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ケース1 ムンハルク公爵家の御令嬢ソフィア様の場合
第14話 ケース1 本編-完
しおりを挟む「まぁそれは良いとして、ほら。はやく説明してくださいよ、カイン第二王子殿下?」
惚気が始まる前にはやく喋らせねば。
「わ、分かったよ。でもカイン第二王子殿下って言うのをやめてくれ。君にそう言われると、なんだか背筋がゾクッとするんだ」
失礼な。
こちらがオフィシャルな呼び方をしてやっていると言うのに、ゾクッととはなんだねゾクッととは。
「はいはい、ほら本題をどうぞ」
許してやるからはやくタネ明かししてくれや。
「あぁ。その・・・ソフィア嬢」
「はい」
おいおい見つめ合うな、はやく喋れや。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・喋れや!!!!!
「グルルルルルゥン!!グゥオッホングゥオッホン!!」
もしも俺がこんな咳払いをしている奴を見かけたら精神を疑うが、どうやらこれはこれで効いたようだ。
「っ!あ、あぁすまない・・・つい見惚れてしまってね・・・・・・」
「そ、そんな・・・・・・恥ずかしいですわ・・・・・・」
「ソフィア・・・・・・・・・」
「カインさま・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・チッ。
お前の事はヘタレ野郎からノロケ野郎に改名してやる。喜べカイン。
このままでは話が進まないと判断した俺は、悪いが2人の馴れ初め、というかノロケ野郎が一方的に惚れた経緯云々を説明することにした。
機械的にバーーーーッと言ってやる。
「カイン君がソフィア嬢にベタ惚れになったのは2年前にこの王城で開かれたパーティーでのこと。ソフィア嬢のあまりの美しさに一目で心奪われたカイン君はソフィア嬢へ恋心を抱いたとの事」
おっと、思わずカイン君よばわりしてしまった。
まぁやってしまった事は仕方ない。
逆に吹っ切れたからこのままいっちまえ。
「しかしカイン君は非常に奥手で優柔不断。あーだこーだカイン君が悩んでいるうちに彼は立派なヘタレ野郎になってしまいました。ヘタレ野郎がグズグズしている間に1年がたち、ソフィア嬢はセルランズ家の次期当主、ムストル殿との婚約を結んでしまいます」
やーいやーいヘタレ野郎~
へっ!お前に睨まれたって怖かないね!
そこで一生睨んでやがれ!
「その事を知ったヘタレ野郎は大きなダメージを負ってしまいます。ヘタレ野郎は以降、他のどんな女性とも関わる事をやめてしまい、国王陛下は非常に頭を悩まされたそうです。そしてそれから更に1年が経ち、ある知らせがヘタレ野郎の耳に届きます」
ソフィア嬢はそこで納得した様な顔をした。
「そうです。なんだかんだあってムストル殿との婚約が破棄されたとの事。いざヘタレ野郎が行動を起こそうとしたその時!恋のキューピッドたる私が現れ、お2人を巡り合わせてしまい、ヘタレ野郎はノロケ野郎に・・・・・・・・・ぐすん」
「何がぐすんだ!というかなんだ最後のは!巡り合わせてしまいってなんだよ!?」
うん?何を怒っているのだ?
「はてさて?なんの事でしょうか?」
「・・・・・・・・・もう良いさ。君の僕への呼び方がヘタレ野郎だっていうのも知っているさ」
「そりゃまぁ、我々がプライベートで会うときはいつもそう呼んでいますからね?」
「だけど、ノロケ野郎とはどういう事だ!?」
・・・・・・・・・これはまずい。キューピッドの矢の威力が強すぎて精神に異常をきたしてしまった様だ。
自分がノロケているのが分からないほどになってしまったとは・・・・・・
「な、なんだその目は」
「いえ、今度いいカウンセラーを紹介しようかと思いましてね?」
「なっ!?き、君という奴は・・・」
ノロケ野郎が言葉に詰まった時、ソフィア嬢が口を開いた。
「あ、あのー?」
「はい。なんでございましょうか、ソフィアお嬢様?」
「カムイさんって、どういうお立場の方なのでしょうか?カイン第二王子殿下とそこまで気安く話していらっしゃるのが随分不思議なのですが・・・・・・?」
なるほど当然の疑問だ。
淑女に質問されたのだ。
ならば紳士たる私は是非ともお答えして差し上げなければ。
「お答えいたしましょう。私は婚約破棄令嬢救済所の所長であり、より素晴らしい新たな恋を見繕って差し上げる恋のキューピッド、名を『カムイ』と申します」
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