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ケース2 ティムレート魔法子爵家の御令嬢セシル様の場合
第10話
しおりを挟む「は?」
「良いから行きますよっ!」
「ちょ、待ちなさいよ!?襲われて頭おかしくなっちゃったの!?」
失礼な。
こちとらこの程度で頭イカレるほど、甘い人生送ってないんですわ。
「おかしくなってません」
「じゃどうして王城に行こうだなんて!」
簡単な話だ。
俺とカイン君は色々訳ありの関係だから・・・とは言えないから、こっちの理由で行こう。
「前回のクライエントの相手がカイン殿下だったんですよ」
「え!じゃ、じゃあどういう事!ソフィア・ムンハルク様とカイン第二王子殿下をくっつけたのはあなただって事!?」
「そうです。だからほら、さっさと行きますよ。詳しくは向こうについてから聞いてください!」
セシル嬢を無理矢理黙らせた俺は、棚の奥にある最後の黄色い紐に手を伸ばす。
「それで、セシル嬢!」
「なに!?」
「今から俺が囮として先にこの屋敷を出ます!アイツらを出来るだけたくさん、出来れば全員引き付けて逃げるので、その間セシル嬢はここに・・・・・・・・・」
そう言って俺は黄色い紐を引く。
すると直後、隣に置いてあった不自然に奥行きがある本棚がガタッと音を鳴らす。
俺は本棚に手をかけ・・・
「この中に隠れていてください。今のでこの部屋の入り口は細工されて、見つけにくい上に内側からしか開かなくなりました。俺が先に王城に行ってこちらに兵を向かわせます。だからそれまでの辛抱です。宜しいですか?」
・・・本棚を開いた。そこには人が2人ほど立って入れるだけの広さがあった。
特注の仕掛け本棚さ。
「わ、分かったわ・・・・・・何よこの屋敷。というかカムイは何者なのよ!?」
最近も言われたな。
ちょっと意地悪してやろう。
「さぁ?どこかのご令嬢に巻き込まれて事務所を襲撃されたただの可哀想な平民ですよ」
「うっ・・・」
黙ってくれた様で何より。
「とにかく、セシル嬢はここに隠れていてください。俺は必ず兵をここによこします。どうかそれまでは」
「分かったわよ。ほら早く行きなさい」
セシル嬢はそう言いながら本棚の中に入る。
それを確認した俺は本棚を外から閉めて、それを閉じた。
「よし・・・・・・・・・それじゃカイン君に会いに行きますか」
窓を開ける。
夜風が涼しいが、これを楽しむのはまた後だ。
今はとにかく情けない限りの姿を見せつけなければ。
「かっこいい俺が台無しだよっ」
俺は開けた窓から外に飛ぶ。
2階から飛ぶのは多少の度胸がいるが、今は時間が無いからさっさと飛んだ。
「っ!いたぞ!カムイだ!屋敷の裏にいるぞ!」
都合よく目撃者がいて助かった。
そうやって騒いでくれた方が嬉しいね。
・・・・・・・・・それじゃ、かっこいい俺にサヨナラしてーーー
「うわぁぁぁぁぁ!!!た、たすけてくれぇぇぇ!!あんなぁぁぁぁ!!!早く帰って来てよぉぉぉぉぉぉ!!!」
ーーー情けない限りの俺になる。
カインにこれを見られたらその場で腹を切って死んでやる。
それはそうと、俺がここに飛んだのには理由がある。
ここは、馬小屋に近いんだよ。
「ヒヒィィィィン!!」
「しまった!ヤツは馬に乗って逃げる気だ!」
「追え!女のアンナはいない!」
「屋敷は放っておけ!逃げられるぞ!!」
馬に跨った俺を見て男どもは、まんまと俺の策にハマる。
アンナが居ないことを知らせて屋敷から注意を逸らさせたのさ。
これで俺を狙う奴が増えてくれる。
「行くぞっ!」
馬に声をかけた俺だったが、
「逃がすな!!」
「追えぇぇぇぇ!!」
違う奴らが返事をしてきた。
お呼びじゃ無いんだよばーか。
そう毒づきながらも俺は馬を走らせ始める。
目的地はもちろん王城さ。
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