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【IF】望月【R18】

望月 *

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※ 前話「セツナトリップ」加筆修正しております。



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「・・・やべぇなぁ。魔力交換がここまでだとは思わなかった・・・」


漸く彼の衝動が収まり、疲れ果て、くて、とベッドに横たわる私を背後から抱きしめる彼は、 満足そうに呟く。

この体制は、背面側位・・・『窓の月』と言ったっけ。緩やかな情事スローセックスにはうってつけの体位。

丁度、窓から満月が覗いている。
夢うつつな状態でぼんやり月を眺めていたら、抱き締める腕に力が込められる。

彼曰く、過去にキス程度で魔力交換した事はあるものの、己の芯まで響くような体験はなかったと。


「無理させてすまん。お前はハジメテだってのに、具合良すぎて止められんかった。」

「んっ・・・」


彼は、首筋に唇と舌を這わせながら呟く。
その柔らかな刺激にもイチイチびくっ、と反応してしまうほど、身体は過敏になっていた。

あの身体の根っこにある何かが溶け合うような感覚。
あの後から、私の身体が彼の魔力で包まれているような、根っこ同士が繋がっているような、不思議な感覚が続いている。
 
決して不快でも、嫌な感覚でもない。
寧ろ暖かくて、守られているような、そんな幸せな気分だ。

そして彼の身体から、私の魔力の気配を感じとる。この世界に来て、初めて安心しきっている気がする。

私を抱き締める彼の腕に、そっと手を添える。


「・・・リン、どうした?苦しいか?」


少し身体を起こして、顔を覗き込んできた。
ふるふる、と私は首を振る。
ん?、と甘い笑みを浮かべる彼は、そっと私の頬を撫でる。


「・・・不思議な感覚すぎて、なんと言ったらいいのか。ファーマスさんの魔力を纏ってるようで、安心します・・・。」


すり、と頬に添えられた手に擦り寄る。
くっ、と彼の喉奥が鳴ったと思ったら、覆い被さる様にして唇を塞がれた。
抵抗する気力もなく、されるがままに口内を貪られる。


「これ以上煽るなよ・・・」


漸く唇を離した彼は、困った顔をしてこちらを見ていた。


「・・・離せなくなるだろうが。」


頬に添えられた手が、ふにふにと頬肉を動かした後、親指で唇の縁をなぞる。
くい、と下唇を引かれ、彼の親指を口の中に入れられた。

ぽーっとしたまま、入って来た異物に吸い付く。
ちゅぱ、ちゅぱ、と惚けた顔で、そこに入っているから反射のように吸ってるだけ。

ふと、覆い被さる彼の右肩に、薄っすらとした傷が見えた。何かに齧られたような、そんな痕。
その痕に触れようと手を伸ばす。
私の動きに気がついた彼は、口の中から指を抜いた。


「どうした?」

「傷が・・・」


首を傾げながら、彼は私の動向を見守る。
肩口の噛み痕に手が触れると、あぁ、と理解した顔で、私の手を取り指先に口付けた。


「この傷は、お前が付けた傷だよ。消さないで残しておいた。」


そんな傷、組手練の最中なんかに付けた覚えもなく、首を傾げる。
ぽかんと呆けた顔を見て、くす、と彼は笑った。


「あの時・・・狂戦士化バーサーカーの時、だ。暴れるお前を押さえ込んだ時に、思い切り噛まれたんだよ。」

「そんな・・・ごめんなさぃ・・・」


思い返してみるものの、噛んだ記憶は私の頭からすっぽ抜けているようだ。
そもそもあの時の記憶は、途切れ途切れでしか残っていない。
申し訳なさに居た堪れなくなり、思わず目を伏せる。


「謝る必要はねぇよ。今となっては、お前を戻せた誇るべき傷だし。寧ろ・・・所有印みたいだろ?俺がお前のモノだっていう。」

「ーーーーーっ!!」


トンデモナイ言葉が聞こえた気がして、思わず顔を上げる。
彼は、私を甘やかす蕩ける笑みを浮かべて、覗き込んでいた。
あまりにも近いその距離にビックリして顔に熱がこもる。


「おーおー、今更真っ赤になって、可愛いなぁ。お前の肌は白いから、照れると真っ赤になるのよく分かるな、ホント。」


恥ずかしすぎて顔を背け、近くにあった枕を引っ張り顔を埋める。
くすくすと笑いながら、彼は私の肩に軽くキスを落とすと、耳元で囁いた。


「・・・お前自身はどうなるか分からんけど、俺はもう、お前のモンだから。押し付けになるが、俺の愛も想いの全てもお前と伴にある。離れることがあっても、それを時々思い出してくれ。」


【迷い人】である私は、いつ戻るかも分からない身。
私が気持ちに応えきれないのを分かっていてなお、彼は伴にあると言ってくれる。
私の応えを聞かず、それで良いと。

側から見たら、都合の良い関係なんだろう。

根幹で繋がれる程に愛おしい絆なのに。
それに応えられない私は、存在の不安定さを理由にする、ただの臆病者で卑怯者だ。

すん・・・と鼻の奥が熱くなる。


「・・・また、小難しく考えているな?単純でいいんだ。俺たちは繋がれる程に相性が良い。俺は色々あったから、もうお前以上の相手は見つけられないと本能で判るから。でも、それは俺の事情。
お前はこの後、色々といっぱい経験して判断してくれ?俺はあくまで、お前が帰る場所の選択肢の一つだ。それを気に病む必要はない。俺が勝手に愛して用意しているだけだから。」

「ごめん、なさい・・・」

「だから、謝るな。・・・それに、こうやって、優しいお前の罪悪感に漬け込む、汚い男なんだから。な。」

「・・・汚い男の人なら、そんな事情なんて話しませんよ。」

「そう、お前が応えることも、織り込み済みだからな。」


枕から顔を離し振り向くと、望月の明かりに浮かぶ寂し気な笑みが見えた。
その顔を見ると、私の視界がぼやけてしまった。


「・・・泣くなよ。甘やかされるコトに慣れてないなぁ、お前は。」

「だって・・・」


愛する人との別離の苦しさは知っているから。


「別れる可能性とか、この先のこととか、考えなくて良いから。今を感じてろ・・・」

「そんな・・・ひゃぅん、っ、あぁっ」

そう言って彼は耳朶を食む。
下敷きになっている左手が乳房を掴み、頭を撫でていた右手が秘部を弄り始め。
話していた間大人しかった彼の分身が、私の膣内ナカでまた自己主張を始めた。


「何も考えず、身を任せて気持ち良くなってくれ、な?」



そうして長い最終ラウンドに突入し、私は快楽の波に押し流されたまま、いつの間にか眠りについていた。





******





「う・・・ん。」


部屋に朝陽が差し込み、その明るさに目が覚める。
ベッドの上には私一人。

師匠・・・ファーマスさんが、【洗浄クリーン】をかけてくれたのだろう。
あれだけ彼の残滓に濡れた私の身体も、二人の体液にまみれたシーツも綺麗になっていた。

残り香も感じられず、少し物悲しくなる。
ーーー何もかもが、夢だったかと思える程に。


それでも。
倦怠感にさいなまれる身体と、裸でベッドにいる事実が、夢ではないと認識させてくれる。

怠さの強い身体を叱咤し、ゆるゆると起き上がらせる。


「ひゃんっ。」


身体を起こしたことで、内腿に感じた暖かいモノの刺激に、思わず声を上げた。
膣内ナカに残っていた彼の残滓が溢れ出て、内腿がしとどに濡れそぼる。

コポ・・・と音がするぐらいに流れ出る精はなかなか止まらず、昨日の激しさを思い起こさせた。

思わず顔が赤くなる。
誰がいるわけでもないのに、俯いてしまった。


「ぅわっ」


俯いたことで、自分の身体に目が向いて、吃驚する。
胸から、お腹から、内腿に至るまで、身体の至る所に紅い痕が散らばっていた。

身体の奥が、ツキン、と疼く。


「やだぁ・・・」


疼く身体を嘲笑うかのように、蜜壺から溢れる体液は止まらない。

ふわ、と、彼の匂いが漂い。
私の身体を包む彼の魔力を感じ取る。


『俺はもう、お前のモンだから。押し付けになるが、俺の愛も想いの全てもお前と伴にある。』

「うぅーーっ。」


昨日の囁きを思い出し、ますます身悶える。
反則級の格好良さを思い出した身体の疼きはなかなか治らず。
ベッドから離れる迄に、優に一刻の時を使ってしまった。



***


漸く部屋から出た私は、ダイニングテーブルの上に書き置きと体力回復ポーションを見つける。

書き置きには、特徴的な崩し字で、納品の為ミッドランドの街に戻る事と、昨晩のヤり過ぎた事への謝罪、そして私の身体を気遣う言葉が残されていた。
・・・しかし『また、楽しみにしてる』の言葉はどう取れば良いのか。


その後、ポーションを飲んで仕事に出た私は、一部集落の方に温い視線で頷かれ。
意味が分からず、何毎かと首を傾げていた。


それは、私に漂う彼の魔力の残滓を感じ取った皆さんに、繋がりを持ったコト、即ち、ヤったコトがバレバレだったと知ったのは、かなり後のこと。

・・・それを知った時、恥ずか死にそうになったのは、言うまでもない。






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※  これにてIF編終了です。
※  書いていたら師匠がねちっこくなりすぎて困りました。拗らせて溜まりに溜まった上に絶倫って・・・よく、身体もったなぁ主人公。
※  ホントに血迷ったお話です。お付き合い頂きありがとうございました。

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