本当に怖いのは、、

星川雫

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本当に怖いのは

はじまり

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その微笑みに意味などなかった
こんなことはありえない
あったのは僕に植え付けられた恐怖
それだけだ

仕事に追われ友達も恋人もなく
つまらない日々を送っていた
そんな僕にも一つだけ楽しみがあった

大学時代オカルト研究部というマイナーな
部活に所属していたおかげで
都市伝説やホラー系小説を読むことが好きになってしまった
今日も面白そうな小説がないかと仕事帰りに古い本屋へ立ち寄った
店はボロボロで今にも崩れそうだが
様々なジャンルの本があり
古くさい紙の臭いが漂うこの空間が
僕は好きだった

ふと一冊の本に目が止まった
タイトルは
「本当に怖い話_あ◼️◼️◼️◼️◼️」
後半は文字がかすれて読めない
こんな本前見たときにはなかったな
僕は違和感を感じながらも
引き寄せられるように本に手を伸ばした
その本はとても年代物で
所々破れてしまっている
それでもタイトル通りのスリルを求め
僕はその本を購入しようと店主に声をかけた
だが、店主はその本を見ると首を傾げ
こんな本置いた記憶がないと語った
僕にはもうそんなのどうでもよかった
早く本を読みたい衝動だけが心を強く
支配していた
結局その本を譲ってもらい
僕はこれも運命だと思いながら
満足気に帰路についた
早速ページをめくると古い臭いと共に
一つのワードが飛び込んできた
「壱日目」
?それ以外何も書かれていなかった
ページをめくってみる
「弐日目」
またページをめくってみる
「参日目」
それ以降は全て白紙だった
、、一目惚れした本だけあって落胆した
なんだか気味が悪いな
そう思い僕はその本を棚にしまった
今日はもう寝てしまおう
そう思い明かりを消した瞬間だった
ドンという大きな音が玄関から聞こえた
恐る恐る扉を開けるがいつもと
何も変わらない景色がそこにあった
気のせいかもしれない
僕は布団に潜り眠りについた
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