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転生
転生?
しおりを挟む...?
おかしいぞ。
俺はいま抱きかかえられている。
わきの下にある手の感触と、地に足がつかないこの独特な感覚がそれを結論づける。
17歳を過ぎた高校生を?
しかもなんだ?周りからは女性特有の高めの声が聞こえる。
今の状況を確認するように俺は恐る恐る目を開いた。
「あう!?」
思わず声を上げてしまったが、待て。
なんだ今の声。赤ん坊みたいな声が出たぞ。
しかも、目の前にいるのは、赤い綺麗な長い髪の上に三角帽子を被り、足首まである長いローブを着た女だった。
誰だ?状況が分からなすぎる。
しかもその女の隣には同じような格好をした人が2人もいる。
....。
俺は、いったい何をしていた?
たしか、あいつに殴られて、その後.....俺は死んだはずだ...。
脳を最大限までまわしている最中、目の前の赤い髪の女がいきなり話しかけてきた。
「可愛いな!にしてもなんでこんな場所に赤ん坊が捨てられてるんだ?まぁいい!これも縁だ!
私の子どもにしよう!」
....?
出会って数分で俺を自分の子どもにする?
しかも、俺のことを赤ん坊と言った?
おかしくないか?
待て。俺が赤ん坊だということは、もしかしてこれは、生まれ変わりか?
都合よく前世の記憶を引き継いだまま?
なんにしても今はどうしようもない。
流れに身を任せるしかないか...?
半ば理解を諦めていると赤い髪の女はさらに話し出した。
「私の名前はスカーレット!紅蓮の魔女だ!
よろしくな!お前の母親になる女だ!」
...。
完全に理解することを放棄した俺の出した結論は
俺に魔女の美人な母親ができました。
だ。
もうどうでもいい。
どうせあの時死んだ命だ。
このまま、赤ん坊としてまた生活するのも悪くないかもしれない。
俺は腹をくくったのだった。
抱きかかえられたまま、目をキラキラしてそう語るスカーレットの隣では、青い髪をしたショートカットの女性がこういう。
「スカーレット。だめです。その子は私が貰います。弟子兼息子として育てます。」
「な!?この子は私が一番最初に見つけたんだぞ!」
「関係ないですね。そもそもあなたに子育てが出来るとは思えません。」
その青い髪をした女性はそう言って俺の方を向いて
「私の名前はウィル。蒼海の魔女です。よろしくね。」
そういいながら、微笑みかけるウィルさんはとても美人だった。
しかし、もう一人の白髪の小さい人がウィルさんに話しかける。
「ウィル....。だめ。それ私が欲しい...。」
そういった。
「リエル。だめです。この子は私が育てることにしました。」
頑なにそれをウィルさんは拒んだ。
「ウィル!リエル!どっちもだめだ。私が先に見つけたんだ!私の子だ!」
俺を大事そうに抱きながらも絶対渡さないようにするスカーレット。
「ん...。どっちにしてもスカーレットもウィルも挨拶したんだからわたしにも挨拶させて...。」
「まぁ、それもそうですね。それにしてもリエルが他人に興味を抱くなんて珍しいですね。」
「たしかにそうだな!」
スカーレットがそう言うやいなや、白髪の小さい女の子が近付いてきた。
「初めまして...。わたしの名前はリエル...。
白魔法の魔女....。よろしく...。」
そういうと恥ずかしそうに帽子をぎゅっと掴んで顔まで引っ張る。
微かに見える耳は真っ赤になっていた。
こんな姿の俺でさえ恥ずかしいのか。
「さて!それではいつまでもこの赤ん坊の名前を決めないわけにはいかないな!どうする!」
リエルの挨拶が済んだところでスカーレットがそう切り出した。
新しい名前か。
いいかもしれない。
俺は前世の記憶を持っているが、いつまでもあの頃のことを引きずりたくは無い。
昔の名前に執着なんてないしな。
「そうですね。名前が無いというのは困ります。」
「ん..。この子。綺麗な黒い髪と瞳...。んー。
『レイ』はどう...?」
「おぉ!魔法語で黒という意味か!魔法使いのわたしたちが拾ったんだ!いいのではないか?」
「ですね。とてもいい名前だと思います。」
「あなたの名前は、レイ。どう...?」
リエルがうつむきながら俺にそう言う。
レイ、か。
うん。気に入った!
これから俺は、レイとして生きていこう!
そう決めたのだった。
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