよりも秀才になって優秀校を目指すぞと勉強頑張ったんです。」
典「やるわねー。あなたはどうなの?」
み「僕?今は運送業だよ。」
典「じゃあ、ドライバーね。」
み「そう。」
典「ねえ、近いうち私をドライブに連れてって?」
み「もちろーん、いいよ。」
ふたりは教室から外に出た。
するとみつをの車が駐車場にある。スーパーサルーンだ。クッション柔らかい。
典「これがみつを君の車」
み「そーだよー。さ、乗って乗って」
典「うぁー嬉しい!」
実は、みつをと典子は近くに住んでるから、車で送るには丁度いいんだ。
二人を乗せた自動車は夜の街を走っていく。
典「いい車じゃない。結構高かったんでしょ?高級車だし。」
み「これでも月賦たまってんねんでー(笑)」
典「でも、掃除の良くしてあるし、香水がいい匂い。いい気分になれるわ。」
み「だろ?君のために準備したんだ。」
典子は思わず苦笑した。
「嘘、私ら卒業後に会うのこれが初めてじゃん。」
み「いやあ、普段から準備してるのさ。」
典子はすかさず笑いながら、
「私聞いたわよ、みつを君、マコに車のせたろか、って誘ったんでしょ?」
み「あれはジョーダン、冗談よ。」
典「まあ確かにこれだけの車なら、乗らなかったマコの方が勿体なかったわね(笑)」
み「ところで典子ちゃん、君まだ独身?」
典「そうよ。なんで?」
み「君の左の薬指に指輪がないからさ。」
典「ま、よく観察してるわね?」
み「じゃ、結婚しよっか?」
典「別にいいわよ。」
み「ほ、ホント?本当にいいの?」
典「うん本当にいいよ。」
み「でもあっさり過ぎるじゃないか?」
典「だってーーー、私らもう20代後半なのに、あれがいや、これがいや、って言ってたら、売れ残っちゃうじゃないの。
『プロポーズを受けたら素直に応える』これが一番の得策よ。」
み「うー、なんか肩透かし喰らったような気分だな。じゃあその証に、ラブホで寛がない?」
典「うわぁ―賛成。でも、普通のホテルでエッチだってできるわよ。」
み「よっし、じゃ山手ホテルでも行こう。この時間だと9時前だから夜景がきれいだよ。」

二人はこうして山手ホテルにチェックインした。
確かに、夜景はすごく綺麗だ。周りは静か。梟の声も聞こえる。
みつをは夜景を見乍ら典子の肩を後ろから抱きしめて、
「綺麗だろ?」「うん」
雰囲気に任せて二人は口づけした。
典「いいじゃん。いい。こんなロマンチックな気分になるって、女子大以来よ。」
み「へえ?女子大時代はモテたん?」
典「ノーコメント」
典子は小柄だ。みつをは大柄だから、いきなり典子を抱き上げて、そのままルームに入って行った。

(あとはもういいでしょ??シャワー浴びて、お互いを洗って、バスローブを巻いて、ベッドに横たわって、愛撫し合って、挿入する。
それを一々描写する必要なんかない。男と女のする事さ。)
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