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第五章:プリンセス、最果ての地に散る
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「ーー『雷光の矢』」
解き放たれた無数の雷光の矢が王の間を埋め尽くした。
閃光と空気を引き裂く音が廃墟となった城内を駆け抜ける。
普通の人族なら為す術もなく死んでいたはずだけれど……さすがは勇者、そしてその仲間たち。対魔法に関してきっちりと対策を講じている。
「ルクス! 長くは持ちません!! 急いでください!!」
聖女が叫んだ。でも私だって勇者を一番警戒しているわよ。特にあの理不尽な勇者スキルはね。
「ーー余所見をしていていいのか?」
「ノインーー剣聖か……怖い怖い。あの一瞬でここまで詰めているだなんて。剣で貴女には敵わないわ……だからそうね、これでどうかしら? 『魔力の盾』」
迫る剣聖の前に盾を生み出す。半透明の壁のようなそれをたった数回剣を振るう事で容易く斬り裂いた……ふふふ。いい剣ね。冥王様と戦った時よりもいい剣なのではないかしら……でもそれだけ? 盾の相手をしているだけでは私には届かないわよ?
「『魔力の盾』」
「何度やっても同じだ!! この程度の盾に私は止められん!!」
「そう? 『魔力の盾』」
「なにっ!?」
「ほらほら『魔力の盾』」
「ぐっ!?」
「急がないと大変よ『魔力の盾』」
「あらあら……『魔力の盾』」
「右も、左も、前も後ろも……うふふふふ! さあ、さあ! さあっ!! どうにかしてみなさい剣聖!! 『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』………………ふふふ……ふふあははははは!!」
斬り裂かれても斬り裂かれても関係ない。この程度ならいくらでも作り出せる。次から次へと作り出した魔法の盾で剣聖の体を覆い尽くす。
いくら剣聖でも身動きが出来なくてはその剣技を活かせない。ダメよ剣聖さん。私のような存在に迂闊に近付いては……うふふ。でも近付かないと戦いにすらならないけれどもね、ふふ……ふふふふはははははあははははは!!
「ノイン!!」
「今度は聖女が相手かしら? それとも勇者?」
聖女はともかく勇者がアクアキューブに阻まれて接近も出来ないなんて……ホント、何を企んでいるのかしら? 彼の技なら簡単に接近できるはずなのに……。
「ーー!?」
「ああ……そういう事? まさかこの期に及んで私を殺さないつもりなのかしら? ねぇメルさん?」
背後を振り返れば魔法の蔦に絡め取られたメルさんがいた。
「キラリ……ちゃん……お姉さんといい事……しないかねぇ?」
「あら? それもいいですわね。では私が満足できるかどうか……少し試してみましょうね?」
蔦を操り四肢を広げるように拘束する。
女の子を縛り上げるっていいわよね。
「ちょっと……お姉さんの趣味じゃないんだけどねぇ……」
「大丈夫ですわ、怖いのは最初だけ。あとはめくるめく官能の世界へと逝けますわ……ふふふ」
「キラリちゃん性格変わりすぎじゃないかねぇ……お姉さんちょっとピンチだねぇ……ンァッ!?」
せっかくだから亀甲縛りでドレスアップしてあげますわ。それと……。触手で陵辱はエ□ゲーの基本中の基本。ほらほら装備の隙間から入り込むわよ……うふふ。
そうそう、メルさんたら意外と強情そうだから少しハメを外してもらわなくてはね?
「なにっングぅぅっ!?」
無理やりお口にアレを突き入れて特製のジュースをご馳走して差し上げますわ。アレといっても私にアレはないので蔦を変形させたモノですけれどもね。
でもいいわ。とってもステキよ。口元に溢れたトロリとしたモノが興奮させるわ。
「うふふ。気持ちよくなってくださいね……」
「何を飲ませた!? ングぅぅっ……ああぁぁぁぁぁぁっっっ!!」
アン……最大感度にしてあげてね。私の媚薬と快楽制御を組み合わせると……とっても素敵な夢が見られるのよ……。戻って来られないかもしれないけれども……。
「あらぁ! もう戦力半減ですわね……さてどうしましょう?」
再び勇者と相対する。
キューブには相応に魔力を込めたからそう簡単には破壊できない。それに……彼らを自由にさせると何をするかわからないから適当に追加で作り出しておく。この魔法とっても便利だわ。攻守ともに大活躍ね。
「キラリくん……君を斬りたくない……降参してくれないか?」
半ば無力されているというのにまだそんな戯言を……。
「キューブも満足に対処できないのに何を言うかと思えば……どうしたのです勇者よ? ここで魔王を殺さなければ人族が滅びますよ? それとも……非道な人族の行いに愛想を尽かしましたか?」
「くっ!?」
「ルクス!」
「大丈夫だソフィス! お前はお前の仕事をやれ!!」
「……おやおや……切り札は聖女ですか? 果たして切り札になりうるのか……『静寂』」
「ーー!!」
あら残念。聖女様の周囲は静寂に包まれてしまいました。適当にキューブで囲んでおけば、もはや手も足も出ないでしょう……。
「降参……してくれないか?」
「まだ言うのですか勇者よ……すでにお前の仲間は身動き一つ出来ない! これでどうして私が降参するのです?」
「それでも君を斬りたくない……人族の行いを支持する気はないが……連合軍の騎士たちを全滅させた君を放っておくこともできない……。俺に降ってくれないか? 悪いようにはしない!」
「……最後の魔族、最後の魔王である私の処遇など死刑以外に何があるのですか? それとも勇者であるあなたの妻にでも娶ってくれるのですか? 魔王の娘である私を? 勇者ならそのような無理も通せるかも知れませんね?」
「君が望むのなら聖王に掛け合おう。連合軍を壊滅させた魔族の最後の生き残りを俺の妻にと掛け合おう!!」
「……そんな事をしてあなたに何の利があるというのです……お人好しも大概にしないとノインさんに愛想を尽かされますよ。ふふふ」
「キラリくんーー」
「さあ、お遊びは終わりにしましょう。早く私を倒さなければ仲間が死にますよ? 誰からいきましょうか?」
「クソッ! どうしても受け入れてくれないのならーーそれならばっっ!! こちらも力づくでいかせてもらう!!! ブレイブリーソード!!」
やっと本気になったわね……。
勇者の放つ閃光が斬り裂いた……。
望むものだけを斬る理解不能な勇者の力。この技なら私も斬れるかしら……。
目を閉じてじっとその時を待つ。でも……何も起こらない。私に届かなかった訳ではないはず……とすると……。
目を開けるとキューブの大半が消しとばされていた。
……やっぱり狙いは私ではないのね……だとすると。
「……何のつもり? たとえ仲間を自由にしてもまた同じ事の繰り返しよ!」
「そんなことはないさ!!」
「ーーそうですわ! 狙い通りですわキラリさん!!」
背後から聞こえる筈のない声ーー聖女ーーお姉さまの声がーー。まさか!? キューブの囲いを抜けてきたの!?
見ればそちらのキューブは変わらずに在った!?
「ーーなんで!?」
「最初から私だけが偽物だったのよ……上手くいってよかったわ。捕まえた……それでどうするのキラリ? 私を振りほどかなければこれで終わりよ?」
「くっーー!?」
「無理よあなたの力では……それこそ殺す気でもないとね?」
「この程度でわたーーんんっ!?」
「封じられてしまうわよね……あなたの弱点だもの……」
「ふざけーーんっ!?」
「ダメよ。そう簡単に逃がさないわよ? どう? キスが上手になったでしょう?」
「んんっ!? はなーーんむぅ……くっ!?」
「ぷはっ……段々と慣れてきたわ。キス以外にも……こんなのはどうかしら?」
「ーーんぁ!?」
まさかこんな攻撃に屈するというの!?
こんなーー!? こんなーー!?
あぁぁぁぁっっんんんっっ!!
「どうしたの余裕がなくなったわよ? 旅の間散々私に絡んでくれてありがとう。お陰でこんなにもお礼が出来ますわ」
「私は……私は最後の魔王ーーこんな事で……こんな事で……」
「でも体は言う事を聞かない……」
「んぁぁっ!?」
魔法を使おうとする度にあの手のこの手で口を封じられる……。
このままでは……。
「ほら、もういいでしょう? 忘れてしまいなさい……全部忘れて私の側にいなさい! 辛いのも! 悲しいのも! もういいでしょう!!」
……お姉様……。
「キラリくん……」
「キラリ……」
「そういうのもいいんじゃないかねぇ?」
「ほらキラリさん……白馬の王子様ではありませんが、変態のあなたには私でちょうどいいでしょう? 何もかも全て忘れてしまいなさい……私が忘れさせてあげます……」
お姉様の言葉に引き寄せられそうになる。このまま心地よい温もりに身を委ねてしまいたくなる……。
ーーでも!!
忘れる? ……何を? ……全てを? ……蹂躙された同胞の無念を? ……家族も仲間も国も失った私の悲しみも怨みも? このよくわからない感情の全てを忘れてしまうの!? ……そして何よりも不甲斐ない自分自身への怒りを忘れてしまうと言うの……。
それは……。
「……きない……」
「キラリ?」
「そんな……は……きない……」
全てを忘れて私だけが生き残る事なんて出来ない!!
「お姉様……ルクス様……ノインさん……メルさん……こんな、こんな私なんかの為に……くふ……うふふふ……ふふふふふふふふふふふ!! ダメよそんなの!! 私は最後の魔族の王。人族を根絶やしにするまで私は終われない!!」
気の緩んでいた聖女を振り払い剣を抜くーー!?
「くっ!?」
「剣は抜かせぬ!?」
宙を舞うガルム様の短剣。
剣聖!!
「いっ!?」
「やるしかないのかねぇっ!!」
腹部に走る激痛。
暗殺者!!
「待って! 待って!! お願いーー」
聖女の目から溢れる涙ーー。
それでもーー!!
私は止まれない!!
周りの全てを吹き飛ばして仕切り直しよ!!
「『爆ーー!?」
「ーーエターナルソード……」
勇者の声が妙にハッキリと聞こえた。
そして全身を切り裂く無限の斬撃ーー。
「あ……」
みんなの顔が鮮明に見える。
悪の王を討伐したのにどうしてそんなにも辛そうなの?
ねぇ勇者様……ノインさんもメルさんも……一番酷いのは聖女……お姉様ね。
どさり……。
何か重たいものが地面に落ちたような音。
口から溢れ出す暖かいモノ。
「キラリ! キラリ!!」
柔らかな温もりが私に覆いかぶさった。
「お……ゴボッ……」
「あ……あ……ぁぁぁぁっっ!!」
ああ……私死ぬのね。
何も……何もできずに終わるのね。
出来た事は世界を救った英雄にとても酷い負い目を背負わせてしまう事くらい。元仲間を殺すというね……。
普通では死ぬ事が出来ない私が唯一死ぬ方法。それは勇者の剣で斬られること。
それも何度も何度も……。そう簡単には死なないと思っていたけれど……見事な選択よ勇者様。
あなたは私を殺す為の最高の技を選びました。無限の刃エターナルソード。本来ならそこまで殺傷力の高い剣技ではないのだけれど、私には特別効果的な技なのよ。きっと勇者様には想定外の結果だったでしょうけれども……。
天空王が授けた勇者の為の剣。特別なその剣は通常ダメージに加えて割合ダメージを付与する。私が知る限り……このおかしなレベルの呪縛を超えて私を斬る事ができるのは唯一それだけ。
魔王討伐連合軍を壊滅させた私が生きていてはいけない。中途半端な結末はない。
私が死ぬか世界が滅びるか。
どうやら神様は世界を選択したみたい……。
ごめんねアン……。
温泉巡り出来なくなったわね……。本当にごめんなさい……でも……それでもあなたは生きて。私たち魔族の事なんて忘れていいから……私の分まで幸せになりなさい……。私の最後の願いよ。
そして勇者様……みんな……お姉様……一緒に過ごした旅の時間はとても楽しかったです。出来れば違う形で会いたかったです。でもその思い出が私に最後の一歩を踏み外させなかったのかも知れませんね。それこそ近付く前に殺してしまえばこのような幕引きは起きなかったのに……。やはり英雄ですね……。
ごぽっ……。
そろそろお別れですね……。
「……さ……よ……なら……」
ああ……お姉様ったら酷いお顔ですわ……もう泣かないで……こんな私なんかの為に……。
視界が暗くぼやけて……。
お姉様の顔が見えなくなって……。
温もりも感じられなくなって……。
ああ……もう何も……。
………………。
======
名前:キラリ・フロース・ヒストリア
種族:桃色魔族
性別:女
年齢:16
レベル:438(+4)
生命力:400/400(+300)
魔力:9999/9999
体力:20
筋力:20
敏捷力:120(+100)
知力:70(+50)
器用さ:140(+120)
精神力:120(+100)
運:55
基本スキル/名称:レベル
・礼儀作法:4
・魔法:100
・受胎制御:10
・魔狼招来:2
・魔法改変:2
・隕石召喚:1
・妖精魔法:1(NEW)
パッシブスキル/名称:レベル
・耐性(快楽):-10
・誘惑:10
・依存(快楽):10
・属性(M):9(UP)
・百合の花園:6(UP)
・調教:4
・属性(人妻):1
・龍珠:1
・冥王流剣術:1
特殊スキル/名称:レベル
▲種族特性:桃色魔族
・依存(快楽)スキル取得
・耐性(快楽)スキル取得
・誘惑スキル取得
・受胎制御スキル取得
・特殊成長タイプ(愛)
・レベル限界突破
▲種族特性:スライム
・軟体
・ドレイン
・媚薬体液
▲種族特性:世界樹
・光合成(オートヒール)
・生命の源(生命力+200)
・植物支配
▲魔狼王の加護
・敏捷力+100
・敏捷力限界突破
・魔狼招来スキル取得
▲百合の烙印
・器用さ+20
・百合の花園スキル取得
▲四神の洗礼(白帝)
・知力+50
・魔法改変スキル取得
▲黄龍の守護
・ダメージ耐性上昇
・生命力+100
・生命力限界突破
・龍珠スキル取得
▲冥王の寵愛
・精神力+100
・精神力限界突破
・冥王流剣術スキル取得
▲お世話妖精の敬愛(NEW)
・妖精魔法スキル取得
・器用さ+100
======
注:ステータス情報は最終決戦前の数値です。
第5障:プリンセス、最果ての地に散る
ーー完ーー
解き放たれた無数の雷光の矢が王の間を埋め尽くした。
閃光と空気を引き裂く音が廃墟となった城内を駆け抜ける。
普通の人族なら為す術もなく死んでいたはずだけれど……さすがは勇者、そしてその仲間たち。対魔法に関してきっちりと対策を講じている。
「ルクス! 長くは持ちません!! 急いでください!!」
聖女が叫んだ。でも私だって勇者を一番警戒しているわよ。特にあの理不尽な勇者スキルはね。
「ーー余所見をしていていいのか?」
「ノインーー剣聖か……怖い怖い。あの一瞬でここまで詰めているだなんて。剣で貴女には敵わないわ……だからそうね、これでどうかしら? 『魔力の盾』」
迫る剣聖の前に盾を生み出す。半透明の壁のようなそれをたった数回剣を振るう事で容易く斬り裂いた……ふふふ。いい剣ね。冥王様と戦った時よりもいい剣なのではないかしら……でもそれだけ? 盾の相手をしているだけでは私には届かないわよ?
「『魔力の盾』」
「何度やっても同じだ!! この程度の盾に私は止められん!!」
「そう? 『魔力の盾』」
「なにっ!?」
「ほらほら『魔力の盾』」
「ぐっ!?」
「急がないと大変よ『魔力の盾』」
「あらあら……『魔力の盾』」
「右も、左も、前も後ろも……うふふふふ! さあ、さあ! さあっ!! どうにかしてみなさい剣聖!! 『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』『魔力の盾』………………ふふふ……ふふあははははは!!」
斬り裂かれても斬り裂かれても関係ない。この程度ならいくらでも作り出せる。次から次へと作り出した魔法の盾で剣聖の体を覆い尽くす。
いくら剣聖でも身動きが出来なくてはその剣技を活かせない。ダメよ剣聖さん。私のような存在に迂闊に近付いては……うふふ。でも近付かないと戦いにすらならないけれどもね、ふふ……ふふふふはははははあははははは!!
「ノイン!!」
「今度は聖女が相手かしら? それとも勇者?」
聖女はともかく勇者がアクアキューブに阻まれて接近も出来ないなんて……ホント、何を企んでいるのかしら? 彼の技なら簡単に接近できるはずなのに……。
「ーー!?」
「ああ……そういう事? まさかこの期に及んで私を殺さないつもりなのかしら? ねぇメルさん?」
背後を振り返れば魔法の蔦に絡め取られたメルさんがいた。
「キラリ……ちゃん……お姉さんといい事……しないかねぇ?」
「あら? それもいいですわね。では私が満足できるかどうか……少し試してみましょうね?」
蔦を操り四肢を広げるように拘束する。
女の子を縛り上げるっていいわよね。
「ちょっと……お姉さんの趣味じゃないんだけどねぇ……」
「大丈夫ですわ、怖いのは最初だけ。あとはめくるめく官能の世界へと逝けますわ……ふふふ」
「キラリちゃん性格変わりすぎじゃないかねぇ……お姉さんちょっとピンチだねぇ……ンァッ!?」
せっかくだから亀甲縛りでドレスアップしてあげますわ。それと……。触手で陵辱はエ□ゲーの基本中の基本。ほらほら装備の隙間から入り込むわよ……うふふ。
そうそう、メルさんたら意外と強情そうだから少しハメを外してもらわなくてはね?
「なにっングぅぅっ!?」
無理やりお口にアレを突き入れて特製のジュースをご馳走して差し上げますわ。アレといっても私にアレはないので蔦を変形させたモノですけれどもね。
でもいいわ。とってもステキよ。口元に溢れたトロリとしたモノが興奮させるわ。
「うふふ。気持ちよくなってくださいね……」
「何を飲ませた!? ングぅぅっ……ああぁぁぁぁぁぁっっっ!!」
アン……最大感度にしてあげてね。私の媚薬と快楽制御を組み合わせると……とっても素敵な夢が見られるのよ……。戻って来られないかもしれないけれども……。
「あらぁ! もう戦力半減ですわね……さてどうしましょう?」
再び勇者と相対する。
キューブには相応に魔力を込めたからそう簡単には破壊できない。それに……彼らを自由にさせると何をするかわからないから適当に追加で作り出しておく。この魔法とっても便利だわ。攻守ともに大活躍ね。
「キラリくん……君を斬りたくない……降参してくれないか?」
半ば無力されているというのにまだそんな戯言を……。
「キューブも満足に対処できないのに何を言うかと思えば……どうしたのです勇者よ? ここで魔王を殺さなければ人族が滅びますよ? それとも……非道な人族の行いに愛想を尽かしましたか?」
「くっ!?」
「ルクス!」
「大丈夫だソフィス! お前はお前の仕事をやれ!!」
「……おやおや……切り札は聖女ですか? 果たして切り札になりうるのか……『静寂』」
「ーー!!」
あら残念。聖女様の周囲は静寂に包まれてしまいました。適当にキューブで囲んでおけば、もはや手も足も出ないでしょう……。
「降参……してくれないか?」
「まだ言うのですか勇者よ……すでにお前の仲間は身動き一つ出来ない! これでどうして私が降参するのです?」
「それでも君を斬りたくない……人族の行いを支持する気はないが……連合軍の騎士たちを全滅させた君を放っておくこともできない……。俺に降ってくれないか? 悪いようにはしない!」
「……最後の魔族、最後の魔王である私の処遇など死刑以外に何があるのですか? それとも勇者であるあなたの妻にでも娶ってくれるのですか? 魔王の娘である私を? 勇者ならそのような無理も通せるかも知れませんね?」
「君が望むのなら聖王に掛け合おう。連合軍を壊滅させた魔族の最後の生き残りを俺の妻にと掛け合おう!!」
「……そんな事をしてあなたに何の利があるというのです……お人好しも大概にしないとノインさんに愛想を尽かされますよ。ふふふ」
「キラリくんーー」
「さあ、お遊びは終わりにしましょう。早く私を倒さなければ仲間が死にますよ? 誰からいきましょうか?」
「クソッ! どうしても受け入れてくれないのならーーそれならばっっ!! こちらも力づくでいかせてもらう!!! ブレイブリーソード!!」
やっと本気になったわね……。
勇者の放つ閃光が斬り裂いた……。
望むものだけを斬る理解不能な勇者の力。この技なら私も斬れるかしら……。
目を閉じてじっとその時を待つ。でも……何も起こらない。私に届かなかった訳ではないはず……とすると……。
目を開けるとキューブの大半が消しとばされていた。
……やっぱり狙いは私ではないのね……だとすると。
「……何のつもり? たとえ仲間を自由にしてもまた同じ事の繰り返しよ!」
「そんなことはないさ!!」
「ーーそうですわ! 狙い通りですわキラリさん!!」
背後から聞こえる筈のない声ーー聖女ーーお姉さまの声がーー。まさか!? キューブの囲いを抜けてきたの!?
見ればそちらのキューブは変わらずに在った!?
「ーーなんで!?」
「最初から私だけが偽物だったのよ……上手くいってよかったわ。捕まえた……それでどうするのキラリ? 私を振りほどかなければこれで終わりよ?」
「くっーー!?」
「無理よあなたの力では……それこそ殺す気でもないとね?」
「この程度でわたーーんんっ!?」
「封じられてしまうわよね……あなたの弱点だもの……」
「ふざけーーんっ!?」
「ダメよ。そう簡単に逃がさないわよ? どう? キスが上手になったでしょう?」
「んんっ!? はなーーんむぅ……くっ!?」
「ぷはっ……段々と慣れてきたわ。キス以外にも……こんなのはどうかしら?」
「ーーんぁ!?」
まさかこんな攻撃に屈するというの!?
こんなーー!? こんなーー!?
あぁぁぁぁっっんんんっっ!!
「どうしたの余裕がなくなったわよ? 旅の間散々私に絡んでくれてありがとう。お陰でこんなにもお礼が出来ますわ」
「私は……私は最後の魔王ーーこんな事で……こんな事で……」
「でも体は言う事を聞かない……」
「んぁぁっ!?」
魔法を使おうとする度にあの手のこの手で口を封じられる……。
このままでは……。
「ほら、もういいでしょう? 忘れてしまいなさい……全部忘れて私の側にいなさい! 辛いのも! 悲しいのも! もういいでしょう!!」
……お姉様……。
「キラリくん……」
「キラリ……」
「そういうのもいいんじゃないかねぇ?」
「ほらキラリさん……白馬の王子様ではありませんが、変態のあなたには私でちょうどいいでしょう? 何もかも全て忘れてしまいなさい……私が忘れさせてあげます……」
お姉様の言葉に引き寄せられそうになる。このまま心地よい温もりに身を委ねてしまいたくなる……。
ーーでも!!
忘れる? ……何を? ……全てを? ……蹂躙された同胞の無念を? ……家族も仲間も国も失った私の悲しみも怨みも? このよくわからない感情の全てを忘れてしまうの!? ……そして何よりも不甲斐ない自分自身への怒りを忘れてしまうと言うの……。
それは……。
「……きない……」
「キラリ?」
「そんな……は……きない……」
全てを忘れて私だけが生き残る事なんて出来ない!!
「お姉様……ルクス様……ノインさん……メルさん……こんな、こんな私なんかの為に……くふ……うふふふ……ふふふふふふふふふふふ!! ダメよそんなの!! 私は最後の魔族の王。人族を根絶やしにするまで私は終われない!!」
気の緩んでいた聖女を振り払い剣を抜くーー!?
「くっ!?」
「剣は抜かせぬ!?」
宙を舞うガルム様の短剣。
剣聖!!
「いっ!?」
「やるしかないのかねぇっ!!」
腹部に走る激痛。
暗殺者!!
「待って! 待って!! お願いーー」
聖女の目から溢れる涙ーー。
それでもーー!!
私は止まれない!!
周りの全てを吹き飛ばして仕切り直しよ!!
「『爆ーー!?」
「ーーエターナルソード……」
勇者の声が妙にハッキリと聞こえた。
そして全身を切り裂く無限の斬撃ーー。
「あ……」
みんなの顔が鮮明に見える。
悪の王を討伐したのにどうしてそんなにも辛そうなの?
ねぇ勇者様……ノインさんもメルさんも……一番酷いのは聖女……お姉様ね。
どさり……。
何か重たいものが地面に落ちたような音。
口から溢れ出す暖かいモノ。
「キラリ! キラリ!!」
柔らかな温もりが私に覆いかぶさった。
「お……ゴボッ……」
「あ……あ……ぁぁぁぁっっ!!」
ああ……私死ぬのね。
何も……何もできずに終わるのね。
出来た事は世界を救った英雄にとても酷い負い目を背負わせてしまう事くらい。元仲間を殺すというね……。
普通では死ぬ事が出来ない私が唯一死ぬ方法。それは勇者の剣で斬られること。
それも何度も何度も……。そう簡単には死なないと思っていたけれど……見事な選択よ勇者様。
あなたは私を殺す為の最高の技を選びました。無限の刃エターナルソード。本来ならそこまで殺傷力の高い剣技ではないのだけれど、私には特別効果的な技なのよ。きっと勇者様には想定外の結果だったでしょうけれども……。
天空王が授けた勇者の為の剣。特別なその剣は通常ダメージに加えて割合ダメージを付与する。私が知る限り……このおかしなレベルの呪縛を超えて私を斬る事ができるのは唯一それだけ。
魔王討伐連合軍を壊滅させた私が生きていてはいけない。中途半端な結末はない。
私が死ぬか世界が滅びるか。
どうやら神様は世界を選択したみたい……。
ごめんねアン……。
温泉巡り出来なくなったわね……。本当にごめんなさい……でも……それでもあなたは生きて。私たち魔族の事なんて忘れていいから……私の分まで幸せになりなさい……。私の最後の願いよ。
そして勇者様……みんな……お姉様……一緒に過ごした旅の時間はとても楽しかったです。出来れば違う形で会いたかったです。でもその思い出が私に最後の一歩を踏み外させなかったのかも知れませんね。それこそ近付く前に殺してしまえばこのような幕引きは起きなかったのに……。やはり英雄ですね……。
ごぽっ……。
そろそろお別れですね……。
「……さ……よ……なら……」
ああ……お姉様ったら酷いお顔ですわ……もう泣かないで……こんな私なんかの為に……。
視界が暗くぼやけて……。
お姉様の顔が見えなくなって……。
温もりも感じられなくなって……。
ああ……もう何も……。
………………。
======
名前:キラリ・フロース・ヒストリア
種族:桃色魔族
性別:女
年齢:16
レベル:438(+4)
生命力:400/400(+300)
魔力:9999/9999
体力:20
筋力:20
敏捷力:120(+100)
知力:70(+50)
器用さ:140(+120)
精神力:120(+100)
運:55
基本スキル/名称:レベル
・礼儀作法:4
・魔法:100
・受胎制御:10
・魔狼招来:2
・魔法改変:2
・隕石召喚:1
・妖精魔法:1(NEW)
パッシブスキル/名称:レベル
・耐性(快楽):-10
・誘惑:10
・依存(快楽):10
・属性(M):9(UP)
・百合の花園:6(UP)
・調教:4
・属性(人妻):1
・龍珠:1
・冥王流剣術:1
特殊スキル/名称:レベル
▲種族特性:桃色魔族
・依存(快楽)スキル取得
・耐性(快楽)スキル取得
・誘惑スキル取得
・受胎制御スキル取得
・特殊成長タイプ(愛)
・レベル限界突破
▲種族特性:スライム
・軟体
・ドレイン
・媚薬体液
▲種族特性:世界樹
・光合成(オートヒール)
・生命の源(生命力+200)
・植物支配
▲魔狼王の加護
・敏捷力+100
・敏捷力限界突破
・魔狼招来スキル取得
▲百合の烙印
・器用さ+20
・百合の花園スキル取得
▲四神の洗礼(白帝)
・知力+50
・魔法改変スキル取得
▲黄龍の守護
・ダメージ耐性上昇
・生命力+100
・生命力限界突破
・龍珠スキル取得
▲冥王の寵愛
・精神力+100
・精神力限界突破
・冥王流剣術スキル取得
▲お世話妖精の敬愛(NEW)
・妖精魔法スキル取得
・器用さ+100
======
注:ステータス情報は最終決戦前の数値です。
第5障:プリンセス、最果ての地に散る
ーー完ーー
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