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はじまりに一杯のコーヒーを
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一杯のコーヒーで未来が変わることもあるらしい。
その日、魔界は快晴だったが嵐は突然やってきた。チリンと軽快にドアベルが鳴り、カフェに来客を知らせる。
「いらっしゃいませ!」
振り返り、ドアのほうを見たリリーは凍った。
――ル、ルシファー様!
撫でつけられた美しい漆黒の髪は白い肌を際立たせ、双眸は凍るような青色で深い海を思わせる。白いスーツも様になっていて、明らかに格上の悪魔だと思わせる所作は優雅だった。どこからどう見ても、あの魔王サタンの右腕と名高いルシファー様だ。といっても、300年ほど前に堕天使として魔界にやってきて、自らの力で成り上がったという話だが。
「い、一名様でしょうか……?」
思わず、職務を忘れて見つめてしまいそうになるのをかろうじて耐えて、気弱な声をかける。
「お前の目には何名に見えるんだ?」
「お席までご案内します……」
悪魔には基本、食事は必要ない。必要があるとすれば、人間の魂にありつけない自分のような下っ端悪魔や、身分の高い悪魔が嗜好品として取るのみだ。しかし、なぜこんな細々とやっているカフェにルシファー様のような悪魔が、と私は内心首をひねっていた。それに、ルシファー様は食にうるさいと有名だ。自分はといえば、コーヒーを淹れるのがうまいだけで、あとはてんでダメな悪魔だ。前の店もクビにされ、ようやくここでコーヒーを淹れながら働けているのに。もし、ここでルシファー様の機嫌を損ねるようなことがあれば今度こそ終わりだ。
「こちらへどうぞ」
窓側の眺めの良い席に通すと、一瞥しただけでルシファー様は動かない。まるで値踏みされているようにじっと見られている気がする。視線が、痛い。突き刺さるようだ。
「お席が気に入りませんか?」
ちらりとその美貌に目線を向けると、再び視線が突き刺さる。
「お前の淹れたコーヒーが飲みたい」
「は、はい。ただいまお持ちします!」
そう答えると、ルシファー様はゆっくりと席に着いた。
ここ最近、私が淹れるコーヒーが評判になってきていたが、まさか魔王側近の元まで届いていたとは。
チャンスなのかピンチなのか、判別もつかなくなりながらもコーヒーを丁寧に淹れようという腹積もりは決まった。いや、いつも楽しく丁寧に淹れているけれども。
まず、私のオリジナルブレンドの焙煎したコーヒー豆を、ミルで挽いていくところから始まる。お湯を沸かしつつ、小気味の良い音で豆を挽き終えたら器具を準備していく。ペーパーフィルターはお湯で湿らせ、既定の量のコーヒー粉をセットして、100℃に満たないお湯を、渦を巻くようにゆっくり注いでいく。私はこの香り立つ湯気を嗅ぐのが好きだ。30秒蒸らしたら、お湯を注ぎ、抽出を繰り返す。これで、私の大好きなコーヒーの出来上がりだ。
「こちら、当店のオリジナルブレンドになります」
取り急ぎ、ルシファー様にお持ちした。
ルシファー様は、まず香りを楽しんでおられるようだった。そして、一口飲むと告げた。
「お前を、うちの屋敷のメイドにする」
「へ?」
たぶん、今までないくらい間抜けな声が出ていたと思う。
「今すぐ荷物をまとめろ、馬車は表に止めてある。このコーヒーを楽しんでいる間くらいは待っていてやる」
「え、あの……」
店長へと目くばせすると、逆らうなというように首を振っていた。
ここから、すべてが始まった。いや、完結したのかもしれない。
住み込みで働いていて、たいして荷物もなかった私は、馬車に揺られながら今後の事について考えようと必死だった。でも何も考えられなかった。ふかふかの敷物であつらえられた馬車は振動もなく静かに進んでいく。対面に座ったルシファー様からは、相変わらず厳しい視線が飛んでくる。
「お前、名は?」
「リリーです」
「リリー、リリーか。そうか」
反射的に答えたけれど、ルシファー様は私の名前を口の中で小さく呼んだ。まるで確かめるように。その声に喜色があったのは勘違いだろうか。
馬車は高貴な悪魔が住まう地区へと分け入っていく。いわゆる、高級住宅街というやつだ。その中でも、趣味がいいなと思うお屋敷へと進んでいく。ルシファー様の好みなのだろう。
「お待ちしておりました、ルシファー様。その娘が例の?」
馬車が止まり、開けられた扉の前には白髪の紳士が待ち受けていた。おそらく執事長だと一目でわかる。そして、使用人たちも大勢並んでいた。
「知らせは滞りなく届いていたようだな、セバス。準備はできているか?」
セバスと呼ばれた紳士に答えながら、ルシファー様は馬車から降りる私をエスコートしてくれた。一介の悪魔には過ぎたことだ。ざわりとどよめいた使用人たちからの視線が怖い。
「はい。では、お嬢さん、こちらへ。お名前をお伺いしても?」
「……リリーです」
「リリーさん、それでは今日からこの屋敷で、ルシファー様のコーヒーを淹れていただきます。必要なものがあれば何でもお申し付けください」
「そんな数日で慣れるわけないですよねぇ!」
一人きりの部屋で私は独り言を放った。顔をふかふかのクッションにうずもれさせていたが、まだ朝も早く、聞いている人はいないだろう。普通、使用人は使用人の部屋をあてがわれるはずなのに、私がいるのは明らかに用意された客間だ。
セバスさんは普通に接してくれるが、そのほかの使用人からの嫌がらせが続いている。昨日はブレンドした豆を捨てられていて、セバスさんにわざわざ用意してもらった。何かあれば言ってください、とセバスさんは気遣ってくれるが悪魔のジェラシーは恐ろしい。
「ルシファー様に、退職願いを……だめだ、生きていけない……」
今日も、ルシファー様が起きたらコーヒーを淹れるんだ。それだけが楽しみだった。ルシファー様は、いつもコーヒーを嬉しそうに飲んでくれる。堅物のようで意外と表情がわかりやすく、働き甲斐もあるというものだ。あの彫像のような顔に微笑まれたら心も溶ける。
「それに、昨日は美味しいって言ってくれた」
ふふっと頬が緩む。何を考えているかわからないと思っていたが、褒められれば悪い気はしない。
「よし。がんばろ!」
しかしその決意は、文字通り打ち砕かれる。
「なんで……」
ルシファー様のコーヒーカップが割られていたのだ。思わずカップに触れてしまい、指先に赤がにじむ。キッチンにいる使用人たちから、くすくすと笑い声が起きた。幸い、予備のカップはある。道具や豆に何もされていなかったのがせめてもの救いだ。
割られたカップを片付けると、傷口を洗いコーヒーを淹れる準備を始めた。
「今日のコーヒーでございます」
寝起きで、まだ身支度中のルシファー様の元へコーヒーを届ける。ルシファー様はカップが違うことに一瞬怪訝な顔をしたのち、私の手をつかんだ。
「っ!」
「怪我をしているようだが、どうかしたのか?」
「あの、これは!」
「その子、カップを割っておりましたよ」
弁明の前に、ルシファー様の身支度をしていた使用人が口を挟む。キッと睨みつけるもくすくすと嘲笑が起きる。
「そうか。ではお前『たち』は解雇だ」
「え?」
「聞こえなかったのか? 今すぐ屋敷から出ていけ!」
チリンとセバスさんを呼ぶベルを鳴らしたルシファー様は言った。
「セバス、リリー以外を全員解雇とする。代わりのものをリストアップしておいてくれ」
「すでに準備がございます」
「そうか、では通達しておけ」
「かしこまりました」
ルシファー様はやっぱり嵐のような人だ。カフェに来た時もそうだった。
「リリー、手を」
いきなり手を取られた。チュッと傷口にキスを落とされ治癒魔法をかけられる。
「なんで……」
呆然とする私に、ルシファー様は言った。
「お前は、覚えていないか?」
「え……?」
「あの日、お前がくれた一杯のコーヒーだ」
そう言って、ルシファー様がコーヒーを口に含んで口移ししてくる。
その時、澄んだ海のような青い瞳を見て思い出した。
「大丈夫ですか?」
「…………」
ぼろぼろの白衣に、青い瞳、漆黒の髪に灰色の翼。たぶん、近頃噂の堕天使だ。たくさんの仲間で魔界に降りてきたらしいが、そのうちの一人だろうか。
「お腹が空いているなら、これしかないですが……いかがですか?」
あれは300年ほど前のことだ。ルシファー様が堕天した頃に、ぼろぼろのこの人にコーヒーをあげたこと。あの時も、青い瞳がきれいだなと印象に残っていたこと。あの時は堕天使だったのだろう。私のコーヒーが、そう、魔界の食べ物が悪魔に変化させたのだ。
ゴクリと口移しされたコーヒーを飲み干すと、ルシファー様は執拗に舌を絡めてくる。まるで口内に残ったコーヒーを舐めとるように。
「もっと早くこうしていればよかった。お前の奥まで全部ほしい。拒否権はないぞ」
その日、魔界は快晴だったが嵐は突然やってきた。チリンと軽快にドアベルが鳴り、カフェに来客を知らせる。
「いらっしゃいませ!」
振り返り、ドアのほうを見たリリーは凍った。
――ル、ルシファー様!
撫でつけられた美しい漆黒の髪は白い肌を際立たせ、双眸は凍るような青色で深い海を思わせる。白いスーツも様になっていて、明らかに格上の悪魔だと思わせる所作は優雅だった。どこからどう見ても、あの魔王サタンの右腕と名高いルシファー様だ。といっても、300年ほど前に堕天使として魔界にやってきて、自らの力で成り上がったという話だが。
「い、一名様でしょうか……?」
思わず、職務を忘れて見つめてしまいそうになるのをかろうじて耐えて、気弱な声をかける。
「お前の目には何名に見えるんだ?」
「お席までご案内します……」
悪魔には基本、食事は必要ない。必要があるとすれば、人間の魂にありつけない自分のような下っ端悪魔や、身分の高い悪魔が嗜好品として取るのみだ。しかし、なぜこんな細々とやっているカフェにルシファー様のような悪魔が、と私は内心首をひねっていた。それに、ルシファー様は食にうるさいと有名だ。自分はといえば、コーヒーを淹れるのがうまいだけで、あとはてんでダメな悪魔だ。前の店もクビにされ、ようやくここでコーヒーを淹れながら働けているのに。もし、ここでルシファー様の機嫌を損ねるようなことがあれば今度こそ終わりだ。
「こちらへどうぞ」
窓側の眺めの良い席に通すと、一瞥しただけでルシファー様は動かない。まるで値踏みされているようにじっと見られている気がする。視線が、痛い。突き刺さるようだ。
「お席が気に入りませんか?」
ちらりとその美貌に目線を向けると、再び視線が突き刺さる。
「お前の淹れたコーヒーが飲みたい」
「は、はい。ただいまお持ちします!」
そう答えると、ルシファー様はゆっくりと席に着いた。
ここ最近、私が淹れるコーヒーが評判になってきていたが、まさか魔王側近の元まで届いていたとは。
チャンスなのかピンチなのか、判別もつかなくなりながらもコーヒーを丁寧に淹れようという腹積もりは決まった。いや、いつも楽しく丁寧に淹れているけれども。
まず、私のオリジナルブレンドの焙煎したコーヒー豆を、ミルで挽いていくところから始まる。お湯を沸かしつつ、小気味の良い音で豆を挽き終えたら器具を準備していく。ペーパーフィルターはお湯で湿らせ、既定の量のコーヒー粉をセットして、100℃に満たないお湯を、渦を巻くようにゆっくり注いでいく。私はこの香り立つ湯気を嗅ぐのが好きだ。30秒蒸らしたら、お湯を注ぎ、抽出を繰り返す。これで、私の大好きなコーヒーの出来上がりだ。
「こちら、当店のオリジナルブレンドになります」
取り急ぎ、ルシファー様にお持ちした。
ルシファー様は、まず香りを楽しんでおられるようだった。そして、一口飲むと告げた。
「お前を、うちの屋敷のメイドにする」
「へ?」
たぶん、今までないくらい間抜けな声が出ていたと思う。
「今すぐ荷物をまとめろ、馬車は表に止めてある。このコーヒーを楽しんでいる間くらいは待っていてやる」
「え、あの……」
店長へと目くばせすると、逆らうなというように首を振っていた。
ここから、すべてが始まった。いや、完結したのかもしれない。
住み込みで働いていて、たいして荷物もなかった私は、馬車に揺られながら今後の事について考えようと必死だった。でも何も考えられなかった。ふかふかの敷物であつらえられた馬車は振動もなく静かに進んでいく。対面に座ったルシファー様からは、相変わらず厳しい視線が飛んでくる。
「お前、名は?」
「リリーです」
「リリー、リリーか。そうか」
反射的に答えたけれど、ルシファー様は私の名前を口の中で小さく呼んだ。まるで確かめるように。その声に喜色があったのは勘違いだろうか。
馬車は高貴な悪魔が住まう地区へと分け入っていく。いわゆる、高級住宅街というやつだ。その中でも、趣味がいいなと思うお屋敷へと進んでいく。ルシファー様の好みなのだろう。
「お待ちしておりました、ルシファー様。その娘が例の?」
馬車が止まり、開けられた扉の前には白髪の紳士が待ち受けていた。おそらく執事長だと一目でわかる。そして、使用人たちも大勢並んでいた。
「知らせは滞りなく届いていたようだな、セバス。準備はできているか?」
セバスと呼ばれた紳士に答えながら、ルシファー様は馬車から降りる私をエスコートしてくれた。一介の悪魔には過ぎたことだ。ざわりとどよめいた使用人たちからの視線が怖い。
「はい。では、お嬢さん、こちらへ。お名前をお伺いしても?」
「……リリーです」
「リリーさん、それでは今日からこの屋敷で、ルシファー様のコーヒーを淹れていただきます。必要なものがあれば何でもお申し付けください」
「そんな数日で慣れるわけないですよねぇ!」
一人きりの部屋で私は独り言を放った。顔をふかふかのクッションにうずもれさせていたが、まだ朝も早く、聞いている人はいないだろう。普通、使用人は使用人の部屋をあてがわれるはずなのに、私がいるのは明らかに用意された客間だ。
セバスさんは普通に接してくれるが、そのほかの使用人からの嫌がらせが続いている。昨日はブレンドした豆を捨てられていて、セバスさんにわざわざ用意してもらった。何かあれば言ってください、とセバスさんは気遣ってくれるが悪魔のジェラシーは恐ろしい。
「ルシファー様に、退職願いを……だめだ、生きていけない……」
今日も、ルシファー様が起きたらコーヒーを淹れるんだ。それだけが楽しみだった。ルシファー様は、いつもコーヒーを嬉しそうに飲んでくれる。堅物のようで意外と表情がわかりやすく、働き甲斐もあるというものだ。あの彫像のような顔に微笑まれたら心も溶ける。
「それに、昨日は美味しいって言ってくれた」
ふふっと頬が緩む。何を考えているかわからないと思っていたが、褒められれば悪い気はしない。
「よし。がんばろ!」
しかしその決意は、文字通り打ち砕かれる。
「なんで……」
ルシファー様のコーヒーカップが割られていたのだ。思わずカップに触れてしまい、指先に赤がにじむ。キッチンにいる使用人たちから、くすくすと笑い声が起きた。幸い、予備のカップはある。道具や豆に何もされていなかったのがせめてもの救いだ。
割られたカップを片付けると、傷口を洗いコーヒーを淹れる準備を始めた。
「今日のコーヒーでございます」
寝起きで、まだ身支度中のルシファー様の元へコーヒーを届ける。ルシファー様はカップが違うことに一瞬怪訝な顔をしたのち、私の手をつかんだ。
「っ!」
「怪我をしているようだが、どうかしたのか?」
「あの、これは!」
「その子、カップを割っておりましたよ」
弁明の前に、ルシファー様の身支度をしていた使用人が口を挟む。キッと睨みつけるもくすくすと嘲笑が起きる。
「そうか。ではお前『たち』は解雇だ」
「え?」
「聞こえなかったのか? 今すぐ屋敷から出ていけ!」
チリンとセバスさんを呼ぶベルを鳴らしたルシファー様は言った。
「セバス、リリー以外を全員解雇とする。代わりのものをリストアップしておいてくれ」
「すでに準備がございます」
「そうか、では通達しておけ」
「かしこまりました」
ルシファー様はやっぱり嵐のような人だ。カフェに来た時もそうだった。
「リリー、手を」
いきなり手を取られた。チュッと傷口にキスを落とされ治癒魔法をかけられる。
「なんで……」
呆然とする私に、ルシファー様は言った。
「お前は、覚えていないか?」
「え……?」
「あの日、お前がくれた一杯のコーヒーだ」
そう言って、ルシファー様がコーヒーを口に含んで口移ししてくる。
その時、澄んだ海のような青い瞳を見て思い出した。
「大丈夫ですか?」
「…………」
ぼろぼろの白衣に、青い瞳、漆黒の髪に灰色の翼。たぶん、近頃噂の堕天使だ。たくさんの仲間で魔界に降りてきたらしいが、そのうちの一人だろうか。
「お腹が空いているなら、これしかないですが……いかがですか?」
あれは300年ほど前のことだ。ルシファー様が堕天した頃に、ぼろぼろのこの人にコーヒーをあげたこと。あの時も、青い瞳がきれいだなと印象に残っていたこと。あの時は堕天使だったのだろう。私のコーヒーが、そう、魔界の食べ物が悪魔に変化させたのだ。
ゴクリと口移しされたコーヒーを飲み干すと、ルシファー様は執拗に舌を絡めてくる。まるで口内に残ったコーヒーを舐めとるように。
「もっと早くこうしていればよかった。お前の奥まで全部ほしい。拒否権はないぞ」
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