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ケース2 ティムレート魔法子爵家の御令嬢セシル様の場合
第8話
しおりを挟む「ほ、本当ですか?」
聖女の聖痕。それはその名の通り、なんらかの事情によって聖女に相応しいと判断された者に宿る刻印。
判断しているのは?
神・・・・・・・・・と言われている。
わからんよそんなもん。ついでに言えばどの宗教のどの神なのかもよくわからん。
当たり前だろ?まさか神様が「うーん。どの娘を聖女にしようかなー」なんて悩んでいるのを俺たち人間が見たわけじゃないんだから。
だがいずれにせよソレは現実にある。聖女のスティグマの事だ。
それはある日いきなり背中に現れるという。これも現れる瞬間を見たことがある者はいないらしい。
まぁそもそも聖女のスティグマがレアなのだから。
ともかく、ソレを身に宿した者はあらゆる回復魔法や結界魔法、アンデッドモンスターへの特攻効果を持つ魔法やらが自由自在に使える様になる。
他にも色々と出来るようだが、重要なのはそういったところだろう。
一般に回復魔法や結界魔法を使えない者がいないというわけでは無いが、聖女のスティグマ持ちはその効果がトンデモないレベルなのだそうだ。
結果、この聖女のスティグマを身に宿す者は国によっては国家元帥と見做されたり、教会のトップに立ったりする。
うちの国だと無条件で宮廷魔術師のトップになれる。
それだけの価値を聖女のスティグマは乗っているのだ。
で、なんでそんなモノを魔法ダメダメお嬢様が持つというのか。俺が疑いたくなる気持ちも分かるだろう?
「本当よ。見る?」
「いえ、とんでもない」
背中にデカデカとあるソレだが、こんな密室でドレスをかっぴらいて背中を見るわけにはいかない。
バレたら殺されても文句は言えないね。
「そう。でも、私の言葉だけで信じられるの?」
ごもっともな言葉ではあるが・・・
「信じますとも。むしろそうでなくては困りますね。その言葉が嘘だったのなら、なんであんな目に遭ったのかが分かりませんからね」
「確かにそれもそうね。ま、これがあなたの一つ目の質問への答えよ」
聖女のスティグマ持ちを捕らえてどうにかしようとしたのだろう。
「えぇ、これはどうも」
「それで?もう一つは?」
俺はさっき二つ質問すると言ったが・・・
もう解決した。
「いえ、ソレを聞いて解決しました。聞きたかったのは、何故婚約破棄したカリトリム魔法侯爵家があなたを探していたのかについてです」
「なんで知ってるのよ?」
「何をです?」
「あいつらが私を探してるって」
「そりゃまぁ、彼らがここにやって来て、セシル嬢を捕まえてくれって俺たちに言ってきたからですよ」
捕らえようとしている彼らから直々にそう言われたからね?
知ってるも何も半分当事者みたいなものだもん。
「呆れた。そこまでしてこのスティグマ持ちが欲しいのね」
「そりゃそうでしょう。セシル嬢を家に迎えられればその利益は大きいでしょうからね?」
私の妻は聖女のスティグマ持ちですえっへん。
そう威張れるだけでなく、国王陛下からの覚えが良くなったり下手をすれば爵位が上がることだってある。
聖なる魔法の象徴というのは、魔法貴族だけでなく貴族全体にとって価値があるのさ。
「はぁ・・・貴方随分遠慮なく言うのね?」
「貴族相手に隠し事なんかすると後が面倒ですからね」
「確かに」
「さ、それじゃセシル嬢。そろそろ移動しましょう?いつまでもこの窮屈な部屋にいることはありません」
「そうね」
そう言って俺たちが立ち上がった時、屋敷の外から声が響いた。
「ここだぁぁぁぁ!あのカムイという無礼者にぃぃぃ!!我らカリトリム家を敵に回したことを後悔させてやれぇぇぇぇぇぇ!!!」
「「「「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」
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