もう一度君と…

海津渚

文字の大きさ
上 下
23 / 35
1-3 上杉拓斗

戦力ゲット

しおりを挟む
 次の日。俺は現代文の授業中、さっそく計画を立てた。
 まず遠崎先輩と関わらないといけないな。そうするには…
 
 ヒロ!ヒロだ!遠崎先輩と仲良いし、彼女に片想いし…
 そこで俺は重大な問題に気づいてしまった。
 ノートの裏に書く。

 ヒロ(片想い)→遠崎先輩←(片想い)悠太

 三角関係じゃん!!!しかも悠太とヒロ親友だし…!
 あぁ、どうしよう…。
 ヒロに頼むなんてできない。より状況が複雑になる。

 じゃあどうすれば。
 気づけば授業は終わっており、昼休みが始まった。悠太と食べよっ…って彼は学校を休んでいるんだった。
 ぼっち飯か。
 
 そう落ち込んでいると、
「上杉さんいますか?」
という声が。
 そこにはこの前の文化祭実行委員で集まった時に倒れた遠崎先輩を保健室まで運んで行った先輩がいた。

「あ、はい!こんにちは。もしかして実行委員会のことですか?」
 クラスの視線が先輩に移る。
「まあね。急だけど今日空いてる?一緒に昼食べながら話そう!空いてなければ明日でも…」
「いや、今日フリーなんです!食べましょう!」
 ぼっち飯回避!やった!

 人がいない中庭のベンチで弁当を広げる。
「今日、井原は休み?」
「あ…はい。ちょっと体調悪くて。」
「ふむふむ」
 井原のことを話したいという思いが伝わってきた。
「井原がどうかしたんですか?」
 遠崎先輩に何か言われてここに来たのか。
「あーえっとね、遠崎佳奈って知ってる?」
「知ってます。」
 やっぱりか。彼女に何か言われて…
「あいつ最近おかしいんだ。井原と出会ってから…昨日球技大会の時に彼女が井原に色々言ってるのを聞いて、さすがに酷かったから問いただしたら、『嫌い』の一点張りで…。今までともに過ごしてきて人のこと嫌いとか言ったことないんよ。2人に繋がりとか知ってる?」
「元カップルです。」なんて言えない。
「知らないです。」
「そっか…僕は、佳奈がほんとはあんなことがしたくてしてるとは思わないんだ。何か隠してる気がして。2人が仲良く…とまでは思ってないけど、実行委員会のメンバーとして普通に接することができるようにはなって欲しいと思っているんだよね。佳奈の成長のためにもさ。上杉くん、井原と仲良いよね。協力してくれない?」
 俺の考えと先輩の考えは似ている気がする。いい戦力になりそう。
「分かりました!協力します!ちなみに先輩の名前は…??」
「あ、言うの忘れてた。一ノ瀬朝陽。よろしくね!」
「朝陽先輩ですね!よろしくお願いします:)」

 一歩前進!悠太、お前のために頑張るからな!
 心の中で呟いた。
しおりを挟む

処理中です...