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ライバルはお嫌い?((2
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席につくとまだ誰もいなかった。良く考えればあっちの会社の社員も慎を含め数人しかいなかったし、慎の親父さん(社長)も見なかった。つくの早すぎたのかな?
「翔さん、あの人誰ですか?」
真琴はボソリと呟いた。
「気になるのか?」
「えぇ。あんな動揺する翔さんキスやセックスの時でしか見た事ないので」
「いっ、いちいち詳しく言うな!!あとそのニヤニヤやめろ!」
(やはりこいつは悪魔だ……!)
「翔さん、教えてください。まだあなたに出会って間もないですけど、俺はあなたのことを知りたい。」
「真琴……。」
真剣な真琴の瞳は、俺をいつでも安心させてくれる。
「……高校生の時、3年間ずっと好きだった人だ。名前は榊原慎。優しくて喧嘩も強いみんなの憧れみたいなやつだった。そして俺が初めて失恋した相手でもある」
「……翔さんの初恋の人、ですか」
俺は黙って頷いた。
このことを話したのは真琴がはじめてだったけど、気持ちが少し楽になった。
「今は、今はもう好きじゃないんですよね。」
「なっ!?お前バカか!俺が好きなのは……好き、なのは……おまぇなんだから…」
「へぇ~?」
「な、なんだよその顔!」
「顔真っ赤にして、可愛すぎですよ」
優しく唇を奪われる。
ガタガタッ
「あんまりうるさくすると、人来ちゃいますよ?」
「おまっ!?調子に乗ってるとデートしてやんないからな…」
やはり真琴はいつも俺のことを笑わせてくれる。まるでずっと前からお互いを知っていたかのように、真琴といると年の差を忘れて、性別の壁すらを忘れて自分に正直になれる。俺は本当に恵まれているようだ。
少ししてようやく人が集まりだし、夕食会が始まった。
思っていた以上に榊原カンパニーの人達は明るくて優しく、とてもいい人達ばかりだった。女性にしても男性にしても綺麗な人ばかり。
(さすがだ……)とひっそりと心の中で思った。
今日はふたつの会社が揃っているだけあって人数が多く、店を貸切にしている。こんな高級そうな店に来たのは初めてだった。
「翔。久しぶりだな。」
「どぅわぁっ!?!?」
「なんだよその驚き方、変わってねぇな」
突然現れたかと思うと有無を言わさず横に座る。左どなりからとてつもない殺気を感じる…。
「久し…ぶりだな。慎。」
(なんでわざわざ来たんだよ…まさかあの日のこともう忘れている……のか?安心とゆうか…悲しいとゆうか…つか緊張で胸が…)
「翔?だいじょっ……」
「触るな」
(え、?)
突然横から周りには聞こえないほどの小さい声だが、しっかりとした声で聞こえた。
「ま、こと?」
(こんな真剣な顔初めてみた……)
「君、誰?」
「黒川真琴です。半年前にこの会社に採用して頂いたんです。翔先輩には僕の専属の教育係をしてもらっています。」
「そうだったんだね。俺は榊原 慎。よろしく、こいつとは高校生の時からずっと仲が良くてな。まぁこいつ危なっかしいから君も気をつけた方がいいよ。これからは同じ会社の一員だ、よろしくな餓鬼。」
(そんな言い方なくないか!?てかこんな機嫌悪い顔の慎、俺が他人の喧嘩に巻き込まれた時ぐらいだ。な、なんなんなんだこの空気……肌が痛いぐらいここだけがピリピリしている…)
真琴はともかくなぜ慎まで?
なんだから嫌な予感がするんだけど……気のせい、だよな。
こうして楽しい夕食会も終わり、新しい生活が始まった。
のだが……。
「いやぁ~おいしかったな!あんな高級な店行ったの初めてだった!それにこっちの社員の分まで払ってくれるなんて慎の親父さん相変わらず太っ腹だ……」
「なんですかそんな嬉しそうにしちゃって。そんなに慎さんに会えて嬉しかったんですね」
「えっ…ちがっ」
「なんでもないです。忘れてください。俺先風呂はいってもう寝ますね。それじゃ」
ガチャッ
部屋に冷たい扉の閉まる音が響く。
(俺はそんなんじゃ……俺が今好きなのは真琴ただ1人なのに…)
明らかに真琴の様子がおかしかったのだが、なぜか真琴を引き止めることが出来なかった。この時、俺は真琴ときちんと話すべきだったのだ。
歯車がゆっくりとズレ始めた。
「翔さん、あの人誰ですか?」
真琴はボソリと呟いた。
「気になるのか?」
「えぇ。あんな動揺する翔さんキスやセックスの時でしか見た事ないので」
「いっ、いちいち詳しく言うな!!あとそのニヤニヤやめろ!」
(やはりこいつは悪魔だ……!)
「翔さん、教えてください。まだあなたに出会って間もないですけど、俺はあなたのことを知りたい。」
「真琴……。」
真剣な真琴の瞳は、俺をいつでも安心させてくれる。
「……高校生の時、3年間ずっと好きだった人だ。名前は榊原慎。優しくて喧嘩も強いみんなの憧れみたいなやつだった。そして俺が初めて失恋した相手でもある」
「……翔さんの初恋の人、ですか」
俺は黙って頷いた。
このことを話したのは真琴がはじめてだったけど、気持ちが少し楽になった。
「今は、今はもう好きじゃないんですよね。」
「なっ!?お前バカか!俺が好きなのは……好き、なのは……おまぇなんだから…」
「へぇ~?」
「な、なんだよその顔!」
「顔真っ赤にして、可愛すぎですよ」
優しく唇を奪われる。
ガタガタッ
「あんまりうるさくすると、人来ちゃいますよ?」
「おまっ!?調子に乗ってるとデートしてやんないからな…」
やはり真琴はいつも俺のことを笑わせてくれる。まるでずっと前からお互いを知っていたかのように、真琴といると年の差を忘れて、性別の壁すらを忘れて自分に正直になれる。俺は本当に恵まれているようだ。
少ししてようやく人が集まりだし、夕食会が始まった。
思っていた以上に榊原カンパニーの人達は明るくて優しく、とてもいい人達ばかりだった。女性にしても男性にしても綺麗な人ばかり。
(さすがだ……)とひっそりと心の中で思った。
今日はふたつの会社が揃っているだけあって人数が多く、店を貸切にしている。こんな高級そうな店に来たのは初めてだった。
「翔。久しぶりだな。」
「どぅわぁっ!?!?」
「なんだよその驚き方、変わってねぇな」
突然現れたかと思うと有無を言わさず横に座る。左どなりからとてつもない殺気を感じる…。
「久し…ぶりだな。慎。」
(なんでわざわざ来たんだよ…まさかあの日のこともう忘れている……のか?安心とゆうか…悲しいとゆうか…つか緊張で胸が…)
「翔?だいじょっ……」
「触るな」
(え、?)
突然横から周りには聞こえないほどの小さい声だが、しっかりとした声で聞こえた。
「ま、こと?」
(こんな真剣な顔初めてみた……)
「君、誰?」
「黒川真琴です。半年前にこの会社に採用して頂いたんです。翔先輩には僕の専属の教育係をしてもらっています。」
「そうだったんだね。俺は榊原 慎。よろしく、こいつとは高校生の時からずっと仲が良くてな。まぁこいつ危なっかしいから君も気をつけた方がいいよ。これからは同じ会社の一員だ、よろしくな餓鬼。」
(そんな言い方なくないか!?てかこんな機嫌悪い顔の慎、俺が他人の喧嘩に巻き込まれた時ぐらいだ。な、なんなんなんだこの空気……肌が痛いぐらいここだけがピリピリしている…)
真琴はともかくなぜ慎まで?
なんだから嫌な予感がするんだけど……気のせい、だよな。
こうして楽しい夕食会も終わり、新しい生活が始まった。
のだが……。
「いやぁ~おいしかったな!あんな高級な店行ったの初めてだった!それにこっちの社員の分まで払ってくれるなんて慎の親父さん相変わらず太っ腹だ……」
「なんですかそんな嬉しそうにしちゃって。そんなに慎さんに会えて嬉しかったんですね」
「えっ…ちがっ」
「なんでもないです。忘れてください。俺先風呂はいってもう寝ますね。それじゃ」
ガチャッ
部屋に冷たい扉の閉まる音が響く。
(俺はそんなんじゃ……俺が今好きなのは真琴ただ1人なのに…)
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歯車がゆっくりとズレ始めた。
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