1 / 187
1章 異世界に召喚されました
1話 間違い召喚
しおりを挟む
「うおぉぉぉぉ失敗だぁぁぁぁぁぁ!??」
光輝く魔法陣の上で立ち尽くす私の前で、三人のローブを着た魔導士らしい人物達が頭を抱えて絶叫をあげている。
「神龍召喚で何故プレイヤーが召喚されたんだ!?」
「もう助からない!!この砦はおしまいだっ!!」
「ああ、光の神セシウス様!?何故このような残酷な事を!貴方は我々をお見捨てになったのですか!?」
と、やたらオーバーな口調で好き勝手言う魔導士連中。
ある者は頭をかかえ、ある者は壁にごんごん頭をうちつけ、あるものは祈りのポーズをささげている。
キョロキョロ見渡せば、よくファンタジーの世界であるレンガ作りの建物に、私の足元には光り輝く魔方陣。
いかにも異世界に召喚しました!という感じなのだが……。
私を呼び出したであろう魔導士連中は絶望にのたうちまわっていた。
人を召喚しておいて、失敗だの残酷だの何を好きかっているのかな、こいつらは。
私が青筋を立てながら突っ立っているにもかかわらず、三人は素知らぬ顔だ。
とりあえず、自分の中で現状を確認する。
私の名前は橘楓。日本人で今年26歳になるゲーヲタ女だ。
今日もいつものようにVRMMO『グラニクルオンライン』をプレイしていたはずだった。
友達やゲーム仲間と楽しく多人数参加バトル『レイド戦』にてボスを倒し、レアアイテムをゲット✩と喜んでいたところ――何故か地面に魔方陣が浮かび上がり、気が付けばここにいたわけである。
身体を見てみれば、私がいつもプレイしているゲーム内の男キャラ『猫まっしぐら』そのままだ。
これはあれか。よくある異世界召喚されました✩というパターンだろうか。
それともVRMMOゲーム『グラニクルオンライン』のイベントの一つなのだろうか。
ただ、ゲームイベントだとすると、おかしいところがひとつある。
ゲーム中ではNPCは、確かにイベント時は普通にしゃべるが、ほぼ棒読みでこのような激しいアクションはなく、寸劇で、NPCは全員目も虚ろでその瞳には光がない。
なのにこの魔導士連中は瞳に輝きがちゃんとある。
そしてプレイヤーの事は必ず「冒険者」というのに、先ほど魔導士はプレイヤーと言っていた。
ゲームでは有り得ないことだ。
かと言って、異世界というものおかしい。
何がおかしいって、日本語が普通にばりばり通じていること。
そして魔導士がこちらのことをプレイヤーときちんと認識していること。
これはあれだろうか?ゲームの世界に転生しちゃいました✩パターンなのだろうか?
「あのーもしもし?」
とりあえず話を聞こうと声をかけてみる。
「たすけてぇえぇぇおかぁぁぁさぁぁぁぁん」
「まだ死にたくなぁぁぁぁい」
「世界の終わりだぁぁぁぁぁ」
と、絶叫する三人。こいつら全く聞きやしねぇ。
てか人呼び出しておいて、ガン無視って酷くない?
「えーーっと」
再び話しかけてみるが
「あああ、こんなことなら一度くらい酒を飲んでおくべきだった!?」
「そんなのどうでもいいだろう!?私なんかロロンちゃんに気持ちを伝えてないんだからな!」
「チョコレート食べてみたかったぁぁぁぁぁ」
何故か喧嘩がはじまる。
……っておおぃ。あくまでも無視かよ。ちょっと待て。
「こうなったら死ぬ前にロロンちゃんに告白を!!」
「ってまてよロロンちゃんは俺が!!」
「せりあちゃーーんすきだぁぁぁぁ」
好き勝手わめく三人。
……こ、こいつらっ。マジ人の話聞かない。人をスルーとはいい度胸だ。
「っておまえらぁぁぁぁ人の話をきけぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
私が大声で叫べば、やっと魔導士三人はびくりとこちらを向くのだった。
△▲△
「あああああ!?そうだ凶悪プレイヤーを召喚していたのを忘れていた!?」
「プレイヤーってあれでしょ!?生けとし生けるものの天敵でしょ!?
食われるの!?僕たち食われるの!?」
「え、拷問されるんだろ!?赤ちゃんの格好をさせられて槍でつつかれるんだ!いやだぁぁぁぁぁぁ」
魔導士達は口々に好き勝手な事をいいだす。
こ、こいつら人の事をなんだと思ってるだよ。
勝手に人の事呼び出しておいて評価ひどいな。おい。
「たすけてぇえぇぇおかぁぁぁさぁぁぁぁん」
「まだ死にたくなぁぁぁぁい」
「世界の終わりだぁぁぁぁぁ」
なんだか一度聞いたようなセリフを吐きつつ、扉を開け逃げ出そうとする3人。
「いい加減に人の話をきけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
私が怒りで放った、トラップのタライが三人の頭に直撃するのだった。
光輝く魔法陣の上で立ち尽くす私の前で、三人のローブを着た魔導士らしい人物達が頭を抱えて絶叫をあげている。
「神龍召喚で何故プレイヤーが召喚されたんだ!?」
「もう助からない!!この砦はおしまいだっ!!」
「ああ、光の神セシウス様!?何故このような残酷な事を!貴方は我々をお見捨てになったのですか!?」
と、やたらオーバーな口調で好き勝手言う魔導士連中。
ある者は頭をかかえ、ある者は壁にごんごん頭をうちつけ、あるものは祈りのポーズをささげている。
キョロキョロ見渡せば、よくファンタジーの世界であるレンガ作りの建物に、私の足元には光り輝く魔方陣。
いかにも異世界に召喚しました!という感じなのだが……。
私を呼び出したであろう魔導士連中は絶望にのたうちまわっていた。
人を召喚しておいて、失敗だの残酷だの何を好きかっているのかな、こいつらは。
私が青筋を立てながら突っ立っているにもかかわらず、三人は素知らぬ顔だ。
とりあえず、自分の中で現状を確認する。
私の名前は橘楓。日本人で今年26歳になるゲーヲタ女だ。
今日もいつものようにVRMMO『グラニクルオンライン』をプレイしていたはずだった。
友達やゲーム仲間と楽しく多人数参加バトル『レイド戦』にてボスを倒し、レアアイテムをゲット✩と喜んでいたところ――何故か地面に魔方陣が浮かび上がり、気が付けばここにいたわけである。
身体を見てみれば、私がいつもプレイしているゲーム内の男キャラ『猫まっしぐら』そのままだ。
これはあれか。よくある異世界召喚されました✩というパターンだろうか。
それともVRMMOゲーム『グラニクルオンライン』のイベントの一つなのだろうか。
ただ、ゲームイベントだとすると、おかしいところがひとつある。
ゲーム中ではNPCは、確かにイベント時は普通にしゃべるが、ほぼ棒読みでこのような激しいアクションはなく、寸劇で、NPCは全員目も虚ろでその瞳には光がない。
なのにこの魔導士連中は瞳に輝きがちゃんとある。
そしてプレイヤーの事は必ず「冒険者」というのに、先ほど魔導士はプレイヤーと言っていた。
ゲームでは有り得ないことだ。
かと言って、異世界というものおかしい。
何がおかしいって、日本語が普通にばりばり通じていること。
そして魔導士がこちらのことをプレイヤーときちんと認識していること。
これはあれだろうか?ゲームの世界に転生しちゃいました✩パターンなのだろうか?
「あのーもしもし?」
とりあえず話を聞こうと声をかけてみる。
「たすけてぇえぇぇおかぁぁぁさぁぁぁぁん」
「まだ死にたくなぁぁぁぁい」
「世界の終わりだぁぁぁぁぁ」
と、絶叫する三人。こいつら全く聞きやしねぇ。
てか人呼び出しておいて、ガン無視って酷くない?
「えーーっと」
再び話しかけてみるが
「あああ、こんなことなら一度くらい酒を飲んでおくべきだった!?」
「そんなのどうでもいいだろう!?私なんかロロンちゃんに気持ちを伝えてないんだからな!」
「チョコレート食べてみたかったぁぁぁぁぁ」
何故か喧嘩がはじまる。
……っておおぃ。あくまでも無視かよ。ちょっと待て。
「こうなったら死ぬ前にロロンちゃんに告白を!!」
「ってまてよロロンちゃんは俺が!!」
「せりあちゃーーんすきだぁぁぁぁ」
好き勝手わめく三人。
……こ、こいつらっ。マジ人の話聞かない。人をスルーとはいい度胸だ。
「っておまえらぁぁぁぁ人の話をきけぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
私が大声で叫べば、やっと魔導士三人はびくりとこちらを向くのだった。
△▲△
「あああああ!?そうだ凶悪プレイヤーを召喚していたのを忘れていた!?」
「プレイヤーってあれでしょ!?生けとし生けるものの天敵でしょ!?
食われるの!?僕たち食われるの!?」
「え、拷問されるんだろ!?赤ちゃんの格好をさせられて槍でつつかれるんだ!いやだぁぁぁぁぁぁ」
魔導士達は口々に好き勝手な事をいいだす。
こ、こいつら人の事をなんだと思ってるだよ。
勝手に人の事呼び出しておいて評価ひどいな。おい。
「たすけてぇえぇぇおかぁぁぁさぁぁぁぁん」
「まだ死にたくなぁぁぁぁい」
「世界の終わりだぁぁぁぁぁ」
なんだか一度聞いたようなセリフを吐きつつ、扉を開け逃げ出そうとする3人。
「いい加減に人の話をきけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
私が怒りで放った、トラップのタライが三人の頭に直撃するのだった。
0
あなたにおすすめの小説
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる