もう一度君と…

海津渚

文字の大きさ
上 下
7 / 35
1-1 井原悠太

仲良くなったきっかけ

しおりを挟む
「そういえばさ、悠太とヒロって何がきっかけで仲良くなったの?2人すごく違うタイプなのになーと思ってさ。」 
 ある日拓斗が不思議そうに聞いてきた。 

 確かに俺とヒロトはあんまり似ていない。好きなものや生活の仕方も全然違うし、考え方も違う。 
「それはね、中1の時のことなんだけれどー」 
 俺はヒロとの出会いを思い出しながら語った。 
 
 中学1年生の時。俺は他の子と比べて学校になじめなかった。ほとんどの人が虹岡東小学校に対し、俺は虹岡西小学校だったということもあるが、それだけでなく、単に話をするのが苦手だったのだ。また、周りより勉強ができたことに対し良く思わない人がいたのだ。
 
 そして時には嫌がらせをされた。 
『この池の周り競走しようぜ!最下位だったやつは罰ゲームな!』 
 足を怪我している俺には不利な競走…。足をこれ以上状態悪くしたくなかったので、ゆっくり走る。たぶん俺が1番遅いだろうなと思っていたが、俺より遅い人が1人がいた。それがヒロだった。
 
『俺走るの苦手なんだよな~』 
 彼はそう言いながら呑気に走っていた。なんだこいつ。罰ゲームとか怖くないのだろうか。 
 でも彼を放って走るのは申し訳ない部分があった。 
『俺1人苦手だし、一緒に走ろ。』 
『おう!』 
 走りながらお互いのことを色々と話した。ヒロはすごくおもしろかった。しかも同じゲームをしていて話しやすかった。 
 学校ではクラスが違っていたため、ほとんど会わなかったが、オンラインゲームを通してやり取りをしたり、一緒に出かけてより仲良くなった。中学3年生の時には同じクラスになることができてうれしかった。 



「まあこんな感じかな。」 
「不思議な出会いだね~いいなそういうの。」 
「俺らの出会い方もなかなか不思議だけどな。」 
「それは言えるかも。」 
 静かな教室に笑いが響いた。 
しおりを挟む

処理中です...