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ケース2 ティムレート魔法子爵家の御令嬢セシル様の場合
第6話
しおりを挟む「・・・・・・・・・来るだろうとは思っていたが、まさかこのタイミングとはな」
襲撃してきたのは6人の男たち。
対してこちらは3人だが・・・俺は立派に非戦闘員。
セシル嬢は魔法がまるでダメだから婚約を破棄されたというのだから、彼女の魔法による援護は望み薄だ。
結果、まともに戦えるのは・・・・・・・・・アンナだけなのさ。
「今更言っても仕方ありません。さっさと片付けて事務所に避難しましょう」
「そうだな、頼むぞ」
アンナは隠し持っていた双剣を構える。
「おいおいおい、ちっと待ってくれよ」
襲撃してきた男達の中でも一際体格の良い男が、アンナの双剣を見て驚いたように俺たちに声を掛ける。
「何かしら?」
「俺達が用があるのはそこの赤髪のお嬢ちゃんだけだ。お前らがその嬢ちゃんとどういう関係かは知らんが、黙ってその嬢ちゃんを渡してくれれば手荒な事はしないで済むんだがよぉ?」
男はアンナの事を大して脅威だと思ってはいないのだろう。
その腰に差した長剣さえ抜いてはいない。
戦闘態勢を取ったアンナを嗜めるのが主目的なのか。
とはいえ、俺たちはそれを飲むわけにはいかない。
「悪いがこちらのご令嬢は俺たちにとって大事な相手なんだ。だから俺たちは自分の身を危険に晒してまで守る必要があるんだよ」
「ほぅ・・・・・・・・・その口ぶりからして、ティムレート家の者でもカリトリム家の者でもないな?」
ティムレートはセシル嬢の実家であり、カリトリム家はセシル嬢との婚約を破棄した側だ。
俺をそう判断した男は少し意外な顔をしていた。
「なら何故その嬢ちゃんを守るんだ?知り合いか何かなのか?」
「それに答えてやっても良いが・・・・・・」
「・・・・・・・・・良いが?」
だが男の顔よりも大事なことがある。
それはーーー
「まず俺の質問に答えろ。お前はどこの手の者だ」
ーーーこの男の正体が分からない。
俺をどう判断しようと勝手だが、ならばこの男はどこの所属なのだ。
先程の物言いからしてコイツも先の2家の者では無いのだろう。
であれば何処の者かが分からないし、何が目的なのかも分からない。
言っちゃ悪いが、魔法使いとして恐ろしいほどに無能なセシル嬢を攫ったところで何のメリットがある。
・・・変態貴族の暴走という線も一応ある。何しろセシル嬢はかなりの美人だからな。
「わりぃな。その質問には答えられねぇんだ」
「そうか・・・残念だよ・・・・・・っと!!」
俺は煙幕袋を投げる。
地面に当たれば一瞬で周囲に煙が、正確には中身の粉が拡散される代物だ。
「なっ!うっ、ゴホッ!」
「クソっ!なんだこれはっ!ゲホッ!!」
「知るか!煙を吸うな!」
中身が粉なのは喉にくっついたソレによって咳をさせ、視線を逸らさせるためさ。
ただでさえ煙たい中で、咳をさせる事により視線を動かさせる。
そうすればどの方向に俺が居るのかを忘れさせ、アイツらの意識を向ける向きを完全に撹乱させる事が出来る。
「走れセシル嬢!」
俺は呆気に取られているセシル嬢の手を引っ張り、事務所に向かって走り出す。
「ちょっ!カムイ!?」
「良いから走れ!事務所まで行けばひとまず安心出来る!」
そして俺はその場を去る直前に叫ぶ。
「アンナッ!殺しても良い!だが、1人は残しておけ!」
アンナは双剣を構えたまま煙の中に突っ込んでいた。
襲撃者を始末する為に。
殺すのは残酷だと言われるかもしれないが、放っておけばまた襲ってくるのは確実だ。
だから俺はアイツらを殺す事を許可した。
アンナはあの煙に慣れているから、煙の中でも常人よりは遥かに動きがいい。そもそも実力もかなり高い。あの程度の襲撃者に遅れをとる事はまず無い。
「はいっ!先に事務所にっ!」
アンナの言葉を聞いた俺は、セシル嬢の手を引いて真っ直ぐに俺達の安全地帯である事務所を目指した。
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