二人姉妹の恋愛事情〜騎士とおくる恋の物語〜

みぃ

文字の大きさ
60 / 64

第56話

しおりを挟む
ロベルト目線













「はっ…はっ……レティシアさんっ」



いったいどこにいるんだ。



彼女が行きそうな所を探すが何時まで経っても彼女を見つける事が出来ない。



彼女を探している途中で、知り合いの警邏隊の人間や騎士達に聞いて周ったが、彼女の姿を見た人物はいなかった。



雲はどんどん黒く染まり、そしてポツリ…ポツリと雨が降ってきた。



「早く見つけないとっ…」



彼女が風邪を引いてしまったらいけないと思い、走る速度を上げた。



徐々に雨脚が強くなっていき、ぐっしょりと濡れた服のせいで身体が重たい。



彼女がどこかで雨宿りしてくれていたら良いなと思い、周りを見回しながら走る。



その途中で豪華な馬車とすれ違った。

見た所王家の馬車の様だが、そんな事を今気にしている場合ではない。



「もしかして…王都から出てしまったのか?」



彼女ならありえる…。

そう思ったら西門へ行こうと方角を変える。



だが、1度まんぷく亭の側を通るので、彼女が帰ってきていないか確認をしてから西門へと向かう事にした。



濡れる道をビチャビチャと走っていると前から傘をさしたソフィアさんが向かってきた。

もしかしてレティシアさんが戻ってきたのかと淡い期待を抱いてソフィアさんの元へと駆け寄る。



「ロベルトさん!」



「ソフィアさんっ…レティシアさんは戻って来たのですか?」



彼女が外にいるという事は、レティシアさんが戻ってきたのだとばかり思った私はそう彼女に問いかけた。



「いえ……実はライ君が西門を出て少しした所の街道でレティの事を見つけてくれたの」



やはり、王都を出てしまっていたのか。

それにしても、まさか第二王子がレティシアさんの事を見つけるとは…。



「そうなのですね…すみません、私はレティシアさんの事を見つけられませんでした」



不甲斐ない自分はソフィアさんに頭を下げた。



「いえ…流石に王都外に出ていたとは私も思わなかったので…。

それに、こんなにびしょ濡れになりながらも、レティを探してくれて感謝しかないです」



「あの…それで、レティシアさんは今は家にいらっしゃるのですか」



「それが…ライ君が王城でレティの事を預かると、連絡を頂いて。

なのでロベルトさんに知らせようと探していたんです」



「王城で…」



ロベルトは先程すれ違った王家の馬車を思い出した、もしかしたら彼女はその馬車に乗っていたのかもしれない。



「ロベルトさん、レティの事を探してくれてありがとうございました。

風邪を引いてしまうので早く服を着替えないと…」



そう言ってソフィアさんは傘を傾けて自分がこれ以上濡れないようにしてくれたが、それを止めた。



「大丈夫です、鍛えているのでこれくらいで風邪など引きません。

それよりソフィアさんが濡れてしまってはいけませんし、暗いので家までお送りします」



「ですが…」



「もしソフィアさんの身に何かあったらルイス団長に何をされるか分かったものではないので、私の為だと思ってお願いします」



「ふふっ…そうですか、ではお言葉に甘えてお願いします」



そうして自分はソフィアさんを無事に【まんぷく亭】まで送り届け、騎士団の宿舎まで戻ったのだった。



直ぐに脱衣所まで向かい濡れた服を脱ぎ、シャワーを浴びる。



頭の中では、レティシアさんの事でいっぱいだった。



団員達が自分の部屋を訪れるまで、前の日の楽しかった出来事を噛み締めながら休日を部屋で満喫していた。



そんな平和な休日を壊す様に勢い良く叩かれる扉を、何だろうと思いながら開くと、数人の団員が慌てた様子だったので何か緊急な要件かと身構えた。



そして団員達から聞かされた話は、想像していた話とは違ったが、自分の中ではとても緊急な要件だった。



「マルティン子爵令嬢…」



シャワーを浴びながら団員達から聞いた令嬢の名前を呟いた。



その名の令嬢は確か、数ヶ月前に強制的にさせられた見合い相手だった。

爵位が上の人間に頼まれたら騎士爵の自分は断れず、いやいや行った見合いだった。

自分の顔や体型はどうやら令嬢達にとって、とても良い容姿らしく、騎士爵を王から頂いてからよく強制的に見合いをさせられている。



勿論全て断っているが、それでも自分の容姿が好きなのか結婚して欲しい、婿入りして欲しいと言われるのが後を絶たない。

ルイス団長がその度に助けてくれていたので今までは問題なかったのだが、今回のマルティン子爵はグラシア伯爵の言葉に耳を傾けなかったのだ。



「クソッ…」



平民で無くなった時から、なるべく心は乱さず口調も昔と違い丁寧に話すように心がけて来たが、そんな事はどうでも良くなってきた。



「好きな女性すら守れない…まして、自分のせいで傷つけるなんて…」



団員達から聞いた令嬢がレティシアさんに向かって吐いた暴言の数々を思い出す。



「婚約者ではないと…自分が好きなのはレティシアさんだと早く弁解したかった、謝って……そして…」



情けなくも告白して恋人になって欲しいと頼もうと思っていたのに…。

彼女の事を見つけたのはライムンド殿下だった。



「レティシアさん………」



ザザァァ……



頭から勢い良く降りかかるシャワーは冷えきった身体を温めてくれるが、心は冷たく凍った様だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

山賊な騎士団長は子にゃんこを溺愛する

紅子
恋愛
この世界には魔女がいる。魔女は、この世界の監視者だ。私も魔女のひとり。まだ“見習い”がつくけど。私は見習いから正式な魔女になるための修行を厭い、師匠に子にゃんこに変えれた。放り出された森で出会ったのは山賊の騎士団長。ついていった先には兄弟子がいい笑顔で待っていた。子にゃんこな私と山賊団長の織り成すほっこりできる日常・・・・とは無縁な。どう頑張ってもコメディだ。面倒事しかないじゃない!だから、人は嫌いよ~!!! 完結済み。 毎週金曜日更新予定 00:00に更新します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

【完結】異世界転移したら騎士団長と相思相愛になりました〜私の恋を父と兄が邪魔してくる〜

伽羅
恋愛
愛莉鈴(アリス)は幼馴染の健斗に片想いをしている。 ある朝、通学中の事故で道が塞がれた。 健斗はサボる口実が出来たと言って愛莉鈴を先に行かせる。 事故車で塞がれた道を電柱と塀の隙間から抜けようとすると妙な違和感が…。 気付いたら、まったく別の世界に佇んでいた。 そんな愛莉鈴を救ってくれた騎士団長を徐々に好きになっていくが、彼には想い人がいた。 やがて愛莉鈴には重大な秘密が判明して…。

記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。 名前も年齢も住んでた町も覚えてません。 ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。 プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。 小説家になろう様にも公開してます。

白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活

しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。 新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。 二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。 ところが。 ◆市場に行けばついてくる ◆荷物は全部持ちたがる ◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる ◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる ……どう見ても、干渉しまくり。 「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」 「……君のことを、放っておけない」 距離はゆっくり縮まり、 優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。 そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。 “冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え―― 「二度と妻を侮辱するな」 守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、 いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

女王は若き美貌の夫に離婚を申し出る

小西あまね
恋愛
「喜べ!やっと離婚できそうだぞ!」「……は?」 政略結婚して9年目、32歳の女王陛下は22歳の王配陛下に笑顔で告げた。 9年前の約束を叶えるために……。 豪胆果断だがどこか天然な女王と、彼女を敬愛してやまない美貌の若き王配のすれ違い離婚騒動。 「月と雪と温泉と ~幼馴染みの天然王子と最強魔術師~」の王子の姉の話ですが、独立した話で、作風も違います。 本作は小説家になろうにも投稿しています。

守護契約のはずが、精霊騎士の距離が近すぎて心拍がもちません―― 距離ゼロで溺愛でした。

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済:全8話⭐︎ ーー条項:心拍が乱れたら抱擁せよ(やめて) 村育ちの鈍感かわいい癒し系ヒロイン・リリィは、王都を目指して旅に出たはずが――森で迷子になった瞬間、精霊騎士エヴァンに“守護契約”されてしまう! 問題は、この騎士さまの守護距離が近すぎること。 半歩どころか背後ぴったり、手を繋ぐのも「当然」、心拍が乱れたら“抱擁条項”発動!? 周囲は「恋人だろ!」と総ツッコミなのに、本人たちは「相棒です!」で通常運転。 守護(と言い張る)密着が止まらない、じわ甘コメディ異世界ファンタジー!

崖っぷち令嬢は冷血皇帝のお世話係〜侍女のはずが皇帝妃になるみたいです〜

束原ミヤコ
恋愛
ティディス・クリスティスは、没落寸前の貧乏な伯爵家の令嬢である。 家のために王宮で働く侍女に仕官したは良いけれど、緊張のせいでまともに話せず、面接で落とされそうになってしまう。 「家族のため、なんでもするからどうか働かせてください」と泣きついて、手に入れた仕事は――冷血皇帝と巷で噂されている、冷酷冷血名前を呼んだだけで子供が泣くと言われているレイシールド・ガルディアス皇帝陛下のお世話係だった。 皇帝レイシールドは気難しく、人を傍に置きたがらない。 今まで何人もの侍女が、レイシールドが恐ろしくて泣きながら辞めていったのだという。 ティディスは決意する。なんとしてでも、お仕事をやりとげて、没落から家を救わなければ……! 心根の優しいお世話係の令嬢と、無口で不器用な皇帝陛下の話です。

処理中です...