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第28話
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ソフィアは昼の営業の準備の為に厨房へ向かい昨日作っておいた角煮と味噌汁の鍋に火をかけた。
温めてる間に白ネギを小口切りに切っていく、味噌汁が沸騰する前に切った白ネギを入れて軽くかき混ぜたら火をとろ火にし保温させておく。
角煮も中まで温まったか、味が染みているか確認の為、一口食べてみる。
「うん、ちゃんと染みてて美味しく出来たわ」
別の器に入れた角煮の煮汁に浸した半熟ゆで卵は表面の色が茶色く染っていい感じに出来上がっていた。
少しの角煮と半熟ゆで卵を使って、ソフィアは二人分の油そばを作り始めた。
ソフィアは前に作りだめしてあった縮れ麺をインベントリから2玉取り出した。
この麺の作り方は父からの直伝である。
若い頃、料理にはまった時に知人から教わったそうだ。
麺をたっぷりのお湯でゆで始める、茹でてる間に深めの皿に角煮の煮汁とごま油、すりおろしたニンニク少々、油で揚げたスライスニンニクとその時にできたニンニク油をお好みで入れておく。
調味液の入った皿へ茹で上がって湯切りした麺を入れ、味が絡むように混ぜる。
その上に角煮と半熟卵と薄くスライスした青ネギを乗せて完成だ。
昼の営業前に二人は早めのお昼ご飯を食べる事にした。
「ん~!!角煮で作った油そば凄く美味しいね!半熟卵もよく合うし」
「美味しく出来て良かったわ
さあ、そろそろ営業時間だわ、レティ今日もがんばりましょうね」
「はーい」
レティシアは扉の外側に営業中と書いてある札を掛けようと札を持って店の外へ出ようと扉を開けると、なんとそこには何人もの第三騎士団の団員達が並んで待ち構えていたのだ。
レティシアはその事に凄く驚いたが、直ぐに気を取り直して、笑顔で挨拶をする。
「いらっしゃいませ!お待たせしました、中へどうぞ」
店内へと通されたお客さんにソフィアも挨拶をする。
「いらっしゃいませ、今日はオークの肉祭りです。メニューはオーク肉の角煮と、オーク肉とお野菜たっぷりのお味噌汁の定食のみとなっております。
お味噌汁は1杯おかわり無料とさせて頂きますので、いっぱい食べて下さいね」
ソフィアの説明に、待っていた団員達は嬉しそうに笑った。
そして、一人の団員がソフィアの元へやって来た。
「今日開店するのをずっと待ってたんです!休業中も、この店の料理の事が頭から離れなくて!
早く食べたくて、お店が開くまでソワソワしてて、昼一番に駆けつけました!」
「ふふっ、ありがとうございます。
さぁ、お好みの席へどうぞ。直ぐにお持ちしますから。
角煮はライスの方が合うのですけど、どうされますか?」
「では!ライスでお願いします!」
「はい、かしこまりました。」
ニコニコと笑い楽しそうな団員の姿を見てソフィアは、こんなにも開店を心待ちにしてくれたのかと、驚いたがとても心が暖かくなり嬉しい気持ちになった。
そうして、沢山のお客さんが次々に来店し、とても忙しく動き回った。
すると時間はあっという間に過ぎて、そろそろお昼のラストオーダーの時間になった。
「お客さんは、もういないね」
「そうね、ルイスさんとロベルトさんは午後にいらっしゃるのかしら?」
「そうだね、いつも夜の営業時間に来るし、今日もそうなんじゃないかな?」
そう、二人で話しているとドアベルの音が鳴り、来客を告げた。
「いらっしゃいませ!あ、ロベルトさんに団長さん!」
「すみません、まだお時間は大丈夫でしょうか?」
「大丈夫ですよ、今日はお昼にいらしたんですね!」
「えぇ、昼食をこちらで取って帰ってきた団員達が、こぞって美味しかったと言うので、本当は夜に伺おうと思っていたのですが、早く食べたくなり来てしまいました」
「そうなんですね!今日のメニューはオーク肉の肉祭り定食のみとなってます、内容はオーク肉の角煮と、オーク肉とお野菜たっぷりのお味噌汁です!お味噌汁は1杯おかわり無料ですので、いっぱい食べて下さいね!お二人ともライスでいいですか?」
「はい、ではそちらを二人分お願いします」
「かしこまりました!お好きな席に座ってお待ち下さいね」
レティシアに言われた通り、近くの席へと腰を下ろした二人は、店に入る前から漂ってくる良い匂いに、心を浮かして待っていた。
数分後、ソフィアとレティシアが定食を持ってやって来た。
ソフィアはルイスへ、レティシアはロベルトへ配膳する。
「お待たせしました、オーク肉の角煮は良かったら辛子を付けて食べてみて下さいね!お味噌汁の方はお好みで一味唐辛子を入れると美味しいですよ。でも入れ過ぎると辛いのでご注意下さいね」
そう、レティシアが二人に説明すると、今度はソフィアが二人に説明しだした。
「他の方には内緒なのですが、お皿に乗った角煮の右側の方のお肉はオークキングのお肉なので食べ比べてみて下さいね!
あと…煮玉子もお二人にしかお出ししてないので…ふふっ、内緒ですよ?」
と、ソフィアは口に人差し指を当ててコテンッと首を傾け、ウィンクをした。
ルイスはその可愛らしい姿に顔を真っ赤に染め、コクコクと頷いた。
そんな二人を見ていたレティシアはジト目になり、そしてロベルトはレティシアのジト目顔を見てクスクスと笑った。
「「ごゆっくりお召し上がり下さい」ね」
「「頂きます」」
二人は早速ナイフとフォークを持ち、まずは角煮に手を付けた。
ナイフで肉を切ろうとすると、いつも肉を切る時とは違い力を入れる事なく、すっと切れていった。
「なんて、柔らかいんだ!本当にこれはオークの肉なのか!?」
「凄いですね…ここまで柔らかくなるんですね」
一口サイズになった肉をフォークで掬い口に入れた。
「「ん!?」」
口の中で肉がほぐれていく程に柔らかく、甘じょっぱい味付けがオークの肉の脂と絡まってよく合うし、オススメされた辛子がまた脂を中和してくれて、いくらでも食べれそうになる。
ロベルトは辛子をたっぷり付けて、角煮をパクリと口の中へ入れる。
「オーク肉の脂は少し苦手でしたが、料理の仕方でこんなにも美味しくなるのですね」
その姿に、ルイスは流石に辛すぎないかと疑問に思ったが、ロベルトは問題なく食べ進めていく。
ルイスは次にオークキングの角煮を口に運んだ。
「おぉ…オークキングの肉は普通のオークよりも、こってりとしているが、くどくなくて甘い感じがするな」
二人が角煮を半分食べ終える頃に、ソフィアが二人の元へとやって来た。
「あの…良かったら、私達の父直伝の丼というのを試してみませんか?」
「「どん?」」
「はい、ライスの上に角煮と煮玉子を乗せて食べるんです。
ご飯の上でお肉をほぐして煮玉子を割って、お好みでその上から少しタレをかけて、軽く混ぜながら召し上がる食べ方なのです」
「ほぉ…そんな食べ方があるのか、ではやってみよう」
「私もやってみます」
「では、スプーンを持ってきますので少々お待ち下さいね」
厨房へ向かったソフィアを少し待っていると、彼女の手にはスプーンと小皿を持って戻ってきた。
「お待たせしました!こちらの青ネギもかけて食べると美味しいので良かったらどうぞ」
小皿に乗せてあったのは青ネギを薄くスライスしたものだった。
ルイスとロベルトはソフィアに言われた通りに、ライスの上に残りの角煮と煮玉子を乗せて、タレと青ネギをかけた。
そして、スプーンで軽く混ぜながら口へと運んだ。
「「!!…う、上手い」」
普通に食すのとまた違った美味しさにルイスとロベルトは無我夢中で丼を口の中へと頬張った。
「初めて食べる食べ方だが、とても上手いな」
「はい、この丼に味噌汁があっていくらでも食べれそうです!すみません、お味噌汁のおかわり頂けませんか?」
「すまん!俺にも頼む」
「はーい、お待ち下さいね」
二人が気に入って食べてくれて良かったと思い、今度定食に丼を出しても良さそうだとソフィアは考えた。
「はい、お待たせしました。お味噌汁にはこちらのバターを一欠片入れると更に美味しさが増しますよ」
「「美味しさが増す!?」」
「お好みでどうぞー」
そう言ってソフィアはルイスとロベルトに一欠片づつバターをサービスしたのであった。
二人は渡されたバターを味噌汁の中へ入れ一口飲んだら美味しさとコクの増した味に目を見開いた。
「「!!!!」」
バターの魅惑な味に取り憑かれた二人は黙々と味噌汁と丼を平らげ、満足してまんぷく亭を後にした。
「二人もバターの魅力には抗えなかったみたいだね」
二人が綺麗に平らげた食器を片付けながらレティシアはバターの力は凄いなと関心した。
「そうねー、でも食べ過ぎには注意よ?」
「うん、そうだね。だってお姉ちゃんがバターにハマった時は体重が…」「レティ?その話はしてはいけないお約束でしょ」
バターにハマっていた時の姉の増えた体重を思い出したレティシアにソフィアはすかさず釘を打った。
「ご、ごめんなさい」
「ふふっ…間違ってもルイスさんには言っては駄目だからね?」
「はい!!」
ソフィアの目が笑っていない笑顔にレティシアは地雷を踏んでしまったと、慌てて頷いた。
「そうだ、お姉ちゃん…まだ角煮残ってるかな?まだ食べたいな」
そして、あからさまに話題を変えた。
「もう、レティたら。そう言うと思ってレティの分は別に分けてるわよ」
「わーい!お姉ちゃん大好き」
「ふふっ…オーク肉祭り皆喜んでくれて良かったわね、夜の営業も頑張りましょうね」
「うん!頑張る!」
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