魔法の国のプリンセス

中山さつき

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第六章:プリンセス、絶望に挑む

(16)☆

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 突如何者かに拐われた竜族の姫。それを探して旅に出た竜族の英雄ガラードラ。彼は僅かな手がかりを元に人族の王国へと辿り着いた。
 しかし人ならざる竜の身では人族の街での捜索は難航を極めていた。
 そんな折彼は運命の出会いを果たす。
 魔物が跋扈する北の森で一人の美少女魔法使いと出会ったのだ。
 英雄ガラードラは強力な魔法の力を持つ彼女を仲間に加えいよいよ人族の都へと向かう。
 果たして一体何が待ち受けるのだろうか。英雄は魔法使いの助力を得て姫を救い出す事が出来るのだろうか!?

 ……まるで英雄譚の一節のようだけれど、これがここまでの彼の旅路の概要ね。うん、まとめるとちょっと……いいえかなりチープね。言っちゃなんだけど、私の方が凄くない? ある意味二度目の人生よ? しかもバッドエンドを回避せよ! 的なノリでかなりの無理ゲーを強いられているというのに……。
 しかも私と出会った事で彼の方は難易度がイージーに変わったんじゃないかしら?
 まぁ私にとっても悪い事ではないから……いいわ。彼の仲間として全力で協力しましょう!! 感謝しなさい。でもこれはアレよ、あなたの為じゃないんだからね!(笑)
 なんて事を話を聞きながら考えていたわけだけれど、いよいよその時が来たのかもしれない。色々悩んで先延ばしにしていたけれど、この辺がいい頃合いなのかもしれない。それにこれ以上先延ばしにするのも不安だし。
 なんてまるで自分に言い聞かせようとしているようね。やっぱり少し思うところはあるのかもしれない。
 でも私自身いつまでもこのままではいられないと思っていた。彼なら、竜族の英雄ガラードラならば大丈夫だろう。本音としては王様達の誰かがいいのだけれどもそうも言っていられない……。

「なるほどね、そういう事だったのね……」

 この人の話を聞いて確定した。竜王参戦の真実が。
 だったらやる事は一つ! その憂いを無くしてしまえばいい。たかだか人族の王国の一つや二つ。私にとっては他愛もないわね!!

「それで、その娘はどこに囚われているの?」
「うむ。おそらくは王都だ。故に我はここまで来たのだが……」

 大きな体に力が入ると途端に圧力が増す。竜王とは比べるべくもないけれど、それでも常人がどうこうできるレベルではない事はすぐにわかる。私だってまともに戦えばどうなるかわからない。いいえ、多分勝てない。
 ただし竜王と違って倒す方法はありそうだ。アレほどの強大さは感じないから『虚空』ならなんとかなるだろう。必殺なのがなんだけれど。……幸い今回はその必要がなさそうでよかった。

「……やって来たけどここで手詰まりという事ね。竜族の身では人族とのコネもないでしょうし、探りようがなかった」
「うむ。無茶をすれば未だ行方を把握できておらぬ姫を危険に晒してしまうだろう。これまでも慎重に事を進めてきたのだが……」

 慎重に……ねぇ? 森がこの騒ぎだとすぐに王宮に異変が伝わると思うけれども……。それは今更ね。それよりも竜族の姫か……。

「そもそも竜の姫なのに人族が危害を加えられるものなの?」
「姫は特別なのだ」
「特別ね……」

 理由はわからないけれど普通の竜族と違って弱いという事ね。確かにそれだと無茶は出来ないわね。ただし、それは相手の目的を知らなければの話ね。残念だけど私は知っている。竜姫の使い道はまず間違いなく竜王を動かすための人質。それならそう易々とは危害は加えられない。仮に手出しをしてしまえば怒り狂った竜王に国を滅ぼされてしまう。いえ、竜王が見境なく暴れたなら一国では済まない。大陸存亡の危機になってしまう。それをする程愚かではないと信じたい。
 ……まぁ別に自滅してくれるのならそれはそれでもいいのだけれどーーいや、よくはないか。私にだって守りたいモノの一つや二つはあるわ。……温泉とか、美味しい食べ物とか……ね。

「まぁいいわ。竜姫救出大作戦の前にやる事を済ませましょう」
「やる事とは何だ?」
「私とあなたがするのよ?」

 どう切り出すか悩んだけれど、この脳筋相手に雰囲気とかそういうのは不要な気がした。それならいっそストレートに、ただその行為をするだけの関係でいい。私としても出逢ってすぐに好意がどうとかそういうのは難しい。ただ……誰かの為に一生懸命な所は嫌いじゃない。

「ん? 何をするというのだ?」

 何をってそりゃナニをですよ旦那。(ゴメンちょっと品がなかったわ)
 上品に言っても一緒だからそれはいいとして、この辺りでスキル『純潔の乙女』の限定解除をしておかないと万一があっては困る。既に私のステータスは四割も削られているのだから。
 ホント、あり得ないわね。「未だ愛を受け入れていない証。愛を得られるまでレベル✖10%ステータスが減少する」だなんて! こんなのまるで呪いじゃないのよ!!
 ……ほかのスキルの事を思えば今更だけれど。

「何ってあなた決まってるじゃない。年頃の若い男女が二人きりでする事なんて一つしかないでしょ?」
「ぶっ!?」
「何よ、汚いわね。ほら、早くしましょ」
「待て待て待て待て!! お前は一体何を言っている!? 言葉の意味を理解しているのか!?」
「当たり前でしょ! それとも何? こんな美少女が誘っているのにしないつもり? あなた不能なの?」
「馬鹿を言うな!? 我はこう見えて三児の父なのだぞ!? 絶倫とまでは言わぬが一族でも一、二を争うーーっ!? そうではない!! 何を言わせるのだ馬鹿者。ええい、ニヤニヤするな!!!」
「えーだってーこんな美少女がほら素肌を晒し始めているのにー全然アソコが大きくならないなんてーやっぱり不能ーー」
「だから違うわっ!! そもそもお前のような小娘の裸がなんだと言うのだ!? 胸など無いに等しいでは無いか!? それにそもそもそんな小さな体で我を受け入れる事はできぬと言うものよ……」
「カッチーン!! あーあ、言ってはいけない事を言いましたー。これでも十六なんですけどねー。立たない事の言い訳に使われるだなんてサイテー。でもまぁいいわ。貴方がどうしても嫌だと言うのなら私も別の手段を考えるしかないわ」
「そうか? それは何よりだ。我も貴様のような小さき者に痛い思いをさせずに済むというものよ……」
「はぁ? 何を言っているの? ここに私と貴方しかいない以上やる事は確定なのよ? そのルートが変わるだけ。『束縛の蔦グラスバインド』」
「ーーナニッ!?」

 瞬く間に手足を拘束されて横たわる巨漢。
 私はそのお腹のあたりにそっと腰掛けてアソコを一撫で。

「ーーさぁいい子だから大人しくするのよ?」
「待て待て待て待て!?」
「大丈夫。すぐに気持ちよくなるわ。何も怖く無いわよ」
「だから待てと言っておる!! だいたいなんだそのセリフは!? 逆だろ逆!! 普通はそう言うセリフを言うのは男の方だろうがっ!!」
「その男の方がやらないから配役を変えたのよ? 大人しく抱いてくれれば何の問題もなかったのに……。でも心配しないで? 優しくするわ。ほら、天井のシミでも数えていればいいのよ?」
「だ・か・ら!! 違うだろうっ!! それに天井などないではないか!!」
「だったら雲でも見てなさい。ホントいちいち細かいわね。静かにしなさいよ。大体いくら抵抗しても無駄よ? 貴方が竜王位に強ければどうにかなるかもしれないけれど、そうでなければ本気のコレは破れないわよ? さぁ、覚悟を決めなさい。それに光栄に思いなさい。私の初めてを捧げてあげるのよ? 遠慮しなくていいから残らず吐き出しなさいね」
「バカなっ!? こんなものーー!? グッ……何故だ!? 我が力が及ばぬだとっ!? よもや王ほどなどという世迷言が事実だとでも言うのか?」
「彼に試した事があるわけじゃないけど、多分通用しないと思うの。でも彼以外の竜族なら負ける気がしないわ」

 戦って勝つ事は容易ではないけれど、そうでなければ手玉に取ることくらいは出来るのよ? 特にあなたみたいな脳筋さんタイプはね。
 尚も逃れようと必死に力を込める彼の上で一枚、また一枚と身に纏う衣服を脱いでいく。汚したくないから脱いだそばからストレージに収納していく。
 あ、アンがまだ……胸元の彼女は未だウットリトリップ中。即席の葉っぱのベッドでゆっくりしててね。それをちょっと離れた所に魔法の蔦で籠を作って納めておく。これで安心ね。ちょっと囚われのお姫様感が出てるわね。
 姫! どうかそこでお待ちください!! すぐに終わらせますので!!(笑)

「くっ、戻ってきおったか!」
「当然」

 頑張ったみたいだけど無理だったみたいね。

「ほら、人間諦めが肝心よ。男なら覚悟を決めてやっちゃいなさいよ」
「我は竜だ。それとやっちゃえとか子供が言うでない!!」
「もう十六でーす。大人でーす」
「どう見ても子供だろうが!?」
「気のせいでーす」
「待て、早まるな!? おい、こら!?」
「はいはーい、時間ですよー」

 それから最後の一枚を脱ぎ捨ててもう一度彼の腰へ跨る。白く透き通るような滑らかな肌と僅かに膨らむ胸。先端はまだ小さな蕾のようなピンク色で可愛らしい。全くいやらしさを感じさせない子供の体そのもの。僅かに伸びた桃色の髪以外には以前との違いを見つけられない。つまりはいずれ何処かで誰かにって事ね。桃色魔族である以上避けては通れない道。命を散らすか乙女を散らすかだなんてまぁまぁ過酷な二者択一だこと。
 ホント、どこまでもエ□ゲーワールドね……。
 さぁ、今から彼の精をこの身に受ければ恐らく私はあの姿に成長するはず。
 私には成さなければならない事がある。心を静かに、覚悟はとうにしたはずよ。
 幸い竜族なら相当タフでしょうし、精々私を育てさせてあげるわ。
 ……でも念のために継続回復を一週間くらいに拡大してかけておこう。彼と私と二人にね。

「我慢してね……なんて言うのもおかしいかしら? 男なら美少女の初めてを奪えるのだからご褒美みたいなものでしょ。しかも合法的によ。私なら喜んでやるわよ? だから貴方も面倒な事は考えずに出せるだけ出して頂戴。終わったら姫様の救出について作戦を練りましょう」
「………本気なのか?」
「冗談で男の人を襲えるとでも?」
「………………」

 ようやく観念したのか睨むような視線だけを向けてくる。ただその視線は私を睨むというよりも別の何かに向けて怒っているような感じで、私は顔を背けてしまった。
 これ以上の言葉は必要ない。
 私はもとより彼の方も覚悟を決めてくれた様子だ。
 束縛への抵抗も衣服を脱がされる事への抵抗もなくなった。
 カチャカチャと金具を外す音がシンとした森に響いた。

 

 男の人の腰の上に跨ってゆっくりと降ろしていく。やっと硬くなったアレの先端が私のアソコに押し当たる。チラリと見れば私の唾液でテラテラと光る大きすぎるアレ。
 勃てる事に夢中だったけど、口にすら入らないモノが私の中に入るのかしら? それとも逆? アソコには入るのかしら?
 サイズは間違いなく歴代トップスリーに入るわね……。ナンバーワンは竜王かハデス様か……。うーんと……竜王のは規格外過ぎるわね。アレは普通の人が受け入れられるサイズじゃないわ。あれはもう馬よ馬。(笑)
 笑い事じゃないわ。それを受け入れた前世(?)の私凄い!! でも今回は受け入れる私の方が過去最少だから相手のサイズだけでは判断できないわね。受け側も合わせて考えたらやっぱり過去最高のサイズかもしれない。

「………………」

 これ私死んじゃわないかしら?
 ダメダメ、落ち着いて。これ以上余計な事は考えちゃダメよ。いけるわ!! 私ならいけるはずよ。大丈夫!!

「………………」

 ダメだ。やっぱ怖い。どう言い繕っても怖いものは怖い。初めてじゃないけど初めてだから怖い。それなのに無茶苦茶大きいから怖い。
 こんなサイズが今の私の中に入るわけがない。きっとアソコが裂けて血みどろの流血騒ぎになるんだわ。もちろん初めてを散らすのとは別の流血よ。
 何を言ってるんだと自分の思考がわからなくなる。でもそう思うんだから仕方がない。
 息を吸って吐く。深呼吸のようにゆっくりと繰り返す。強張る体を出来るだけ柔らかくするように意識してお腹に着いた手を緩めていく。私の体がゆっくりと下へ向かう。
 大きなアレが中へ入ろうと、私を貫こうと硬く熱り勃っている。

「んぁ……」

 小さな穴に大きなモノを押し込むようなーーって! そのまんまじゃないのよっ!?

「ぃっ!! ィギッ……ンァーー」

 ッこのっ!! スライムボディ仕事しなさいよ!!

「んぁぁぁっ!!!」

 何で……何でこんなにも痛いのよっ!!
 エ□種族でしょ!? ここで発揮しなくていつ発揮するのよ!!

「ングぅぅっ……」

 大丈夫、ゆっくりいけば大丈夫……。ほら、腕の力を緩めて腰を落とすのよ……。そう、ゆっくりよゆっくり。

「ふぅーふぅーはぁぁーはぁぁ……はぅっ……んん……はぁはぁはぁはぁ……んぁ…くぅっ……」

 どうよ……半分くらい入ったでしょ!? かなり頑張ったんだもの。痛いのも我慢したしーー初めての痛みが思ったほどでもなかったのか、入れること自体が痛すぎたのかはわからないけれど、とにかく出来たわよ!! どうよっ!!

「はぁはぁはぁはぁ……ぁぅ……ど、どうかしら? 美少女のお味は?」

 横たわる竜族の英雄さまを見下ろして聞く。

「………………」
「ん……あまりの感動に言葉も出ないわけね」
「………………」

 まるで悟りでも開いたかの様に「無」といった風な表情で私を見つめてくる。

「んぐぅ……ジンジンする……。ほら、早く出しちゃいなさいよ」
「………………」

 ウンともスンとも言わないガラードラをよく見れば目が違った。

「ンハァ……何よ? その可哀想なモノを見る様な目は!?」
「……うむ。頭がおかしい訳ではないのだな。それでいつまで冗談を言っているつもりだ? 付き合う我の身にもなってほしいものだが?」
「冗談?」
「うむ。冗談なのであろう? 我と契りを結ぶなど到底無理な事。その体では我を受け入れる事は叶わぬ。もうわかったであろう。縛を解くがいい」
「何を言っているの? 現に今私の中にーー」

 恐る恐る視線を落とせばそこには巨大なアレに口付ける様に僅かに咥えた自分のアソコがあった。
 半分どころか入り口をこじ開けただけレベル。アレ? これだと私まだ喪失してないんじゃ……。
 冷たい汗が大量に流れた気がする。あれれ……?
 あれ程の痛みは一体なんだったのか!? ただ入口をこじ開けただけであれ程だったのか!?

「ウソでしょ……」

 記憶にあるものと違いすぎて訳がわからない。
 待って!? だってあんなにも簡単にーー。痛みだってーー。

「早く解くがいい。どの様な目的があるのかは知らぬが別の方法を考えるしかあるまい」
「別の方法なんてないわ。私が真の姿を取り戻すには何者かに抱かれる必要があるのよ。それも出来れば相応の力を持っている人がいいわ……」

 あの時スライムの命を奪ったのが得た力による吸収だったらいいけれど、そうではなく私の体を成長させる為に命を吸い取ったのであれば初めては普通の相手とは出来ない。
 竜族なら多分平気。多分だけど……。だからこそ保険もかけた。今更後には引けない。

「どうしてもか?」
「どうしてもよ。それに貴方の方にもそれほど時間はないでしょう? 竜の姫を少しでも早く救出しないといけないでしょう?」
「その通りだが……だがそのことにお前に何のメリットがある?」
「直接は関係ない。でも人族に竜族を意のままにさせるわけにはいかないのよ。だからそれが出来る可能性は放ってはおけないわ」
「……それは己自身を犠牲にしてもか?」
「犠牲? たかだか男の人に抱かれる事くらいで?」

 純真無垢なお姫様でもあるまいしーーいや、確かにキラリ姫はそうかもしれないけれど、私は違う。既にそういうのとは折り合いをつけた。今更初めては好きな人と……みたいな気持ちはない。ないったらない!!
 だからこれからする事にも特別な意味はない。単に私が成長した元の姿を取り戻すための行為でしかない。

「………………わかった。協力しよう。だからこれを解け」
「………………いいでしょう」

 一瞬逃げられるのではないかという危惧が浮かんだけれど、それはなさそうだとすぐに思い直した。彼は嘘は言わない。協力すると言った以上彼は必ずやり遂げる。そう信じられる気概が感じられた。
 真剣な眼差し、そうこういうのを覚悟を決めた目というのかもしれない。だから信じていいと思った。味方ではないかもしれない。でも今はまだ敵ではない。差し当たっては敵(人族)の敵は味方といったところかもしれないけれど。
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