ぼくと怪物三人組@トーキョーベイエナジーアイランド

alphapolis_20210224

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第四部 夢見心地に分岐する

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「梱包材は捨てとくぞ」
「コンテナは置いといて、保管箱にする」
「ダメージ大きい。ぼこぼこ」
「いいよ。カバー代わり」

 昔のヒーローものにすっかり詳しくなったが、中身についてそれ以上の情報はなく、やはりチーバランドでのショーに使うらしかった。アクション用の骨組みオートマトンも特別変わったところはない市販品で、足には制御ユニットが埋め込まれていたがメモリの焼失で一緒に溶けてしまっていた。

 ファーリーは解読に苦労している。マザーが使えないのでアルゴスでなんとかしているが、もともとそういう用途に作ったものではない。作業はもう六時間を超えていた。

「どう?」
「うん、ノイズだらけだけど三秒ほど復元できた。後はたぶんマザーでも無理」
「ご苦労さま、ありがと。うっわ」

 動画は色がちらちらし、常に画面の半分以上と音にノイズが乗っていた。

「自撮りか」繰り返し再生にして目を細めた。「男。若い? 後ろの窓の外、何だろう」

 ファーリーが画像を調整すると観覧車だった。
 ビクタが検索した。「チーバランドのだ」

 口をぱくぱくしている。「音、なんとかならない?」

 今度は音が強調され、ウォーデが耳を立てた。「『アマテラス……融合炉……用地……不当な……』 そのくらいしか分からん。口もノイズだらけで読めない」

「アマテラスで融合炉って言ったらあの連中しかいないな」
 みんなうなずいた。ウォーデがあきれたように言う。
「『天地日輪教』か。めんどうな奴らが関わってるんだ」

 ぼくは復元動画の横に『天地日輪教』に関する最近の報道をならべた。核融合発電所の用地選定に干渉しようとして様々な問題を引き起こしている。
 専門家の解説によると、この教団は神道の流れをくむが、核融合炉を地上に降臨した太陽、つまり天照大神の御神体としている。よって核融合発電施設は神域だった。

「なんなんだ、こいつら」ウォーデは馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
「でも、教団の提案に乗れば用地選定はあっという間にかたづくな。信者が寄進するし。補償もいらない。いいじゃないか」ぼくは気楽に言った。
「そのかわり、施設をシュラインとして認めなきゃならなくなる」
「別にかまわないと思うけどね。炉に向かって祈るなんて面白いよ。日本人らしくて」ファーリーも軽く考えているらしい。自分の問題じゃないし。

「だけど、それならエクスペリメンタルやフォーリンのフュージョンリアクターはどうなの? アマテラスオオミカミ、たくさんいる?」
 ぼくは解説を調べてみた。
「ううん、ちがうっぽい。天照大神はあくまで一柱。で、依り代になるのは正しく御祀りした炉だけ。それに分霊だってできるって」
「シントーイズコンビニエント」

 また報道が入った。教団の影響下にある建設会社が作業用オートマトンと人造人間の入札で不正を行ったらしいという独自取材だった。しかしなぜか追及は行われず、そのまま成立してしまったという内容だった。

「きな臭いけど、あたしらの関わる話じゃないね。放っておこうよ」ファーリーは手を振って顔をそむけた。ビクタも降参のように手を上げる。「アグリー。『カクブンレツ』にも島にもノーリレイション」

 ウォーデは牙を見せた。「坊っちゃん、悪い顔してる」

「そう。全部に首突っ込めないけど、その男の謎は解いておきたい。好奇心ってやつ」
 ぼくはまだ繰り返し再生されている復元動画を見ながら言うと、ビクタが口を開きかけた。

「好奇心はキャットを殺すよ」ファーリーが先だった。
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