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過去編・奪われたリーズナ
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湖に戻り、俺の考えていた計画が一気にダメになった。
魚を食らう野鳥の群れが大量にいて、魚はほとんど身がないボロボロの状態になっていた。
まぁ、リーズナは野良猫じゃない…魚に釣られてやって来る間抜けではない。
他の方法を考えよう、俺は今幽体だけど死んだらどうなるんだろう。
死ぬ覚悟で神に戦いを挑む事しか頭になかった。
死にたいわけではないし、勝てる自信もないけど他に思いつかない。
地面に座り、膝を曲げて目の前でキラキラと光る湖の美しさを見つめる。
「……おい」
「…はぁ」
「おい、聞いているのか?」
「…俺はどのくらい死ねば勝てるのだろう」
「おい、悪霊!聞いているのか!?」
耳元で大きな声を出されて、頭がキーンと耳鳴りがした。
耳を押さえてガードしながら、横を見るとそこに居たのはカイトだった。
カイトは眉を寄せて俺を睨んでいて、俺はカイトには悪いが…今は忙しいと不機嫌になっていた。
「後にして」とちょっと冷たく言うと、突然カイトに胸ぐらを掴まれて驚いていた。
そんなに怒ってしまったのだろうか、びっくりして目を丸くする。
しかし、カイトの考えている事は予想もしていなかった。
「お前のせいで俺は今日不幸だったんだよ!さっさと呪いを解け!!」
「……え、な…何の事?」
「とぼけんな!あの野郎には朝に会うし、道を歩いていておばちゃんに水をぶっかけられるし、靴履いてるのにさっき足の小指ぶつけたぞ!!」
そういえば、カイト…なんか髪がいつものセットした感じじゃなくてぺったりしていると思っていた。
でも、俺は何もしていないから…ただ運が悪かっただけではないのかな。
でも俺が悪霊だと思っているから、絶対俺のせいだと思っている。
そんな力はないと言っても、聞かないだろうし…力がない証拠って聞かれたら証明するのは難しいな。
カイトは「成仏させないからか、そうなのか?」と言っていた。
成仏って、多分俺何しても成仏なんてしないぞ。
「望みはなんだ」
「……望み?」
「また魚か?」
「あ、いや…もう魚はいいよ」
「じゃあなんだ!なにがほしいんだ!」
「リーズナ?」
とっさにリーズナの名前を言ってしまい、慌てて口を自分の両手で塞いだ。
リーズナが今ほしいけど、そんな事言っても仕方ないよな。
カイトはリーズナが何なのか分からないのか首を傾げていた。
カイウスはリーズナの話を他人にしないからリーズナの事を知っている人は限られている。
カイトは「りーずなってなんだ?おい、言え!!言え!!」と俺の肩を乱暴に揺すっていた。
カイトも呪いを解いてもらうために必死なのは分かるが、具合が悪くなる。
俺は耐えられなくなり、リーズナはカイウスのペットだと教えてくれた。
「…カイウス・エーデルハイドのペット?」
「……う、ん……でも無理だと思うからいいよ」
「お前、バカにしてるのか?」
「そんなつもりは…ごめんなさい」
「俺がお前の前に持ってきたら、呪いを解くんだよな」
いや、誰にもリーズナは捕まえられない…だって人ではない神がリーズナを連れ去ったから…
それを言おうとしたら、カイトは走って行ってしまった。
カイトが行く場所はきっとカイウスの屋敷だろう。
俺は見えないから自由に入れるが、カイトはいくら王族とはいえ自由に入れるのか?
カイトが心配で、俺も行こうと走り出した。
後ろからチリンチリンと音が聞こえた気がしたがカイトの事で頭がいっぱいで、確認はしなかった。
屋敷近くに行くと、カイトはやはり入り口で使用人達に止められていた。
俺は近くの木陰に隠れて、様子を伺っていた。
王族だから強く拒めないのか、扱いに困ってきた。
「ちょっとリーズナっていうペットを見せてもらうだけだろ!」
「で、ですが…カイ様が帰ってきてからでないと…」
「いいだろ!俺は王家の人間だぞ!!」
物凄く威張っていて、そんな頼み方じゃ無理に決まっている。
カイウスには絶対に頼みたくないという意思も感じる。
このままだといろんな人に迷惑掛けるから、カイトを止めようと木陰から出ようとした。
しかし「何をしているんだ」という声を聞き、再び木陰に引っ込んだ。
「か、カイウス・エーデルハイド…」
「どうかしましたか?カイト様」
カイウスだ、ギュッと胸が苦しくなる。
今すぐ駆け寄って抱きしめたいけど、混乱してしまうかもしれない。
だってこの時の俺って多分学校に行っている時間だから…
カイトは直球に「リーズナを連れてこい!」と言っていた。
カイウスは何故カイトがリーズナを知ってるんだという顔をしていた。
そうか、まだカイウスは部屋に戻っていないからリーズナが部屋に居ないって知らないのか。
「…用件は、それだけ…ですか?」
「なにか問題があるのか?」
「いえ、でも何故リーズナを…」
「欲しいやつがいるからに決まってるだろ!じゃないと俺が…」
カイト!そこまでは正直に言わなくていい!
その言葉にカイウスは一気にカイトを警戒している。
カイトのその言葉は、リーズナを知らない奴に売るって言っているようなものだろ。
カイウスは「ダメです、お引き取りください」と言っていた。
怒らせてしまったようだ、でもカイトも怒るのはちょっと違うぞ。
これ以上見てられず、深くフードを被りカイトに向かって小走りに走っていった。
カイトの腕を掴み、引っ張るがビクともしない。
カイウスに俺の顔を見られる前にどうにかしないと…
「も、もういいって」
「なにがいいんだ!アイツがいないとお前が成仏しないだろ!!」
「……お前がカイト様に頼んだのか?」
カイトと小声で話していたが、近くにいたカイウスには聞こえたようだ。
リーズナを誘拐しようとしているのは俺だと思われてしまった。
俺はただ、リーズナと話すだけでいいのに。
カイウスが俺に向かって手を伸ばしてきて、まさかフードを取ろうとしているんじゃ…と緊張する。
カイトを引っ張っても、リーズナを手に入れるまで動かない気なのか!?
せめてもの抵抗で、フードの先を掴んで離さない。
魚を食らう野鳥の群れが大量にいて、魚はほとんど身がないボロボロの状態になっていた。
まぁ、リーズナは野良猫じゃない…魚に釣られてやって来る間抜けではない。
他の方法を考えよう、俺は今幽体だけど死んだらどうなるんだろう。
死ぬ覚悟で神に戦いを挑む事しか頭になかった。
死にたいわけではないし、勝てる自信もないけど他に思いつかない。
地面に座り、膝を曲げて目の前でキラキラと光る湖の美しさを見つめる。
「……おい」
「…はぁ」
「おい、聞いているのか?」
「…俺はどのくらい死ねば勝てるのだろう」
「おい、悪霊!聞いているのか!?」
耳元で大きな声を出されて、頭がキーンと耳鳴りがした。
耳を押さえてガードしながら、横を見るとそこに居たのはカイトだった。
カイトは眉を寄せて俺を睨んでいて、俺はカイトには悪いが…今は忙しいと不機嫌になっていた。
「後にして」とちょっと冷たく言うと、突然カイトに胸ぐらを掴まれて驚いていた。
そんなに怒ってしまったのだろうか、びっくりして目を丸くする。
しかし、カイトの考えている事は予想もしていなかった。
「お前のせいで俺は今日不幸だったんだよ!さっさと呪いを解け!!」
「……え、な…何の事?」
「とぼけんな!あの野郎には朝に会うし、道を歩いていておばちゃんに水をぶっかけられるし、靴履いてるのにさっき足の小指ぶつけたぞ!!」
そういえば、カイト…なんか髪がいつものセットした感じじゃなくてぺったりしていると思っていた。
でも、俺は何もしていないから…ただ運が悪かっただけではないのかな。
でも俺が悪霊だと思っているから、絶対俺のせいだと思っている。
そんな力はないと言っても、聞かないだろうし…力がない証拠って聞かれたら証明するのは難しいな。
カイトは「成仏させないからか、そうなのか?」と言っていた。
成仏って、多分俺何しても成仏なんてしないぞ。
「望みはなんだ」
「……望み?」
「また魚か?」
「あ、いや…もう魚はいいよ」
「じゃあなんだ!なにがほしいんだ!」
「リーズナ?」
とっさにリーズナの名前を言ってしまい、慌てて口を自分の両手で塞いだ。
リーズナが今ほしいけど、そんな事言っても仕方ないよな。
カイトはリーズナが何なのか分からないのか首を傾げていた。
カイウスはリーズナの話を他人にしないからリーズナの事を知っている人は限られている。
カイトは「りーずなってなんだ?おい、言え!!言え!!」と俺の肩を乱暴に揺すっていた。
カイトも呪いを解いてもらうために必死なのは分かるが、具合が悪くなる。
俺は耐えられなくなり、リーズナはカイウスのペットだと教えてくれた。
「…カイウス・エーデルハイドのペット?」
「……う、ん……でも無理だと思うからいいよ」
「お前、バカにしてるのか?」
「そんなつもりは…ごめんなさい」
「俺がお前の前に持ってきたら、呪いを解くんだよな」
いや、誰にもリーズナは捕まえられない…だって人ではない神がリーズナを連れ去ったから…
それを言おうとしたら、カイトは走って行ってしまった。
カイトが行く場所はきっとカイウスの屋敷だろう。
俺は見えないから自由に入れるが、カイトはいくら王族とはいえ自由に入れるのか?
カイトが心配で、俺も行こうと走り出した。
後ろからチリンチリンと音が聞こえた気がしたがカイトの事で頭がいっぱいで、確認はしなかった。
屋敷近くに行くと、カイトはやはり入り口で使用人達に止められていた。
俺は近くの木陰に隠れて、様子を伺っていた。
王族だから強く拒めないのか、扱いに困ってきた。
「ちょっとリーズナっていうペットを見せてもらうだけだろ!」
「で、ですが…カイ様が帰ってきてからでないと…」
「いいだろ!俺は王家の人間だぞ!!」
物凄く威張っていて、そんな頼み方じゃ無理に決まっている。
カイウスには絶対に頼みたくないという意思も感じる。
このままだといろんな人に迷惑掛けるから、カイトを止めようと木陰から出ようとした。
しかし「何をしているんだ」という声を聞き、再び木陰に引っ込んだ。
「か、カイウス・エーデルハイド…」
「どうかしましたか?カイト様」
カイウスだ、ギュッと胸が苦しくなる。
今すぐ駆け寄って抱きしめたいけど、混乱してしまうかもしれない。
だってこの時の俺って多分学校に行っている時間だから…
カイトは直球に「リーズナを連れてこい!」と言っていた。
カイウスは何故カイトがリーズナを知ってるんだという顔をしていた。
そうか、まだカイウスは部屋に戻っていないからリーズナが部屋に居ないって知らないのか。
「…用件は、それだけ…ですか?」
「なにか問題があるのか?」
「いえ、でも何故リーズナを…」
「欲しいやつがいるからに決まってるだろ!じゃないと俺が…」
カイト!そこまでは正直に言わなくていい!
その言葉にカイウスは一気にカイトを警戒している。
カイトのその言葉は、リーズナを知らない奴に売るって言っているようなものだろ。
カイウスは「ダメです、お引き取りください」と言っていた。
怒らせてしまったようだ、でもカイトも怒るのはちょっと違うぞ。
これ以上見てられず、深くフードを被りカイトに向かって小走りに走っていった。
カイトの腕を掴み、引っ張るがビクともしない。
カイウスに俺の顔を見られる前にどうにかしないと…
「も、もういいって」
「なにがいいんだ!アイツがいないとお前が成仏しないだろ!!」
「……お前がカイト様に頼んだのか?」
カイトと小声で話していたが、近くにいたカイウスには聞こえたようだ。
リーズナを誘拐しようとしているのは俺だと思われてしまった。
俺はただ、リーズナと話すだけでいいのに。
カイウスが俺に向かって手を伸ばしてきて、まさかフードを取ろうとしているんじゃ…と緊張する。
カイトを引っ張っても、リーズナを手に入れるまで動かない気なのか!?
せめてもの抵抗で、フードの先を掴んで離さない。
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