4 / 40
四、目覚め
しおりを挟む
城は変わりなく、少しばかり片付けが進んでいたが、食堂はまだ使えなかった。と言うより、あの天井の大穴はどうしようもないかも知れない。
アイルーミヤ将軍は執務室に入ると溜まっている通信紙の発信人と件名だけ見たが、緊急の件はなかった。本当に緊急なら転送されるしな、と頷く。
『にゃー』
「いい子で留守番できた?」
クツシタは、彼女の顔を見るなり耳を伏せ、尻尾を膨らませた。
『しゃー』
生意気に、小さいなりで威嚇する。
「どうした? 私だよ」
声をかけたがクツシタはどうしようか迷っている様子だった。
そこで彼女は気づいた。まだ戦化粧を落としていない。そういう事か。
アイルーミヤ将軍は戦化粧を落とすついでに体を拭こうと思い、召使に命じて湯を桶いっぱい持ってこさせた。
油で戦化粧を落とし、汗と埃を拭い、髪をほどいて櫛を入れた。
「今度はどう?」
清潔な服に着替え、腰掛けて茶を飲む彼女の膝に、機嫌を直したクツシタが跳び乗った。そこから胸に上がり、頭をこすりつけ、喉を鳴らす。
「くすぐったい」
『みゃ』
いつもの日課が始まった。将軍の戦う相手は積み上がった書類だった。その一件一件が判断と決断を求めている。その結果は彼女の肩にかかってくる。
第一と第二軍の連合は終了し、個別に統治に当たらせる。第三軍は農業技術指導など、一歩踏み込んだ教育を始めさせる。人口を増やすため、まずは農業生産性を上げなければならない。それと医学知識の普及だ。
さらに、数は少ないが、人間以外の知的な存在を味方につける必要がある。山や森の奥の巨人、獣人、様々な妖精などだ。人間に比べるとごく僅かな勢力だが、無視はできない。前の失敗は繰り返せない。
これについては各軍、余裕ができ次第交渉部隊を派遣するよう命じた。
それらとは別に、寺院の詳細な調査を指示した。闇の王と我々四将軍が異次元に封印されていた五百年の間、何があったかをもっと細かく、正確に知りたい。寺なら記録が残っているかも知れない。
アイルーミヤ将軍は封印次元での五百年を思い出す。頭の中に仮想世界を作り、戦術や統治方法、様々な技術を研究し、発展させてきた。
今、理由は不明だが封印が解け、現実の世界で研究結果を試している。上手く行けばいいが。いや、成功させなければ。
『みー』
猫は研究対象ではなかった。仮想世界の仮想農場に存在はしていたが、背景のようなものだった。
彼女はちょっと後悔している。こんなに暖かくて柔らかな存在と遊んでいれば、五百年はもっと短かっただろうに。
復活してすぐ、廃墟となった城周辺の人間を支配下におき、他の三将軍と連絡を取った。徐々に支配地域を拡大し、闇の王の信者を増やした。
それでも、強大な闇の王をこの世に引っ張り出すには不足だ。現在の支配地域の人間の信仰の力を注ぎ込んでも王の完全復活にはまだ足りない。かと言って無計画に領土を拡張すると統治しきれなくなる。
ゆっくり急ぐと言う矛盾が将軍の目の前にそびえ立っていた。
クツシタが胸から降り、テーブルの上で伸びをした。背中を丸めてそらし、後足、前足の順に伸ばす。
それを機に一休みしようかと思ったアイルーミヤ将軍に波動が走った。それが何かを悟った彼女の目にうっすらと涙が浮かぶ。
目覚めた。完全ではないけれど、復活への第一歩。
目覚めた。闇の王が大きく胸を膨らませ、封印次元の裂け目からこの世の空気を呼吸した波動。
アイルーミヤ将軍は椅子に深く掛け直し、ためた息を勢いよく吐いた。
水晶玉が呼び出しをかけている。ローセウス将軍だった。緊急会議の開催を呼びかけている。
「ごめん、クツシタ。会議だから」
『にゃ』
彼女はクツシタを追い出し、執務室を締め切った。
いつものように水晶玉を配置する。右手のローセウス将軍が口を開いた。
「急な会議ですまないが、皆も感じ取ったと思う。まずはめでたく祝おうではないか」
四人はしばらく目を閉じ、目覚めを祝う。
「さて、これで陛下復活は次の段階に入った。さらに信者が必要となる。積極的に討って出なければならないだろう」
皆がローセウス将軍に同意した。彼女は言葉を続ける。
「しかし、一方で五百年前のような過ちを犯してはならない。個々の戦闘で勝っても、最後にひっくり返されては何もならない」
「陛下が目覚めたからには、女王も黙ってはいないでしょう」
フラウム将軍はもう厳しい顔をしている。
「その通りです。そこで提案があるのですが、我らそれぞれの支配地域内の寺院の徹底した再調査を行ってはどうでしょう」
「理由は? アイルーミヤ将軍。我々には時間はないのだが」
ローセウス将軍が聞く。
「分かっています。しかし、陛下が目覚めたからこそ、一旦落ち着いて足元を固めたいのです。そろそろ謎を解いておきたい」
「封印に関係する謎ですね」
フラウム将軍が身を乗り出した。
「そうです。光の女王はなぜ、陛下や我らを滅ぼさず封印だけに留めたのか。なぜ我らの封印が解けたのか。今でも陛下を封印する実力はあるのか。疑問ばかりです」
「たしかに、敵を知らずして戦に挑むのは愚かだな」
「ルフス将軍らしくない。女王も力で圧し潰すのでは?」
「からかうな。フラウム将軍。ローセウス将軍の交渉術やアイルーミヤ将軍の寺院攻略を見て学んだのだ」
小規模反乱によほど手を焼いているらしいな、とアイルーミヤ将軍は察した。
「話がそれているぞ。私はアイルーミヤ将軍に賛成だ。情報を事前に集めて悪い事はない」
「だが、そんな人手がどこにありますか」
いつものように三角に手を組んだフラウム将軍が、賛意を示したローセウス将軍に言う。
「陛下を完全に目覚めさせ、力を維持させるだけの信者を集めつつ、調査を行う。どこかで無理が出ますよ」
「それが狙いかも知れないな。女王が一切の変化や発展をさせずに安定した世界を作ったのは」
いまいましそうにルフス将軍が唸って言った。それを受けて同じく苛立っているローセウス将軍が言う。
「陛下の完全なる復活までどれほどの時間がかかる事か。光の女王はじっと監視だけしていればいい。我々がどこかで致命的な間違いを犯して自滅すれば良し。そうでなければその時初めて腰を上げればいい。そういうつもりか」
「想像が多すぎます。とにかく事実を調べないといけないでしょう」
アイルーミヤ将軍は皆を見回して言った。
『それは、アイルーミヤ、お前の、役目だ』
全員の頭に、低く、太い声が響いた。まだぎこちなく滑らかではないが、懐かしい声だった。
四将軍は目を閉じ、頭を垂れた。闇の王の呼びかけに体が硬直する。
『皆、よくやってくれた。久方ぶりにこの世の空気を吸った。良い気分である』
闇の王は言葉を続け、四将軍それぞれをねぎらった後、こう付け加えた。
『しかし、アイルーミヤ。お前は将軍としてはまだ少し修行が必要だ。記録を確認したが、寺院攻略に時間をかけすぎ、かつ、援軍を要請しながら僧三十五人をこの世から取り逃がした。将軍と言うにはあまりに力不足ではないか』
通信紙や水晶玉を使った会議など、闇の王由来の魔法を使った場合、当然ながら何をどうしたのかは王に筒抜けになる。目覚めてすぐそういった記録に目を通したのだろう。王の事務処理能力は将軍たちを遥かにしのいでいる。
アイルーミヤ将軍は硬直したままだったが、頭の中では詫び続けていた。
『至らぬ点は改善致しますゆえ、お許しを』
『だが、先程の提案。もっともである。調査は必要だ。そこで、お前に修行の機会を与えよう。将軍から降格する。東部の支配地域は北部と合わせてローセウス将軍が統治する』
闇の王は苦しげに言葉を切った。荒い呼吸音がする。
『お前は、各支配地域を回り、自分が言った調査任務を果たせ』
言葉が皆の頭に染み込んでいく。
『アイルーミヤ。お前は余の直属となる。世界の謎を調べる道具となれ。そして、今後、お前は自分の物を持たない。領土も、城も、装備も、執事や召使や領民もだ。お前は余の世界の物を借りて生きるのだ。その点を心して修行せよ』
闇の王は大きく息を吐いた。
『疲れた。余はしばらく休む。皆、働きに期待しているぞ』
全員の硬直が解けた。さっきの王のように、ほうっと息を吐く。
それから、三人は同時にアイルーミヤを見た。最初に口を開いたのはローセウス将軍だった。
「アイルーミヤ、部下には話をしておく。任務に必要であれば使ってくれ」
「残念だが、陛下の命令だからな。しかし、寺院攻略に学ぶ所があったのは嘘ではない。それと、私の部下も使ってくれていい」
「むしろ、良い機会と捉えてはどうでしょう? 色々と調べる事が好きなのでしょう。アイルーミヤしょ……。失礼。私も話はしておきます」
アイルーミヤは下を向いたまま聞いていたが、三人の言葉の後、顔を上げた。口を結び、さっぱりとした表情だった。
「皆さ……、閣下、お言葉ありがとうございます。アイルーミヤ、陛下の期待に添えるよう、この身を粉にして働きます。願わくば、今後も変わりなくご支援賜りますよう伏してお願い申し上げます」
三将軍は頷き、水晶玉は暗くなった。アイルーミヤは窓の外に広がる世界を眺めた。
アイルーミヤ将軍は執務室に入ると溜まっている通信紙の発信人と件名だけ見たが、緊急の件はなかった。本当に緊急なら転送されるしな、と頷く。
『にゃー』
「いい子で留守番できた?」
クツシタは、彼女の顔を見るなり耳を伏せ、尻尾を膨らませた。
『しゃー』
生意気に、小さいなりで威嚇する。
「どうした? 私だよ」
声をかけたがクツシタはどうしようか迷っている様子だった。
そこで彼女は気づいた。まだ戦化粧を落としていない。そういう事か。
アイルーミヤ将軍は戦化粧を落とすついでに体を拭こうと思い、召使に命じて湯を桶いっぱい持ってこさせた。
油で戦化粧を落とし、汗と埃を拭い、髪をほどいて櫛を入れた。
「今度はどう?」
清潔な服に着替え、腰掛けて茶を飲む彼女の膝に、機嫌を直したクツシタが跳び乗った。そこから胸に上がり、頭をこすりつけ、喉を鳴らす。
「くすぐったい」
『みゃ』
いつもの日課が始まった。将軍の戦う相手は積み上がった書類だった。その一件一件が判断と決断を求めている。その結果は彼女の肩にかかってくる。
第一と第二軍の連合は終了し、個別に統治に当たらせる。第三軍は農業技術指導など、一歩踏み込んだ教育を始めさせる。人口を増やすため、まずは農業生産性を上げなければならない。それと医学知識の普及だ。
さらに、数は少ないが、人間以外の知的な存在を味方につける必要がある。山や森の奥の巨人、獣人、様々な妖精などだ。人間に比べるとごく僅かな勢力だが、無視はできない。前の失敗は繰り返せない。
これについては各軍、余裕ができ次第交渉部隊を派遣するよう命じた。
それらとは別に、寺院の詳細な調査を指示した。闇の王と我々四将軍が異次元に封印されていた五百年の間、何があったかをもっと細かく、正確に知りたい。寺なら記録が残っているかも知れない。
アイルーミヤ将軍は封印次元での五百年を思い出す。頭の中に仮想世界を作り、戦術や統治方法、様々な技術を研究し、発展させてきた。
今、理由は不明だが封印が解け、現実の世界で研究結果を試している。上手く行けばいいが。いや、成功させなければ。
『みー』
猫は研究対象ではなかった。仮想世界の仮想農場に存在はしていたが、背景のようなものだった。
彼女はちょっと後悔している。こんなに暖かくて柔らかな存在と遊んでいれば、五百年はもっと短かっただろうに。
復活してすぐ、廃墟となった城周辺の人間を支配下におき、他の三将軍と連絡を取った。徐々に支配地域を拡大し、闇の王の信者を増やした。
それでも、強大な闇の王をこの世に引っ張り出すには不足だ。現在の支配地域の人間の信仰の力を注ぎ込んでも王の完全復活にはまだ足りない。かと言って無計画に領土を拡張すると統治しきれなくなる。
ゆっくり急ぐと言う矛盾が将軍の目の前にそびえ立っていた。
クツシタが胸から降り、テーブルの上で伸びをした。背中を丸めてそらし、後足、前足の順に伸ばす。
それを機に一休みしようかと思ったアイルーミヤ将軍に波動が走った。それが何かを悟った彼女の目にうっすらと涙が浮かぶ。
目覚めた。完全ではないけれど、復活への第一歩。
目覚めた。闇の王が大きく胸を膨らませ、封印次元の裂け目からこの世の空気を呼吸した波動。
アイルーミヤ将軍は椅子に深く掛け直し、ためた息を勢いよく吐いた。
水晶玉が呼び出しをかけている。ローセウス将軍だった。緊急会議の開催を呼びかけている。
「ごめん、クツシタ。会議だから」
『にゃ』
彼女はクツシタを追い出し、執務室を締め切った。
いつものように水晶玉を配置する。右手のローセウス将軍が口を開いた。
「急な会議ですまないが、皆も感じ取ったと思う。まずはめでたく祝おうではないか」
四人はしばらく目を閉じ、目覚めを祝う。
「さて、これで陛下復活は次の段階に入った。さらに信者が必要となる。積極的に討って出なければならないだろう」
皆がローセウス将軍に同意した。彼女は言葉を続ける。
「しかし、一方で五百年前のような過ちを犯してはならない。個々の戦闘で勝っても、最後にひっくり返されては何もならない」
「陛下が目覚めたからには、女王も黙ってはいないでしょう」
フラウム将軍はもう厳しい顔をしている。
「その通りです。そこで提案があるのですが、我らそれぞれの支配地域内の寺院の徹底した再調査を行ってはどうでしょう」
「理由は? アイルーミヤ将軍。我々には時間はないのだが」
ローセウス将軍が聞く。
「分かっています。しかし、陛下が目覚めたからこそ、一旦落ち着いて足元を固めたいのです。そろそろ謎を解いておきたい」
「封印に関係する謎ですね」
フラウム将軍が身を乗り出した。
「そうです。光の女王はなぜ、陛下や我らを滅ぼさず封印だけに留めたのか。なぜ我らの封印が解けたのか。今でも陛下を封印する実力はあるのか。疑問ばかりです」
「たしかに、敵を知らずして戦に挑むのは愚かだな」
「ルフス将軍らしくない。女王も力で圧し潰すのでは?」
「からかうな。フラウム将軍。ローセウス将軍の交渉術やアイルーミヤ将軍の寺院攻略を見て学んだのだ」
小規模反乱によほど手を焼いているらしいな、とアイルーミヤ将軍は察した。
「話がそれているぞ。私はアイルーミヤ将軍に賛成だ。情報を事前に集めて悪い事はない」
「だが、そんな人手がどこにありますか」
いつものように三角に手を組んだフラウム将軍が、賛意を示したローセウス将軍に言う。
「陛下を完全に目覚めさせ、力を維持させるだけの信者を集めつつ、調査を行う。どこかで無理が出ますよ」
「それが狙いかも知れないな。女王が一切の変化や発展をさせずに安定した世界を作ったのは」
いまいましそうにルフス将軍が唸って言った。それを受けて同じく苛立っているローセウス将軍が言う。
「陛下の完全なる復活までどれほどの時間がかかる事か。光の女王はじっと監視だけしていればいい。我々がどこかで致命的な間違いを犯して自滅すれば良し。そうでなければその時初めて腰を上げればいい。そういうつもりか」
「想像が多すぎます。とにかく事実を調べないといけないでしょう」
アイルーミヤ将軍は皆を見回して言った。
『それは、アイルーミヤ、お前の、役目だ』
全員の頭に、低く、太い声が響いた。まだぎこちなく滑らかではないが、懐かしい声だった。
四将軍は目を閉じ、頭を垂れた。闇の王の呼びかけに体が硬直する。
『皆、よくやってくれた。久方ぶりにこの世の空気を吸った。良い気分である』
闇の王は言葉を続け、四将軍それぞれをねぎらった後、こう付け加えた。
『しかし、アイルーミヤ。お前は将軍としてはまだ少し修行が必要だ。記録を確認したが、寺院攻略に時間をかけすぎ、かつ、援軍を要請しながら僧三十五人をこの世から取り逃がした。将軍と言うにはあまりに力不足ではないか』
通信紙や水晶玉を使った会議など、闇の王由来の魔法を使った場合、当然ながら何をどうしたのかは王に筒抜けになる。目覚めてすぐそういった記録に目を通したのだろう。王の事務処理能力は将軍たちを遥かにしのいでいる。
アイルーミヤ将軍は硬直したままだったが、頭の中では詫び続けていた。
『至らぬ点は改善致しますゆえ、お許しを』
『だが、先程の提案。もっともである。調査は必要だ。そこで、お前に修行の機会を与えよう。将軍から降格する。東部の支配地域は北部と合わせてローセウス将軍が統治する』
闇の王は苦しげに言葉を切った。荒い呼吸音がする。
『お前は、各支配地域を回り、自分が言った調査任務を果たせ』
言葉が皆の頭に染み込んでいく。
『アイルーミヤ。お前は余の直属となる。世界の謎を調べる道具となれ。そして、今後、お前は自分の物を持たない。領土も、城も、装備も、執事や召使や領民もだ。お前は余の世界の物を借りて生きるのだ。その点を心して修行せよ』
闇の王は大きく息を吐いた。
『疲れた。余はしばらく休む。皆、働きに期待しているぞ』
全員の硬直が解けた。さっきの王のように、ほうっと息を吐く。
それから、三人は同時にアイルーミヤを見た。最初に口を開いたのはローセウス将軍だった。
「アイルーミヤ、部下には話をしておく。任務に必要であれば使ってくれ」
「残念だが、陛下の命令だからな。しかし、寺院攻略に学ぶ所があったのは嘘ではない。それと、私の部下も使ってくれていい」
「むしろ、良い機会と捉えてはどうでしょう? 色々と調べる事が好きなのでしょう。アイルーミヤしょ……。失礼。私も話はしておきます」
アイルーミヤは下を向いたまま聞いていたが、三人の言葉の後、顔を上げた。口を結び、さっぱりとした表情だった。
「皆さ……、閣下、お言葉ありがとうございます。アイルーミヤ、陛下の期待に添えるよう、この身を粉にして働きます。願わくば、今後も変わりなくご支援賜りますよう伏してお願い申し上げます」
三将軍は頷き、水晶玉は暗くなった。アイルーミヤは窓の外に広がる世界を眺めた。
0
あなたにおすすめの小説
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる