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4.変身薬を正しく使ったら

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「ラブレターでも書いて、告白しようかな」

 私の名前は、レモン、金髪の令嬢で、中等部の2年生です。
 好きな幼馴染に、告白なんて出来ない年頃です。

    ◇

 学園の授業の合間です。

「今度は、あの令息に、嘘のラブレターを送りましたのよ」
 意地悪な令嬢が、また、悪いイタズラを始めたようです。

「授業が終わったら、中庭でお待ちしますと、書きましたわ」
「もちろん、誰も待っていませんけど、オーホッホッホ」

 中庭で待つ令息を見て笑う作戦ですね。
 何度もやるから、もう騙される令息はいないでしょうに。

「オーホッホッホ」
 取り巻きも一緒に笑っています。
 情けない令嬢たちです。

    ◇

 授業が終わって、帰ろうとしたら、2階の廊下に意地悪な令嬢たちがいます。

 窓から中庭を見下ろして、下品に笑っています。
 あのラブレターの件ですね。

(困った令嬢たちです。今度は、どなたが騙されたのでしょうか?)
 そっと中庭を見ます。

「ライムン!」
 黒髪のイケメン、私の幼馴染です。
 生真面目な性格なので、騙され易い彼です。

「どうしましょう」
 彼を救いたいです。

「このまま、私が出ていくと、意地悪な令嬢たちが怒りますね」


 急いで、先輩の魔法研究室に、あれを取りに、向かいます。

「先輩は、ここに、薬を隠していたはず」

「ありました、変身スプレー」

 スプレーをシュッと、自分の顔に吹きかけます。



「お待たせしました」
 中庭でライムンに声をかけます。

 顔を変身したので、私だとは、判らないはずです。

 2階の窓を見上げると、意地悪な令嬢たちが、教師から怒られています。

「いや、俺も、いま来た所だ」
 彼らしい優しい嘘です。

「早速で、申し訳ないが、俺は付き合うことはできない」

「どうしてですか、私の顔が、筋肉質だからですか?」
 私の顔は、変身スプレーで、マッスルになっています。

(先輩、これ失敗作ですよ!)


「実は、俺には好きな令嬢がいて、だから、付き合うことはできない」

「え! それは、どなたですか?」
 ライムンに好きな令嬢がいるなんて、ショックです!

「レモン嬢だ」

 え! 好きな令嬢は、私……


「ポン!」
 突然、変身が解けました。

「あ、レモン」
 驚くライムンです。


「ら、ライムン、色々と、お話があります」

 あなたは、騙されやすいので気をつけなさい。
 こんな変身、はやく私と気づきなさい。
 私は、幼い頃から、ずっとあなたを……

 言いたいことが、たくさんあります。
 でも、言えません。

「レモン、一緒に、お茶でも飲みに行かないか」

「は、はい、付いていきます」

 ライムンの、制服のハシをつまんで、付いていきます。


 ━━ FIN ━━



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