『沈黙』はダミーカート[模擬弾]～楽園31～

第24話（BL特有シーン・回避可）

「もう、シド……僕――」
「ああ、分かってるさ。欲しいんだろ？」

　頷けば零れてしまいそうなくらい若草色の瞳は潤みを湛えている。シドはローブと下着を脱ぎ散らすとハイファの前で膝立ちになった。引き締まった腹から逞しい胸、鎖骨から喉の隆起へのラインが美しく、男の色気を立ち上らせているかのようで、ハイファは吐息を乱れさせる。

　更に勃ち上がったものは下腹につくほど反り返っていて思わず息を呑んだ。

「シド、もう……欲しいよ」

　ストレートに乞われて、シドはポーカーフェイスの中にもハイファだけに分かる笑みを浮かべた。だが優しい笑みとは裏腹に、ハイファの膝を立てた脚を荒々しく押し広げる。細い腰の下に枕を押し込み、淡い色づきを露わにした。あられもない姿態をとらされ、さすがにハイファは抵抗したが、シドは許さず脚を押さえつけたまま身を割り込ませる。

「いや、あ……そんなに、見ないで……お願い、やだ！」
「いいじゃねぇか……悶えるお前も綺麗だぜ？」

　言いつつシドは右手指を自ら口に含んでたっぷりの唾液で濡らすと、硬く閉じた蕾を指先で嬲った。内腿にシドの熱い吐息が掛かり、つぶさに見られている羞恥にハイファは身を捩る。しかし窄まりは勝手にシドの指を咥え込もうとしてしまい、細い腰は欲しがって悶えた。

「はぁん、シド……あっふ……あっ、ああん！」

　指が体内に挿入され、ハイファは高く喘ぎを洩らす。やや荒っぽくポイントを掻かれ、寒気のような快感に晒されていた。これは狭いそこに太く硬いシドを受け入れるための準備なのだと思うと快感は増し、羞恥は蕩かされて、もう奔放に甘く高い声を響かせている。

「あぅん……んんぅ……あっ、そこ、いい――」

　一方でシドは狭い入り口をほぐし、緩めて広げながら、自分の数指を咥え込んだハイファの姿に、痛いくらいの疼きを溜めていた。己のものは張り裂けんばかりに成長している。もうハイファを犯し尽くし征服してしまいたい思いで何も考えられなくなり、性急に指を抜いた。

　快感を追って無意識に細い腰を揺らしたハイファが酷く愛しい。
　滴るほどの蜜で濡れたものを馴らしたばかりのハイファにあてがう。

「ハイファ、俺を入れてくれ」
「うん。あ、ああっ……あっあっ……はうんっ！」
「くっ、う……きつい――」

　緩めたのが嘘のようにきつく、まるでまっさらな躰に穿っているかのようだった。これだけきついと痛いだろう。シドにも僅かな痛みが走って呻きを洩らした。これでは傷つけてしまうかも知れないと思ったが、欲しかった躰を貫く動きは止められない。

「シド、あっ、ああん……っん、あうっ！」
「すまん、ハイファ……もう少し、我慢してくれ」

　太すぎる切っ先をやっとの思いで呑み込ませ、ゆっくりとねじ込むようにして根元までハイファに埋める。温かく柔らかなのに、きつく絡みついてくるハイファの中は酷く居心地がよかった。そのまま思い切り掻き回したい気分を抑えに抑えて昂ぶりをやり過ごす。

「痛くねぇか、ハイファ」
「ん、平気だから、動いて……突いて」

　小刻みに突いてやると瞑っていた若草色の瞳が見開かれた。だがあまりに強い締めつけに、愛しい身が心配になってくる。しかしハイファは淫らな悪戯を仕掛けてシドを促した。

「うっく……ンなに締めるな、保たねぇぞ」
「大丈夫だから、もっと突いて、僕を思い切り犯してよ」
「くそう、煽りやがって。知らねぇからな！」

　それでもシドは細い躰に負担を掛けないよう、ゆっくりと腰を引いて己のものをずるりと引き出し、離れてしまう寸前でまたゆっくりと突き入れた。繰り返しているうちにハイファの粘液がシドの太い茎に絡んで淫らな水音がし始める。その頃にはシドだけでなくハイファにも思考が白くなるような快感が湧いていた。

「ああん、いい……すごい、シド……はうんっ！」
「お前も、すっげぇいいぞ……ハイファ！」

　もう傷つける恐れのなくなったハイファを、シドは夢中で攻め立てて高く鳴かせる。蕩けた場所を切っ先で抉り、容赦なく掻き回して二人分の快感を生み出した。

　激しい攻めで幾らも経たないうちにハイファは限界を訴える。

「はぁん、シド、いく、いっちゃう……はぅんっ！」
「俺も、ハイファ……あっ、く――」

　同時に二人は達した。ハイファは自らの喉元にまで飛び散らせ、シドはハイファの中を熱く濃いものでたっぷりと濡らしている。何も考えられない数秒ののち、ハイファは未だシドが自分の粘膜を押し広げているのに気付いた。

　見上げると愛し人は切れ長の目を眇めて見返している。ハイファは微笑んで頷いた。

「もっとしていいよ、シド」
「いや、これ以上するとお前を壊しちまいそうだ」
「僕はそう簡単に壊れないよ。じゃあ、こんなのは嫌い？」

　体勢を変えたハイファはシーツに這って上体を預け、膝を立てて僅かに開き、秘部も露わな煽情的な姿態で肩越しにシドを振り返る。甘い声と潤んだ若草色の瞳で誘った。

「お願い、シド。もっとして。欲しいよ――」
「くっ、本当に知らねぇからな！」

　白い腹の下に毛布を突っ込み、シドは細い腰を抱えて己の放った白濁が溢れ出しているそこに、思い切りねじ込んで腰をスライドさせ始める。同調してハイファも淫らに腰を振った。

「ああんっ！　シド、太い、硬いよ……はぅんっ！」
「だめだ、ハイファ……あんまりよくて、止められねぇ！」
「いいから、好きなだけして！　ああんっ、シド！」

　激しい律動についてゆけず、ハイファはもう揺らされるに任せている。喉からは勝手に叫ぶような喘ぎが洩れ続けていた。完全にシドに酔って悦びの涙でシーツを濡らす。シドが太いものを抽挿入するたびに、二人の体液の混じったものが内腿を伝った。

　淫らな音を立てて溢れる、その生温かい感触すら愛しい。

　そのままいつまでもシドを我が身に閉じ込めておきたかったが、縦に横に掻き回され、大きくスライドされて芯まで届かされ、巧みに攻められた躰は音を上げてしまう。

「だめ、シド、おかしくなっちゃう……はうんっ！」
「分かった、いかせてやるからな――」

　充血した粘膜を思い切り速く激しく擦過されて、ハイファは気が遠くなる思いでシーツを掴み、長い髪を乱して強すぎる快感に堪えた。体内でシドの変化をくっきりと感じ取る。

「早くきて、お願い……シド、出ちゃうよ、ああんっ！」
「っく、ハイファ……あうっ！」

　二度目とは思えないくらい大量のものでシドにずぶ濡れにされながら、ハイファはパタパタとシーツに白濁を零した。身を震わせて放ったのち、ハイファはうつ伏せに頽れる。