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過去編・名付け親
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夢心地で眠っていたが、鼻をくすぐるにおいにお腹が鳴る。
そういえば、何も食べていなかったな。
目を開けると、そこにあったのは美味しそうな果物と焼き魚が刺さった串が地面に刺さっていた。
唾を飲み込んで、周りを見るが…誰もいない。
…勝手に食べていいのかな、でももしかしたら誰か持ち主がいたら…
そう考えていたら、俺の目の前にあの黒猫が真っ赤な果物を置いていた。
黒猫が顔を上げて、俺と目が合った。
慌てて何処かに言ってしまい、引き止める暇がなかった。
もしかして、あの猫が全部集めたのか?
凄いな、大変だっただろうに…
腹がぐぅ…と鳴り、なるべく見ないように背中を向ける。
美味しそうだけど、勝手に食べたら悪い…俺も探しに行こうかな。
魚を取りに行っても、火をおこすものがないから別のを探そう。
この近くに果物でもあるのかな、猫は木の実を持って来てるし…
周りを見ても果物がないから、もっと遠くにあるのかな。
黒猫が行ってしまった場所を眺めて、あそこになにがあるのかな?と見つめる。
黒猫が歩いて来るのが見えて、口になにか咥えていた。
やっぱりあの先に果物の木でもあるのかもしれない。
立ち上がろうとしたら、後ろから突然衝撃が加わった。
驚いて地面に倒れる、いったいなにがあったんだ?
「ん?そこで何してんだ?」
「……それは俺のセリフなんだけど」
俺の背中に突撃して、上に乗っている声はどう考えてもカイトだった。
カイトは不思議そうな感じだったが、俺が一番不思議だ。
なにか用でもあるのか?
起き上がろうにもカイトが邪魔で退けと言おうと思ったら、すぐに背中が軽くなった。
腕を伸ばして起き上がると、カイトは横で倒れていた。
カイトの頭の上に黒猫が乗っていて、カイトの顔を蹴りあげて俺の方に近付いてきた。
俺の膝の上に美味しそうな果物を置いていた。
これは、みかんみたいな見た目の果物だな…みかんだろうか。
「俺にくれるの?」
黒猫に聞くと他の置いていた果物も、鼻で押して俺の近くに置いた。
もしかして、これ全部俺のために取ってきてくれたのかな。
キュンキュンする、健気で可愛すぎる!
イチゴみたいな果物を黒猫の口元に持っていくと、ぱくんと食べてくれた。
飼い主が見つからないし、見つかるまででいいから一緒に居てもいいかな。
なにかあっても、必ず君を守るからね。
頭を撫でると、目を瞑り気持ちよさそうだった。
「俺がこんな庶民の飯を食うなんてな」と口をもごもごさせてカイトは焼き魚を食べていた。
それを見た猫はカイトに向かって顔面を蹴り上げていた。
カイトは猫相手にマジギレしていて、猫に更に煽られていた。
今まで、気持ちが休まる日はなかった…家に帰れば虐げられ…カイウスと居ても迷惑ばかり掛けてしまう自分が嫌だった。
だから、友達といるようなこの感じが懐かしいな……まるで、何も考えずカイウスといられたあの頃のようだ。
手をギュッと握りしめると、猫が心配そうな顔をして覗き込んでくる。
安心させるように優しく頭を撫でた。
「そうだ、この子に名前を付けよう…なにがいいかな?」
「バカ猫でいいだろ」
「そんなのダメだよ、えっと…」
カイトは仕返しのつもりなのか酷い事を言っていたが無視をした。
この子に似合う名前…なにがいいかな。
寝転がって、同じ目線になりジッと観察しているとペロッと鼻を舐められた。
俺の事をいつも慰めてくれて、傍に居てくれる……まるでカイウスみたいだ。
小さな声で「カイちゃん」と呼ぶと、びっくりしたような顔をしていた。
男の子だからちゃん付けは嫌だったかな?じゃあカイくん?
呼び直してカイくんと言ってみると、何故か名付けられたカイくんではなく横にいるカイトが反応した。
「なぁにがカイくんだ!!これだからカイウス信者は!!」
カイトが怒っている、そこで俺は思い出した。
そうだ、カイトがカイウスを嫌いな理由って名前もあったんだった!
カイウスはカイ様と呼ばれている、カイトも「カイ」と付くからカイウスだけの名前ではないとゲームで言っていた。
カイ様呼びはカイウスが言わせたわけじゃないんだけど、カイトはずっとそう思っている。
カイトが名前変えろとしつこく言ってきて、カイくんに蹴り飛ばされて地面に倒れ込んだ。
カイトはただのわがままだからほっといて、カイくんが嫌なら変えよう。
いい名前だと思うが本人が嫌なら強制はしない。
「カイくん、嫌なら名前…変えようか?」
何となく、カイくんは人の言葉が分かるような気がしてそう聞いてみた。
バシバシとカイトの頭を叩いていたカイくんが俺のところに駆け寄ってきて、指をぺろぺろ舐めていた。
これは、嫌じゃないって事なのかな?
そういえば、何も食べていなかったな。
目を開けると、そこにあったのは美味しそうな果物と焼き魚が刺さった串が地面に刺さっていた。
唾を飲み込んで、周りを見るが…誰もいない。
…勝手に食べていいのかな、でももしかしたら誰か持ち主がいたら…
そう考えていたら、俺の目の前にあの黒猫が真っ赤な果物を置いていた。
黒猫が顔を上げて、俺と目が合った。
慌てて何処かに言ってしまい、引き止める暇がなかった。
もしかして、あの猫が全部集めたのか?
凄いな、大変だっただろうに…
腹がぐぅ…と鳴り、なるべく見ないように背中を向ける。
美味しそうだけど、勝手に食べたら悪い…俺も探しに行こうかな。
魚を取りに行っても、火をおこすものがないから別のを探そう。
この近くに果物でもあるのかな、猫は木の実を持って来てるし…
周りを見ても果物がないから、もっと遠くにあるのかな。
黒猫が行ってしまった場所を眺めて、あそこになにがあるのかな?と見つめる。
黒猫が歩いて来るのが見えて、口になにか咥えていた。
やっぱりあの先に果物の木でもあるのかもしれない。
立ち上がろうとしたら、後ろから突然衝撃が加わった。
驚いて地面に倒れる、いったいなにがあったんだ?
「ん?そこで何してんだ?」
「……それは俺のセリフなんだけど」
俺の背中に突撃して、上に乗っている声はどう考えてもカイトだった。
カイトは不思議そうな感じだったが、俺が一番不思議だ。
なにか用でもあるのか?
起き上がろうにもカイトが邪魔で退けと言おうと思ったら、すぐに背中が軽くなった。
腕を伸ばして起き上がると、カイトは横で倒れていた。
カイトの頭の上に黒猫が乗っていて、カイトの顔を蹴りあげて俺の方に近付いてきた。
俺の膝の上に美味しそうな果物を置いていた。
これは、みかんみたいな見た目の果物だな…みかんだろうか。
「俺にくれるの?」
黒猫に聞くと他の置いていた果物も、鼻で押して俺の近くに置いた。
もしかして、これ全部俺のために取ってきてくれたのかな。
キュンキュンする、健気で可愛すぎる!
イチゴみたいな果物を黒猫の口元に持っていくと、ぱくんと食べてくれた。
飼い主が見つからないし、見つかるまででいいから一緒に居てもいいかな。
なにかあっても、必ず君を守るからね。
頭を撫でると、目を瞑り気持ちよさそうだった。
「俺がこんな庶民の飯を食うなんてな」と口をもごもごさせてカイトは焼き魚を食べていた。
それを見た猫はカイトに向かって顔面を蹴り上げていた。
カイトは猫相手にマジギレしていて、猫に更に煽られていた。
今まで、気持ちが休まる日はなかった…家に帰れば虐げられ…カイウスと居ても迷惑ばかり掛けてしまう自分が嫌だった。
だから、友達といるようなこの感じが懐かしいな……まるで、何も考えずカイウスといられたあの頃のようだ。
手をギュッと握りしめると、猫が心配そうな顔をして覗き込んでくる。
安心させるように優しく頭を撫でた。
「そうだ、この子に名前を付けよう…なにがいいかな?」
「バカ猫でいいだろ」
「そんなのダメだよ、えっと…」
カイトは仕返しのつもりなのか酷い事を言っていたが無視をした。
この子に似合う名前…なにがいいかな。
寝転がって、同じ目線になりジッと観察しているとペロッと鼻を舐められた。
俺の事をいつも慰めてくれて、傍に居てくれる……まるでカイウスみたいだ。
小さな声で「カイちゃん」と呼ぶと、びっくりしたような顔をしていた。
男の子だからちゃん付けは嫌だったかな?じゃあカイくん?
呼び直してカイくんと言ってみると、何故か名付けられたカイくんではなく横にいるカイトが反応した。
「なぁにがカイくんだ!!これだからカイウス信者は!!」
カイトが怒っている、そこで俺は思い出した。
そうだ、カイトがカイウスを嫌いな理由って名前もあったんだった!
カイウスはカイ様と呼ばれている、カイトも「カイ」と付くからカイウスだけの名前ではないとゲームで言っていた。
カイ様呼びはカイウスが言わせたわけじゃないんだけど、カイトはずっとそう思っている。
カイトが名前変えろとしつこく言ってきて、カイくんに蹴り飛ばされて地面に倒れ込んだ。
カイトはただのわがままだからほっといて、カイくんが嫌なら変えよう。
いい名前だと思うが本人が嫌なら強制はしない。
「カイくん、嫌なら名前…変えようか?」
何となく、カイくんは人の言葉が分かるような気がしてそう聞いてみた。
バシバシとカイトの頭を叩いていたカイくんが俺のところに駆け寄ってきて、指をぺろぺろ舐めていた。
これは、嫌じゃないって事なのかな?
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