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助けるために
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俺とリーズナに真っ暗な影が重なっていき、リーズナを守るように抱きしめる。
今ならまだ間に合う、リーズナをカイウスのところに運ばないと…
でも、目の前の鎧の男が簡単に見逃してくれるとは思わない。
鎧の男は手に持っていた血に濡れた銀色の大剣を振り上げていた
リーズナの傷に触れないように押して抜け出した。
そしてすぐに鎧の男に向かって全身を使って突進した。
怪我をしているリーズナを置いていけない、リーズナを運べる時間稼ぎになればそれでいい。
倒れさせる勢いだったのに、よろける事もしていなくて俺を見下ろしていた。
その瞬間、鎧の男は急に発光して震えていた。
その発光は電流のようだけど、鎧の男に触れている俺には電気は流れていない。
かなり強い電流だというのに、震える手で俺を掴もうと伸ばしている。
でも、筋肉が言う事を聞かないのか俺を掴めずにいた。
今のうちにリーズナを運ぼうと思って鎧の男から離れた。
その時電流が消えてしまい、俺の首を掴んだがまた電気が流れた。
まさか、この電流は俺から流れているのか?なんでいきなり…
リーズナに触れている時はなんて事はないのに、もしかしてこの力はカイウスの…
イヤーカフに少し痛みが走り、指で触れると少し温かかった。
鎧の男は諦めず、俺の首を掴んだままだが電流で指先に力が入っていない。
もう一度突進すれば、動きを止められるけどリーズナをこれ以上放っておくわけにはいかない。
普通人は痛みを感じると、攻撃に躊躇する筈だ。
なのに、まるで痛みを感じないかのような動きだ。
見た目からも強い電流だと分かるのに、いったいこの人は…なんなんだ?
兜の向こうで、真っ赤に光る瞳が冷たく俺を見ていた。
鎧の男が俺を離さなかった手が少し離れた瞬間、さっきまでびくともしなかった体が吹き飛ばされた。
後ろを振り返ると、リーズナを抱えているカイウスがいた。
「カイウス!ごめん、リーズナが…」
「ライムが無事ならそれでいい、それより遅くなって…ごめっ…ぐっ」
「どうしたの!?」
カイウスは俺にもたれかかってきて、苦しげに呻き声を上げていた。
汗を掻いていて、普通じゃないとカイウスを抱きしめた。
カイウスは腹部を押さえていて、そこはリーズナにあった傷と同じ場所だった。
リーズナの傷がそのままカイウスの傷になっているのかもしれない。
リーズナが目を覚さないほどの酷い怪我だ、カイウスも気絶したいほど痛いのだろう。
カイウスに触れても電気は流れない、やっぱり未来のカイウスがもらったイヤーカフが俺を守ってくれたんだ。
今、カイウスと移動するのは難しい…カイウスとの関係を知られるよりカイウスとリーズナの治療が大切だ。
宮殿を思い浮かべていると、カイウスに胸を押された。
突然の事で後ろに下がって、カイウスの名を呼んだ。
しかしカイウスは俺の方を一度も見る事はなかった。
リーズナがカイウスの腕の中から消えるのが見えた。
カイウスの中に入ったというより、光になって消えてしまったかのような不安が残った。
カイウスに腕を伸ばすが、カイウスは腰に下げていた剣を引き抜いて視界からいなくなってしまった。
そのまま穴の中に入ったように、視界が遠ざかる。
瞬きを一つすると、そこにあったのはさっきまでいた宮殿だった。
俺を助けるためにカイウスが宮殿の中に入れたんだ。
今、カイウスは鎧の男と戦っている…酷い怪我をしているのに…
今宮殿から出たらカイウスに迷惑が掛かる、でも今のままだとまたカイウスが…
宮殿の中でなにか出来ないだろうかと一つ一つ探す。
武器がないか探して、探して…何も見つけられなかった。
さすがに料理に使う包丁を持っても仕方ない事くらい分かる。
ちゃんとしたものでないと、止める事が出来ない。
カイウスを助けたいなら確実に助けられるものじゃないといけない。
ここの主はカイウスで、カイウスはそんなものがなくても戦えるから当然と言われたら当然だ。
でも、なにか一つくらいは武器がほしかった…諦めるのはまだ早い。
もう一度、俺は戦いたい…カイウスを今助けられるのは俺しかいないんだ。
「力を貸してくれ、カイウス…」
イヤーカフに触れると、指先になにかが引っかかった。
細いもののようなそれを引っ張ると、イヤーカフが外れた。
それを見てびっくりしたが、俺は希望をイヤーカフに託す事にした。
俺を動かす強さはカイウスを守るためそれだけだ。
宮殿から離れて湖に近付くと、精霊達が湖に集まっていた。
湖に映るのはカイウスと鎧の男の姿で、剣を重ねていた。
カイウスが持っているのは普通の剣だから、鎧の男が持つ大剣と比べれば小さく見える。
しかし、押しているのはカイウスの方で鎧の人物は後ろに下がっていた。
それでもカイウスの傷は癒えず、地面を赤く染めていた。
カイウスが押していても、このままだとカイウスの方が死んでしまう。
瞳を閉じて、強く強く願った。
カイウスのところに俺を連れて行ってください。
未来のカイウスが俺に残してくれたものを握りしめた。
今ならまだ間に合う、リーズナをカイウスのところに運ばないと…
でも、目の前の鎧の男が簡単に見逃してくれるとは思わない。
鎧の男は手に持っていた血に濡れた銀色の大剣を振り上げていた
リーズナの傷に触れないように押して抜け出した。
そしてすぐに鎧の男に向かって全身を使って突進した。
怪我をしているリーズナを置いていけない、リーズナを運べる時間稼ぎになればそれでいい。
倒れさせる勢いだったのに、よろける事もしていなくて俺を見下ろしていた。
その瞬間、鎧の男は急に発光して震えていた。
その発光は電流のようだけど、鎧の男に触れている俺には電気は流れていない。
かなり強い電流だというのに、震える手で俺を掴もうと伸ばしている。
でも、筋肉が言う事を聞かないのか俺を掴めずにいた。
今のうちにリーズナを運ぼうと思って鎧の男から離れた。
その時電流が消えてしまい、俺の首を掴んだがまた電気が流れた。
まさか、この電流は俺から流れているのか?なんでいきなり…
リーズナに触れている時はなんて事はないのに、もしかしてこの力はカイウスの…
イヤーカフに少し痛みが走り、指で触れると少し温かかった。
鎧の男は諦めず、俺の首を掴んだままだが電流で指先に力が入っていない。
もう一度突進すれば、動きを止められるけどリーズナをこれ以上放っておくわけにはいかない。
普通人は痛みを感じると、攻撃に躊躇する筈だ。
なのに、まるで痛みを感じないかのような動きだ。
見た目からも強い電流だと分かるのに、いったいこの人は…なんなんだ?
兜の向こうで、真っ赤に光る瞳が冷たく俺を見ていた。
鎧の男が俺を離さなかった手が少し離れた瞬間、さっきまでびくともしなかった体が吹き飛ばされた。
後ろを振り返ると、リーズナを抱えているカイウスがいた。
「カイウス!ごめん、リーズナが…」
「ライムが無事ならそれでいい、それより遅くなって…ごめっ…ぐっ」
「どうしたの!?」
カイウスは俺にもたれかかってきて、苦しげに呻き声を上げていた。
汗を掻いていて、普通じゃないとカイウスを抱きしめた。
カイウスは腹部を押さえていて、そこはリーズナにあった傷と同じ場所だった。
リーズナの傷がそのままカイウスの傷になっているのかもしれない。
リーズナが目を覚さないほどの酷い怪我だ、カイウスも気絶したいほど痛いのだろう。
カイウスに触れても電気は流れない、やっぱり未来のカイウスがもらったイヤーカフが俺を守ってくれたんだ。
今、カイウスと移動するのは難しい…カイウスとの関係を知られるよりカイウスとリーズナの治療が大切だ。
宮殿を思い浮かべていると、カイウスに胸を押された。
突然の事で後ろに下がって、カイウスの名を呼んだ。
しかしカイウスは俺の方を一度も見る事はなかった。
リーズナがカイウスの腕の中から消えるのが見えた。
カイウスの中に入ったというより、光になって消えてしまったかのような不安が残った。
カイウスに腕を伸ばすが、カイウスは腰に下げていた剣を引き抜いて視界からいなくなってしまった。
そのまま穴の中に入ったように、視界が遠ざかる。
瞬きを一つすると、そこにあったのはさっきまでいた宮殿だった。
俺を助けるためにカイウスが宮殿の中に入れたんだ。
今、カイウスは鎧の男と戦っている…酷い怪我をしているのに…
今宮殿から出たらカイウスに迷惑が掛かる、でも今のままだとまたカイウスが…
宮殿の中でなにか出来ないだろうかと一つ一つ探す。
武器がないか探して、探して…何も見つけられなかった。
さすがに料理に使う包丁を持っても仕方ない事くらい分かる。
ちゃんとしたものでないと、止める事が出来ない。
カイウスを助けたいなら確実に助けられるものじゃないといけない。
ここの主はカイウスで、カイウスはそんなものがなくても戦えるから当然と言われたら当然だ。
でも、なにか一つくらいは武器がほしかった…諦めるのはまだ早い。
もう一度、俺は戦いたい…カイウスを今助けられるのは俺しかいないんだ。
「力を貸してくれ、カイウス…」
イヤーカフに触れると、指先になにかが引っかかった。
細いもののようなそれを引っ張ると、イヤーカフが外れた。
それを見てびっくりしたが、俺は希望をイヤーカフに託す事にした。
俺を動かす強さはカイウスを守るためそれだけだ。
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湖に映るのはカイウスと鎧の男の姿で、剣を重ねていた。
カイウスが持っているのは普通の剣だから、鎧の男が持つ大剣と比べれば小さく見える。
しかし、押しているのはカイウスの方で鎧の人物は後ろに下がっていた。
それでもカイウスの傷は癒えず、地面を赤く染めていた。
カイウスが押していても、このままだとカイウスの方が死んでしまう。
瞳を閉じて、強く強く願った。
カイウスのところに俺を連れて行ってください。
未来のカイウスが俺に残してくれたものを握りしめた。
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