小さなお嬢様が繋ぐ、エリート医師とのお隣生活 

ささきさき

文字の大きさ
15 / 36

15:名前を呼んで

しおりを挟む
 

「さ、触りますね……」

 一言告げてゆっくりと硬く怒張したそこに手を添える。
 熱く硬い。やんわりと握って手を動かすと脈打っているように感じる。
 恐る恐るながらに緩く手を上下させれば、「……ん」と武流が小さく吐息を漏らした。その声は色気を感じさせ、目を伏せて眉根を寄せた表情も普段とは違う魅力がある。凛々しい顔が今だけは快感に翻弄されているのを隠せずにいる。

 そんな武流の瞳がゆっくりと凪咲を見つめた。小さく吐息を漏らして、誘うように目を細めて顔を寄せてくる。
 彼の熱を柔く握った手をゆるゆると動かしながらそのキスを受け入れれば、腰を支えるように押さえていた武流の手がするりと肌の上を滑り、ショーツ越しに凪咲の秘部を撫でた。

「あん……、んっ」

 指を擦りつけるように強く刺激され、快感がじわじわと上がってくる。
 己の秘部が愛液で湿っているのが分かる。与えられる刺激に腹の内に切なさに似た快感を覚え、もっとと強請るように腰を揺らしてしまう。
 はしたないだろうかと一瞬不安が湧いたが、もはや今更だとすぐさま不安をどこかへ押しやった。

 ここまできたなら恥じらいも何も無い。
 ただ快感を貪り、そして快感を与えるだけだ。

「あっ、武流さん……、あん、それ……、良い……」
「……ん、俺も……。柴坂さんの手、気持ち良いです……」

 互いに高め合い、キスの合間に嬌声交じりに快感を伝えあう。
 武流の荒い呼吸と欲情的な声もまた凪咲の中の快感を募らせていった。彼の吐息とふいに漏らされる掠れた声はまるで耳を愛撫しているかのようだ。自分の声もまた彼の欲を誘っているのかと考えればそれすらも感情を昂らせる。
 ぬち、ぬち、と卑猥な音が聞こえるが、これはどちらの音だろうか。自分の秘部から愛液が溢れているのが分かるし、そして脈打つ熱を扱く手の中もまた濡れているのだ。
 武流の指がぬるとショーツの隙間から中に入り込み、愛液を絡めて秘部を弄る。花芽を指が掠めるたびに腰がビクビクと震え、その反応を受けて愛撫が強まっていく。

「あ、あ、んぅ……、は、あぅ……」

 口を開けば甘い嬌声しか出ず、武流の名前を呼ぶ余裕すらない。
 ただ与えられる快感に翻弄され、蕩けそうな意識の中で手の中で脈打つ熱を扱くだけだ。彼もまた凪咲からの手淫で快感を得ているようで、凪咲の手がぬるぬると零れた精で滑る。それにすらも興奮し、自然と熱を扱く手を速めた。

 卑猥な水音が大きくなる。荒い息遣いの中で時折相手の名を呼ぶ。

 快感に翻弄され内腿に力が入り、腰が震える。
 もう耐えられない、と凪咲は荒い呼吸の中で武流を呼んだ。

 絶えられない。

 ……我慢も出来ない。

「武流さん……、今日、平気……、だから」

 だから、挿れて。

 求める己の声は驚くほどに甘い。吐息交じりで、自分がこれほどまでに欲情的な声色で異性を誘うとは思いもしなかった。
 その言葉に武流は僅かに迷いを見せたものの、一度深く凪咲へと口付けをしてきた。

「なにかあれば責任は取りますから」

 唇を放すや乱れた呼吸の中で武流が告げる。快感に翻弄されながらも、それでもこれだけはとしっかりと伝えねばという意思が感じられる口調と声色。
 それに対して凪咲は熱で蕩けそうな思考の中でコクリと頷いた。武流が応じてくれたことが嬉しく、そしてこんな状況でもなお真摯な対応を取ろうとしてくれる彼の事が愛おしい。
 その思いのまま自ら武流に身を寄せて抱き着き、彼を支えにするようにして腰を浮かす。
 武流の手が凪咲の秘部から離れ……、それに代わるように、熱く硬いものが触れた。

「ん、あぁ……あ、」

 ゆっくりと押し入ってくる、深く体を貫くような怒張の感覚に背を逸らした。
 武流の手が腰を掴んでいる。支えるためか、もしくは、逃がすまいとしているのか……。

「ん、あっ……、ふか、い……」

 膝に座ったまま挿入するこの体勢は男性の熱を深くまで受け入れる。
 腹の中を押し上げられるような圧迫感に自然と息を吐き、その合間にひゅっと細い音を立てて息を吸う。

「柴坂さん、大丈夫ですか?」
「はい、ん……、もう平気……」

 深く息を吐きながら答えれば、腰を掴んでいた武流の手にぐっと力が入った。
 ゆっくりと腰を動かす。膝の上に乗っている凪咲の体もそれを受けて揺れ、腹の内にあった圧迫感がぐりと中を擦った。突き上げられるたびに快感がせり上がる。

 ソファが軋む音は以前よりも大きく、武流と凪咲の体が揺れるたびにギシッギシッと音をあげた。
 その一定の音はいかにも密事を感じさせるが今の凪咲にはそれを恥じらう余裕は無い。もっと、もっと、とソファなど気に掛けずに自らも体を動かし、そして武流の手によって揺さぶられるだけだ。
 快感が腹部に溜まり体を焦がす。だらしなく開いた口からは嬌声が漏れ、それを塞ぐようにキスをされる。

「んぅ、ふぅ……、あ、っあ、武流さん……、武流さん……!」
「は、あ……。……凪咲さん」

 短い呼吸を繰り返しながら互いの名前を呼ぶ。

『凪咲さん』と。

 武流の口から出たその呼び名に凪咲は気付いたものの、もちろん拒否もするわけがない。それ以上に彼が下の名前で呼んでくれた事が嬉しく、彼の声がより体の奥深くに響き、ぎゅうと自ら強く抱き着いた。
 武流の手が片手では凪咲の腰を押さえ、もう片方の手で背に腕を回して抱きしめ返してくる。肌と肌が密着し、彼の体が熱を持っているのが分かる。

「武流さん、もっと……、もっと呼んで」

 熱と体中に渦巻いている快感に浮かされながら求めれば、武流が応えて何度も呼んでくれる。
 室内に密事を予感させる卑猥な音と、それと荒い呼吸と名前を呼び合う声が続く。

 体も、心も、それに彼の声が届く耳も、何もかもが気持ちいい。

「あっ、あぅ……ん、っ! あ、ふぁ!」

 体を揺さぶられ、繋がっている部位からあがる卑猥な音が大きくなる。
 凪咲の中で渦巻く快感が強さを増していき、深く突きあげられるたびに頭の中が『気持ち良い』で埋め尽くされていく。
 気持ち良い。
 もっと気持ちよくなりたい。溺れるように、蕩けるように……。

 意識が快感で埋め尽くされているのは凪咲だけではなく武流も同じなのか、彼もまた熱に浮かされるように凪咲の名前を呼び、更に強く体を揺さぶり突き上げきた。
 荒々しい動きと乱れた呼吸。額に掻いた汗。目が合うとまるで噛みつくように深くキスをしてくる。

「ふぁ、ああっ、んぅ……、んうう」
「……っ」

 互いに限界が近いのが分かる。
 凪咲はただひたすらに甘い声をあげ、武流の熱が自分の中を押し上げる感覚に酔いしれた。
 気持ち良い、もうそれだけしか考えられない。

 その熱が最奥を突いた瞬間、ずくん、と、凪咲の中で熱と快感が強く鈍く弾けた。

「凪咲さんっ……!」
「んっ、くっ、あ、んぁぁ!」

 彼の腕の中に押さえつけるように抱きしめられ、凪咲の体が大きく震えあがる。
 喉から出た嬌声は一際甘く掠れており、その声が途切れてもなお口を閉じる余裕は無く、はぁ、はぁ、……と、荒い息を漏らし続けた。

「……あ、はぁ……、武流さん……」

 強く抱きしめられたまま武流の腕の中で彼を呼ぶ。
 先程まで強張っていた体からはすっかりと力が抜け、今は武流に抱き着いているのか、それとも縋るようにしがみついているのか分からない。
 密事の最中には腰を強く掴んでいた武流の手の力も今は緩まっており、大きな手がそっと宥めるように腰を撫でてくれる。その心地良さに、更に凪咲の体から力が抜けていった。

「凪咲さん、平気ですか……?」

 事後の余韻を漂わせた声色で尋ねられ、コクリと頷いて返した。
 武流がゆっくりと凪咲の体を支え、中に押し込めていた熱をそっと抜く。ぬるりと熱が腹部から引き抜かれる感覚に凪咲の体がふるりと震える。
 はぁ……、と鼻にかかった甘い声を漏らせば、武流が窺うように大丈夫かと尋ねてきた。

「ん、大丈夫です……」

 疲労感を覚えながらもしがみついていた武流の体からそっと離れれば、汗を掻いていた額に髪がはりついていたのか、武流の手が額を撫でてきた。
 その手が額から頬へと滑り、指先が優しく目尻を拭った。涙ぐんでいたのだろうか。もちろん痛みや恐怖ではなく快感による涙だ。
 目尻に触れられる感覚に無意識に目を瞑れば、キスを求めていると思われたのか軽いキスを一度された。密事の最中の互いの欲を飲み込み合うようなキスではなく、温かく柔らかなキスだ。

「体は痛くないですか?」
「大丈夫です」
「……すみません、途中から夢中になってしまって」

 気恥ずかしそうな表情で武流が話す。
 そんな彼の表情や言葉に凪咲はなんと返せば良いのか分からず、返事の代わりに先程のお返しのように自らキスした。
 この会話でキスをされるとは思っていなかったのか一瞬武流が驚いたような表情を浮かべたが、すぐさま目を細めて嬉しそうに微笑んだ。
 柔らかな笑み。次いで彼からもう一度キスをしてくれる。それを受けて、今度は凪咲から再び。唇が離れると武流から……。
 キスをしてはキスをされる。その繰り返しは次第に遊んでいるような気分になり、ふっと凪咲が笑った。武流も同じように楽しそうに笑っている。

「ずっと名前で呼びたかったんです。でもそのタイミングが分からなくて」
「名前?」
「はい。凪咲さんはすぐに俺のことを下の名前で呼んでくれましたが、俺はずっと名字で呼んでいましたから。だからいつか下の名前でと思っていたんです。……ですが、いざ呼ぼうとするとなんだか恥ずかしくて」

 名前を知るとほぼ同時に家庭の事情を話して乃蒼を預けてしまった。そのうえ体を重ねてしまい……。
 おかしな距離の詰め方だ。ゆえに呼び方を変えるタイミングを掴めずにいた。
 その果てに今夜、熱に浮かされるままに凪咲を下の名前で呼んだのだという。
 ようやく呼べた、そして呼ぶことを受け入れてもらえたと武流が嬉しそうに話す。

 その表情が愛おしく、凪咲はもう一度彼にキスをした。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

4番目の許婚候補

富樫 聖夜
恋愛
愛美は家出をした従姉妹の舞の代わりに結婚することになるかも、と突然告げられた。どうも昔からの約束で従姉妹の中から誰かが嫁に行かないといけないらしい。順番からいえば4番目の許婚候補なので、よもや自分に回ってくることはないと安堵した愛美だったが、偶然にも就職先は例の許婚がいる会社。所属部署も同じになってしまい、何だかいろいろバレないようにヒヤヒヤする日々を送るハメになる。おまけに関わらないように距離を置いて接していたのに例の許婚――佐伯彰人――がどういうわけか愛美に大接近。4番目の許婚候補だってバレた!? それとも――? ラブコメです。――――アルファポリス様より書籍化されました。本編削除済みです。

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

ハメられ婚〜最低な元彼とでき婚しますか?〜

鳴宮鶉子
恋愛
久しぶりに会った元彼のアイツと一夜の過ちで赤ちゃんができてしまった。どうしよう……。

最後の女

蒲公英
恋愛
若すぎる妻を娶ったおっさんと、おっさんに嫁いだ若すぎる妻。夫婦らしくなるまでを、あれこれと。

処理中です...