ベアりんぐ奇譚詩編集

ベアりんぐ

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入口

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 他の詩編を読み漁り、それでも自身の内にあるモヤのようなものが取れることはなく。



ただ読み続けた。



そこに答えがあると信じて。



 時に空を。時に海を。その架空の情景を胸にしまい込むようにして、読み続けた。

 ついに最後の詩編を取る。



しかしそこにはただ、一筋の言葉。





"あなたと共に"





 瞬間、ある扉が開く。眩しいほどの笑顔を携えた人が、懐かしい表情をして立っていた。



あゝ、この時が、入口なんだ。



 頭に広がるその言葉を、ただ彼に向けて。声にならない声を胸に響かせて。

私は今日から——。
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