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第五章:プリンセス、最果ての地に散る
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地下なのに明るい通路を抜けるとそこには立派な扉があった。どうやらまた試練らしい。一体いくつあるのかわからないけれど、二つの試練を経た今おおよその傾向は察している。
この世界の元になったのがどうもエ□ゲーらしく、様々なイベントもそれを模しているような節が各所に見られる。しかも全くゲームと同じでは無いようで似ているようで似ていない類似品が多い。だからまほプリの世界を模した世界。
最近はそんな風に思っている。
私のお母様たちの名前などそのままのものもあるにはあるのだけれど、どうにも紛い物感がヒシヒシと感じられる。
私がとやかく言えるものではないのだけれど……。言ってみれば私自身がキラリ姫の紛い物……みたいなものよね。
さて、あまり考えないでおきましょう。気持ちが沈んでしまうから。
今はとにかくこの試練とやらを突破して屋敷に戻り、魔法具の破壊か停止をしなければならない。
それが私たちが受領したクエストの目的……ちょっと忘れそうになっていたけれど……。
「この先は試練か?」
「左様でございます。第三にして最後の試練。略して最終試練でございます!!」
「一文字しか省略できてませんけど?」
「シッ! 余計なツッコミはなしですわよ。どうせ無駄な会話シーンが延々と続くだけなのですから」
「あはは……」
聖女様が随分と辛辣になってしまったものだわ。理解できなくはないのだけれど、何だかちょっぴり悲しい気持ちになってしまう。
「それでは入る前に少し説明を致しましょう。この第三の試練を攻略出来れば地下から脱出しご主人様の待つ館の最奥部へと続く通路へ出る事ができます。そこに……おそらく皆様が求めるものがあるでしょう」
「お前たちの動力源である魔法具だな?」
「ご明察でございます」
「それで次の試練の内容は?」
どうせエ□いやつですよ勇者様。でもさっきのはちょっと良かったかも……。うふふ。気持ちよかったなぁ……最近人の温もりを感じてない気がするの……。
(姫さま!! 惚けないでくださいませ!!)
あ……アンに叱られてしまった。こういう時感覚共有はすぐにバレてしまうから困るわね。
「最終試練の内容はウォーゲームでございます」
「ウォーゲーム!? 盤上遊戯の事かっ!!」
「盤上遊戯?」
「ウォーゲーム?」
聞いた事があるような無いような……?
「ご存知ない方もおられるようですな……。よろしい簡単にご説明致しましょう。盤上遊戯ウォーゲームとはーーズバリ『チェス』でございます!!」
ドドン!! 集中線とか効果音とかありとあらゆる視覚効果を使って強調した見開き一ページを使ったようなドヤ顔で言い放ったのはそんな一言だった。
最初からそう言えよ!! 私の中の何かがそう叫んでいた。ドウドウ、落ち着いて俺くん。私もちょっと腹が立ったけどさ……。
「……もちろん!! ただのチェスではございません。あくまで簡単に一言で申し上げるのなら、チェスだというだけでございます」
「おバカな執事のせいで一気にシラけてしまいましたがこの責任をどう取るおつもりでしょうか? もちろん執事長の職を辞して一執事……いいえ生温い、いっそゴミ担当で十分でございますねセバス」
「いきなり呼び捨てですか!? ただのメイドの癖に生意気ですよ」
「ふふん。セバスはつい先ほどゴミ担当に降格したのです。メイドの私よりも下のポジション……いいえ! それどころか最下級ポジションです!」
「失礼なことを言うものではありませんよ。 ゴミを回収して処理する係がいなければ世の中はあっという間に汚物まみれで不衛生な疫病だらけになってしまいます。彼らは立派な、そして重要なポジションですよ。それがわからないとは、なんと嘆かわしい」
「何を言っているのですかセバス? そのようなことは当たり前のことです。ちなみにあなたはゴミ担当です。ゴミ処理担当ではありません。ゴミ担当です」
「……?」
「察しの悪い元執事ですね。よくそんなことでご主人様の執事が勤まったものです。あなたはゴミ担当。察しの悪いあなたにわかりやすく言うのならば……学芸会の木担当みたいなものです」
「はぁ?」
「ですからゴミはゴミらしく部屋の隅にでも転がっていなさい」
「馬鹿らしくて話す気にもなれません。我々はお遊戯をやっているのではありません。それにそもそもあなたに人事権はありませんから、ただの戯言です。寝言は寝ている時に言いなさい。起きている時にいうと恥ずかしいと思いますがね?」
「ぬぐぐぐぐぐ……ああ言えばこういう……減らず口を仰らないでいただきたいです」
「そっくりそのままお返しいたしますよメアリー。皆様が一層白けてしまっていますが、あなたこそ配置転換を致しましょうか?」
「何を勝手なことを言うのですかセバスのくせに」
「忘れたのですか? 私には使用人の人事権が任せられておりますがね?」
「……それでは皆さまこれよりセバス様がご説明を致します、心して聞くように。さぁセバス様どうぞお願いいたします」
「何という変わり身の早さでしょうか……まったく……」
「ーーそれで試練の説明の続きをいいか?」
残念ながらこちらが突っ込まなくても有能な、本当にある意味有能なメイドが勝手に突っ込みを入れて勝手に無駄な会話シーンが挿入されてしまった。
「お姉様……」
「……言わないで……私もう嫌……」
「ご安心ください。この精神的な疲労は後ほど私がベッドで解きほぐして差し上げますから」
「ええ……ありが……とう? ……ん!?」
「ああっ!! やっと……やっと私の愛を受け入れてくれる気になったのですね!!」
「違っ!! 今のは違うから!! 疲れて何も考えずに返事をしただけよ! なしよなし!!」
「うふふ。分かっています。照れていらっしゃるのですね? そんなお姉様の気持ちもキラリはちゃんと分かっていますからご心配なく」
「ちっとも分かってないわよ!! 私はノーマルなの!! あなたと違って女同士に興味はないのよ!!」
「えっ!? 男は男で結構ですが女同士もまたいいものですよ? 女の子の体の事は女の子が一番よく分かっています。お姉様には未体験のそれはそれは気持ちのいい世界をお見せ致しますわ」
「……ゴクリ……」
「あら? 意外と興味ありですか?」
「ち、違うわ! 今のはその……」
おやおやおやおや!? 絶望的だと思っていたのに!? 意外や意外、言い続けてみるものですね。なんでしょう刷り込み効果とかそう言うものでしょうか? 微妙に引き込み始めているのではないでしょうか? これが世に言う継続は力なりという奴ですね!!
凄いです!! 効果や努力が実感できた時ってこんなにも嬉しいものなんですね!! 私俄然やる気が出てきましたよ!!
「……お前たちまで何をやっているんだ? ソフィス、いい加減にキラリの言動に惑わされるな。こいつはお前をからかっているだけだ。まぁ、本気でもあるようだがな」
「そ、そうよね、からかって……へ? 本気でもある? あれ、それってつまり……?」
「お前がしっかりしていれば問題ない。逆にお前が堕ちれば……まぁ二人で仲良くやってくれ」
「いひひ。この二人の濡場はそれはそれはいいシーンになりそうだねぇ」
「なっーー!?」
「あら? 私は見られて興奮する性ではありませんから、二人っきりで楽しみますよ?」
「そうしてくれ。さて、二人の事は二人に任せて話を戻そう。ウォーゲームとやらの詳しい説明をしてもらおうか、どうせただのウォーゲームではないのだろう?」
「えっ!? ちょっと待って!? 私とこの娘をセットにしないで!? ねぇ聞いてるノイン!? 私は違うの、そういう趣味じゃないの!! ねぇ、ちょっと!? えっ!? 嘘でしょ! 待ってよ! ねぇ、ちょっと、誰か私の話を聞いてぇぇぇぇっっ!!!」
「はいお姉様♪」
「ありがと……って!! 違うわよ!! あなたじゃ意味ないでしょ!!」
「そんなイジワルを言わないでくださいお・ね・え・さ・ま♪」
「ーーソフィス静かにしないか」
「ふえぇぇぇん!? なんでぇぇぇぇ!? どうしてこうなるのぉぉぉっもほぉご!?」
「はい、静かにしましょうね~」
後ろから抱きしめるようにお姉様のお口を塞いで差し上げました。やだ、お口で塞いで差し上げればよかったかしら? うふふ。
この世界の元になったのがどうもエ□ゲーらしく、様々なイベントもそれを模しているような節が各所に見られる。しかも全くゲームと同じでは無いようで似ているようで似ていない類似品が多い。だからまほプリの世界を模した世界。
最近はそんな風に思っている。
私のお母様たちの名前などそのままのものもあるにはあるのだけれど、どうにも紛い物感がヒシヒシと感じられる。
私がとやかく言えるものではないのだけれど……。言ってみれば私自身がキラリ姫の紛い物……みたいなものよね。
さて、あまり考えないでおきましょう。気持ちが沈んでしまうから。
今はとにかくこの試練とやらを突破して屋敷に戻り、魔法具の破壊か停止をしなければならない。
それが私たちが受領したクエストの目的……ちょっと忘れそうになっていたけれど……。
「この先は試練か?」
「左様でございます。第三にして最後の試練。略して最終試練でございます!!」
「一文字しか省略できてませんけど?」
「シッ! 余計なツッコミはなしですわよ。どうせ無駄な会話シーンが延々と続くだけなのですから」
「あはは……」
聖女様が随分と辛辣になってしまったものだわ。理解できなくはないのだけれど、何だかちょっぴり悲しい気持ちになってしまう。
「それでは入る前に少し説明を致しましょう。この第三の試練を攻略出来れば地下から脱出しご主人様の待つ館の最奥部へと続く通路へ出る事ができます。そこに……おそらく皆様が求めるものがあるでしょう」
「お前たちの動力源である魔法具だな?」
「ご明察でございます」
「それで次の試練の内容は?」
どうせエ□いやつですよ勇者様。でもさっきのはちょっと良かったかも……。うふふ。気持ちよかったなぁ……最近人の温もりを感じてない気がするの……。
(姫さま!! 惚けないでくださいませ!!)
あ……アンに叱られてしまった。こういう時感覚共有はすぐにバレてしまうから困るわね。
「最終試練の内容はウォーゲームでございます」
「ウォーゲーム!? 盤上遊戯の事かっ!!」
「盤上遊戯?」
「ウォーゲーム?」
聞いた事があるような無いような……?
「ご存知ない方もおられるようですな……。よろしい簡単にご説明致しましょう。盤上遊戯ウォーゲームとはーーズバリ『チェス』でございます!!」
ドドン!! 集中線とか効果音とかありとあらゆる視覚効果を使って強調した見開き一ページを使ったようなドヤ顔で言い放ったのはそんな一言だった。
最初からそう言えよ!! 私の中の何かがそう叫んでいた。ドウドウ、落ち着いて俺くん。私もちょっと腹が立ったけどさ……。
「……もちろん!! ただのチェスではございません。あくまで簡単に一言で申し上げるのなら、チェスだというだけでございます」
「おバカな執事のせいで一気にシラけてしまいましたがこの責任をどう取るおつもりでしょうか? もちろん執事長の職を辞して一執事……いいえ生温い、いっそゴミ担当で十分でございますねセバス」
「いきなり呼び捨てですか!? ただのメイドの癖に生意気ですよ」
「ふふん。セバスはつい先ほどゴミ担当に降格したのです。メイドの私よりも下のポジション……いいえ! それどころか最下級ポジションです!」
「失礼なことを言うものではありませんよ。 ゴミを回収して処理する係がいなければ世の中はあっという間に汚物まみれで不衛生な疫病だらけになってしまいます。彼らは立派な、そして重要なポジションですよ。それがわからないとは、なんと嘆かわしい」
「何を言っているのですかセバス? そのようなことは当たり前のことです。ちなみにあなたはゴミ担当です。ゴミ処理担当ではありません。ゴミ担当です」
「……?」
「察しの悪い元執事ですね。よくそんなことでご主人様の執事が勤まったものです。あなたはゴミ担当。察しの悪いあなたにわかりやすく言うのならば……学芸会の木担当みたいなものです」
「はぁ?」
「ですからゴミはゴミらしく部屋の隅にでも転がっていなさい」
「馬鹿らしくて話す気にもなれません。我々はお遊戯をやっているのではありません。それにそもそもあなたに人事権はありませんから、ただの戯言です。寝言は寝ている時に言いなさい。起きている時にいうと恥ずかしいと思いますがね?」
「ぬぐぐぐぐぐ……ああ言えばこういう……減らず口を仰らないでいただきたいです」
「そっくりそのままお返しいたしますよメアリー。皆様が一層白けてしまっていますが、あなたこそ配置転換を致しましょうか?」
「何を勝手なことを言うのですかセバスのくせに」
「忘れたのですか? 私には使用人の人事権が任せられておりますがね?」
「……それでは皆さまこれよりセバス様がご説明を致します、心して聞くように。さぁセバス様どうぞお願いいたします」
「何という変わり身の早さでしょうか……まったく……」
「ーーそれで試練の説明の続きをいいか?」
残念ながらこちらが突っ込まなくても有能な、本当にある意味有能なメイドが勝手に突っ込みを入れて勝手に無駄な会話シーンが挿入されてしまった。
「お姉様……」
「……言わないで……私もう嫌……」
「ご安心ください。この精神的な疲労は後ほど私がベッドで解きほぐして差し上げますから」
「ええ……ありが……とう? ……ん!?」
「ああっ!! やっと……やっと私の愛を受け入れてくれる気になったのですね!!」
「違っ!! 今のは違うから!! 疲れて何も考えずに返事をしただけよ! なしよなし!!」
「うふふ。分かっています。照れていらっしゃるのですね? そんなお姉様の気持ちもキラリはちゃんと分かっていますからご心配なく」
「ちっとも分かってないわよ!! 私はノーマルなの!! あなたと違って女同士に興味はないのよ!!」
「えっ!? 男は男で結構ですが女同士もまたいいものですよ? 女の子の体の事は女の子が一番よく分かっています。お姉様には未体験のそれはそれは気持ちのいい世界をお見せ致しますわ」
「……ゴクリ……」
「あら? 意外と興味ありですか?」
「ち、違うわ! 今のはその……」
おやおやおやおや!? 絶望的だと思っていたのに!? 意外や意外、言い続けてみるものですね。なんでしょう刷り込み効果とかそう言うものでしょうか? 微妙に引き込み始めているのではないでしょうか? これが世に言う継続は力なりという奴ですね!!
凄いです!! 効果や努力が実感できた時ってこんなにも嬉しいものなんですね!! 私俄然やる気が出てきましたよ!!
「……お前たちまで何をやっているんだ? ソフィス、いい加減にキラリの言動に惑わされるな。こいつはお前をからかっているだけだ。まぁ、本気でもあるようだがな」
「そ、そうよね、からかって……へ? 本気でもある? あれ、それってつまり……?」
「お前がしっかりしていれば問題ない。逆にお前が堕ちれば……まぁ二人で仲良くやってくれ」
「いひひ。この二人の濡場はそれはそれはいいシーンになりそうだねぇ」
「なっーー!?」
「あら? 私は見られて興奮する性ではありませんから、二人っきりで楽しみますよ?」
「そうしてくれ。さて、二人の事は二人に任せて話を戻そう。ウォーゲームとやらの詳しい説明をしてもらおうか、どうせただのウォーゲームではないのだろう?」
「えっ!? ちょっと待って!? 私とこの娘をセットにしないで!? ねぇ聞いてるノイン!? 私は違うの、そういう趣味じゃないの!! ねぇ、ちょっと!? えっ!? 嘘でしょ! 待ってよ! ねぇ、ちょっと、誰か私の話を聞いてぇぇぇぇっっ!!!」
「はいお姉様♪」
「ありがと……って!! 違うわよ!! あなたじゃ意味ないでしょ!!」
「そんなイジワルを言わないでくださいお・ね・え・さ・ま♪」
「ーーソフィス静かにしないか」
「ふえぇぇぇん!? なんでぇぇぇぇ!? どうしてこうなるのぉぉぉっもほぉご!?」
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後ろから抱きしめるようにお姉様のお口を塞いで差し上げました。やだ、お口で塞いで差し上げればよかったかしら? うふふ。
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