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10話 探索
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今日は探索をする日だ。
何かわかることがあればラッキーぐらいしか思っていない。
それと、今日から全員夏服になった。
この世界にも季節というものが存在する。
必要なものがあれば、ロッカーから出てくる。不思議なものだ。
「さて、今日は昨日から言ったように改めて探索する日よ。探索するにあたって班分けをするね。まず、ネットや情報系は凛、はるが担当。室内の探索は、私、七、優奈が担当。室外については男子四人組で行ってもらうわ」
何かあれば、僕たちは二人に分かれて探索も出来る。四人でなくても。
見落としなどのことも含め、人数は多い方がいい。
「連絡手段についてはスマートフォンで連絡を行うように。新たに何か見つかることは多分ないとは思うけど、改めてこの世界についての情報を知れることが出来ればいいと思っているわ。それでは、早速だけど探索に取り掛かってもらうわ」
雫の合図と共に、各班が動き出した。
僕たちは室外を探索するということなので、僕たちがこの世界に来た校門へ向かうことにした。
外は暑く生徒会室から五分もしない間に汗が出てきた。
この世界に夏が存在するなんて思ってもなかったけど、ここまで暑いとは思ってもなかったけど。
僕たちは汗を拭いながら校門へと着いた。
「最初に校門に着いたけど、僕たちは何をするの?」
「雫が敷地の外に出られないって言っていたけど、それが本当かどうかしらべてみるか」
僕たちは、校門、正門と言われるところにいる。
そこから出ようとすると、見えない壁に当たって外に出ることが出来なかった。
「雫さんの言った通り、外には出ることが出来ないですね」
「久吉は必死に外に出ようとあがいているけどな。それでも、出られないのだから雫が言ったことは本当だったな。イベントが起きれば、外にで出られるし変わった世界だよな、ほんと」
「見えない壁が存在するなんて、まるで夢みたいだよな。今ここにいることが、夢であって現実でもあるわけだけど」
「何回、チャレンジしてもやっぱり外には出られないよ!」
「久吉、もういいよ。検証は終わったし、これ以上続けると暑さで倒れるからやめておいた方がいいよ」
「わかった。この壁、何をしても向こうへ行くことが出来なかった。背景はあるのに…あのさ、他のところへ行く前に、自動販売機で水を買おうよ」
「そうだね。久吉くんが言ったように倒れてしまっては遅いし、水分補給も行いながら探索を続けよう」
「一旦、このことはスマートフォンで記録しておくよ」
僕たちは次の目的地に行く前に自動販売機によって水を買った。
水はひんやりとしていて、この暑い中で飲むのには最高の飲み物だ。
気が付けば、ペットボトルの中は空っぽになっていた。
それだけ、体力の消費が激しいのだろう。
一方、雫たちは校内を探索した。
「まず、どこから探索をすればよ良いのかわからないわね…」
「これと言った目星はないわね」
「まず、教室から探索するというのはどうですか?学校と言えば大半過ごす教室ですし」
「そうね、色々な教室に行ってみてみるのも良いかもしれないわね」
「そうと決まれば、善は急げね」
雫たちは自分の教室へ向かった。
自分の教室と言っても、この世界で用意されている教室であって、普段使っているわけではない。
必要な時だけその教室を利用しているだけだ。
目的の教室に着いた雫たちは、教室を調べることにした。
「調べると言っても、何を調べていいのかわからないわね。探すところなんて少ないし」
「私はロッカーや窓を調べてみますね」
「私は教卓付近を調べるから、優奈は机を調べてもらえるかしら」
「わかったわ」
それぞれ指定されたところを調べた。
「調べても何も出てきませんね。どこにでもある教室って感じで」
「そうね、机も調べても何も出てこないわ」
「こっちも同じね。他の教室を調べても出てこないと思うけど一応調べておいた方がいいかもね。面倒くさいけど…」
数多くある教室を調べてみたが、これといったものは見つからなかった。
ただ、時間が進み疲労が溜まるのみだった。
「こうなったら、校長室に行ってみるしかないか。学校と言えば一番重要なものがありそうだし」
「校長いたりしないの?」
「人がいればその時はそのときよ」
そういって、雫たちは校長室へと向かった。
はると凛は生徒会室のパソコンで情報を探っていた。
「ネットは繋がるけど、検索しても検索ヒット数はゼロ。外部の情報は全く不明ね。はる、何かわかったことはある?」
「図書館にあるネット情報を使って調べてみたけど、全く手掛かりがないよ。図書館なら何か歴史みたいなものがあると思って調べてみたけど全然ダメ」
「有力な情報はなしと…」
「職員室にあるネットにハッキングして調べてみるのは?」
「やってみるね」
はるは慣れた手つきで職員室のネットにアクセスした。
職員室の情報は他と比べると数が多い。
必要なものだけを調べようとしたが、生徒の成績、テストの内容しか書かれていなかった。
「久吉の成績があるじゃん!ちょっと覗いてみようと」
「ちょっと、凛!」
「なんだこれ。成績がまるでダメね。現実世界なら赤点レベルというより、補修常連ってレベルの成績じゃない。どう頑張ったら、この成績がだせるの?」
「もう、凛たら…もうおしまい!他調べてみるよ!」
「わかったわよ…」
調べてみたけど、結局何もわからないままで終わった・
「これじゃあ、何もわからないまま時間だけが過ぎるだけじゃない!」
「そう簡単には見つかるわけないよ。不思議なことしか起きない世界なんだし」
「まるで、釣りをしているかのようね。私は少し休憩!はる、後はよろしくー」
凛はソファーでくつろいだ。
はるは、真面目に情報を探っていた。
だけど、出てくるものは何もない。
外を探索している利木たちはというと進展はなかった。
学校を一周してみたけど、すべて見えない壁で囲われていた。
ボールを投げたら見えない壁をすり抜けることがわかった。
後は、生徒の出入りも確認された。
僕たちはNPC生徒と呼んでいるけど、その生徒なら見えない壁でも行き来できるみたいだ。
「まるで、大きな牢獄の中に入っているようだな」
「例えたらそうだね。この世界の終着点はどこなんだろうね」
「そんなのわかるわけないだろ。この世界の神様の気まぐれとしか言えないしな」
「僕はこうやって、みんなと一緒に居られるだけで楽しくて嬉しいよ」
「僕も陣くんと同じ」
「いつか別れる時が来るかもしれないと考えると、少し寂しい気持ちになるね」
「それまでは許されるまで遊びまくればいいのだと思うよ、陣」
「それで、これからどうするよ。もう、探すところもないし一旦雫と合流するか?」
「そうだね、海の言う通り一回、雫と合流しよう。連絡してみる」
僕はスマートフォンで雫に連絡を取った。
雫から「校長室に行くからそこで待ち合わせ」と連絡があった。
「雫から校長室に来るように連絡が入ったよ」
「やっと、この暑い外からお別れできるのは嬉しいわ」
「それじゃあ、校長室に向かうよ」
僕たちは、校舎に戻り校長室へ向かった。
「にしても、ほんと暑かったな。俺がここに来た時とは全然違うわ」
「海の時は涼しい時だっけ?確か雫の次に来たんだよね?」
「ああ、あの時はまだ肌寒かったからな。そこから、みんなが来たんだよ。最後は利木がきてな。そこから、この世界は変わったんだよ」
「僕の時には、すでにメンバーが揃っていましたからね。久吉くんも同じくらいだったと思う」
「順番は忘れちゃったけど、ほとんど同じ時期だったんだよね」
「利木くんが新しく加わって賑やかになったのは事実だし、僕は嬉しく思うよ」
そんな話をしながら、僕たち四人は校長室へ向かった。
着いたことには、先に雫がいた。
「あら、遅かったじゃない。ていうか、全員汗凄いけど大丈夫なの?」
「雫が僕たちを外の探索に出させたから、この暑い中を調べ周った結果こうなったんだよ」
僕たちは雫の指示で外に駆り出された訳なのだが。
その結果、全員が汗まみれになった。
雫は僕たちが探索した成果を聞いてきた。
「それで何かわかったことはあるの?」
「学校を一周して周ってみたけど、すべて見えない壁で囲われていた。NPC生徒は見えない壁を出入りできるけど僕たちは無理で、ボールを投げたらすり抜けていった。これくらいしか報告できるものはないかな」
「久吉は必死に通り抜けようとしていたが、結局ダメだったわけなんだがな」
僕たちの成果を雫たちに言った。
続けて雫たちの成果を七が代わりに言った。
「私たちの方は成果がありませんでした。すべての教室を調べてみましたが、何も成果はなかったです」
「私たちの報告は七が言った通りよ。凛たちも、図書館のネットや職員室にある情報を探ったけど何もないって連絡が来ていたわ」
「結局何も出てこないか…」
「探した結果何も出てこないけど、残されたのはこの校長室ってわけ」
「それでここに呼ばれた訳なのですね」
期待はしないけど、なにかあるとすればここなのか…
希望くらいはもっておこう。
「さて、早速だけど最後の望みである校長室を調べるわよ。なにか出てくれば良いのだけどね…」
雫を先頭に僕たちは校長室へ入った。
校長室に入ると、あまり見慣れない光景で新鮮味がある。
雫は一目散に、校長机調べた。
他のメンバーは周りを調べた。
みんなが調べている間、久吉は校長室のソファーでははしゃいでいた。
それを見た優奈は久吉に
「久吉くん、少しは落ち着きましょうね」
少し怒り気味で言った。
それを言われた久吉は何かを察したのか、静かにソファーに座った。
優奈に言われると久吉は大人しくなるらしい。
雫以外の人たちは棚を調べ、ファイルを広げて書類を見ているが、見ている感じ何か得たものはない様子だ。
雫は校長席に座ってパソコンを立ち上げて、得られる情報がないか調べているようだ。
「雫なにかわかったものはあるか?」
僕は苦戦している雫に聞いてみた。
「それがここにロックがかかっていて先を見ることが出来ないんだよね…」
雫は必死にロックを開けようとしたが、解除することはできなかった。
「雫ちゃん、何か見つけたの?さっきから、キーボード音が聞こえるけど」
優奈の一言で、ここにいるメンバーは雫のところへ集まった。
「なんですか、これ?」
久吉がわからない表情をしていた。
機械系には鈍いみたい。
「これはロックされたファイルですよ、久吉くん」
「ファイル?」
「久吉、もしかしてネットに弱いのか?」
「機械はちょっとわからないから、こういうのよくわからないのよね」
「要は大事なものに鍵がかかっているのよ、久吉」
「それならわかる。ありがとう」
「まったく…」
「ロック外せないなら、凛たちに聞いてみたら良いんじゃないのか?」
「そうね、ちょっと聞いてみるわ」
雫はスマートフォンを取り出し、ビデオ通話を始めた。
雫は凛にこのロックを解除できるか聞いてみた。
それを聞いた凛は、はるにハッキング出来るかを聞いて、はるは「やってみるよ」と言って、キーボードを鳴らしながらハッキングを試みた。
「ん…これは、少し時間がかかるかもしれないけど、出来なくもないよ」
「どれくらいかかりそう?」
雫ははるに聞いた。
「一日あれば出来るけど、今日中には無理そう」
そういった後、ビデオ通話は終わった。
「何とかなりそうですね、雫」
「まあ、時間かかるみたいだし、気長に待ってみるしかないかな」
「それで、みんなは何か見つけたの?」
雫の問いに対し、みんなは頷かなかった。
結局見つかったのは、雫がネットで見つけたファイルのみだった。
僕たちは校長室を後にして生徒会室へ戻った。
「おかえりなさい、みんな」
はるは帰ってきたメンバーに挨拶をした。
雫は真っ先にはるのもとへ向かった。
「さっき通話で話したけど、やっぱり難しそう?」
「うん、時間はかかるけど明日には中を見ることができるよ」
「ありがとう、大変だと思うけどお願いね」
その後雫は生徒会長の椅子へ座った。
「俺ら外に居たから、ここがどんなに快適なことか。もう、外に出るのはごめんだぜ」
海は僕たちと外を探索したから、暑さで疲れ切っていた。
疲れ切った体に冷房の効いた生徒会室はまるで天国だ。
僕たちは死んでいるのだから、この世界自体が天国という表現も出来るのだが。
「みんな疲れ切ってるみたいだし、冷たいお茶を入れたわよ」
優奈は冷えたお茶を用意してくれた。
僕たちは自動販売機で何本の水を飲んだのやら。
もう外は行きたくない気分。
はると凛が解読の作業を行っている間、僕たちは快適なこの空間で安らぎを得た。
「にしてもこれ、結構厳重だね…解けたときの快感はすごいけど、それまではひたすらにらめっこなのだよね」
僕は凛たちに近づいてどんなことをしているのか見てみた。
専門知識はないものの、プログラムを使って作業をしているようだ。
「結構大変そうだね…」
「バグを見つけるような作業をしているから、一つ一つ丁寧に探していかないといけないからね」
「専門知識がないから、見ている側からするとすごいことをしているのだなって感じるよ」
「解読に時間がかかるから、利木くんたちはゆっくりしておきなさい」
凛が僕にすべてを説明してくれた。
凛がこんなに真面目に作業しているのはあまりみないけど、近況だとマラソン大会くらいかな。
時間は夕方。お腹が空いてくる時間だ。
「僕、学食でご飯を食べてくるけどみんなはどうするの?」
すると、男子のみんなは行くことになった。
女子たちは優奈の手調理を食べることとなった。
夕方の学食は寮に住んでいるNPC生徒しかいなく、一般生徒はいないためお昼より人は少ない。
夕方も昼とは少し違うものの、大体のものは同じだ。
「みんなは何食べるの?僕は魚定食にしようと思うのだけど」
「俺はカレーライスでも頼もうかな」
「僕は焼きそばにする」
「僕は利木くんと同じものにしようかな」
各メンバーはそれぞれの配給場所に行って料理を貰ってテーブルに着いた。
「やっぱり、ここの学食は本格的だよね」
「俺も最初の頃から食べているけど、本当に本格的なものしかないんだよな」
「僕たちからすればスマートフォン翳すだけで食べられるけどね」
「久吉はどの料理も関係なくいつも、美味しそうに食べているがな」
どのような食べ物でも美味しそうに食べる久吉を見ると、作っている側からすれば一番嬉しいことなのだろうな。
作っていない側でも、美味しそうに食べている姿は幸せに感じる。
久吉は好き嫌いがない。だからなのかもしれないけど、それ以外の魅力というものがあるのだろう。
「明日、何かわかることがあるのかな?」
「さあな。ロックをかかっているくらいだから、それだけ、重要な情報があるってことだろ?」
「こういうのって大体、校長先生が怪しいってなるよね。探偵系の小説とかドラマとかだとね」
「そうそう!陣が言ったように『犯人は!』みたいな感じ!」
こんな感じで僕たちは話が盛り上がった。
水を一杯飲んだ後、僕たちは食べたものを返却口に返した。
その後、生徒会室に戻った。
生徒会室に戻ったとき、女子も丁度ご飯を食べ終えたようだ。
匂いからして夜ご飯は優奈の手作りのオムライスのようだ。
「お腹いっぱいになったわ。また、これから作業に戻らないとね。はる、今日は徹夜になりそうだから少しは仮眠をしておいたらどう?私はもう少し、プログラムを見ておくわ」
「私先に仮眠するから、その後凛ちゃんも仮眠してよ」
「わかったわ」
「さて、私たちはすることがないわけだけど、今は凛とはるに任せるしかないわ。いつ、例のメールが来るかもわからないし、今日は早めに解散にするわ。明日、わかり次第連絡をするからよろしく」
雫の指示により今日は解散となった。
何か大事なものが入っているに違いない。
僕の情報もあるかもしれないし、この世界の情報も記載されている可能性だってある。
凛とはるには頑張ってもらって、僕は早く寝ることにした。
深夜。
「凛ちゃんおはよう」
仮眠で寝ていた凛が起きてきた。
まだ眠そうにしている。
「進捗はどうなの…」
まだ寝ぼけている様子。
「もうちょっとなんだけどね。夜中には終わる見込みだよ」
「そう。なら一緒に最後の追い上げでもしましょうか」
凛とはるは最後の仕上げに入った。
凛は、はるの記憶が気になり、その中に凛の記憶が含まれたことが気になるようで、作業しながらその話題が上がった。
「私、やっぱりはるの記憶の中にいる私が気になるのだけど、聞いてもいい?」
「いいよ。何が知りたいの?」
「全部が知りたいかな」
「全部ってどこから話せば良いのかわからないよ。んー、初めて私と会った時の凛ちゃんは誰も寄せ付けない存在だったかな。悪いことは悪いとはっきり言う人だった。だから、私を助けたのだと思っている。次いでだと思ってはいるけどね、私の中では」
「次いでってわけではないかな。悪いことは悪いってはっきり言うのは今でも変わらないし、まあ…そう言っておきながら、私がぐうたら、悪いことをするから矛盾が生まれてしまうのだけどね。よくはるに注意されるし。自己中心的なところもあるから、それもあるのかも」
「確かに、凛ちゃん中心って存在が凄かったよ。一緒に居ていてね。一緒に居たおかげで私に対しての嫌がらせは無くなったのは事実だよ。それは感謝しても感謝しきれないくらいに。でも、その裏で凛ちゃんが苦しんでいたのはわからなかった。様子はおかしかったのは少しあったかもしれないけど、気づけなかった私が悪いと今でも思っている。助けられた道だってあったのかもしれない」
「私はそこまでして、はるを大切に思っていたんだね。私のせいで結果的に一緒に死の道へと連れて行った。そこまで追い詰められていたんだね。私は」
「私を守ってくれている凛ちゃんを見ていて、私は凛ちゃんのことが好きになっていったのだと思う。私の為に体を張ってくれたこと。大切にしてくれたこと。嬉しかったのは高校を一緒に行ってくれたこと。凛ちゃんがいなかったら、性別の事だって怖くて高校生活を送ることが出来なかったもの」
「私の想像だけど、一人にさせたくはなかったのだろうね、きっと。小学校のことをみていたら、高校で何が起きるのかわからなかったからなのかもしれない。そんな思いだったのかもしれないね」
「そのおかげで高校生活は楽しいものになったのよ。女子としてみんなと一緒に遊ぶことも出来たからね。感謝しているよ」
「今の私に感謝されても、困るけどね」
はるの記憶話をした二人。
作業しながら話をしていると、最後の工程が終わりファイルのロックが解除された。
ロックを解除されたシステム音が流れファイルを覗いてみると、私たちの名前が書かてれいるファイルが並べられていた。
名前以外にシステムプログラムのファイルだったり、この世界について書かれているファイルがあった。
「ファイルロックの解除に成功したが、生徒会メンバーの名前が書かれているファイルがあるわね。現時点で勝手に開けるのはやめておいた方が良いわね」
「そうだね。凛ちゃんが言ったように今は開くことはやめておきましょう。それよりも、このプログラムと世界の仕組みが気になるけどね」
「興味本位で開きたいところだけど、雫に見せるのが一番かもね」
「まだ朝まで時間もあるし、凛ちゃん少し寝ない?流石に疲れたよ」
「そうね、数時間だけだけど、寝られるうちは寝ておいた方がよいわね」
そういって、二人は寝室に行き数時間だけだが寝ることにした。
朝になり、みんなが生徒会室へ集まってきている。
「あれ?凛とはるはまだ起きてきていないの?」
雫が周りを見渡した時、はると凛の姿が見当たらないことに気づいた。
「雫、もしかしたら徹夜で作業をしていたので、まだ寝ていると思いますよ」
七が寝ている理由を話した。
「無理に起こす必要もないし、今はそっと寝かせておきましょう」
その後、生徒会の朝礼が始まった。
ロックが解除されている可能性の話。
今後についての話など。
朝礼が終わると、はると凛が起きてくる間は自由行動になった。
僕は朝食を食べるために食堂へ向かい、朝定食を食べた。
食べた後は、生徒会室へ戻った。
戻ってくると、はると凛が起きてきた。
「利木くんおかえり。これで全員ね。はると凛が起きてきたわけだし、本題に入るわ。凛、報告を」
「寝起きなのに早速すぎない?まあ、いいけど。はると私で夜中にファイルのロックを解除することに成功したわ。その中には、生徒会メンバー全員の名前がついてあるファイルがあったわ。それ以外にはシステムプログラム。この世界について書かれているファイルが発見されたわ。ファイルの中は見ていないため、雫の判断で開くことにと、はると話して決めたわ。だから、ファイルを開くときは雫の判断でお願いするわ。報告は以上よ」
「はる、凛、お疲れ様。大変だったと思うわ。ありがとう」
「さて、どこから手をつけて良いのやら…」
「その名前の書かれているファイルの中身が気になるけど、どんな内容なの?」
「むやみに他人のファイルを開けたくはないからわからないわよ」
「でしたら、私のファイルを開いてみてはいかがですか?記憶も取り戻したことですし、特に知られてまずい内容でもないと思いますので」
「良いの?七?」
「はい。他の人よりの、まだ私の方がリスクすくないですからね」
「わかったわ。それじゃあ、開いてみるわね」
「はる、そのファイルを私のパソコンに送ることはできる?」
「はい。今送りますね」
はるは、生徒会長席に座っている雫のパソコンに、七のファイルを転送した。
送られてきたファイルを雫が開くと、衝撃的な内容が書いてあった。
「今、七のファイルを開いたのだけど、ファイルの中…七の記憶情報が書かれているわ。それ以外でも、七の詳細なども記載されているわ。もしかしたら、この名前のファイルすべては、各目メンバーの記憶が書かれている可能性が高いわね…」
「私の記憶も書かれているってこと!?」
凛が知りたかった記憶が書かれている可能性があるのか、凛は驚いた様子で言った。
眠そうだった凛だったが、この事実を知り目が覚めたようだ。
「まだ、そうと決まったわけじゃないわ。まだ可能性の話をしているだけよ。もしかしたら、何も書かれていない可能性だってあるんだし」
「どうだったとしても、私はそのファイルの中を見てみたいわ」
「そうね…ファイルを観覧したい人は私のデスクで個人のファイルだけ見るなら許可を与えるとする。凛、見たいなら私のところにきて、このパソコンで見なさい」
「わかったわ」
凛は恐る恐る、雫のところに行った。
そして、自分のファイルを見つけ開いた。
ファイルの中身を見て、凛は絶句した。
「白紙…なんで!?なんでよ!」
「記憶を取り戻した人にしか詳細はないってこと?」
「利木くんの言っていることもあるかもしれないけど、まだわからないわね」
「雫さん、私のファイルも見てもいいですか?」
「ええ」
はるは自分のパソコンでファイルを開いた。
「私のファイルには記憶のことが書かれています」
「雫、私の推測だと記憶を取り戻した人しかここに書かれる可能性が高いと思います。他のメンバーのファイルを開いても凛さんのように、白紙になっているとおもいますよ」
「やっと、自分のことがわかると思ったのに…」
雫は肩を落とした。
記憶を知れる可能性があったためか、それが崩された時の衝撃が大きい。
「試しに私も開いてみるわ」
雫は躊躇なく自分のファイルを開いた。
開いてみたが、結果は凛と同じ白紙だった。
「私も同じね。後は、システムプログラムと、この世界についてのファイルのみか」
突然、生徒会メンバー全員に通知音が鳴った。
『このファイルを解読したということはファイルを見たということだね。この世界の情報を知ることは、みんなにとって大事ということなのだろう。記憶の持っていない人のファイルを見ても白紙のファイルになる。後、この世界の謎についてみたとしても白紙だ。一つ言おう。システムプログラムはAIだ。このメールも同じAIが送っている。誰かが操作しているというのは間違いで、正しくはAIが正解だ。世界はAIによって作られた。すべてのことを知りたいなら、ミッションを最後まで終えることだ。ペナルティとして久吉の記憶を返そう。君たちにとってペナルティなのかどうかわからないが』
「久吉?あのバカの記憶が返ってきたってこと?」
「…バカっていうな…。バカっていうな!」
「なに、そんなに怒っているのよ…」
「バカっていうな!」
何かわかることがあればラッキーぐらいしか思っていない。
それと、今日から全員夏服になった。
この世界にも季節というものが存在する。
必要なものがあれば、ロッカーから出てくる。不思議なものだ。
「さて、今日は昨日から言ったように改めて探索する日よ。探索するにあたって班分けをするね。まず、ネットや情報系は凛、はるが担当。室内の探索は、私、七、優奈が担当。室外については男子四人組で行ってもらうわ」
何かあれば、僕たちは二人に分かれて探索も出来る。四人でなくても。
見落としなどのことも含め、人数は多い方がいい。
「連絡手段についてはスマートフォンで連絡を行うように。新たに何か見つかることは多分ないとは思うけど、改めてこの世界についての情報を知れることが出来ればいいと思っているわ。それでは、早速だけど探索に取り掛かってもらうわ」
雫の合図と共に、各班が動き出した。
僕たちは室外を探索するということなので、僕たちがこの世界に来た校門へ向かうことにした。
外は暑く生徒会室から五分もしない間に汗が出てきた。
この世界に夏が存在するなんて思ってもなかったけど、ここまで暑いとは思ってもなかったけど。
僕たちは汗を拭いながら校門へと着いた。
「最初に校門に着いたけど、僕たちは何をするの?」
「雫が敷地の外に出られないって言っていたけど、それが本当かどうかしらべてみるか」
僕たちは、校門、正門と言われるところにいる。
そこから出ようとすると、見えない壁に当たって外に出ることが出来なかった。
「雫さんの言った通り、外には出ることが出来ないですね」
「久吉は必死に外に出ようとあがいているけどな。それでも、出られないのだから雫が言ったことは本当だったな。イベントが起きれば、外にで出られるし変わった世界だよな、ほんと」
「見えない壁が存在するなんて、まるで夢みたいだよな。今ここにいることが、夢であって現実でもあるわけだけど」
「何回、チャレンジしてもやっぱり外には出られないよ!」
「久吉、もういいよ。検証は終わったし、これ以上続けると暑さで倒れるからやめておいた方がいいよ」
「わかった。この壁、何をしても向こうへ行くことが出来なかった。背景はあるのに…あのさ、他のところへ行く前に、自動販売機で水を買おうよ」
「そうだね。久吉くんが言ったように倒れてしまっては遅いし、水分補給も行いながら探索を続けよう」
「一旦、このことはスマートフォンで記録しておくよ」
僕たちは次の目的地に行く前に自動販売機によって水を買った。
水はひんやりとしていて、この暑い中で飲むのには最高の飲み物だ。
気が付けば、ペットボトルの中は空っぽになっていた。
それだけ、体力の消費が激しいのだろう。
一方、雫たちは校内を探索した。
「まず、どこから探索をすればよ良いのかわからないわね…」
「これと言った目星はないわね」
「まず、教室から探索するというのはどうですか?学校と言えば大半過ごす教室ですし」
「そうね、色々な教室に行ってみてみるのも良いかもしれないわね」
「そうと決まれば、善は急げね」
雫たちは自分の教室へ向かった。
自分の教室と言っても、この世界で用意されている教室であって、普段使っているわけではない。
必要な時だけその教室を利用しているだけだ。
目的の教室に着いた雫たちは、教室を調べることにした。
「調べると言っても、何を調べていいのかわからないわね。探すところなんて少ないし」
「私はロッカーや窓を調べてみますね」
「私は教卓付近を調べるから、優奈は机を調べてもらえるかしら」
「わかったわ」
それぞれ指定されたところを調べた。
「調べても何も出てきませんね。どこにでもある教室って感じで」
「そうね、机も調べても何も出てこないわ」
「こっちも同じね。他の教室を調べても出てこないと思うけど一応調べておいた方がいいかもね。面倒くさいけど…」
数多くある教室を調べてみたが、これといったものは見つからなかった。
ただ、時間が進み疲労が溜まるのみだった。
「こうなったら、校長室に行ってみるしかないか。学校と言えば一番重要なものがありそうだし」
「校長いたりしないの?」
「人がいればその時はそのときよ」
そういって、雫たちは校長室へと向かった。
はると凛は生徒会室のパソコンで情報を探っていた。
「ネットは繋がるけど、検索しても検索ヒット数はゼロ。外部の情報は全く不明ね。はる、何かわかったことはある?」
「図書館にあるネット情報を使って調べてみたけど、全く手掛かりがないよ。図書館なら何か歴史みたいなものがあると思って調べてみたけど全然ダメ」
「有力な情報はなしと…」
「職員室にあるネットにハッキングして調べてみるのは?」
「やってみるね」
はるは慣れた手つきで職員室のネットにアクセスした。
職員室の情報は他と比べると数が多い。
必要なものだけを調べようとしたが、生徒の成績、テストの内容しか書かれていなかった。
「久吉の成績があるじゃん!ちょっと覗いてみようと」
「ちょっと、凛!」
「なんだこれ。成績がまるでダメね。現実世界なら赤点レベルというより、補修常連ってレベルの成績じゃない。どう頑張ったら、この成績がだせるの?」
「もう、凛たら…もうおしまい!他調べてみるよ!」
「わかったわよ…」
調べてみたけど、結局何もわからないままで終わった・
「これじゃあ、何もわからないまま時間だけが過ぎるだけじゃない!」
「そう簡単には見つかるわけないよ。不思議なことしか起きない世界なんだし」
「まるで、釣りをしているかのようね。私は少し休憩!はる、後はよろしくー」
凛はソファーでくつろいだ。
はるは、真面目に情報を探っていた。
だけど、出てくるものは何もない。
外を探索している利木たちはというと進展はなかった。
学校を一周してみたけど、すべて見えない壁で囲われていた。
ボールを投げたら見えない壁をすり抜けることがわかった。
後は、生徒の出入りも確認された。
僕たちはNPC生徒と呼んでいるけど、その生徒なら見えない壁でも行き来できるみたいだ。
「まるで、大きな牢獄の中に入っているようだな」
「例えたらそうだね。この世界の終着点はどこなんだろうね」
「そんなのわかるわけないだろ。この世界の神様の気まぐれとしか言えないしな」
「僕はこうやって、みんなと一緒に居られるだけで楽しくて嬉しいよ」
「僕も陣くんと同じ」
「いつか別れる時が来るかもしれないと考えると、少し寂しい気持ちになるね」
「それまでは許されるまで遊びまくればいいのだと思うよ、陣」
「それで、これからどうするよ。もう、探すところもないし一旦雫と合流するか?」
「そうだね、海の言う通り一回、雫と合流しよう。連絡してみる」
僕はスマートフォンで雫に連絡を取った。
雫から「校長室に行くからそこで待ち合わせ」と連絡があった。
「雫から校長室に来るように連絡が入ったよ」
「やっと、この暑い外からお別れできるのは嬉しいわ」
「それじゃあ、校長室に向かうよ」
僕たちは、校舎に戻り校長室へ向かった。
「にしても、ほんと暑かったな。俺がここに来た時とは全然違うわ」
「海の時は涼しい時だっけ?確か雫の次に来たんだよね?」
「ああ、あの時はまだ肌寒かったからな。そこから、みんなが来たんだよ。最後は利木がきてな。そこから、この世界は変わったんだよ」
「僕の時には、すでにメンバーが揃っていましたからね。久吉くんも同じくらいだったと思う」
「順番は忘れちゃったけど、ほとんど同じ時期だったんだよね」
「利木くんが新しく加わって賑やかになったのは事実だし、僕は嬉しく思うよ」
そんな話をしながら、僕たち四人は校長室へ向かった。
着いたことには、先に雫がいた。
「あら、遅かったじゃない。ていうか、全員汗凄いけど大丈夫なの?」
「雫が僕たちを外の探索に出させたから、この暑い中を調べ周った結果こうなったんだよ」
僕たちは雫の指示で外に駆り出された訳なのだが。
その結果、全員が汗まみれになった。
雫は僕たちが探索した成果を聞いてきた。
「それで何かわかったことはあるの?」
「学校を一周して周ってみたけど、すべて見えない壁で囲われていた。NPC生徒は見えない壁を出入りできるけど僕たちは無理で、ボールを投げたらすり抜けていった。これくらいしか報告できるものはないかな」
「久吉は必死に通り抜けようとしていたが、結局ダメだったわけなんだがな」
僕たちの成果を雫たちに言った。
続けて雫たちの成果を七が代わりに言った。
「私たちの方は成果がありませんでした。すべての教室を調べてみましたが、何も成果はなかったです」
「私たちの報告は七が言った通りよ。凛たちも、図書館のネットや職員室にある情報を探ったけど何もないって連絡が来ていたわ」
「結局何も出てこないか…」
「探した結果何も出てこないけど、残されたのはこの校長室ってわけ」
「それでここに呼ばれた訳なのですね」
期待はしないけど、なにかあるとすればここなのか…
希望くらいはもっておこう。
「さて、早速だけど最後の望みである校長室を調べるわよ。なにか出てくれば良いのだけどね…」
雫を先頭に僕たちは校長室へ入った。
校長室に入ると、あまり見慣れない光景で新鮮味がある。
雫は一目散に、校長机調べた。
他のメンバーは周りを調べた。
みんなが調べている間、久吉は校長室のソファーでははしゃいでいた。
それを見た優奈は久吉に
「久吉くん、少しは落ち着きましょうね」
少し怒り気味で言った。
それを言われた久吉は何かを察したのか、静かにソファーに座った。
優奈に言われると久吉は大人しくなるらしい。
雫以外の人たちは棚を調べ、ファイルを広げて書類を見ているが、見ている感じ何か得たものはない様子だ。
雫は校長席に座ってパソコンを立ち上げて、得られる情報がないか調べているようだ。
「雫なにかわかったものはあるか?」
僕は苦戦している雫に聞いてみた。
「それがここにロックがかかっていて先を見ることが出来ないんだよね…」
雫は必死にロックを開けようとしたが、解除することはできなかった。
「雫ちゃん、何か見つけたの?さっきから、キーボード音が聞こえるけど」
優奈の一言で、ここにいるメンバーは雫のところへ集まった。
「なんですか、これ?」
久吉がわからない表情をしていた。
機械系には鈍いみたい。
「これはロックされたファイルですよ、久吉くん」
「ファイル?」
「久吉、もしかしてネットに弱いのか?」
「機械はちょっとわからないから、こういうのよくわからないのよね」
「要は大事なものに鍵がかかっているのよ、久吉」
「それならわかる。ありがとう」
「まったく…」
「ロック外せないなら、凛たちに聞いてみたら良いんじゃないのか?」
「そうね、ちょっと聞いてみるわ」
雫はスマートフォンを取り出し、ビデオ通話を始めた。
雫は凛にこのロックを解除できるか聞いてみた。
それを聞いた凛は、はるにハッキング出来るかを聞いて、はるは「やってみるよ」と言って、キーボードを鳴らしながらハッキングを試みた。
「ん…これは、少し時間がかかるかもしれないけど、出来なくもないよ」
「どれくらいかかりそう?」
雫ははるに聞いた。
「一日あれば出来るけど、今日中には無理そう」
そういった後、ビデオ通話は終わった。
「何とかなりそうですね、雫」
「まあ、時間かかるみたいだし、気長に待ってみるしかないかな」
「それで、みんなは何か見つけたの?」
雫の問いに対し、みんなは頷かなかった。
結局見つかったのは、雫がネットで見つけたファイルのみだった。
僕たちは校長室を後にして生徒会室へ戻った。
「おかえりなさい、みんな」
はるは帰ってきたメンバーに挨拶をした。
雫は真っ先にはるのもとへ向かった。
「さっき通話で話したけど、やっぱり難しそう?」
「うん、時間はかかるけど明日には中を見ることができるよ」
「ありがとう、大変だと思うけどお願いね」
その後雫は生徒会長の椅子へ座った。
「俺ら外に居たから、ここがどんなに快適なことか。もう、外に出るのはごめんだぜ」
海は僕たちと外を探索したから、暑さで疲れ切っていた。
疲れ切った体に冷房の効いた生徒会室はまるで天国だ。
僕たちは死んでいるのだから、この世界自体が天国という表現も出来るのだが。
「みんな疲れ切ってるみたいだし、冷たいお茶を入れたわよ」
優奈は冷えたお茶を用意してくれた。
僕たちは自動販売機で何本の水を飲んだのやら。
もう外は行きたくない気分。
はると凛が解読の作業を行っている間、僕たちは快適なこの空間で安らぎを得た。
「にしてもこれ、結構厳重だね…解けたときの快感はすごいけど、それまではひたすらにらめっこなのだよね」
僕は凛たちに近づいてどんなことをしているのか見てみた。
専門知識はないものの、プログラムを使って作業をしているようだ。
「結構大変そうだね…」
「バグを見つけるような作業をしているから、一つ一つ丁寧に探していかないといけないからね」
「専門知識がないから、見ている側からするとすごいことをしているのだなって感じるよ」
「解読に時間がかかるから、利木くんたちはゆっくりしておきなさい」
凛が僕にすべてを説明してくれた。
凛がこんなに真面目に作業しているのはあまりみないけど、近況だとマラソン大会くらいかな。
時間は夕方。お腹が空いてくる時間だ。
「僕、学食でご飯を食べてくるけどみんなはどうするの?」
すると、男子のみんなは行くことになった。
女子たちは優奈の手調理を食べることとなった。
夕方の学食は寮に住んでいるNPC生徒しかいなく、一般生徒はいないためお昼より人は少ない。
夕方も昼とは少し違うものの、大体のものは同じだ。
「みんなは何食べるの?僕は魚定食にしようと思うのだけど」
「俺はカレーライスでも頼もうかな」
「僕は焼きそばにする」
「僕は利木くんと同じものにしようかな」
各メンバーはそれぞれの配給場所に行って料理を貰ってテーブルに着いた。
「やっぱり、ここの学食は本格的だよね」
「俺も最初の頃から食べているけど、本当に本格的なものしかないんだよな」
「僕たちからすればスマートフォン翳すだけで食べられるけどね」
「久吉はどの料理も関係なくいつも、美味しそうに食べているがな」
どのような食べ物でも美味しそうに食べる久吉を見ると、作っている側からすれば一番嬉しいことなのだろうな。
作っていない側でも、美味しそうに食べている姿は幸せに感じる。
久吉は好き嫌いがない。だからなのかもしれないけど、それ以外の魅力というものがあるのだろう。
「明日、何かわかることがあるのかな?」
「さあな。ロックをかかっているくらいだから、それだけ、重要な情報があるってことだろ?」
「こういうのって大体、校長先生が怪しいってなるよね。探偵系の小説とかドラマとかだとね」
「そうそう!陣が言ったように『犯人は!』みたいな感じ!」
こんな感じで僕たちは話が盛り上がった。
水を一杯飲んだ後、僕たちは食べたものを返却口に返した。
その後、生徒会室に戻った。
生徒会室に戻ったとき、女子も丁度ご飯を食べ終えたようだ。
匂いからして夜ご飯は優奈の手作りのオムライスのようだ。
「お腹いっぱいになったわ。また、これから作業に戻らないとね。はる、今日は徹夜になりそうだから少しは仮眠をしておいたらどう?私はもう少し、プログラムを見ておくわ」
「私先に仮眠するから、その後凛ちゃんも仮眠してよ」
「わかったわ」
「さて、私たちはすることがないわけだけど、今は凛とはるに任せるしかないわ。いつ、例のメールが来るかもわからないし、今日は早めに解散にするわ。明日、わかり次第連絡をするからよろしく」
雫の指示により今日は解散となった。
何か大事なものが入っているに違いない。
僕の情報もあるかもしれないし、この世界の情報も記載されている可能性だってある。
凛とはるには頑張ってもらって、僕は早く寝ることにした。
深夜。
「凛ちゃんおはよう」
仮眠で寝ていた凛が起きてきた。
まだ眠そうにしている。
「進捗はどうなの…」
まだ寝ぼけている様子。
「もうちょっとなんだけどね。夜中には終わる見込みだよ」
「そう。なら一緒に最後の追い上げでもしましょうか」
凛とはるは最後の仕上げに入った。
凛は、はるの記憶が気になり、その中に凛の記憶が含まれたことが気になるようで、作業しながらその話題が上がった。
「私、やっぱりはるの記憶の中にいる私が気になるのだけど、聞いてもいい?」
「いいよ。何が知りたいの?」
「全部が知りたいかな」
「全部ってどこから話せば良いのかわからないよ。んー、初めて私と会った時の凛ちゃんは誰も寄せ付けない存在だったかな。悪いことは悪いとはっきり言う人だった。だから、私を助けたのだと思っている。次いでだと思ってはいるけどね、私の中では」
「次いでってわけではないかな。悪いことは悪いってはっきり言うのは今でも変わらないし、まあ…そう言っておきながら、私がぐうたら、悪いことをするから矛盾が生まれてしまうのだけどね。よくはるに注意されるし。自己中心的なところもあるから、それもあるのかも」
「確かに、凛ちゃん中心って存在が凄かったよ。一緒に居ていてね。一緒に居たおかげで私に対しての嫌がらせは無くなったのは事実だよ。それは感謝しても感謝しきれないくらいに。でも、その裏で凛ちゃんが苦しんでいたのはわからなかった。様子はおかしかったのは少しあったかもしれないけど、気づけなかった私が悪いと今でも思っている。助けられた道だってあったのかもしれない」
「私はそこまでして、はるを大切に思っていたんだね。私のせいで結果的に一緒に死の道へと連れて行った。そこまで追い詰められていたんだね。私は」
「私を守ってくれている凛ちゃんを見ていて、私は凛ちゃんのことが好きになっていったのだと思う。私の為に体を張ってくれたこと。大切にしてくれたこと。嬉しかったのは高校を一緒に行ってくれたこと。凛ちゃんがいなかったら、性別の事だって怖くて高校生活を送ることが出来なかったもの」
「私の想像だけど、一人にさせたくはなかったのだろうね、きっと。小学校のことをみていたら、高校で何が起きるのかわからなかったからなのかもしれない。そんな思いだったのかもしれないね」
「そのおかげで高校生活は楽しいものになったのよ。女子としてみんなと一緒に遊ぶことも出来たからね。感謝しているよ」
「今の私に感謝されても、困るけどね」
はるの記憶話をした二人。
作業しながら話をしていると、最後の工程が終わりファイルのロックが解除された。
ロックを解除されたシステム音が流れファイルを覗いてみると、私たちの名前が書かてれいるファイルが並べられていた。
名前以外にシステムプログラムのファイルだったり、この世界について書かれているファイルがあった。
「ファイルロックの解除に成功したが、生徒会メンバーの名前が書かれているファイルがあるわね。現時点で勝手に開けるのはやめておいた方が良いわね」
「そうだね。凛ちゃんが言ったように今は開くことはやめておきましょう。それよりも、このプログラムと世界の仕組みが気になるけどね」
「興味本位で開きたいところだけど、雫に見せるのが一番かもね」
「まだ朝まで時間もあるし、凛ちゃん少し寝ない?流石に疲れたよ」
「そうね、数時間だけだけど、寝られるうちは寝ておいた方がよいわね」
そういって、二人は寝室に行き数時間だけだが寝ることにした。
朝になり、みんなが生徒会室へ集まってきている。
「あれ?凛とはるはまだ起きてきていないの?」
雫が周りを見渡した時、はると凛の姿が見当たらないことに気づいた。
「雫、もしかしたら徹夜で作業をしていたので、まだ寝ていると思いますよ」
七が寝ている理由を話した。
「無理に起こす必要もないし、今はそっと寝かせておきましょう」
その後、生徒会の朝礼が始まった。
ロックが解除されている可能性の話。
今後についての話など。
朝礼が終わると、はると凛が起きてくる間は自由行動になった。
僕は朝食を食べるために食堂へ向かい、朝定食を食べた。
食べた後は、生徒会室へ戻った。
戻ってくると、はると凛が起きてきた。
「利木くんおかえり。これで全員ね。はると凛が起きてきたわけだし、本題に入るわ。凛、報告を」
「寝起きなのに早速すぎない?まあ、いいけど。はると私で夜中にファイルのロックを解除することに成功したわ。その中には、生徒会メンバー全員の名前がついてあるファイルがあったわ。それ以外にはシステムプログラム。この世界について書かれているファイルが発見されたわ。ファイルの中は見ていないため、雫の判断で開くことにと、はると話して決めたわ。だから、ファイルを開くときは雫の判断でお願いするわ。報告は以上よ」
「はる、凛、お疲れ様。大変だったと思うわ。ありがとう」
「さて、どこから手をつけて良いのやら…」
「その名前の書かれているファイルの中身が気になるけど、どんな内容なの?」
「むやみに他人のファイルを開けたくはないからわからないわよ」
「でしたら、私のファイルを開いてみてはいかがですか?記憶も取り戻したことですし、特に知られてまずい内容でもないと思いますので」
「良いの?七?」
「はい。他の人よりの、まだ私の方がリスクすくないですからね」
「わかったわ。それじゃあ、開いてみるわね」
「はる、そのファイルを私のパソコンに送ることはできる?」
「はい。今送りますね」
はるは、生徒会長席に座っている雫のパソコンに、七のファイルを転送した。
送られてきたファイルを雫が開くと、衝撃的な内容が書いてあった。
「今、七のファイルを開いたのだけど、ファイルの中…七の記憶情報が書かれているわ。それ以外でも、七の詳細なども記載されているわ。もしかしたら、この名前のファイルすべては、各目メンバーの記憶が書かれている可能性が高いわね…」
「私の記憶も書かれているってこと!?」
凛が知りたかった記憶が書かれている可能性があるのか、凛は驚いた様子で言った。
眠そうだった凛だったが、この事実を知り目が覚めたようだ。
「まだ、そうと決まったわけじゃないわ。まだ可能性の話をしているだけよ。もしかしたら、何も書かれていない可能性だってあるんだし」
「どうだったとしても、私はそのファイルの中を見てみたいわ」
「そうね…ファイルを観覧したい人は私のデスクで個人のファイルだけ見るなら許可を与えるとする。凛、見たいなら私のところにきて、このパソコンで見なさい」
「わかったわ」
凛は恐る恐る、雫のところに行った。
そして、自分のファイルを見つけ開いた。
ファイルの中身を見て、凛は絶句した。
「白紙…なんで!?なんでよ!」
「記憶を取り戻した人にしか詳細はないってこと?」
「利木くんの言っていることもあるかもしれないけど、まだわからないわね」
「雫さん、私のファイルも見てもいいですか?」
「ええ」
はるは自分のパソコンでファイルを開いた。
「私のファイルには記憶のことが書かれています」
「雫、私の推測だと記憶を取り戻した人しかここに書かれる可能性が高いと思います。他のメンバーのファイルを開いても凛さんのように、白紙になっているとおもいますよ」
「やっと、自分のことがわかると思ったのに…」
雫は肩を落とした。
記憶を知れる可能性があったためか、それが崩された時の衝撃が大きい。
「試しに私も開いてみるわ」
雫は躊躇なく自分のファイルを開いた。
開いてみたが、結果は凛と同じ白紙だった。
「私も同じね。後は、システムプログラムと、この世界についてのファイルのみか」
突然、生徒会メンバー全員に通知音が鳴った。
『このファイルを解読したということはファイルを見たということだね。この世界の情報を知ることは、みんなにとって大事ということなのだろう。記憶の持っていない人のファイルを見ても白紙のファイルになる。後、この世界の謎についてみたとしても白紙だ。一つ言おう。システムプログラムはAIだ。このメールも同じAIが送っている。誰かが操作しているというのは間違いで、正しくはAIが正解だ。世界はAIによって作られた。すべてのことを知りたいなら、ミッションを最後まで終えることだ。ペナルティとして久吉の記憶を返そう。君たちにとってペナルティなのかどうかわからないが』
「久吉?あのバカの記憶が返ってきたってこと?」
「…バカっていうな…。バカっていうな!」
「なに、そんなに怒っているのよ…」
「バカっていうな!」
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