二人姉妹の恋愛事情〜騎士とおくる恋の物語〜

みぃ

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第51話

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武闘大会の数日後、ロベルトは久しぶりの休日に朝から惰眠を貪ろうとベッドの上で寝転んでいた。

「団員達に、休みは惰眠を貪るのが至福の時だと聞き、試そうと寝てみたけど…私には向いてないようだ」



ロベルトは寝るのを諦めベッドから起き上がり、床でストレッチを始めるが、つい調子に乗って筋トレをしだした。

筋トレをしながら今日の予定を考える。



ロベルトは前日仕事を上がろうとした時、ルイスに声を掛けられた。



「団長、お先に失礼します」



「あぁ、お疲れ………そうだ忘れていた。

ロベルト明日の休み夕方から空いてるか?」



「えぇ、空いておりますが…」



「明日、夕飯食べに行かないか?良い所があってな」



「構いませんが…いったい良い所とは何処ですか?」



「秘密だ、じゃあ明日18時に通用門前で」



「…分かりました」



遠出をして万が一遅刻するといけないので森へ行く事ができない、どうしようか悩んだがロベルトは街へ行くことにした。



(まぁ、今日はレティシアさんも用事があるから森へは行けないと言ってたし、夕食の事を考えて、昼食は軽くにしておこう。

それにしても団長はどこの店に連れて行ってくれるのだろう…団長が食べに行くのは【まんぷく亭】ばかりで他の店に行ったのを見たことがない……気になるが秘密と言われたので楽しみにしておこう)



平日とはいえ、昼前の街の中心である商店が建ち並ぶ噴水広場は沢山の人で溢れかえっている。ロベルトは昼食後、時々寄る本屋へ立ち寄り新書を物色しだした。



「今日は良い物が手に入った、しばらくは楽しめそうだ」



ロベルトは本屋で何冊か気になった本を買い、次は何処へ行こうかと街をぶらぶらしていた。

ふと、新しくできたのであろう前回街に来たときには無かった雑貨屋が目に入った。

可愛らしい感じな店で、ロベルトは場違いな気もしたが、なんとなく引かれる様に中へ入っていった。



店の中は最近の流行りのアクセサリーや可愛らしい髪飾り、花柄の食器やガラスの花器などが見栄え良く並んでいる。



店の奥へと入って行くと壁に、秋の行楽シーズンにいかがですか!と大きなポスターが貼ってあった。



ポスターの下にはいろいろなピクニックグッズが陳列している。

ロベルトは、自分が使うには可愛らしすぎるな、と思いながらも商品を見ていくと、ある商品が目に止まった。

それを手に取りながら彼女への想いを馳せたロベルトはそのまま会計へと向かうのだった。



「これをプレゼントしたら喜んでくれるでしょうか」



ロベルトは彼女の笑顔を思い出しながら会計を済ませ店を出た。



「さて、そろそろ待ち合わせの時間か、遅刻をしてはいけないからもう行くか」



ロベルトが待ち合わせの場所へ着くとルイスがすでに待っていた。慌てて走ってルイスの元へと駆け寄った。



「団長、お待たせしてすみません」



「いや、俺も今来たとこだ、待ち合わせの時間にはまだ早いから問題ない。少し早いが店に行こうか」



ルイスはスタスタと歩き始める、その後をロベルトは着いて行くが数分も経たず直ぐに足は止まった。



「着いたぞ」



「ここって、【まんぷく亭】じゃないですか」



ロベルトは驚いた、秘密だともったいぶっていたのにいつもの【まんぷく亭】だったのだ。

【まんぷく亭】は好きだが何故ルイスは秘密などと言ったのだろう?ロベルトは不思議に思っていると



「まあ、いいから、入れ」



「えっ、あっ…あの…」



ルイスに背中を押されロベルトが店のドアを開くと、目の前にはレティシアとソフィアが立っていた。



「ロベルトさん、武闘大会優勝おめでとう!!」

二人はそう言うとレティシアが満身の笑顔で花束をロベルトに渡した。



「あっ…ありがとうございます」



ロベルトは驚きながらもレティシアから花束を受け取った。

そして後ろに居るルイスへと振り向くと、ルイスに向かって問い詰めるように叫んだ。



「団長、なんで教えてくれなかったんですか」



「教えたらサプライズにならないじゃないか」



「サプライズ…」



「驚いたか?」



「すっごく驚きました、まさかサプライズなんて自分がされるなんて思ってもみなかったです」



「サプライズ成功だな」



「……。」



ロベルトは人生始めてのサプライズが上司にされるとは思ってもみなかったのだ。



「ロベルトさん、優勝祝パーティを始めよう!今日はお姉ちゃんと沢山ご馳走を作ったの、さあロベルトさん席に座って」



レティシアはロベルトの手を引っ張り席へと向った。



「ロベルトさんはここね」



ロベルトは上座に座らされ少し戸惑った、自分がこの席で良いのだろうか?



「あの…私がこの席で良いのでしょうか?」



「何を言ってるんだ、お前が主役なんだからそこの席で良いんだよ」



ルイスがそう言いながらロベルトにグラスを手渡すと、ルイスはワインの栓を抜きグラスに注ぎ始めた。



「団長!自分がやります」



「今日は特別な日だからな、主役なお前は何もしないで接待されてろ」



「はい…」



ロベルトは主役だの特別だのと、人生で初めて他人に言われて恥ずかしいし、照れくさかった。

戸惑いながらも大人しく料理が出てくるのを待っていると、ソフィアを先頭にレティシア、ルイスが次々と料理を運んできた。



「さあ!ロベルトさん、今日のメインディッシュは黒豚さんのローストポークです!他にも黒豚さんを使ったキャベツ入りメンチカツ、ヒレカツ、黒豚さんのソーセージ入り野菜ゴロゴロポトフに黒豚さんのベーコン入りシーザーサラダです!!」



テーブルの上には所狭しと美味しそうな料理が並んでいる。

ロベルトは美味しい匂いで胃が刺激されて空腹だったことを思い出した。



ルイス、ソフィア、レティシアが席につき、ルイスとロベルトはワインをソフィアとレティシアは果実水の入ったグラスを持った。



ルイスがワイングラスを持ち、乾杯の音頭を取った。

「ロベルト、武闘大会優勝おめでとう! 乾杯!」



「「「乾杯!!」」」



「ロベルトさん沢山作ったからいっぱい食べてね」



「はい!いただきます」



ロベルトは1番気になったローストポークに手を付けた。凄く薄く切られてる肉をさらに一口サイズに切って醤油ベースのタレを少しかけてホースラディッシュを多めに付け口に入れた。



「こ…これはなんてしっとりしてる肉なんでしょう、火はちゃんと通っているのにパサつきは一切なくて、黒豚さんの肉だからなのか全然肉臭さがなく、噛むと旨味が口に拡がって、凄く美味しいです! こんな肉初めて食べました、前にここで食べた黒豚さんのメンチカツとは全然違う味で、違う部位だとこんなにも味が違うのでしょうか?」



ロベルトはやや興奮気味で早口になっている。



「それにしても、このローストポークよくこんなに薄く切れますね」



その問にソフィアがこれはレティシアが…それはねぇ…と口ごもりながらレティシアの顔を見た。



「これは私が風魔法を駆使して、スパッと切りました!何度も練習した結果、納得する薄さまで切れるようになったのです!しかも肉は切ってもまな板は切りません」



どや顔をしているレティシア。

それを見ていたソフィアはレティシアが手加減を習得するまでの間の事を思い出し、我が家のまな板が何枚も切り刻まれた事は皆に内緒にしておこうと心の中で誓ったのだった。

特に母ヴァレンティナに知れたら…レティシアにどんなに長い説教がまってるか考えるだけで怖かった。



「それは凄いですね、風魔法でこんなことが出来るだなんて、使いこなさないとできないですよ、包丁で切るより美味しい気がします」



「そうなんです!良く切れる包丁より風魔法の方が切り口が滑らかで美味しくなるんですよ。

それとロベルトさん、このキャベツ入りメンチカツはほぼ私が作ったの、普通のメンチカツと違っていて面白いですよ」



「そうなんですか?レティシアさんが作ってくれたなんて嬉しいです。では、いただきます」



ロベルトはキャベツ入りメンチカツを少し大きめに切り、口ヘ頬張った。



「キャベツのザクザク感と甘い玉ねぎ、ジューシーな肉が合わさって、これも初めて経験する味です、確かに面白い食べ物ですね、でもとても美味しいです」



「良かったー、最近お姉ちゃんから少しづつだけど料理習っているんです」



「レティシアさんの料理が食べられるなんて光栄です」



ロベルトは次々と料理を食べていく、あんな細身ルイスよりのどこに入るのだろうとソフィアとレティシアは思った。

ロベルトがどの料理も美味しそうに食べている姿を見て二人は、朝から頑張ったかいがあったと心の底から喜んだ。



ソフィアの隣では1品1品味わう様に黒豚さんの料理を堪能しているルイスがいた。



「流石黒豚さんの肉だ、どの料理も最高に美味い!勿論料理人の腕も良いからだが」



「ルイスさん…」



ルイスは隣に座っているソフィアを見つめる、褒められて嬉しかったソフィアはルイスに見つめ返す、いつの間にかルイスとソフィアは見つめ合っていた。



それを見ていたレティシアは強く突っ込みを入れた。



「はい!そこまで、お二人さん!

二人の世界に入るのは今日は我慢してね~

それとロベルトさん、まだ満腹にならないで!この後、私特製のケーキがあるんです!ちょっと待っててー」



そう言ってレティシアはパタパタと厨房へ行ったかと思うと直ぐにケーキを持って戻ってきた。



「ロベルトさんの優勝祝のケーキ、ザッハトルテです!」



「これは、王家直営店でしか買うことが出来ない、幻のチョコレートケーキと言われているザッハトルテではないですか」



「えへへ、これは私が作ったんです。元々チョコレートはお父さんが王様に教えたスイーツなんだって。

まだ王様が王太子だった時にお父さんが、王太子と王太子妃にチョコレートとチョコレートを使ったお菓子を作ってご馳走したんだって。

で、エレノア妃が気に入ったからいつでも食べれるようにって、王様がお父さんに頼み込んでレシピを教えてもらって店を作ったんだって」



「まさか…チョコレートの発祥が英雄様だったとは驚きですし、英雄様がお菓子作りをするのですか?」



「うん、私のお菓子は全部お父さんから教わったの、お姉ちゃんの凝った料理もお父さんから、普通の家庭料理はお母さんが教えてくれたんです」



「そうなんですね、お強いだけでなく他の才能もお持ちで英雄様は凄いですね」



レティシアは父を思い出す、父の得意料理は妻ヴァレンティナの大好物だ。料理やお菓子作りが上手くなったのは妻を喜ばせたかったからではないかと…。



「そう言ってもらえたらお父さんも喜ぶと思います。

ロベルトさん、ザッハトルテ食べてみて!、甘さ控えめの生クリームを添えたので良かったら一緒に食べて下さいね」



レティシアは、大きめに切ったケーキにホイップクリームが添えられた皿をロベルトに渡した。



「いただきます」



そう言ってロベルトはフォークでホイップクリームをすくって一口大に切ったザッハトルテと一緒に口に入れた。



「こんな美味しいチョコレートケーキ食べたことがないです。凄く濃厚で口の中に香りが拡がって甘さと苦味がバランス良くて、なんて幸せを感じるケーキなんでしょう」



美味しそうに食べるロベルトを見て、レティシアは時間をかけて作ったかいがあったと心からそう思い、とても嬉しかった。



「美味しいって言ってもらって良かった!団長さんもお姉ちゃんも食べよう!」



レティシアは自分もと言って一口食べる

「う~ん、我ながら良く出来たと思う」

と、自画自賛していたら、ロベルトがレティシアを見てクスッと笑って



「レティシアさん、クリームが付いてますよ」



ロベルトはレティシアの口の脇に付いたクリームを人差指で掬い舐めた。



「えっ?あっ…ありがとう…ござ…います」



最初レティシアはロベルトに何をされたのか分からなかったが、まさか自分の口の脇に付いたクリームをロベルトが食べるとは思わなかったのだ。



「レティ、顔が真っ赤よ」



「恥ずかしいから言わないで…」



レティシアは恥ずかしさのあまり顔を両手で覆い下を向いてしまった。

レティシアを見ていたロベルトは心の中で、ライムンド殿下の時とは違う反応ですね、…少しは自分の事、意識してもらっているのでしょうか、と淡い期待をするのだった。





食後のお茶を飲みながら四人は武闘大会の話に花を咲かしていた。



「ロベルトは本当に強くなったな、あっという間に優勝して団員達みんなが驚いていたぞ」



「これもレティシアさんが、森で自分を特訓してくれたおかげです。英雄様の直伝の訓練は想像以上でしたが、レティシアさんが根気よく教えて下さったので優勝出来たのだと思います」



ロベルトは立ち上がり頭を下げ、三人に感謝の気持ちを伝えた。

「今日は自分の為にこんな素晴らしいパーティを開いて下さりありがとうございました。これからも、もっと強くなれるよう一層励みたと思います(そして、いつかリカルド第一騎士団長に勝ってみせます)」



そんなロベルトにレティシアも立ち上がり彼の手をギュッと握った。



「ロベルトさん頑張って!ロベルトさんならもっと強くなれるよ、また一緒に森へ行って訓練しましょう!前よりももっと厳しくしても大丈夫ですよね」



にっこりと笑顔で怖いセリフを言ったレティシアにロベルトは驚いた。

「…まだ今までより上の訓練があるんですか?」



「あります!あります!私がリカ兄様にしてもらう特訓でとっても辛くて大変なのが」



「そうなのですね……頑張りますので、ぜひ教えて下さい」



「うん、一緒に頑張ろうね!ロベルトさん!」



「はい!よろしくお願いします」



ロベルトは手を握り返しながら、いつかレティシアさんの隣に立っても大丈夫な程に強くなり、彼女の心を攫むのは自分でありたいと強く願うのだった。



それから四人は夜遅くまで時間が許す限り楽しく過ごした。



帰り際ロベルトはレティシアに昼間買った物を手渡した。



「レティシアさん、これ今日街の新しくできたお店で見かけて、いつも森で頂くお菓子のお礼と言っては何ですが、良かったら使って下さい」



「ありがとうございます、また森へ行くときは持って行くので食べて下さいね」



「こちらこそ、ありがとうございます。では、今日はありがとうございました、おやすみなさい」



「「おやすみなさーい」」



ロベルトは今日の出来事を思い出しながら。宿舎へと帰って行った。

その場に残ったルイスはソフィアとレティシアにお礼の言葉を言った。



「今日はロベルトの為にありがとう、おかげでロベルトの優勝祝が出来てほっとしている。大会の後にあんなことがなかったらもっと喜べただろうに…。

二人とも準備大変だったろう?改めてお礼を言わせて欲しい」



「いいんですよ、ロベルトさんのお祝い私達もしたかったんです。一緒に出来て楽しかったわ」



「そうですよ、ロベルトさんのお祝いが出来て良かったです、団長さんもサプライズするのに内緒にするの大変だったでしょ、ありがとうございました。」



ロベルトの事を祝えて良かったと、心から笑っている二人を見てルイスも顔を綻ばせた。



「そういえば…ソフィア、あんなに黒豚さんの肉良く手に入ったな?」



フェニーチェ帝国の国産品である黒豚さんは高級だし、中々ガルシア王国では出回っていない。

優勝祝のサプライズをするにあたってルイスもお金を出したが、もしかしたら足りないのではないのかとルイスは疑問に思いソフィアに聞いた。



「ふふっ……あれはレイお兄様から建国祭の後、1頭送られてきたんです。たぶんお詫び?の品かと」



「なんと、王太子から…、貴重な肉で作ってくれてありがとう。

二人とも疲れただろう、じゃあ俺も失礼する」



「ルイスさん、おやすみなさい」



「団長さん、おやすみなさーい」



「ああ、おやすみ」



夜もすっかり更けて、楽しかったロベルトの武闘大会優勝祝パーティが無事に終わった。











✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽







「ところでレティ、さっきロベルトさんから何をもらったの?」



「今開けて見るねー、あっ可愛いピクニックバスケット!中のカトラリーも食器も可愛いなー」



「あら、良かったわね」



「うん、今度一緒に森へ行くときにお弁当をこれに入れて持って行こっと」



「お料理の練習、もっと頑張らないとね」



「がんばるー」
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