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世界観裏話

つきのめがみさま

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※ この世界に伝わる昔話。
※ 143話「炎の中で」に出てきた女神に絡むお話です。『戦乙女ヴァルキリー』にも絡みます。



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むかしむかし、いまよりずーっと、むかしのおはなし。


このせかいでは、ひとも、どうぶつも、せいれいも、みんななかよく、くらしていました。

あるとき、ちのおくふかくから、わるいちからをもつ『まもの』が、たくさんあらわれました。

『まもの』たちは、にんげんや、どうぶつたちをきずつけ、すんでいたところを、こわしてまわりました。

せいれいたちが、にんげんやどうぶつたちをまもろうと、いっしょうけんめい、たたかいました。
にんげんやどうぶつたちも、せいれいといっしょに、たたかいました。

しかし、『まもの』たちは、せいれいたちをとらえ、ころしたり、たべたりしました。

だんだん、せいれいのちからがよわくなり、にんげんもどうぶつも、たたかうことができなくなりました。


そんなとき、ひとりのおんなのこが、おつきさまにいるかみさまに、おいのりをしました。


「おつきさまにいるかみさま、どうかみんなを『まもの』から、たすけてください。おねがいします。」


おつきさまにいた、えらいかみさまは、おんなのこのおねがいを、ききとどけてくれました。

そして、ゆうきをつかさどる、くろかみのめがみさまのちからを、おんなのこにあたえました。

ちからをいただいたおんなのこは、かみのけが、くろくかわりました。

おんなのこは、わきあがるゆうきと、せいなるちからで、にんげんたちやどうぶつたち、よわくなったせいれいたちを、たすけてまわりました。

きずつけられたものたちを、せいなるちからで、いやしました。

たちふさがる『まもの』を、せいなるちからで、うちたおしていきました。

おんなのこにたすけられたものたちは、しだいに、ゆうきをとりもどし、『まもの』とたたかうちからが、わきあがりました。

そして、みんなでちからをあわせ、すこしずつ『まもの』たちを、ちにおいかえすことができました。


そんなあるとき。


ちのおくふかくにいた、『まもの』たちの『おう』があらわれました。

『まもの』の『おう』は、とてもつよい、じゃあくなちからで、みんなをきずつけていきました。

きぼうかつきかけた、そんなとき。

おんなのこは、かみさまにいのりました。

「おつきさまのかみさま。『まもの』の『おう』をたおせる、めがみさまのちからを、おかしください。」


すると、おんなのこのてに、ふしぎなかたちをした『ぶき』があらわれました。

おんなのこは、その『ぶき』を『まもの』の『おう』にむけ、いのりました。


「くろかみのめがみさま。どうか、『まもの』の『おう』を、たおしてください。」


おんなのこの、いのりのちからが、『ぶき』にこめられ、いっぱいになったとき、『ぶき』から、くろかみのつきのめがみさまのちからが、はなたれました。

めがみさまのちからは、『まもの』の『おう』にあたると、せいなるひかりで『まもの』の『おう』をけしさりました。

『まもの』の『おう』がきえたことで、ちのおくふかくからあふれでた、『まもの』もいなくなり、せかいはへいわになりました。


くろかみになったおんなのこは、みんなからかんしゃされ、『いくさおとめ』『いくさめがみ』と、よばれるようになりました。


そして、ひとりのおうさまとけっこんして、しあわせにくらしました。



~ おしまい ~





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※ 果たして、王様と結婚した女の子は、本当に幸せだったのか。
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