12 / 26
ケース1 ムンハルク公爵家の御令嬢ソフィア様の場合
第11話
しおりを挟む「へ?・・・・・・・・・それは、どういう意味でしょうか?」
セリス嬢はまだ自分がどういう立場に置かれているのか理解できていない様だ。
だがそれを説明するのは俺の仕事ではない。
「言葉の通りだ。君がこの数年で破壊した市中の建物や屋台、その他諸々の損害賠償請求がこれだけ溜まっている。ムンハルク公爵家当主である君のお父上が既に全額支払われているが、本来は君が払うべきものだ」
馬鹿な娘が暴れ散らかして、御当主殿は一体いくら払ったのだろう。
積み重なっている下の紙の束が全てその請求書だと言うのだから、恐ろしい事この上ない。
「君はこれだけの迷惑をお父上に掛けただけでなく、その名誉をも傷つけたのだ。君のお父上はとっくに君を見放していた。だからこれだけの金額を払っている事さえ、愚かな娘には伝えなかったのだろう」
伝えたところで娘の人間性が変わるとは思えなかったのだろう。
「そして金銭的な負担をお父上にかけ続け、他の貴族達からの反感も買い続けた君は・・・・・・・・・見えるかい?全200ほどの貴族家のうちのその半数、100の貴族家の当主達から嘆願書が出されている」
そりゃすごい。
カイン君が広げた羊皮紙にはズラーッと各貴族家の当主の名前が並んでいる。
上は公爵、下は男爵までいた。壮観だ。
セリス嬢が貴族社会から嫌われているのは知っていたが、まさか全体のうちの半数もの貴族に嫌われていたとは・・・・・・
もはや褒めてみたいほどだ。
「な、なな、ななななな・・・・・・・・・」
これはどうやらセリス嬢にもこたえたようだ。
「そんな立場にも関わらず、君は妹のソフィアの婚約相手を誑かしてその婚約を破棄させ、その上今度は自分と婚約させただと?ムンハルク公がそれを許すはずがない。言え、公文書を偽造したのだろう?」
ほーう。
俺はてっきり、婚約している子爵家の男以外と不埒な関係になってしまった事を、公爵家が揉み消そうとして妹と姉を取り替えたのだと思っていたが・・・・・・・・・
よくそこまでしたな。
いやはや本当に褒めたくなった。
「どっ、どうしてそれをっ!」
・・・・・・・・・言っちゃダメじゃないか?その言葉は。
褒めたい心が一瞬で吹き飛んで呆れに変わってしまった。
「知りたいかい?ムンハルク公が僕に教えてくれたからさ。娘が妹の婚約を記した公文書を2枚とも破った上に、新たにそれを偽造したと。そしてそれを僕に伝えた彼はその後にこう言ったさ」
カイン君はそこで言葉を止め、最後の一枚の羊皮紙を広げてセリス嬢に見せつける。
そこにはこう書いてあった。
『私、ムンハルク公爵家が当主ガルストン・ムンハルクは娘のセリス・ムンハルクを我が公爵家から放逐する事を宣誓する。彼の者は以降、ムンハルクの姓を名乗る事を許さず。同時にムンハルク家に係る全ての特権を剥奪する。加えて、セルランズ辺境伯家が次期当主ムストル・ムンハルク殿との婚約は不正によるものであり、この婚約は破棄されるものであるとする』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?
はぁぁぁぁっっっっっっっっっ!?!??!
いかん!
声を出すな!俺!
気をしっかり持つんだ!
っ!ダメだ!
止められないっ!!!
そして俺はやらかす。
自らの抑止に失敗した俺は王城中に響かんばかりの声で叫んでしまったのさ。
この言葉をね?
「また婚約破棄かよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」
0
あなたにおすすめの小説
虚弱体質で偽聖女だと追放された私は、隣国でモフモフ守護獣様の白き聖女になりました
・めぐめぐ・
恋愛
平民孤児であるセレスティアルは、守護獣シィに力を捧げる【聖女】の一人。しかし他の聖女たちとは違い、儀式後に疲れ果ててしまうため「虚弱すぎる」と、本当に聖女なのか神殿内で疑われていた。
育ての親である神官長が拘束され、味方と居場所を失った彼女は、他の聖女たちにこき使われる日々を過ごす。そしてとうとう、平民が聖女であることを許せなかった王太子オズベルトによって、聖女を騙った罪で追放されてしまった。
命からがら隣国に辿り着いたセレスティアルは、そこで衰弱した白き獣――守護獣ラメンテと、彼と共に国を守ってきた国王レイと出会う。祖国とは違い、守護獣ラメンテに力を捧げても一切疲れず、セレスティアルは本来の力を発揮し、滅びかけていた隣国を再生していく。
「いやいや! レイ、僕の方がセレスティアルのこと、大好きだしっ!!」
「いーーや! 俺の方が大好きだ!!」
モフモフ守護獣と馬鹿正直ヒーローに全力で愛されながら――
※頭からっぽで
欠席魔の公爵令嬢、冤罪断罪も欠席す 〜メイリーン戦記〜
水戸直樹
ファンタジー
王太子との婚約――それは、彼に恋したからでも、権力のためでもなかった。
魔王乱立の時代。
王も公爵も外征に出ている王都で、公爵令嬢メイリーンは“地味な婚約者”として王城に現れる。
だが、王太子は初顔合わせに現れなかった。
にもかかわらず、記録に残ったのは「公爵令嬢の欠席」。
抗議はしない。
訂正もしない。
ただ一つ、欠席という事実だけを積み上げていく。
――それが、誰にとっての不合格なのか。
まだ、誰も気づいていない。
欠席から始まる、静かなるファンタジー戦記。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
【完結】追放された大聖女は黒狼王子の『運命の番』だったようです
星名柚花
恋愛
聖女アンジェリカは平民ながら聖王国の王妃候補に選ばれた。
しかし他の王妃候補の妨害工作に遭い、冤罪で国外追放されてしまう。
契約精霊と共に向かった亜人の国で、過去に自分を助けてくれたシャノンと再会を果たすアンジェリカ。
亜人は人間に迫害されているためアンジェリカを快く思わない者もいたが、アンジェリカは少しずつ彼らの心を開いていく。
たとえ問題が起きても解決します!
だって私、四大精霊を従える大聖女なので!
気づけばアンジェリカは亜人たちに愛され始める。
そしてアンジェリカはシャノンの『運命の番』であることが発覚し――?
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
護国の聖女、婚約破棄の上、国外追放される。〜もう護らなくていいんですね〜
ココちゃん
恋愛
平民出身と蔑まれつつも、聖女として10年間一人で護国の大結界を維持してきたジルヴァラは、学園の卒業式で、冤罪を理由に第一王子に婚約を破棄され、国外追放されてしまう。
護国の大結界は、聖女が結界の外に出た瞬間、消滅してしまうけれど、王子の新しい婚約者さんが次の聖女だっていうし大丈夫だよね。
がんばれ。
…テンプレ聖女モノです。
婚約破棄? めんどくさいのでちょうどよかった ――聖女もやめて、温泉でごくらくしてます
ふわふわ
恋愛
婚約破棄を告げられた聖女リヴォルタ・レーレ。
理由は、「彼女より優秀な“真の聖女”が見つかったから」。
……正直、めんどくさい。
政略、責任、義務、期待。
それらすべてから解放された彼女は、
聖女を辞めて、ただ温泉地でのんびり暮らすことを選ぶ。
毎日、湯に浸かって、ご飯を食べて、散歩して。
何もしない、何も背負わない、静かな日常。
ところが――
彼女が去った王都では、なぜか事故や災害が相次ぎ、
一方で、彼女の滞在する温泉地とその周辺だけが
異様なほど平和になっていく。
祈らない。
詠唱しない。
癒やさない。
それでも世界が守られてしまうのは、なぜなのか。
「何もしない」ことを選んだ元聖女と、
彼女に“何もさせない”ことを選び始めた世界。
これは、
誰かを働かせなくても平和が成り立ってしまった、
いちばん静かで、いちばん皮肉な“ざまぁ”の物語。
【完結】真の聖女だった私は死にました。あなたたちのせいですよ?
時
恋愛
聖女として国のために尽くしてきたフローラ。
しかしその力を妬むカリアによって聖女の座を奪われ、顔に傷をつけられたあげく、さらには聖女を騙った罪で追放、彼女を称えていたはずの王太子からは婚約破棄を突きつけられてしまう。
追放が正式に決まった日、絶望した彼女はふたりの目の前で死ぬことを選んだ。
フローラの亡骸は水葬されるが、奇跡的に一命を取り留めていた彼女は船に乗っていた他国の騎士団長に拾われる。
ラピスと名乗った青年はフローラを気に入って自分の屋敷に居候させる。
記憶喪失と顔の傷を抱えながらも前向きに生きるフローラを周りは愛し、やがてその愛情に応えるように彼女のほんとうの力が目覚めて……。
一方、真の聖女がいなくなった国は滅びへと向かっていた──
※小説家になろうにも投稿しています
いいねやエール嬉しいです!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる