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第四章
N7
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「……殿下を、立て直させて差し上げて欲しい」
夜、私の寝室に来たランディがそんな話をし始めた。
ベッドに座り、いまにも押し倒して宜しいだろうかというタイミングで、だ。
何という生殺しだろうか……と思いながら、私は渋々話に付き合った。
「……その機会は私が先日丁寧に叩き潰したので、また暫くは無理だと思いますが」
「……次でいい。またいつか、殿下がおまえから離れようとしたら、そのまま見送って差し上げて欲しい」
「嫌です、と言ったら?」
「おまえがそう言いたい気持ちは分かるが……どうか静かに俺の妻として過ごしてくれないだろうか。俺に出来ることならば、可能な限りおまえの希望に沿おう。……大事にするから」
ランディの言葉に、私は感激して震えた。
「ラ……ランディ……、それは、私には、犬と番う覚悟の表明に聞こえますが……」
「ええっ!? 違う! 何でそうなる!? あっそう言えばこの前そんな話があったな!? しかし違う!!」
「えーっ! 違うんですか!?」
「当然だ!!」
「犬に犯されて絶望と屈辱と自分ではどうにもならない快楽に翻弄されるランディの姿なんて、一生もののおかずとして目に焼き付け……」
「おまえ俺が嫌いなのか!? 大体おまえなんかおかず必要無いだろ!」
「実際のセックスとオナニーは違います。オナニーには無限の可能性とファンタジーがあるのです。あなたには何故それが分からないのです……」
「分からんでもないが、自分が犬に犯される話の延長では分かりたくない……! 流石のおまえだって、幾ら何でもおまえだって、おまえがそうしたら俺もそうしてやると言っても、犬に犯されたくは無いだろう!?」
「えっ……本当に?」
「……え、えっ??」
「……結構つらいことは確かですが、ランディのそんな姿が見られるならやりましょう。使用穴は前でいいですか。後ろは私はあんまり使ってないのでそんなに開かない……いや、あくまで同じ条件で、という話なら、幾らか拡張するお時間を頂戴する形に……」
「どこまでそれ本気で言ってるんだ!?」
「果てしなく本気ですが」
「怖い! 俺はおまえが怖い!」
「えぇー……。怖くていいからやりましょうよ」
「だから俺をそんな根性無しを見るような目で見るな……」
ランディが両手で顔を覆って俯いた。
「もう本当に何なんだ……俺の妻はどうして普通に俺を抱くだけでは満足してくれないんだ……」
「ええっ、そんなことないですよ、満足してますよ! あわよくば何ならそんな機会は逃さず見たいっていう……」
そこでランディは顔を上げ、責めるように私を見た。
「おまえなんか、何かの間違いで俺が輪姦でもされている現場に遭遇したら、助けるどころか観客になったり交ざったりするんだろう」
「いやぁ……ランディが輪姦されちゃうような集団に私が立ち向かっても、結局二人して犯されるだけのような気もしますし」
「論理的に見せかけて俺が輪姦される姿が見たいだけだろう」
「ランディ……何やら被害妄想に火が付いているご様子ですが、まあ大方合ってます」
「ほら、合ってるんだろうが! 本当におまえときたら……!!」
「いやいや、冗談抜きでしたら、ランディの魅惑の体に夢中になっている奴らなど隙しかないでしょうから、一人ずつそっとぶっ殺していきますから、ちゃんと助けますから」
「俺は男に対して自分の体が魅惑な気はしない」
「そうですかね。私自身良く分からないジャンルの人なので、男色家、と言い切れるジャンルの人のことをそこまで理解はしていないので、何とも」
「おまえ中身はほぼ男なのに……と言うよりむしろ下衆野郎寄りなのに、見た目は巨乳美女だもんな……それはともかく」
「はい」
「……俺の要望を聞き入れる気はあるのか」
「一番最初の話ですか?」
「そうだ。殿下から離れて行かれたなら、見送って欲しいという話だ」
「……ランディ」
私は少し真面目に話をする気になった。
「何だ」
「それは要するに、今の私を形作っている物の中核に近い部分を放棄してくれというような要望ですね」
「……そうだな」
「ただでさえ残り少ないものが無くなってしまいます」
「……そうかもしれないな」
「そのまま死んでしまえという話なら、それもそれとして受け止めますが」
「違う。……代わりに、俺で埋めるだけ埋めるから、という話だ」
以前の会話が脳裏を横切るが、とてもそういう意味には聞こえない。殿下の代わりに犠牲になるから、と聞こえる。
「ふうん……いいですけど」
私が頷くと、ランディが少しほっとしたような顔をした。
彼らのお美しい友情なんだか、忠誠心なんだか、それに少しイラついた。私はもうたった一人で、そういうものとは隔絶している。
「ただし、結構大変だと思いますよ、私を埋めるのは」
「だろうとは思っている」
「殿下にしているようなことも、あなたが受け止めるという事ですよねえ」
「……そうだな」
「あなたに出来ますかねえ」
「すると言っている」
実際のところ、王子様に対しては精神攻撃が主だっていたりはする。意外とそんなに肉体的に酷い事はしていない。
が。
私はにやりと笑った。
「じゃあまず、手始めに」
私は引き出しに放り込んでおいたピアスとその他一式を持ってきた。
ランディが眉を寄せる。
「それをどうする気だ?」
「あなたの乳首に通しますね。……以前は殿下にくっつけていたんですけど、私が結婚した時に外してあげました」
するとランディが無言で、羽織っていたガウンの前を開けた。
「……どちらにする?」
乳首を露わにしてそう私に問う。
はは、と私は笑ってしまった。
「潔いですね。どうせなら、心臓の側ですかね?」
ベッドにまた乗ってから、初めて特にエロい気持ち無しにランディの乳首を摘み、針をぶすりと刺した。コルクで押し込み、続けてリングを通しても、ランディは微動だにせずにされるがままになっていた。
滲んだ血を舐め取り、その後に消毒液を振りかけてリングを動かす。
「痛いです?」
「痛くなかったらおかしい」
「確かに」
また笑って顔を上げると、両頬を手で挟まれた。それから唇を重ねられた。
「?」
少し何だろうとも思いながら、受け入れる。
暫くして唇が離れると、抱き込まれた。
「……犬は嫌だ」
「……そうですか」
私はふごふごと返事をした。
「……馬も嫌だ。動物は全て嫌だ。あと、輪姦も嫌だし、そもそもおまえ以外に抱かれたくはない」
「……はい」
王子様との件は彼の中でどういう評価なのだろう、とは思った。
「……だが、それ以外はなるべく対応するよう努めるから」
私は彼に、憐憫が滲んだような愛おしさにも似たものを感じた。
彼は本来私のような化け物を娶る筋合いもなく、そんな趣味もないのにやたらと抱かれる筋合いもなく、いつも言っている通りに血筋も容姿も良く、初婚では無い分選択の幅も広がっているだろうし、彼本来の好みに合致した美しい女性を手に入れることも容易だろう。
なのに今、こんな状況で私にこんなことを言う破目に陥っている。
可哀想で……とても、私の捩れた気持ちを刺激した。
「ふふっ」
笑いが込み上げる。
腕が緩んだので、そのまま押し倒した。
見上げて来る緑色の目が美しい。
「あなたはとても綺麗ですね」
色々な意味を込めてそう言い、首筋を吸う。
「……俺は、別に綺麗じゃない」
ランディが向こうに顔を背けた。
「そうですか」
本人が言うならそうかもしれない。私はただ、感じたことを口にしただけだ。
首にくっきりと付けた赤い痕をぺろっと舐めてから、私は体を起こした。
ランディの体に纏わりついているガウンの中は裸だった。
「今日はご衣裳もとっても潔いですね」
「……する予定の話の流れを考えれば、めちゃくちゃに抱かれる予測もつく」
「正しい読みですね」
膝を掴んでがぱっと脚を開かせる。
予測はついていてもなのか、ランディが少し恥ずかしそうにした。
「あなたのねー……そのねー……時々見せる恥じらいがねー……」
「おまえがいつも舐めるような目で見るからだろうっ……あと恥じらいという表現はやめろ」
「殿下はもうかなり開き直ってますよ」
「……そんな話は聞きたくないし、実際にこの目で見た」
「そうでしたね。ご感想は?」
「……なかなかの衝撃だったし、願わくばもう見たくない」
ふーっ、とランディが息を吐く。
「へえ。そういう反応なんですね。……あなたの大事な殿下をおかしくしてごめんなさいね?」
くく、と笑うと、ランディが眉を寄せて見上げてきた。
「……意地悪だな」
「そういうことですよ」
「……だったら仕方ない」
その手が上がり、指の背で私の頬を撫でた。
ふ、と笑う。その笑みは先刻の私のものと違い、何やら柔らかく、妙に優しい。
「……あなたのそんな所がねえ」
「ん?」
「……ドブ浚いの名手たる所以」
「何の話だ」
「いーえ」
私は顔を寄せ、ちゅっとランディにキスした。
「そして私の劣情をも掻き立てる訳です」
「えぇ……」
「ちんぽがぎんぎんに勃起するのです」
「それ言う必要あるのか??」
「無いですね」
うん、と頷きつつ、やたらヒラついた薄地の寝衣の裾から、ぎんぎんに勃起した物を出す。
「……本当に何を食ったらそんなにちん……男性器が育つんだ」
「さあ。姉というか兄というかもこんな具合でしたからねえ。妹というか弟は違う風合いでしたが」
ヨエルのちんぽは普通サイズだった。
また集落の有様が頭に浮かび……私はそれを力ずくで押し沈めた。
「ランディだって平均よりはご立派だからいいじゃないですか。美味しい物食って良く育って」
「おまえに言われると嫌味にしか聞こえない」
「んもぉー、男性ってどうしてそうでっかいとかちっちゃいとかに拘るのかしら」
「……うわー……おまえそれ、うわー……」
「ランディなんて他のところが大変に恵まれているんですから、短小包茎でもまだ釣り合い取れないくらいですよ」
「……もし俺が短小包茎だったら、おまえなんか俺を女の子扱いしていじめるんだろう……」
「えっ。別に……それちょっと楽しそうではありますけど……あれですよね、「何これクリトリス?」とか言いそうですけど……基本的に私の希望ポジションからすれば、相手のそういった突起物の種類もサイズもどうでもいい訳ですから……」
とそこまで言って、自分の下にあるランディの体を見下ろす。綺麗に割れた腹筋から下腹へと視線を下げ、萎えた男性器を眺めて思いついたことを続ける。
「……あ。剃毛していいですか」
私の言葉にランディが目を剥いた。
「はあっ!? 何だ唐突に!?」
「まあそもそもランディは男性にしたら体毛が薄い訳ですけれども、むしろボーボーだった方がその美貌とのギャップでそそるのはともかくとして、それとは別にとりあえずランディのアソコをつるんつるんにしてみたいです」
「な、何でだ」
「毛というのは大事な所を守るために生えていると言われていますが、とりあえずそんな部分がつるんつるんになるという無防備なランディが見たいです」
「理由は一応理解したが疑問は山積みだ」
「そうですか、理解して頂けて良かった」
「いや、疑問の方も気にしろ」
「剃刀と石鹸水を……」
ベッドから下りようとした私の手をランディがはしっと掴んだ。
「待て! こんな時間からそんな最高に下らない用を誰に言いつける気だ??」
「あ。あー……ではまた昼間に」
「……昼間にそんな機会があったらな」
ぼそりとランディが呟く。
「機会、無いですか」
私がじっと見つめると、ランディが慌てた。
「いや!? そのうちあると思うぞ!」
「ふうん……」
ランディの下の毛に指を突っ込み、毛並みとは逆方向に掻き上げる。
「何……」
「陰毛まで毛質が良い気がしますね」
「……特に何もしていないし髪より傷んでいると思うが」
「まあ、下着と擦れますしねえ」
言いながら毛を掻き回す。
「……ヘルガ」
「何です」
「……いつまで毛だけ弄くっているつもりなんだ」
ランディの声は普通にも聞こえたが、その奥に焦れが感じ取れた。性器に触れそうな距離で下腹を弄られていれば焦れもするだろう、確かに。
私はにやっとした。
「あぁ……そうですねえ。じゃあ、どこを弄くって欲しいのです?」
「どこって……」
少し恥ずかしそうに目を逸らされた。
だから!!
と私は腹の底で叫んだ。
恥じらいはエロいから!! と更に声にならない叫びを上げ、サイドテーブルに載っている潤滑剤を掴んで蓋を開け、掴み上げた脚の間に中身をぶっ掛ける。
「っ……」
ランディが身を竦めた後、こちらを見上げてきた。
熱を帯びた目も色っぽい。
「……ランディ」
「……なんだ」
「……自分で拡げて下さい」
「な」
「私のが入るまで」
ランディの手を取り、アナルに指先を触れさせる。
私は彼の両脚を持ち上げた。
「この体勢で、私に良く見えるようにして下さい」
ランディはものすごく色々と言いたげに眉を寄せていたが、結局は自分で膝裏を持ち上げて、私にそうさせられた方の手で肉穴に指先を入れた。
なるべく対応するよう努めてくれるということだろう。
「大丈夫ですよ、すぐ入るようになりますから」
そう長時間ぐじゅぐじゅ弄る必要はない。
しかし責めるように見られた。その目つきもまたエロい。
そんな目のまま、ランディは指を動かした。
ぬちゅ、と指と濡れた肉が擦れていやらしい音が立つ。すぐに指が二本挿し込まれる。
「ん……」
簡単に口を開ける性器のようなアナルは相当卑猥だった。
指が三本に増え、しかし自分自身の指ではそう深くも入らないから、まさに入り口のみ解している形だった。
「は……ふ、ぅ」
息を乱しながら、ランディが指を動かす。
「……緩みました? 開いてみて下さい」
そう声を掛けてみると、ランディが無言で中に入れていた指を広げた。肛門がいやらしく開き、中を少し覗かせる。
無言だが、はぁ、はぁ、と息は上がっていた。
「じゃあもう入れましょう」
要は入れたい。私が限界だった。
ランディの指が素直に抜かれた。
顔を覗き込むと、赤面しているのが分かった。
「……ランディ」
「……。……何だ」
「すごく恥ずかしくて居たたまれなくて無言なんですね」
うるさい、と小声で言うのが聞こえた。
ものすごく楽しい、と思いつつ、私は盛大に勃起しているものを口を弛めたいやらしい器官に押し込んだ。
「ん、ッ……あ……っ……」
ランディの口から喘ぎが漏れた。
その声も大変いやらしく、興奮した私は思いっきり突き上げた。
「ひぃっ」
悲鳴もまたエロかった。
色々と我慢できず、私は性欲を持て余した十代前半の若造のようにランディに襲い掛かった。
夜、私の寝室に来たランディがそんな話をし始めた。
ベッドに座り、いまにも押し倒して宜しいだろうかというタイミングで、だ。
何という生殺しだろうか……と思いながら、私は渋々話に付き合った。
「……その機会は私が先日丁寧に叩き潰したので、また暫くは無理だと思いますが」
「……次でいい。またいつか、殿下がおまえから離れようとしたら、そのまま見送って差し上げて欲しい」
「嫌です、と言ったら?」
「おまえがそう言いたい気持ちは分かるが……どうか静かに俺の妻として過ごしてくれないだろうか。俺に出来ることならば、可能な限りおまえの希望に沿おう。……大事にするから」
ランディの言葉に、私は感激して震えた。
「ラ……ランディ……、それは、私には、犬と番う覚悟の表明に聞こえますが……」
「ええっ!? 違う! 何でそうなる!? あっそう言えばこの前そんな話があったな!? しかし違う!!」
「えーっ! 違うんですか!?」
「当然だ!!」
「犬に犯されて絶望と屈辱と自分ではどうにもならない快楽に翻弄されるランディの姿なんて、一生もののおかずとして目に焼き付け……」
「おまえ俺が嫌いなのか!? 大体おまえなんかおかず必要無いだろ!」
「実際のセックスとオナニーは違います。オナニーには無限の可能性とファンタジーがあるのです。あなたには何故それが分からないのです……」
「分からんでもないが、自分が犬に犯される話の延長では分かりたくない……! 流石のおまえだって、幾ら何でもおまえだって、おまえがそうしたら俺もそうしてやると言っても、犬に犯されたくは無いだろう!?」
「えっ……本当に?」
「……え、えっ??」
「……結構つらいことは確かですが、ランディのそんな姿が見られるならやりましょう。使用穴は前でいいですか。後ろは私はあんまり使ってないのでそんなに開かない……いや、あくまで同じ条件で、という話なら、幾らか拡張するお時間を頂戴する形に……」
「どこまでそれ本気で言ってるんだ!?」
「果てしなく本気ですが」
「怖い! 俺はおまえが怖い!」
「えぇー……。怖くていいからやりましょうよ」
「だから俺をそんな根性無しを見るような目で見るな……」
ランディが両手で顔を覆って俯いた。
「もう本当に何なんだ……俺の妻はどうして普通に俺を抱くだけでは満足してくれないんだ……」
「ええっ、そんなことないですよ、満足してますよ! あわよくば何ならそんな機会は逃さず見たいっていう……」
そこでランディは顔を上げ、責めるように私を見た。
「おまえなんか、何かの間違いで俺が輪姦でもされている現場に遭遇したら、助けるどころか観客になったり交ざったりするんだろう」
「いやぁ……ランディが輪姦されちゃうような集団に私が立ち向かっても、結局二人して犯されるだけのような気もしますし」
「論理的に見せかけて俺が輪姦される姿が見たいだけだろう」
「ランディ……何やら被害妄想に火が付いているご様子ですが、まあ大方合ってます」
「ほら、合ってるんだろうが! 本当におまえときたら……!!」
「いやいや、冗談抜きでしたら、ランディの魅惑の体に夢中になっている奴らなど隙しかないでしょうから、一人ずつそっとぶっ殺していきますから、ちゃんと助けますから」
「俺は男に対して自分の体が魅惑な気はしない」
「そうですかね。私自身良く分からないジャンルの人なので、男色家、と言い切れるジャンルの人のことをそこまで理解はしていないので、何とも」
「おまえ中身はほぼ男なのに……と言うよりむしろ下衆野郎寄りなのに、見た目は巨乳美女だもんな……それはともかく」
「はい」
「……俺の要望を聞き入れる気はあるのか」
「一番最初の話ですか?」
「そうだ。殿下から離れて行かれたなら、見送って欲しいという話だ」
「……ランディ」
私は少し真面目に話をする気になった。
「何だ」
「それは要するに、今の私を形作っている物の中核に近い部分を放棄してくれというような要望ですね」
「……そうだな」
「ただでさえ残り少ないものが無くなってしまいます」
「……そうかもしれないな」
「そのまま死んでしまえという話なら、それもそれとして受け止めますが」
「違う。……代わりに、俺で埋めるだけ埋めるから、という話だ」
以前の会話が脳裏を横切るが、とてもそういう意味には聞こえない。殿下の代わりに犠牲になるから、と聞こえる。
「ふうん……いいですけど」
私が頷くと、ランディが少しほっとしたような顔をした。
彼らのお美しい友情なんだか、忠誠心なんだか、それに少しイラついた。私はもうたった一人で、そういうものとは隔絶している。
「ただし、結構大変だと思いますよ、私を埋めるのは」
「だろうとは思っている」
「殿下にしているようなことも、あなたが受け止めるという事ですよねえ」
「……そうだな」
「あなたに出来ますかねえ」
「すると言っている」
実際のところ、王子様に対しては精神攻撃が主だっていたりはする。意外とそんなに肉体的に酷い事はしていない。
が。
私はにやりと笑った。
「じゃあまず、手始めに」
私は引き出しに放り込んでおいたピアスとその他一式を持ってきた。
ランディが眉を寄せる。
「それをどうする気だ?」
「あなたの乳首に通しますね。……以前は殿下にくっつけていたんですけど、私が結婚した時に外してあげました」
するとランディが無言で、羽織っていたガウンの前を開けた。
「……どちらにする?」
乳首を露わにしてそう私に問う。
はは、と私は笑ってしまった。
「潔いですね。どうせなら、心臓の側ですかね?」
ベッドにまた乗ってから、初めて特にエロい気持ち無しにランディの乳首を摘み、針をぶすりと刺した。コルクで押し込み、続けてリングを通しても、ランディは微動だにせずにされるがままになっていた。
滲んだ血を舐め取り、その後に消毒液を振りかけてリングを動かす。
「痛いです?」
「痛くなかったらおかしい」
「確かに」
また笑って顔を上げると、両頬を手で挟まれた。それから唇を重ねられた。
「?」
少し何だろうとも思いながら、受け入れる。
暫くして唇が離れると、抱き込まれた。
「……犬は嫌だ」
「……そうですか」
私はふごふごと返事をした。
「……馬も嫌だ。動物は全て嫌だ。あと、輪姦も嫌だし、そもそもおまえ以外に抱かれたくはない」
「……はい」
王子様との件は彼の中でどういう評価なのだろう、とは思った。
「……だが、それ以外はなるべく対応するよう努めるから」
私は彼に、憐憫が滲んだような愛おしさにも似たものを感じた。
彼は本来私のような化け物を娶る筋合いもなく、そんな趣味もないのにやたらと抱かれる筋合いもなく、いつも言っている通りに血筋も容姿も良く、初婚では無い分選択の幅も広がっているだろうし、彼本来の好みに合致した美しい女性を手に入れることも容易だろう。
なのに今、こんな状況で私にこんなことを言う破目に陥っている。
可哀想で……とても、私の捩れた気持ちを刺激した。
「ふふっ」
笑いが込み上げる。
腕が緩んだので、そのまま押し倒した。
見上げて来る緑色の目が美しい。
「あなたはとても綺麗ですね」
色々な意味を込めてそう言い、首筋を吸う。
「……俺は、別に綺麗じゃない」
ランディが向こうに顔を背けた。
「そうですか」
本人が言うならそうかもしれない。私はただ、感じたことを口にしただけだ。
首にくっきりと付けた赤い痕をぺろっと舐めてから、私は体を起こした。
ランディの体に纏わりついているガウンの中は裸だった。
「今日はご衣裳もとっても潔いですね」
「……する予定の話の流れを考えれば、めちゃくちゃに抱かれる予測もつく」
「正しい読みですね」
膝を掴んでがぱっと脚を開かせる。
予測はついていてもなのか、ランディが少し恥ずかしそうにした。
「あなたのねー……そのねー……時々見せる恥じらいがねー……」
「おまえがいつも舐めるような目で見るからだろうっ……あと恥じらいという表現はやめろ」
「殿下はもうかなり開き直ってますよ」
「……そんな話は聞きたくないし、実際にこの目で見た」
「そうでしたね。ご感想は?」
「……なかなかの衝撃だったし、願わくばもう見たくない」
ふーっ、とランディが息を吐く。
「へえ。そういう反応なんですね。……あなたの大事な殿下をおかしくしてごめんなさいね?」
くく、と笑うと、ランディが眉を寄せて見上げてきた。
「……意地悪だな」
「そういうことですよ」
「……だったら仕方ない」
その手が上がり、指の背で私の頬を撫でた。
ふ、と笑う。その笑みは先刻の私のものと違い、何やら柔らかく、妙に優しい。
「……あなたのそんな所がねえ」
「ん?」
「……ドブ浚いの名手たる所以」
「何の話だ」
「いーえ」
私は顔を寄せ、ちゅっとランディにキスした。
「そして私の劣情をも掻き立てる訳です」
「えぇ……」
「ちんぽがぎんぎんに勃起するのです」
「それ言う必要あるのか??」
「無いですね」
うん、と頷きつつ、やたらヒラついた薄地の寝衣の裾から、ぎんぎんに勃起した物を出す。
「……本当に何を食ったらそんなにちん……男性器が育つんだ」
「さあ。姉というか兄というかもこんな具合でしたからねえ。妹というか弟は違う風合いでしたが」
ヨエルのちんぽは普通サイズだった。
また集落の有様が頭に浮かび……私はそれを力ずくで押し沈めた。
「ランディだって平均よりはご立派だからいいじゃないですか。美味しい物食って良く育って」
「おまえに言われると嫌味にしか聞こえない」
「んもぉー、男性ってどうしてそうでっかいとかちっちゃいとかに拘るのかしら」
「……うわー……おまえそれ、うわー……」
「ランディなんて他のところが大変に恵まれているんですから、短小包茎でもまだ釣り合い取れないくらいですよ」
「……もし俺が短小包茎だったら、おまえなんか俺を女の子扱いしていじめるんだろう……」
「えっ。別に……それちょっと楽しそうではありますけど……あれですよね、「何これクリトリス?」とか言いそうですけど……基本的に私の希望ポジションからすれば、相手のそういった突起物の種類もサイズもどうでもいい訳ですから……」
とそこまで言って、自分の下にあるランディの体を見下ろす。綺麗に割れた腹筋から下腹へと視線を下げ、萎えた男性器を眺めて思いついたことを続ける。
「……あ。剃毛していいですか」
私の言葉にランディが目を剥いた。
「はあっ!? 何だ唐突に!?」
「まあそもそもランディは男性にしたら体毛が薄い訳ですけれども、むしろボーボーだった方がその美貌とのギャップでそそるのはともかくとして、それとは別にとりあえずランディのアソコをつるんつるんにしてみたいです」
「な、何でだ」
「毛というのは大事な所を守るために生えていると言われていますが、とりあえずそんな部分がつるんつるんになるという無防備なランディが見たいです」
「理由は一応理解したが疑問は山積みだ」
「そうですか、理解して頂けて良かった」
「いや、疑問の方も気にしろ」
「剃刀と石鹸水を……」
ベッドから下りようとした私の手をランディがはしっと掴んだ。
「待て! こんな時間からそんな最高に下らない用を誰に言いつける気だ??」
「あ。あー……ではまた昼間に」
「……昼間にそんな機会があったらな」
ぼそりとランディが呟く。
「機会、無いですか」
私がじっと見つめると、ランディが慌てた。
「いや!? そのうちあると思うぞ!」
「ふうん……」
ランディの下の毛に指を突っ込み、毛並みとは逆方向に掻き上げる。
「何……」
「陰毛まで毛質が良い気がしますね」
「……特に何もしていないし髪より傷んでいると思うが」
「まあ、下着と擦れますしねえ」
言いながら毛を掻き回す。
「……ヘルガ」
「何です」
「……いつまで毛だけ弄くっているつもりなんだ」
ランディの声は普通にも聞こえたが、その奥に焦れが感じ取れた。性器に触れそうな距離で下腹を弄られていれば焦れもするだろう、確かに。
私はにやっとした。
「あぁ……そうですねえ。じゃあ、どこを弄くって欲しいのです?」
「どこって……」
少し恥ずかしそうに目を逸らされた。
だから!!
と私は腹の底で叫んだ。
恥じらいはエロいから!! と更に声にならない叫びを上げ、サイドテーブルに載っている潤滑剤を掴んで蓋を開け、掴み上げた脚の間に中身をぶっ掛ける。
「っ……」
ランディが身を竦めた後、こちらを見上げてきた。
熱を帯びた目も色っぽい。
「……ランディ」
「……なんだ」
「……自分で拡げて下さい」
「な」
「私のが入るまで」
ランディの手を取り、アナルに指先を触れさせる。
私は彼の両脚を持ち上げた。
「この体勢で、私に良く見えるようにして下さい」
ランディはものすごく色々と言いたげに眉を寄せていたが、結局は自分で膝裏を持ち上げて、私にそうさせられた方の手で肉穴に指先を入れた。
なるべく対応するよう努めてくれるということだろう。
「大丈夫ですよ、すぐ入るようになりますから」
そう長時間ぐじゅぐじゅ弄る必要はない。
しかし責めるように見られた。その目つきもまたエロい。
そんな目のまま、ランディは指を動かした。
ぬちゅ、と指と濡れた肉が擦れていやらしい音が立つ。すぐに指が二本挿し込まれる。
「ん……」
簡単に口を開ける性器のようなアナルは相当卑猥だった。
指が三本に増え、しかし自分自身の指ではそう深くも入らないから、まさに入り口のみ解している形だった。
「は……ふ、ぅ」
息を乱しながら、ランディが指を動かす。
「……緩みました? 開いてみて下さい」
そう声を掛けてみると、ランディが無言で中に入れていた指を広げた。肛門がいやらしく開き、中を少し覗かせる。
無言だが、はぁ、はぁ、と息は上がっていた。
「じゃあもう入れましょう」
要は入れたい。私が限界だった。
ランディの指が素直に抜かれた。
顔を覗き込むと、赤面しているのが分かった。
「……ランディ」
「……。……何だ」
「すごく恥ずかしくて居たたまれなくて無言なんですね」
うるさい、と小声で言うのが聞こえた。
ものすごく楽しい、と思いつつ、私は盛大に勃起しているものを口を弛めたいやらしい器官に押し込んだ。
「ん、ッ……あ……っ……」
ランディの口から喘ぎが漏れた。
その声も大変いやらしく、興奮した私は思いっきり突き上げた。
「ひぃっ」
悲鳴もまたエロかった。
色々と我慢できず、私は性欲を持て余した十代前半の若造のようにランディに襲い掛かった。
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漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
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