ぼくと怪物三人組@トーキョーベイエナジーアイランド

alphapolis_20210224

文字の大きさ
36 / 79
第三部 アップルパイ、閉回路ソースを添えて

しおりを挟む
 結局、アルゴスの提供はやめにした。『カクブンレツ』だけで使う。学習対象を変えればオートマトンやパレットなどの分布も推定できるようになっていた。ただし、これについては公開された情報があるので、今のところ役に立つと言うものではない。
 そして、島内どこでも情報閲覧できるように仮想じゃないプライベートネットワークの設置を行った。作業には一か月ほどかかった。ほとんどが無線で一部有線だった。
 カネとモノ、蓄えを吐き出すのは爽快だった。心がどんどん軽くなる。食事が単調になるくらいかまうものか。

「アルゴスに比較ルーチンを追加したよ」ファーリーが説明する。公開された情報と推定結果を比較し、差異があればアラートを出すというだけの機能だった。今はすべて一致していて緑だった。

「ありがと」

 そう言ったとたん、赤くなった。

「何、これ?」ファーリーが調整するが赤いままだった。
「でもこれじゃ、海面上空にいる事になる」ウォーデが画面を流れるデータをたたき、概算ではなく生データに切り替えた。「わからん、見に行くか」
 ウォーデとビクタが確認しに出た。

 二人を見送ってからデータを地図上に表示させるようにした。
「やっぱり空だ」おどろいた。
「新型かな」ファーリーもとまどっている。
「じゃ、飛行タイプ?」
「まさか、合意を反故にするつもりじゃ」

 アルゴスの推定機関を再確認したが正常だった。公開情報には何もあらわれていない。

 しばらくするとウォーデから通信が入った。

「飛行タイプでまちがいない。一機。ラグビーボールみたいだ。長さ一メートルくらいかな。百メートルほど沖の高度三十メートルくらいで直径十から二十メートルの水平および垂直の円を描いてる。速度は一定しないがトップスピードはかなりありそう。テストしてるみたいな飛びかただな」
 映像が送られてきた。舌打ちする。
「目視でもこんなにぼやけてるのか」
「いや、撮るとそんなになる。『制服』と違ってこっちでははっきり見える」
 ファーリーと顔を見合わせた。
「たぶん、撮像素子に妨害かけてる。効果範囲外から望遠で撮るかシールドがいる」

「ミューチュアル・アグリーメントは?」ぼやけた映像の中でビクタが首を振っている。高速飛行タイプはオートマトン合意に反すると言いたいのだろう。
「飛行タイプを作ったからには殴りあう気なんだろ。マザーは」声だけでも沈んでいるのがわかった。

「勝てんのかよ」とファーリー。

「いや、勝つのが目的かわからない」

 ぼくはアルゴスのデータを見つめる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

身体交換

廣瀬純七
SF
大富豪の老人の男性と若い女性が身体を交換する話

大絶滅 2億年後 -原付でエルフの村にやって来た勇者たち-

半道海豚
SF
200万年後の姉妹編です。2億年後への移住は、誰もが思いもよらない結果になってしまいました。推定2億人の移住者は、1年2カ月の間に2億年後へと旅立ちました。移住者2億人は11万6666年という長い期間にばらまかれてしまいます。結果、移住者個々が独自に生き残りを目指さなくてはならなくなります。本稿は、移住最終期に2億年後へと旅だった5人の少年少女の奮闘を描きます。彼らはなんと、2億年後の移動手段に原付を選びます。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...