侯爵令嬢の借金返済計画【R18】

こいなだ陽日

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【2】ドワイト男爵家にて★

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 その夜、タリアはドワイト男爵家へと向かった。使用人の中では唯一事情を知っていると思われる執事頭が自ら馬車を御してくれた。彼も悲痛そうな面持ちをしている。
 屋敷に着くと、ドワイト家の執事により、応接間ではなくアーウェルの寝室に案内された。覚悟はしていたものの、やはりそういうことなのかとタリアは思い知る。
「やあ、いらっしゃい」
 寝室では、ソファーに座ったアーウェルがワイングラスを片手にくつろいでいた。飾り気のないシャツとトラウザーズだけのラフな格好だ。
「お久しぶりです、ドワイト男爵。この度は兄がご迷惑をおかけしたようで、申し訳ございませんでした」
「ああ。その件について、ぜひとも君と話したかった」
 アーウェルが目配せをすると執事がいなくなり、部屋には二人きりになった。
「さて……俺が君をここに呼んだ理由は分かるかい? まさか、ただの話し合いをするだけとは思ってないよね?」
「この時間に、未婚の私が同じく未婚である殿方のお部屋にお邪魔することの意味は、分かっているつもりです」
 タリアははっきりと答える。
「そうか、なら話は早い」
 アーウェルはにっと口角を上げた。
「単刀直入に聞こう。君は男性経験があるかい? それによって、話が違ってくる」
「それは……」
 経験が豊富なほうが良いのか、それとも生娘のほうがいいのか。男性にとってはどちらが好ましいのか、タリアには分からない。
 どちらにせよ、ごまかせる話ではないので彼女は正直に答えた。
「ありません」
 その答えを聞いて、アーウェルは表情を輝かせた。
「そうか! いや、おそらく君はそうだとは思っていたけどね……なるほど、なるほど」
 彼はとても嬉しそうで、タリアはほっとする。
「よし、君の初めてを貰うんだ。借金は半額にしてあげよう」
「……!」
 借金を半分も減らして貰えるならありがたい話だ。しかし、タリアの表情は曇ったままだった。
 半額とはいえ、それは大金だった。こんなに簡単に話が進んでしまっても良いのだろうか?
「どうした? 怖じ気づいたか?」
「いいえ。私にそこまでの価値があるのかと、信じられなくて。もし本当でしたら、先に証文書か何かを……」
「君はこんな時でもしっかりしてるね。よし分かった、先に用意しよう」
 アーウェルは立ち上がると、机の引き出しから元々用意していたのだろう領収書を持ち出してきた。金額欄は空欄だが、そこに借金の半額を書きこむ。
「終わったら、これを君に渡そう」
 彼はサインをして領収書をテーブルに置くと、その上にペーパーウェイトを置いた。どうやら、本当に借金を半額にしてくれるようだ。
「分かりました」
「では、おいで」
 アーウェルはタリアに向かい、手を差し伸べた。その後ろには、大きなベッドがある。
 タリアは無言で彼の手に己の手を重ねた。



 タリアは沢山読んだ本の中から性的な知識を得ていた。
 愛のない、金のための性交だ。押し倒されて裸にされて、乱暴に突っこまれて終わるのだろうと思っていたが、アーウェルのとった行動は予想外のものだった。
「……っ?」
 彼はタリアを寝台に横たえさせると、覆いかぶさり、口づけをしてきたのだ。
 それは、恋をしたことのない彼女にとって初めての口づけであった。体を貪られるだけだと思っていたのに、まさかキスされるなんてとタリアは動揺する。
「っ、はぁ……」
 アーウェルの口づけは優しかった。
 角度を変えながら、何度も優しいキスが繰り返される。柔らかな唇の感触はどこか心地よくて、体の力が抜けると、口腔に彼の舌が差しこまれてきた。
「……っん!」
 口内に異物が入りこんでくる感触に、タリアはびくりと肩を震わせる。
 アーウェルの舌はタリアの口内を確かめるように、歯列から上顎、下顎をなぞった。まるで食べられているような感触に、タリアはぞくりとする。
 しかし、気持ち悪くはなかった。肉厚の舌が口内をかき回すと、お腹の奥が熱くなってくる。
 彼の舌は奥で縮こまっていたタリアの舌を優しく絡めとった。濡れた舌が擦れあうと、甘美な愉悦がじんと体に広がってくる。
「はぁ……ん」
 キスとはせいぜい唇を重ね合わせるだけかと思っていたが、こんなに気持ちいいものだったのか。
 タリアが今まで読んできた恋愛小説では、「二人はキスをした」という文章が数えきれないほどでてきたが、その全てがこのように舌を絡めるような深い口づけだったのだろうか?
 記憶の中にある普通の恋愛小説が急にいやらしいものに思えてきて、タリアはどきどきした。そうこうしている間に、アーウェルの手がタリアの服を脱がせていく。
 こうなることは分かっていたので、タリアは比較的脱がせやすい服を着ていた。コルセットも柔らかい素材のものだ。
 随分と熱のこもった口づけに翻弄されながらも、タリアは時折腰を浮かせながら、彼が服を脱がしやすいように協力をした。その甲斐があってか、あっという間に彼女はドロワーズだけの姿になる。
 豊かな双球がまろみ出ると、タリアは手を交差して隠してしまった。覚悟はしていても、羞恥心は消えない。
「隠してしまうのかい? ……ならば、先にこちらを」
 せっかく暴いた胸を隠したタリアを咎めることなく、アーウェルはドロワーズに手をかけた。一気に引きずり下ろされ、全裸になる。
「やっ……」
 タリアが下肢を隠すより先に、アーウェルはタリアの両膝を左右に割り開いた。
「ああ……随分と慎ましく閉じている。疑っていたわけではないが、君はまさに乙女だ」
 アーウェルはタリアの秘処に顔を寄せると、ちゅっと音をたてて口づけた後、秘裂にそって舌を這わせた。
 書物で得た性交の知識はあるけれど、詳細が書かれていたわけではない。だから、まさかそんな部分を舐められるなど思いもしなかったタリアは混乱する。
「んうっ! ま、待ってください……っ、駄目です、そんなところ、汚……っ、あぁん」
 タリアの制止を聞かず、アーウェルはぴちゃぴちゃと舌を這わせる。すると、唾液では無い粘性のある液体が、蜜口から滲み出てきた。
「ああほら、出てきたよ」
「え……?」
 下肢がじんじんと熱いが、そこがどのようになっているのか、自分の体のことなのにタリア自身もよく分からない。
 しかし、ざらついた舌があらぬところを舐めるたび、腰が疼いた。体の奥からむずむずと何かがこみ上げてくるような気がする。
「んっ、あぁ……っ」
 鼻に抜けるような、甘ったるい声が唇からこぼれ落ちる。しっかりと閉じていた蜜口が、ひくりと戦慄いた。
「少し、痛いかもしれないよ」
 アーウェルは自分の指を舐めると、唾液に濡れたその指をつぷりとタリアの蜜口に埋めこんできた。その瞬間、鋭い痛みが走る。
「……痛っ」
 狭い部分を拡げられる痛みに、タリアは眉根を寄せた。我慢できないほどではないが、それでも痛い。
「きついな……っ、あまりしめつけるな。力を抜いて」
「え……」
 そんなこと言われても、どうしたらいいか分からない。痛みに体が強張ってしまい、自然と力んでしまう。
 戸惑うタリアを見て、アーウェルは蜜口の少し上にある秘玉に唇を寄せた。つんつんと舌先でつつかれると、タリアの体が甘く痺れる。
「んあぁ……」
 今まで経験したことの無い強い快楽がタリアを襲った。
 ぬるついた舌先に触れられると、まるで雷にでも打たれたかのような痺れが体を走るけれど、痛くも不快でもない。蜜口に差しこまれた指が与えてくる痛みより、秘玉に与えられる刺激のほうが強かった。
 愉悦に襲われ、どんどん体の力が抜けていく。それと同時に、ぎちぎちに硬くなっていた媚肉も軟らかくうごめいた。
「やはり、ここがいいのか」
 アーウェルは花芯に口づけたり、舌先で嬲ったり、時に唇で食みながら、ゆっくりと蜜口に埋めた指を動かす。
 だいぶ内側が柔らかくなったところで、彼の指が二本に増やされた。その瞬間はやはり痛んだけれど、肉芽への刺激を与えられ、すぐに快楽が痛みを上書きしてしまう。
「はぁ、んっ……ああ」
 指を動かされると、蜜口からぐちゅぐちゅといやらしい音が響いてきた。なんだか、耳まで犯されているような気分になってしまう。
「随分ここもトロトロに柔らかくなったようだ。ああ――俺ももう、限界だ」
 アーウェルは指を引き抜くと、トラウザーズの前をくつろげる。彼の欲望が現れ、指とは比べものにならないその大きさにタリアは目を瞠った。
 彼は指に絡みついた蜜を肉棒に塗りつけると、つるんとした先端を蜜口にあてがう。
「ああ、タリア……。ようやく君が、俺のものに――どんなに、焦がれていたことか」
 その呟きはあまりにも小さすぎて、タリアの耳には届かなかった。
 隘路を押し拡げながら進んでくる剛直に、タリアの全身が強張る。快楽など微塵もなく、痛みだけが彼女の体を支配した。
「……っ!」
 叫ぶこともままならず、ぱくぱくと口を開閉させる。覚悟はしていたものの、予想以上の痛みだった。
「――っ、は……」
 生理的な涙がぽろりと流れ落ちる。破瓜の痛みで死ぬなど聞いたことはないけれど、気絶してしまえたらどんなに楽だろうかと思った。
 タリアは辛さに顔をゆがめたが、アーウェルも眉間に皺を寄せていた。額には汗が滲んでいて、彼とて辛そうに見える。
 もしかしたら、彼も痛いのだろうかとタリアは心配になってしまった。
 やがて、剛直が根元まで埋めこまれて彼の腰の動きが止まった。まっさらな場所を切り拓かれる行為は終わったけれど、膣はひきつるような痛みを継続的に訴えてくる。
 性交は最初は痛いけれど、じきに気持ち良くなると聞いていた。だが、これが気持ち良くなるだなんて想像もできない。
 痛みのあまり、タリアはシーツを強く握りしめていた。隠していた胸が露わになるが、そんなことは気にしていられない。
「はぁ……タリア……」
 形のよい胸を見て、アーウェルは瞳を細めた。そして、手を伸ばし双球を揉む。
「あっ……!」
「ああ、なんて柔らかいんだ……」
 アーウェルは胸の感触を楽しんでいるようだった。タリアもまた、胸を触れられる感触に意識を持っていかれて、痛みが紛れる気がする。
「大きい上に、なんて綺麗な色なんだ。……ああ、先端が尖ってきたよ。とても可愛らしいね」
 つんと勃った先端を、アーウェルは口に含んだ。じゅるじゅるとまるで赤子のようにすすられて恥ずかしくなる。無意識に蜜口をしめてしまうと、タリアは痛みに、そして彼は快楽に喘いだ。
「あっ!」
「ッく……、は――。動いてないのに、こんなに気持ちが良いなんて……」
 アーウェルは手の甲で額の汗を拭った。汗をかいたらハンカチで拭うのが当たり前だと思っていたから、彼の粗野な仕草が妙に男らしく思えてタリアはどきりとする。
「タリア、痛むかい?」
「ええ……」
 タリアは正直に頷いた。
「そうか……。悪いが、動いてもいいかい? 限界だ」
「……分かりました。でも、その……胸を、触っていて貰えませんか? そこに触れられると、痛みが紛れる気がして……」
 女からそんなことを言うなんて、はしたないとは思う。しかしこの痛みから逃れるためには、なんだってしたかった。
 アーウェルはにこりと笑い、汗を拭った手を再びタリアの胸に乗せる。
「そのくらい、いくらでも」
 タリアの胸をもみながら、彼はゆるゆると腰を動かした。硬いものが行き来するたびに痛みが体を走り抜けるが、それでも胸を揉まれる感触のおかげで痛みだけに支配されずにすむ。
 つんとしこった乳首は、アーウェルの指先がくりくりと押しこんできた。頂を指先でなじられるたび、じわりとお腹の奥が熱くなる。
 愛液が分泌されて、アーウェルの動きもより滑らかになっていった。そして、タリアを襲う痛みも幾分ましになっていく。
「はぁ……ん」
 タリアの嬌声に、快楽が混じり始めた。それに気付いて、アーウェルは微笑む。
「ねえ、胸だけでいいのかい?」
「え……?」
「ここもいいけど、もっと気持ち良くなれる場所があるだろう? そこを触ってあげようか」
 そう言うや否や、アーウェルは片手は胸を揉んだまま、もう片手を下肢へと移した。そして結合部の少し上にある花芯に触れる。
「……っ!」
 じん、と快楽が波紋のように全身に広がった。
「あっ、ああ……っ」
 親指で押し潰すように触れられると下肢が熱くなり、奥から蜜が分泌されるのが彼女自身にも分かった。痛みで硬くなっていた媚肉も、柔らかく波打ち始める。
「ッ、ああ……ここが気持ちいいんだね?」
 タリアはこくこくと頷いた。そこを触れられると、痛みよりも快楽が勝る。
「いいよ、どんどん気持ち良くなって」
 アーウェルは器用に、片手は胸を揉んだまま、もう片手で花芯に親指を押し当て、腰を穿った。腰の動きは緩やかなものだったけれど、彼は十分気持ちよさそうだ。
「……ああ、もう出そうだ……」
 そう呟くと、彼は両手でタリアの腰を掴み、速い動きで腰を打ちつけてくる。
 胸にも花芯にも触れられていないけれど、そこまで痛くは感じなかった。肉と肉のぶつかる音、そして水音を聞きながら、タリアはぼうっとしてくる。
「ッ、ク――」
 肉棒がぶるりと打ち震え、どくどくと精を吐き出した。熱いものが体を満たしていく感覚に、タリアは瞳を細める。
「ハァ……」
 全て注ぎこみ、アーウェルは大きく息をついた。子種が出たのだから、これで終わったのかとタリアはほっとする。だが――――。
「……っ?」
 吐精してもなお、アーウェルのものは硬いままだった。出した精を奥に押しこむように、そして肉壁に塗りつけるように、深く突き挿れたままぐりぐりと腰を押し当ててくる。
「ああっ……あの、何を……?」
「さっき、安堵の表情を浮かべたね? ……これで終わると思ったかい?」
「え……?」
「一度で終わるはずないよ……俺は、ずっと君をこうしたかったんだ」
 繋がったまま、アーウェルはタリアに口づける。そして彼女の唇を貪った。
「んむっ、う――」
「タリア、俺は君の父上に、君と結婚させて欲しいと何度もお願いしていた」
「え……?」
 そんなのは初耳で、タリアは驚き目を見開く。
 確かにタリアは十八歳で、結婚適齢期だ。結婚相手は父が選ぶと言っていたが、結婚の申しこみがきていたことは知らされていなかった。
「君の父上はね、ひどく俺を馬鹿にしたよ。金があっても爵位が低ければ話にならない、と。俺の親のことまで馬鹿にした」
「……っ」
 タリアとて、父親が自分の結婚相手に公爵位の相手を望んでいることは薄々感づいていた。だからといって、タリアと結婚したいと言ってきてくれた相手を馬鹿にするなんて、あってはならない。
「ふふ……せっかく大切にしていた愛娘が、馬鹿にした成金男爵なんかに汚されているなんて、夢にも思わないだろうな。君たち兄妹のことだ、このことは知らせていないのだろう?」
「…………」
 タリアは何も言えなかった。彼は自分をこけにした復讐のために自分を陵辱しているのだと悟る。
「可愛いタリア、そして可哀想なタリア。男爵なんかの汚い子種を中に出されて……」
 アーウェルは強く腰を穿った。ずちゅっと淫猥な音とともに、結合部から精があふれ出る。それには純潔の証しである朱色も混じっていた。
「金のために抱かれるなんて、まるで娼婦だ」
「……っ、はぁ、ん……」
「純潔を失った君が、公爵家に嫁にいけると思うかい? しかも、借金だってある」
 腰を打ちつけながら、アーウェルはタリアの顔を覗きこんできた。
「さあタリア、君はこれからどうするのが一番いいと思う?」
 そう訊ねられても、タリアは答えられなかった。彼が動くと、痛みだけではなく擦れた部分から悦楽が生み出され、喘ぐことしかできなくなってしまう。
「ああっ、んぅ……」
「はは……、もう中で感じているのかい? そんなに、俺の精が気持ちよかったのか。安心しろ、いくらでもくれてやる」
「はぁっ、あ……っ」
「覚えが良すぎて、本当に娼婦のようだ。だが、娼館の扉だけは叩いてくれるなよ?」
 そう言って、アーウェルは噛みつくような口づけをタリアに与えた。唾液を流しこまれ、タリアはそれを嚥下する。
「俺に抱かれながら、よく考えるんだ。これからの自分の身の振りかたを、な」
 アーウェルは口づけながら腰を穿つ。タリアは彼の背中に手を回すこともせず、ただぎゅっとシーツを握りしめていた。
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